総合環境政策

OECD対日環境保全成果審査 評価と勧告

 平成22年5月に実施されたOECDの対日環境保全成果レビューにおいてとりまとめられた「評価及び勧告」において、「2011年の税制改正においては環境配慮を中心に据えること」等の勧告がなされました。環境省においては、これらの指摘も踏まえつつ、引き続き税制のグリーン化の推進に取り組んでいきます。

※ 本審査の評価及び勧告に係る詳細の報告は下記リンク先をご覧ください。
OECD環境保全成果レビュー審査会合(平成22年)の結果について

対日審査環境保全成果審査 評価と勧告(抄)(仮訳)

1.持続可能な発展に向けて

1.2成長のグリーン化
 (前略)環境関連税の収入は、税収全体に占める割合は減少したものの、レビュー期間中に6%増加した。例えば石炭税の導入や高燃費の自動車への税制優遇措置など税制の「グリーン化」はある程度進んでいる。これらの優遇税制は、自動車車両をより効率的で小さなものへと置き換えることに貢献してきている。道路建設やその維持管理に使途が特定されていた自動車税及び道路燃料税は2009年に廃止された。しかし、輸送燃料などエネルギー製品の税率は、前回のレビュー以降変化がなく、OECD加盟国内で低い水準にある。燃料税が、日本の輸送部門によるエネルギー消費を著しく削減するのに寄与したという根拠はない。比較的低い、税―GDP比と、間接税収の総歳入に占める割合の低さに鑑みると、環境関連税制を拡充する余地はある。一般的に、環境関連税は、経済的な状況にもよるが、赤字の削減を通じた財政の健全化、及び/又はその他の税制の減税、あるいは環境支出を含む政府支出に充てるのに役立てることのできる歳入をもたらしうる。2011年に予定されている税制改革は環境関連の税制を含むこととなっている。(後略)
勧告:
  • 車両の購入及び所有に係る税を車両の燃費効率に直接リンクさせることに向けて、並びに燃料税(fuel taxes)及びロードプライシングを通じて車両の利用に関連する対象となる汚染(targeting pollution)を改善することに向けて、輸送部門関連課税及び課金(pricing)のレビューを行うこと。
  • 環境関連の税の利用を拡大することや、環境に悪影響をもたらす又は汚染者負担原則に矛盾する補助金等の削減を視野に入れ、2011年の税制改正においては環境配慮を中心に据えること。

2.個別課題

2.1気候変動
 (前略)輸送燃料などのエネルギー製品への税率はOECD加盟国内で最低水準にあり、強い価格シグナルを告げない。排出量取引制度を炭素税と組み合わせて行うことなど通じ、炭素に一貫した価格を設定することで、現行の政策よりも費用対効果の高い形で、再生可能エネルギーや省エネへの投資が促進されるであろう。政府はこの数年間、炭素税の導入を先送りしている。試行的な排出量取引制度(ETS)は新しいイニシアティブであるものの、自主性に委ねられ限界がある。参加者は政府の補助金から恩恵を受けている。2010年3月、地球温暖化対策基本法案が閣議決定され、国会に提出されたところであり、同法案は、排出量取引及び課税手法の導入を予定している。日本は、京都メカニズムを十分に活用して目標達成に向けた費用の削減を行ってきた。(後略)
勧告:
  • 気候変動関連の税と組み合わせた排出量取引を通し、炭素に価格をつけること。(後略)