2018年11月17日(土)、『第6回グッドライフアワード』のカンファレンス&表彰式が『青山TEPIAホール』(東京都港区)にて開催されました。 環境大臣賞を受賞した10取組のほか、実行委員会特別賞を受賞した取組の代表者が集結。環境に関する課題と同時に、さまざまな社会の課題を解決する「グッドライフ」な取組に関心をもつ多数のご来場者とともに、有意義な時間を過ごせるイベントとなりました。
Opening
オープニング
この日のイベントは、「Good Life Conference ~地域創生ソーシャルデザインTalks~」をテーマとしたカンファレンスと、表彰式の二部構成で行われました。今回の司会はラジオパーソナリティなどとして活躍する綿谷エリナさんです。
カンファレンスに先立ち、環境省の勝俣孝明環境大臣政務官が受賞者を祝福し、グッドライフアワードは美しい自然景観等の地域資源を活かして地域の活力を喚起する地域循環共生圏の創造と方向性を同じくするものであると述べ、グッドライフな取組がさらに広がることを願う挨拶を行いました。
勝俣孝明環境大臣政務官
続いて、グッドライフアワード実行委員でもある環境省の中井徳太郎総合環境政策統括官が壇上に立ち、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)やパリ協定などの世界的な潮流や、2018年4月に閣議決定された「第五次環境基本計画」について説明。日本、そして地球が抱える課題の解決に向けて、環境問題だけにとどまらず、経済や社会の問題を同時解決するため、ライフスタイルイノベーションを創出する草の根のグッドライフな取組が必要であることを改めて来場者に訴えかけました。
中井徳太郎総合環境政策統括官
次に、グッドライフアワード総合プロデューサーを務める谷中修吾氏(BB大学 グローバル経営学科長・教授/ビジネスプロデューサー)が、グッドライフアワードの主旨や、今回の表彰内容などを説明しました。
グッドライフアワード総合プロデューサーの谷中修吾氏
Conference
Good Life Conference
~地域創生ソーシャルデザインTalks~
カンファレンスは、昨年に続いて「地域創生ソーシャルデザインTalks」というテーマで開催されました。グッドライフアワードが表彰する「環境と社会によい取組」は、それぞれの地域のさまざまな課題解決にも深く関わっていることがほとんどです。地域創生、活性化に貢献するソーシャルな活動が、まさにグッドライフな取組といえるのです。
ソーシャルグッドな取組を実践するベストイノベーターを登壇者に迎えたカンファレンス。最初の登壇者は、昨年の「第5回グッドライフアワード」において『おばあちゃんのコンシェルジュを目指す 移動スーパーとくし丸』で環境大臣賞優秀賞を受賞した株式会社とくし丸代表取締役の住友達也氏です。
移動スーパーとくし丸は、買い物難民といわれる高齢者のために、軽トラックの移動スーパーが個別訪問するサービスです。住友氏のプレゼンテーションでは、環境大臣賞受賞取組のレポートでもご紹介しているように、とくし丸が地域のスーパーと契約し、利用者に一品につき10円を負担してもらう「+10円ルール」などの工夫を重ね、持続可能なビジネスとして展開していることなどが語られました。移動販売により、住民が車で郊外のスーパーに行く必要がなくなるため、交通由来のCO2が削減され、さらに高齢者の見守り支援なども併せて行うことで、環境面だけでなく、社会面へも貢献しています。
株式会社とくし丸代表取締役の住友達也氏
2人目のゲストイノベーターは、株式会社マイファーム代表取締役CEOの西辻一真氏です。西辻氏は、休耕地を何とかしたいとの思いから「自産自消」の理念を掲げて会社を設立し、体験農園、農業学校、流通販売、農家レストラン、農産物生産など、様々な取組を展開しています。
壇上では、幼少期からの農業や自然に対する思いを楽しいトークで紹介し、自らの事業の概要を説明されました。また、今回のグッドライフアワード環境大臣賞受賞取組のなかに休耕地を蜜源にしてハチミツを生産する取組『ミツバチと農福連携が生み出す「お花畑プロジェクト」~耕作放棄地に蜜源と景観植物を~』があることに触れ、全国各地で同時多発的に有意義な活動が展開されていること、また、グッドライフワードによって、そうした取組のキーパーソンが繋がるのが有意義であることを語られました。
株式会社マイファーム代表取締役CEOの西辻一真氏
カンファレンスの締めくくりは、グッドライフアワード実行委員でもある末吉里花氏(一般社団法人エシカル協会代表理事)が、自らが立ち上げた団体で進める「エシカル消費」について説明しました。
エシカルとは、英語で「倫理的な」という意味の言葉ですが、末吉氏らの活動によって「人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動」を意味する「エシカル消費」という考え方が広がってきています。エシカル消費の考え方はグッドライフアワードが目指す理念と親和性が高く、全国各地で地道な活動に関わる人たちの行動や力によって、日本にたくさんのグッドライフな取組が生まれている手応えを感じたことが語られました。
一般社団法人エシカル協会代表理事 末吉里花氏
Presentation
環境大臣賞受賞取組の活動紹介
約10分間のコーヒーブレイクをはさみ、グッドライフアワード環境大臣賞受賞取組の代表者によるプレゼンテーションが行われました。
プレゼンテーションの持ち時間は8分間です。部門賞が6取組、優秀賞が3組、さらに最優秀賞が1組と、全部で10取組のプレゼンテーションが続きましたが、受賞者のみなさんのプレゼンテーションは話術や構成がとても素晴らしく、連続して1時間以上であることを忘れさせてくれる密度の濃い時間となりました。各受賞取組の詳細な内容などは、改めて取材の上、『受賞者紹介レポート』でご紹介します。
また、各取組代表者によるプレゼンテーションの後には、グッドライフアワード実行委員が壇上に立ち、取組への講評を行いました。
環境大臣賞 NPO・任意団体部門
地球生態系のためのごみ減量システム「グリーンシステム」
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
環境大臣賞 自治体部門
官民出資の自治体新電力で再生可能エネルギーを地産地消
ローカルエナジー株式会社 鳥取県米子市
環境大臣賞 企業部門
建設・運送会社が里山再生に挑戦する「100年の森づくり」
田中産業株式会社
環境大臣賞 企業部門
食品ロスを削減する社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム「KURADASHI.jp」
グラウクス株式会社 住友商事株式会社
環境大臣賞 企業部門
小さな集落の300年後を見据えたソーシャルグッドなお米事業
株式会社ギンザのサヱグサ
環境大臣賞 地域コミュニティ部門
誰でも参加できる自然エネルギー「相乗りくん」
NPO法人上田市民エネルギー
環境大臣賞 優秀賞
お寺の「おそなえ」を「おさがり」として困窮家庭に「おすそわけ」
特定非営利活動法人 おてらおやつクラブ
環境大臣賞 優秀賞
ミツバチと農福連携が生み出す「お花畑プロジェクト」~耕作放棄地に蜜源と景観植物を~
八米
環境大臣賞 優秀賞
有機栽培カモミール畑が広がる日本初ビオホテルの「オーガニック・ウェルネス・リトリート」
株式会社相互 八寿恵荘
環境大臣賞 最優秀賞
ごみをごみで無くす「ゼロ・ウェイスト」
特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー
Award Ceremony
表彰式
イベントの最後を締めくくるのは、表彰式です。
まず、実行委員会特別賞に選出された27取組の表彰です。遠隔地の受賞者も多かったのですが、会場には23取組の代表者が集結しました。
実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞
ジュースパックのゴミがポップな商品に
NPO法人LOOB JAPAN
実行委員会特別賞 サステナブルデザイン賞
いつでも、どこでも、誰でも取り組める省エネ・節電で、CO2排出ゼロを目指しませんか?
NPO法人 市民省エネ・節電所ネットワーク
実行委員会特別賞 子どもと親子のエコ未来賞
高校生から地域を変える~油系女子の活動~
西条高等学校「油系女子」
実行委員会特別賞 子どもと親子のエコ未来賞
みらいの子どもたちに伝えよう 体験・発見 サーカスエコロジカル
サーカスエコロジカル TEAM パフォーマンスラボ
実行委員会特別賞 子どもと親子のエコ未来賞
育て!未来の帯広を担う子どもたち!~地域みんなで、もっと深く、環境について学べる街へ~
北海道 帯広市 環境にやさしい活動実践校
実行委員会特別賞 エシカル賞
ソーラーシェアリングを活用した『自然エネルギーと有機農業の融合による地域再生』
市民エネルギーちば合同会社
実行委員会特別賞 エシカル賞
廃棄ウニのリサイクルで循環型農業~SDGs持続可能な発展へ~
鹿児島県立 鶴翔高等学校
実行委員会特別賞 エシカル賞
未利用資源の有効活用で地球に優しい卵を生産。環境保全に努め循環型農業で地域活性化
自然養鶏場 お多福たまご
実行委員会特別賞 環境と福祉賞
古着deワクチン
日本リユースシステム株式会社
実行委員会特別賞 環境と福祉賞
舟橋村 園むすびプロジェクト
舟橋村 園むすびプロジェクト(金岡造園・柴崎造園・福田園 建設共同企業体)
実行委員会特別賞 環境と福祉賞
新しい食品循環で食品ロス削減
一般社団法人中央ライフ・サポートセンター(CLSC)
実行委員会特別賞 環境地域ブランディング賞
楽しくたくましく、レスキューでつなぐ循環社会
株式会社 ReBuilding Center JAPAN
実行委員会特別賞 環境地域ブランディング賞
島らっきょうプロジェクト ~被災地復興支援~
島らっきょうプロジェクト
実行委員会特別賞 環境地域ブランディング賞
日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」が走る! 地域資源虎斑竹と共に100年
株式会社 山岸竹材店
実行委員会特別賞 森里川海賞
環境保護と健康のために役立つ「オーガニック・ヴィーガンレストラン」開拓お店紹介
室谷真由美
実行委員会特別賞 森里川海賞
<耕さない田んぼ>に生きものが集い、人が集う。子どもも大人も自ら生きる力を学び合う「野育園」
たそがれ野育園運営協議会
実行委員会特別賞 環境社会イノベーション賞
ペットボトルで創出する持続的なモルディブ農業
有限会社 上野園芸
実行委員会特別賞 環境アート & デザイン賞
「竹紙」で次のソーシャルグッドを生み出すプロジェクト「MEETS TAKEGAMI」の取組
中越パルプ工業株式会社
実行委員会特別賞 環境アート & デザイン賞
企業と高校生で守る「高尾の森」の取り組み
KDDI株式会社、高尾グリーン倶楽部、東京都立工芸高校
実行委員会特別賞 環境アート & デザイン賞
東京造形大学社会連携プロジェクト—ものづくり環境教育ワークショップ活動—
東京造形大学
実行委員会特別賞 サステナブル・ビジネス賞
琵琶湖の源流発SDGs 東近江ムラサキ紫縁(しえん)プロジェクト
株式会社みんなの奥永源寺
実行委員会特別賞 サステナブル・ビジネス賞
「選択してもエシカル」「選択しなくてもエシカル」、多様なエシカル製品の供給をめざして。
株式会社 山櫻
実行委員会特別賞 サステナブル・ビジネス賞
さかな100%プロジェクト
株式会社くらコーポレーション
続いて『環境大臣賞』受賞取組の表彰が行われました。プレゼンターは、環境省の森本英香事務次官です。環境大臣賞部門賞受賞者には表彰状が、そして優秀賞、最優秀賞の受賞者には表彰状とグッドライフアワードオリジナルの木製楯が贈られました。今回の木製楯は、昨年のグッドライフアワード環境大臣賞優秀賞を受賞した「東京チェンソーズ」が、東京の森の間伐材で製作したものです。
環境大臣賞 NPO・任意団体部門
地球生態系のためのごみ減量システム「グリーンシステム」
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
環境大臣賞 自治体部門
官民出資の自治体新電力で再生可能エネルギーを地産地消
ローカルエナジー株式会社 鳥取県米子市
環境大臣賞 企業部門
建設・運送会社が里山再生に挑戦する「100年の森づくり」
田中産業株式会社
環境大臣賞 企業部門
食品ロスを削減する社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム「KURADASHI.jp」
グラウクス株式会社 住友商事株式会社
環境大臣賞 企業部門
小さな集落の300年後を見据えたソーシャルグッドなお米事業
株式会社ギンザのサヱグサ
環境大臣賞 地域コミュニティ部門
誰でも参加できる自然エネルギー「相乗りくん」
NPO法人上田市民エネルギー
環境大臣賞 優秀賞
お寺の「おそなえ」を「おさがり」として困窮家庭に「おすそわけ」
特定非営利活動法人 おてらおやつクラブ
環境大臣賞 優秀賞
ミツバチと農福連携が生み出す「お花畑プロジェクト」~耕作放棄地に蜜源と景観植物を~
八米
環境大臣賞 優秀賞
有機栽培カモミール畑が広がる日本初ビオホテルの「オーガニック・ウェルネス・リトリート」
株式会社相互 八寿恵荘
環境大臣賞 最優秀賞
ごみをごみで無くす「ゼロ・ウェイスト」
特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー
Closing
閉会式
閉会に当たり、益田文和実行委員長が壇上で挨拶を行いました。

益田文和実行委員長
第1回から実行委員を務め、昨年の第5回から実行委員長となった益田氏は「今回も素晴らしい取組ばかりで、日本にグッドライフが広がっている手応えがあります。とはいえ、日本がよくなる一方で、負担を強いる国や人たちがいてはいけない。これからは、ますます世界に目を向けて、地球全体にグッドライフが広がっていくことを願っている」という趣旨の言葉で、今回のイベントを締めくくってくれました。
Social Gathering
懇親会
カンファレンス&表彰式の終了後は、受賞者のみなさんが集まる懇親会が開催されました。
グッドライフアワードは、優れた取組を表彰するだけではなく、受賞取組の関係者のみなさん、そしてグッドライフな取組に関心を抱く方々の輪を広げていくことを目指しています。懇親会会場では、受賞者同士、また実行委員やカンファレンスに登壇したゲストイノベーターの方々と笑顔で言葉を交わし、名刺交換などが行われました。こうした機会を契機として、受賞者同士のコラボレーションや、さらに新たな取組のアイデアが生まれることを期待しています。
ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。次回もたくさんのエントリーをお待ちしています!