報道発表資料

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2018年03月23日
  • 地球環境

「東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質汚染の除染事業誌」の公表について

環境省及び除染事業誌編集委員会(委員長:鈴木基之東京大学名誉教授)は、除染事業の実施で得られた経験、知見、教訓を整理し、「東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質汚染の除染事業誌」(除染事業誌)をはじめて作成いたしましたので、公表いたします。

1.本事業誌作成の目的

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により大量の放射性物質が放出され、環境の汚染が生じました。このため、国及び市町村等は、人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的として、放射性物質により汚染された土壌等の除染等の措置(以下「除染事業」という。)を進め、平成29年3月末に面的除染が概ね完了し、多くの地域で避難指示が解除されました。また、本年3月までに、帰還困難区域を除き、すべての地域で面的除染が完了しました。

 この機を捉えて、除染事業の実施で得られた経験、知見、教訓を記録として後世に残すとともに、国内外に共有すること、また、かつてない規模で実施された除染の意義や実施状況を広く国民に対して説明することを目的として本事業誌を作成いたしました。

2.本事業誌の構成

 本事業誌は、環境省を中心にこれまでに取り組んできた一連の放射性物質汚染対策のうち除染事業について、基本的な方針、事業の枠組みや除染工法の確立、現場での施工や管理、除染の効果や検証、地域の方々とのコミュニケーションなど、取組の経緯や内容とその背景、課題や教訓を次のとおり取りまとめました。

目次

概要

第1章 除染事業の経緯と概要

 福島第一原子力発電所の事故や避難指示の状況など、除染事業の背景を概説した上で、除染事業を以下の5つの期間に分類し、それぞれの時期の除染の状況や対応した内容について、その概要を記載。

・緊急対応期:事故発生~放射性物質汚染対処特別措置法成立前

 (平成23年3月~8月)

・除染準備期:放射性物質汚染対処特別措置法成立~同法施行

 (平成23年8月~12月)

・除染開始期:放射性物質汚染対処特別措置法施行後

 ~除染推進パッケージ公表前(平成24年1月~10月)

・除染推進期:除染推進パッケージ公表~除染実施計画改定

 (平成24年10月~平成25年12月)

・除染加速期:除染実施計画改定後(平成26年1月~)

第2章 除染の特徴と意義

 福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の状況について、核種や汚染の広がりを述べた上で、当該事故に伴う除染の特徴(広範囲で大規模な除染事業*1であったこと等)について記載。また、除染の意義、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を踏まえた放射線防護の考え方や、追加被ばく線量に係る長期的な目標について記載。

*1 環境省が除染を実施する除染特別地域は11市町村(人口:約8万人、面積:約1,150km2)、市町村等が除染を実施する汚染状況重点調査地域は104市町村(人口:約690万人、面積約24,000km2)に及んだ。また、延べ作業員数は合計3,000万人以上に及んだ。

第3章 除染事業の制度と工法

 放射性物質汚染対処特別措置法をはじめとする除染事業の制度、国や地方公共団体などの除染の実施体制(福島環境再生事務所(現:福島地方環境事務所)の開設等)、除染事業にかかる予算措置、除染工法の選定と確立、労働者の放射線防護等、除染事業を実施する上で必要であった枠組みについて記載。

第4章 除染事業の実施

 除染の対象と流れを説明した上で、除染事業の流れに応じた工程について記載。具体的には、土地・建物等の調査(所有者等の把握)、除染実施に係る同意取得、土地の区分や除染対象ごとの除染工法、仮置場の確保や設置・管理、除去土壌等の発生量、除染の施工体制・管理(作業員の確保・教育等)について記載。

第5章 除染の効果・検証・リスクコミュニケーション

 除染事業の実施状況、除染による線量低減効果*2、自治体や国際機関等による除染事業の検証について記載。また、除染情報プラザ(現:環境再生プラザ)における取組等、地元住民等の理解と協力を得る上で行った対話(リスクコミュニケーション)の取組を、時系列に沿って記載。

*2 除染後の平均の空間線量率は、除染前に比べて約53%低減。さらに事後モニタリング時には、除染前に比べて約67%低減。

第6章 今後の課題と教訓

 今回の除染事業の経験から得られた知見や課題、今後の教訓について「除染の理念、目標の設定」、「除染体制の構築、関係者の役割分担」、「除染実施段階での課題」、「住民等とのコミュニケーション」に分類したうえで記載。

(本章で取り扱ったトピックの例)

・事前調査・同意取得

・仮置場の確保及び長期化等

・検証体制の充実

・放射線影響の説明等

(別紙1)東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質汚染の除染事業誌

(別紙2)除染事業誌編集委員会名簿

添付資料

連絡先
環境省環境再生・資源循環局環境再生事業担当参事官室
代表 03-3581-3351
参事官 神谷 洋一
調査官 塩井 直彦
補 佐 野本 卓也(内線7533)
補 佐 上迫 大介(内線7512)
担 当 竹田 昌弘(内線7535)

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