報道発表資料

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2015年04月23日
  • 自然環境

第46回ガンカモ類の生息調査結果の暫定値について(お知らせ)

 ガンカモ類の生息調査(通称「全国ガンカモ一斉調査」)は、我が国に渡来するガンカモ類の冬期の生息状況の把握を目的として、昭和45年から各都道府県の協力を得ながら実施しているものです。平成26年度は第46回目の調査実施となり、平成27年1月11日を中心に、前年度とほぼ同数の全国約9千地点においてボランティアなど約4千人の協力を得て調査を行いました。
 その結果を暫定値として取りまとめたところ、全国において、ハクチョウ類約7万羽、ガン類約21万2千羽、カモ類約157万8千羽が観察されました。前年に比べハクチョウ類、カモ類は約3%減少しましたが、ほぼ前年並みの観察数となりました。ガン類は過去10年間で増加傾向にありますが、今年も昨年に引き続き約14%増加し、本調査が始まってから初めて観察羽数が20万羽を超えました。これはガン類の中で約90%の個体数を占めるマガンの越冬観察個体数の増加傾向が反映されたものです。マガンは宮城県で全国の約96%にあたる約18万4千羽が観察されています。ガンカモ類の総数では、前年に比べて約2%の減少となりました。

1. 調査概要

・目的

我が国におけるガンカモ類の冬期の生息状況を把握すること

・調査期間

平成27年1月11日(日)(予備日:1月4日~18日)

・調査地

ガンカモ類の生息地になっている全国約9千地点の湖沼等

(ハクチョウ類及びガン類については、原則として全ての生息地を対象とし、カモ類の生息地については、可能な限り多くの生息地を対象としました。)

・調査方法

全国的に定めた調査日に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント

・集計

各都道府県の調査結果を環境省において全国集計

2.結果概要

 平成26年度の調査は、全国の約9千地点で総勢約4千人、延べ1万4千人の協力を得て行われました。調査が行われた地点のうち、約6千地点でガンカモ類が観察され、そのうちコハクチョウなどのハクチョウ類は約6百地点、マガンなどのガン類は約百地点、マガモなどのカモ類は約6千地点で観察されました。全国における観察数は、ハクチョウ類約7万羽、ガン類約21万2千羽、カモ類約157万8千羽でした(表1)。

(1)ハクチョウ類について

 ハクチョウ類の観察数約7万羽を前年度と比較すると、約3%(約1千羽)減少しました。都道府県別に見ると、宮城県が約2万1千羽、新潟県が約1万4千羽と飛び抜けて観察数が多く、近年はこの2県に観察数が集中する傾向があり、全国の観察数の約50%を占めています。

(2)ガン類について

 ガン類の観察数約21万2千羽を前年度と比較すると、約11%(約2万6千羽)増加しました。過去15年間の調査結果の推移を見ると、年によって変動はあるものの、全体としては増加傾向が見られます(図1)。これはガン類の中で約90%の個体数を占めるマガンの越冬観察個体数の増加傾向が反映されたものです。マガンは宮城県で全国の約96%にあたる約18万4千羽が観察されています。マガンについで観察数の多いヒシクイは、前年度と比較して約6%(約1千羽)減少しました。

(3)カモ類について

 カモ類の観察数約157万8千羽を前年度と比較すると、約3%(約4万9千羽)の減少となりました。カモ類の観察数は平成20年度から減少傾向にあり、昨年度は増加がみられましたが、今年度は再び減少しました。(図1)。カモ類で観察数の多い上位6種の観察数の動向を見ると、マガモは昨年に続き増加がみられ、過去15年間で最小となった一昨年度に比べると約34%の増加となりました。そのほかはコガモが昨年度に比べ約10%増加したが、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモは昨年度並み、スズガモが約34%減少していました(図2)。

 今回の集計結果は暫定値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて6月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点をご留意願います。

3.資料

平成26年度ガンカモ類の生息調査(平成27年1月調査実施)(暫定値)は以下のページから参照できます。

生物多様性センター ガンカモ類の生息調査の成果物の提供ページ

http://www.biodic.go.jp/gankamo/seikabutu/index.html

表1 過去15年間のガンカモ類の冬期観察数の推移の図表(全国集計値) *H26は暫定値

表1 過去15年間のガンカモ類の冬期観察数の推移(全国集計値) *H26は暫定値

図1 過去15年間のガンカモ類の冬期観察数の推移の図表

図1 過去15年間のガンカモ類の冬期観察数の推移

表2 過去15年間のカモ類の種別冬期観察数の推移の図表 *H26は暫定値

表2 過去15年間のカモ類の種別冬期観察数の推移 *H26は暫定値

図2 過去15年間のカモ類の種別冬期観察数の推移の図表

図2 過去15年間のカモ類の種別冬期観察数の推移

連絡先
環境省自然環境局生物多様性センター
電話   :0555-72-6033(直通)
センター長:中山 隆治
担当   :雪本 晋資