我が国の環境インフラの海外展開については、気候変動等の地球規模課題の深刻化、国際秩序の不安定化、グローバルサウス諸国の台頭といった構造変化を背景に、インフラ分野全体で官民連携による国際展開の強化が必要となっています。「インフラシステム海外展開戦略2030」(令和6年12月24日 経協インフラ戦略会議決定)では、こうした情勢の変化を踏まえつつ、相手国との共創を通じて我が国企業の「稼ぐ力」向上や国際競争力の強化を目指す方向性が掲げられています。これを受け、2025年8月には「環境インフラ海外展開基本戦略(令和7年版)」を策定し、[1]制度的基盤構築[2]国際環境インフラ市場の形成[3]互恵的パートナーシップの強化の三つの戦略の柱を通じて世界の脱炭素・環境改善への貢献と我が国の環境産業の持続的成長を目指す新たなビジョンを提示しました。
2021年6月には、二国間クレジット制度(JCM)を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進するため、「脱炭素インフライニシアティブ」を策定しました(資金の多様化による加速化を通じて、官民連携で事業規模最大1兆円程度)。2025年2月に改定された「地球温暖化対策計画」では、JCMについて、「官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度、2040年度までの累積で、2億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする」ことが定められています。さらに、環境インフラの海外展開を積極的に取り組む民間企業等の活動を後押しする枠組みとして、2020年9月に環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)を立ち上げました。本プラットフォームには659の団体(2026年3月時点)が会員として参加しています。JPRSIでは、セミナー・メールマガジン等を通じた現地情報へのアクセス支援、日本企業が有する環境技術等の会員情報の海外発信、タスクフォース・相談窓口の運営等を通じた個別案件形成・受注獲得支援を行いました。また、2021年度から2025年度まで、再エネ水素の国際的なサプライチェーン構築を促進するため、再エネが豊富な第三国と協力し、再エネ由来水素の製造、島嶼(しょ)国等への輸送・利活用の実証事業を実施しました。また、2023年度には、これまでJCMを通じた事業化の実績のない先進的な技術導入を目的とした実証事業を新たに開始しました。
脱炭素社会に向けて効果的な技術・政策を定量的に検討するために、国立環境研究所等が開発した、GHG排出量の予測や対策、影響を評価するための統合評価モデル「アジア太平洋統合評価モデル(AIM)」を用いたシナリオ作成支援や人材育成を行いました。2025年度は昨年度に引き続きラオス及びバングラデシュにおける次期NDC(国が決定する貢献)の策定支援を行い、脱炭素社会構築に向けた政策支援を行いました。また、「アジアでの透明性支援イニシアティブ(SITA)」を立ち上げ、隔年透明性報告書(BTR)作成や国家インベントリ構築に関するアジアへの支援を行いました。
また、気候変動適応及び損失と損害に対する支援として、COP27で「気候変動の悪影響に伴う損失と損害支援パッケージ」を公表しています。環境省は、2023年6月に早期警戒システム(EWS)導入促進に係る国際貢献に関する官民連携協議会を設置しました。2026年2月時点で60社以上のスタートアップを含む民間企業の参画を得ており、アジア太平洋地域における日本のEWS導入に取り組んでいます。
さらに、環境省では、「脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障の同時実現」及び「多様な道筋によるネット・ゼロ実現」との「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)原則の下でAZECの取組に貢献しています。具体的には、2024年10月にラオス・ビエンチャンで開催された第2回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合において採択された「今後10年のためのアクションプラン」に基づき、[1]我が国の算定報告公表制度の実績を活かしたサプライチェーン全体のGHG排出量の可視化に向けたルール形成の支援、[2]脱炭素が評価される市場の創出に向けた、二国間クレジット制度(JCM)を基盤とした質の高い炭素市場の推進、[3]レゴックナンカ廃棄物発電事業等の廃棄物発電プロジェクトを推進しています。
国際協力機構(JICA)を通じた研修員の受入れ、専門家の派遣、技術協力プロジェクト等、我が国の技術・知識・経験を活かし、開発途上国の人材育成や、課題解決能力の向上を図りました。
例えば、課題別研修「パリ協定下の「国が決定する貢献」前進に向けた能力強化」等、地球環境保全に資する講義等の協力を行いました。
地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。
(ア)国連や国際機関を通じた取組
○ 地球環境問題の対処における相乗効果(シナジー)拡大・SDGsの統合的達成等に向けた取組
我が国は、地球環境問題の対処におけるシナジー拡大に関する国際議論や実施促進において世界をリードしています。2024年3月の第6回国連環境総会(UNEA6)において我が国は、「シナジー・協力・連携の国際環境条約及び他の関連環境文書の国内実施における促進に関する決議」(以下UNEA6シナジー決議)を提案し、採択されました。同決議に基づきUNEPが実施した能力開発ワークショップや優良事例集の作成・公表の支援等を通じ、各国の多国間環境条約の実施における相乗効果の促進に貢献しました。また、COP30等でのイベント開催や関係国との会談の機会等を通じ、シナジー拡大の重要性や我が国による関連する取組を国際社会に発信しました。
さらに、我が国は、2025年8月に開催された「第6回アジア太平洋地域大臣及び環境当局フォーラム」においてUNEA6シナジー決議の後継決議の構想を発表しました。その後、我が国とパナマとの共同提案として、UNEPに後継決議である「シナジー・協力・連携の国際環境条約及び他の関連環境文書の国内実施における促進」を提出し、同年12月に開催されたUNEA7で採択されました(以下「UNEA7シナジー決議」(UNEP/EA.7/Res.5)という。)。
また、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施状況を世界的にレビューする場として毎年閣僚級で開催されている持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)が、2025年7月に開催されました。同フォーラムにおいて我が国は、SDGs達成に向け日本が先頭に立ってシナジーの重要性を世界に発信していくこと、及び、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)やアジア開発銀行(ADB)、国連環境計画(UNEP)、地球環境戦略研究機関(IGES)等と連携し、アジア太平洋地域各国のシナジー促進に関する優良事例を「アジア太平洋シナジーレポート」(後述)として取りまとめ、2026年のHLPF等の場で世界に発信していく考えを表明しました。
事例:第7回国連環境総会(UNEA7)で採択されたシナジー決議について
UNEA7シナジー決議は、2023年のUNEA6で日本が提案し採択されたUNEA6シナジー決議の内容を踏まえつつ、様々な主体との協力を通じて、国レベルや地方レベルでシナジーを実現するための取組を更に進めるよう、加盟国、国連地域経済社会委員会などの地域協力機関やUNEP事務局長に対して働きかけるものです。この決議の実施を通じて、グローバルからローカルまであらゆるレベルで、多様なステークホルダーが連携し、シナジーを発揮しながら地球規模課題に取り組むことが期待されています。また、こうした取組が、SDGsの達成を後押しすることにつながります。
事例:アジア太平洋シナジーレポート シナジーの現場実装に向けて
世界人口の60%以上が暮らすアジア太平洋地域では、2030年までのSDGsの達成が危ぶまれ、特に環境関連の目標で大きな遅れが見られます。この厳しい状況に対処するためには、アジア太平洋地域の自然的・社会的条件を踏まえつつ、気候変動・生物多様性の損失・汚染という「3つの世界的危機」に対する取組間のシナジーを高めていかなければなりません。このシナジーの概念を、多様な主体が現場に落とし込み、行動に移していくには、モデルとなる事例が必要です。環境省は、ESCAP、ADB、UNEP、IGES等と連携し、優良事例とそこからの学びを取りまとめた「アジア太平洋シナジーレポート」の作成を進めています。
本レポートでは、アジア太平洋地域で実際に進められている、気候変動対策と健康改善を同時に進める取組や、自然再生と食料・水資源管理を一体的に行う仕組みの構築、資源循環による汚染防止、都市計画の統合による複数課題の同時解決といった、シナジー型の実践事例を整理する予定です。これらの経験から、各国が政策や投資をより分野横断的に進めるために必要なポイントを抽出し、地域として共有すべき方向性をまとめることとしています。今後、本レポートで示したシナジー促進のための行動を、国連アジア太平洋経済社会委員会の閣僚級会合の閣僚宣言や、次期4か年の地域行動計画に反映させ、各国でのシナジーの発揮に向けた地域の指針とすることを目指しています。
○ UNEPにおける取組
我が国は、UNEPの環境基金に対して継続的に資金を拠出するとともに、我が国の環境分野での多くの経験と豊富な知見を活かし、多大な貢献を行っています。2025年10月にはUNEPアンダーセン事務局長が来日し、我が国とUNEPが定期的に開催している日・UNEP政策対話を開催し、日本とUNEPの協力や幅広い環境問題について意見交換を行いました。また、大阪に事務所を置くUNEP国際環境技術センター(UNEP/IETC)に対しても、継続的に財政的な支援を実施するとともに、UNEP/IETC及び国内外の様々なステークホルダーと連携するために設置されたコラボレーティングセンターが実施する開発途上国等への環境上適正な技術の移転に関する支援、環境保全技術に関する情報の収集・整備・発信、廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップ等への協力を行いました。さらに、関係府市等と協力して、同センターの円滑な業務の遂行を支援しました。また、UNEP/IETCは、2019年度から民間企業の協力も得て、持続可能な社会を目指す新たな取組である「UNEPサステナビリティアクション」の展開を開始しており、環境省としても支援しています。
UNEPが気候変動適応の知見共有を図るために構築した、アジア太平洋地域の適応ネットワークであるAPANへの拠出金等により、脆(ぜい)弱性削減に向けたパートナーシップの強化、能力強化活動を支援しました。UNEPは、その活動の一環として、2025年10月に、アジア太平洋地域で最大規模の適応関連の国際会議であるアジア太平洋気候変動適応フォーラム(APANフォーラム)をタイ・バンコクで開催しました。9回目となった今次フォーラムでは、「変革的適応」をテーマに、政府、国際機関、研究機関、NGO、民間企業等の多様な関係者700名以上が、それぞれの知見や経験を基に議論しました。
○ 経済協力開発機構(OECD)における取組
OECDは経済・社会分野において、調査、分析や政策提言を行う「世界最大のシンクタンク」であり、環境分野においても質の高いスタンダードを形成し、先進的課題のルールづくりを先取りしています。我が国は、2010年より環境政策委員会のビューローを務めており、同委員会や関連作業部会の活動に積極的に参加しています。OECD加盟60周年にあたる2024年の5月に開催されたOECD閣僚理事会では議長国を務め、岸田文雄内閣総理大臣(当時)が議長国基調演説を行い、議論を主導するなど、いわゆる「環境外交」における我が国の国際的なプレゼンスにも貢献しています。また、2024年には、環境政策委員会の下で我が国の環境政策の取組状況に対する4度目の環境保全成果レビューが進められ、同年12月の環境保全成果作業部会におけるOECD加盟各国による審査を経て、審査結果が承認され、その報告書が、2025年3月にOECDより公表されました。報告書では、気候変動、生物多様性、資源循環等の政策の状況について幅広く分析・提言がなされ、また、我が国の地域脱炭素の取組について評価を得ました。
さらに、相互に関係する気候変動、生物多様性の損失及び汚染の課題に相乗効果を発揮し、対処する上での都市の持つ可能性をテーマにしたバーチャルパビリオンをOECDが主催し、我が国が支援しました。また、2025年11月26日にOECDが公表した「OECD環境アウトルック」に対して、内容面及び資金面の双方で貢献した結果、我が国におけるシナジー促進に関する経験等が盛り込まれました。同アウトルックでは、政策分野間における重要な相乗効果とトレードオフを明らかにするとともに、より一貫性のある分野横断的な行動に向けた実践的な手段を提案しつつ、各国政府に政策の整合性を強化し、より効果的な環境戦略を実現するための、明確で実行可能なロードマップを提供しました。
○ 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)における取組
我が国は、IRENAの諸活動に積極的に参加しており、設立当初から2019年まで連続して理事国を務めた後、21年から23年及び26年にも理事国を務めています。具体的には、IRENAに対して分担金及び任意拠出金を拠出するとともに、特に島嶼(しょ)国における再生可能エネルギー普及の観点から、2026年2月には、IRENA及びGCFとの共催により小島嶼(しょ)開発途上国(SIDS)における脱炭素・環境フォーラムをパラオで開催しました。
○ アジア開発銀行(ADB)及び欧州復興開発銀行(EBRD)における取組
我が国では、ADBと2014年6月に環境協力に関する覚書(LOI)に署名しており、毎年、環境政策対話を実施しているほか、JCM日本基金(JFJCM)に拠出を行い、ADBと連携して二国間クレジット制度(JCM)の案件形成や適応・廃棄物分野における連携強化を進めています。また、2026年3月に、EBRDとの間で設立されたJCMに関する基金への拠出を行い、気候変動等における協力関係を強化するための取組に着手しました。
○ アフリカ開発会議(TICAD)における取組
2025年8月に第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が横浜市において開催されました。成果文書である「TICAD9横浜宣言」において、アフリカのきれいな街プラットフォーム(ACCP)の下で新たに設置された基金を通じたものを含む効果的な廃棄物管理に関して、その実施についての緊急性が記載されました。環境省は、ACCP第4回全体会合、廃棄物管理のための事業形成促進ファンド設立、気候に対して強靭(じん)で脱炭素なアフリカに向けたパートナーシップに関するセミナー、アフリカ・クリーン・エア・プログラム(ACAP)に係るイベントやブース展示を行うとともに、国際機関やアフリカ諸国とのバイ会談を通じて環境課題や今後の協力について意見交換を行いました。また、アフリカ開発銀行(AfDB)との間での環境保全分野等における協力に関する覚書(SOI)の署名を行いました。
(イ)アジア太平洋地域における取組
○ 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)
2025年9月に第26回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM26)が中国・煙台において開催されました。TEMM26では、日中韓三カ国の大臣により「環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画(2026-2030年)」及び共同コミュニケが採択されるとともに、各国とのバイ会談を通じて環境課題について意見交換を行い、こうした課題に協力して取り組んでいくことを確認しました。
○ 日ASEAN環境気候変動閣僚級対話(AJMDEC)
2025年9月、マレーシアにおいて、第3回日ASEAN環境気候変動閣僚級対話が開催されました。本対話では、共同声明が採択され、日ASEAN環境気候変動閣僚級対話(AJMDEC)を今後は継続的に開催とすることが確認されました。また、2023年に気候変動・汚染・生物多様性損失という三つの危機に対処していくために取りまとめられた「日ASEAN気候環境戦略プログラム(SPACE)」を改訂し、日ASEANの環境気候変動分野における協力を更に深めていくことが合意されました。SPACEに基づく主要な協力として、特に、気候変動の透明性については、我が国が設立した透明性パートナーシップ(PaSTI)に基づき、ASEAN加盟国における企業等の温室効果ガス排出量の透明性向上の制度構築に向けた技術的助言や、透明性向上に係るインセンティブに関する調査や発信等を実施しました。過年度から引き続きベトナムやフィリピンに対して制度構築支援を実施するとともに、2025年度からマレーシアと新たな協力を開始し、日本の知見の共有や、制度構築支援を実施しました。
汚染については、2025年9月に行われた日ASEAN環境気候変動閣僚級対話において、2023年に合意した「電気・電子機器廃棄物(e-waste)及び重要鉱物に関する日ASEAN資源循環パートナーシップ」(ARCPEC)の対象範囲を拡充し、新たにバッテリーを含む使用済自動車(ELV)を支援対象とする、「電気・電子機器廃棄物(e-waste)、使用済自動車(ELV)及び重要鉱物に関する資源循環パートナーシップ(ARCPEEC)」に合意いたしました。
また、第2回グローバル・ストックテイク(GST)に向け、ASEANと日本でネット・ゼロと経済成長の同時実現に向けたレポートの作成と発信を目指して、COP30において閣僚級でキックオフイベントを実施しました。
また、海洋プラスチックごみに関しては、上述のSPACEにおいて採択した「プラスチック汚染に関する日ASEAN協力アクション・アジェンダ」の下、2019年に東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)内に設立された海洋プラスチックごみ地域ナレッジ・センター(RKC-MPD)を通じた情報発信・政策提言や、ASEAN諸国の行政官・研究者を対象とする、環境中プラスチックの採取・分析等モニタリングの技術移転や関連する施策情報の共有を目的とする訪日研修を実施しました(同研修は2016年から継続)。
○ アジア太平洋シナジーレポートについて
気候変動、生物多様性の損失及び汚染という地球が直面する三つの世界的危機に対処しSDGsの達成に貢献するためには、取組間のシナジーを発揮させ、それぞれの地域の自然的社会的条件に応じたアプローチが重要です。この考え方を現場実装するため、我が国は、ESCAP、ADB、UNEP等と連携し、「アジア太平洋シナジーレポート」の作成作業を進めています。2025年2月に開催された「第12回持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)」にて作成、公表に向けた構想を発表し、取組を始動しました。同年7月にはマニラで第1回専門家会合を開催、2026年2月の第13回APFSDでは関連イベント、第2回専門家会合も開催し、レポートの内容の取りまとめを行いました。
(ウ)アジア太平洋地域における分野別の協力
気候変動については第1章第1節8、資源循環・3Rについては第3章第6節2、汚水処理については第3章第6節3、水分野については第4章第2節6、大気については第4章第5節5を参照。
(ア)先進国との連携
○ 米国
2022年9月、西村明宏環境大臣(当時)とマイケル・リーガン米国環境保護庁長官(当時)は、日米環境政策対話を行い、日米共通の重要課題である気候変動と脱炭素、海洋ごみと循環経済、化学物質管理、環境教育と若者の分野における日米の協力強化や連携について、意見交換を行い、本対話の成果として「日米環境政策対話共同声明」を発表しました。2025年10月、青山繁晴環境副大臣は、G7エネルギー・環境大臣会合に出席のため訪問したカナダで、リー・ゼルディン環境保護庁長官と会談し、環境分野における意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認しました(写真6-4-1)。2026年3月、石原宏高環境大臣は、リー・ゼルディン環境保護庁長官と会談し、重要鉱物リサイクルでの連携をはじめ、日米における環境協力について意見交換を行うとともに、気候変動対策の重要性についての我が国の考え方を説明しました。

2025年7月に開催された日米豪印(Quad)外相会合において、「日米豪印重要鉱物イニシアティブ」を通じた、重要鉱物のサプライチェーンの確保と多様化、電気・電子機器廃棄物(e-waste)に含まれる重要鉱物の回収と再加工などに関する協力強化に合意しました。また、本イニシアティブ設立に続き、環境省及び米国国務省は、大阪・関西万博米国パビリオンにて「ASEANのサプライチェーンにおける重要鉱物/e-wasteリサイクルに関する日米共同セミナー」を共催しました。
○ EU
2021年5月に開催された、第27回日EU定期首脳協議にて立ち上げられた「日EUグリーン・アライアンス」の下、日EUで、環境・気候変動分野における協力を進めています。2025年5月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)は、ベルギーでウォプケ・フックストラ欧州委員と面会し、日EU間の気候分野での連携について意見交換を行いました。2025年6月、第20回日EU環境高級事務レベル会合をベルギーで実施し、生物多様性、循環経済等の重要課題について対話を行い、環境協力の強化の必要性等を確認しました。また、2025年9月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)は、環境・強靭(じん)な水資源・競争力のある循環経済担当のジェシカ・ロズウォール欧州委員と会談し、環境分野における意見交換を行い、今後も緊密に連携していくことを確認しました。そして、同会談にて、日EUグリーン・アライアンスの更なる推進に向け、「日EU循環経済に関するワーキンググループ」を正式に立ち上げ、同日、実務者による1回目のワーキンググループを開催しました。本ワーキンググループを通じて、日EUの実務者間での対話を継続して行っており、使用済自動車規則案、廃棄物輸送規則、容器包装・容器包装廃棄物規則等について議論を行いました。2025年11月石原宏高環境大臣は、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30の出席の際に、ウォプケ・フックストラ欧州委員とバイ会談を行い、気候変動分野での連携の重要性を確認しました。2026年3月、第3回日EU気候高級事務レベル会合をベルギーで実施し、気候変動分野における協力を強化していくことを確認しました。
○ カナダ
2025年10月、青山繁晴環境副大臣は、G7エネルギー・環境大臣会合に出席のため訪問したトロント(加)で、カナダのモリー・ジョンソン環境・気候変動副大臣と会談を行い、気候変動、シナジー推進、プラスチック対策等の重要課題について意見交換しました。
○ ニュージーランド
2025年11月、石原宏高環境大臣は、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30の出席の際に、サイモン・ワッツ気候変動大臣とバイ会談を行い、排出量取引制度等に関して意見交換しました。
○ イギリス
2025年11月、石原宏高環境大臣は、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30の出席の際に、エドワード・ミリバンドエネルギー安全保障・ネットゼロ担当大臣とバイ会談を行い、気候変動等に関して意見交換を行いました。
○ オーストラリア
2025年11月、石原宏高環境大臣は、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30の出席の際に、クリス・ボーウェン気候変動・エネルギー環境大臣とバイ会談を行い、気候変動対策や、取組間のシナジー拡大等に関して意見交換を行いました。
○ 韓国
2025年4月、韓国・ソウルにおいて、第22回日韓環境保護協力合同委員会が開催され、日韓間の環境協力、気候変動、海洋ごみ対策などのグローバルな環境問題に関する協力等の課題について意見交換を行い、これらの分野で日韓両国が緊密に連携していくことを確認しました。また、2025年9月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)は、TEMM26の出席の際に金星煥(キム・ソンファン)環境部長官と会談し、気候変動、ヒアリ対策を含む生物多様性、プラスチック汚染等における意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
(イ)開発途上国との連携
〈アジア〉
○ 中国
環境ビジネス市場に係る情報提供や官公庁との関係構築、中国企業との連携促進等を支援するため、日中友好環境保全センターが設立した国家生態環境科学技術成果実用化総合サービスプラットフォーム(CEETT)を介して、中国における日本企業と中国企業とのビジネスマッチングを進める体制を整備してきました。また、中国政府・関係機関の若手職員を対象に環境及び防災意識の啓発を図ることなどを目的に外務省の「日中植林・植樹国際連帯事業」を活用して、2024年1月下旬から2月上旬及び同年10月下旬から11月上旬にかけて日本に招聘するとともに、中国政府も日本政府・関係機関の若手職員を2024年6月下旬及び2025年10月下旬から11月上旬かけて中国に招聘するなど、日中両国の環境分野業務従事者の若手職員が相互に交流する事業を行っています。2025年9月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)は、TEMM26の出席の際に黄潤秋(ホアンルンチウ)生態環境部長と会談し、気候変動、ヒアリ対策を含む生物多様性、プラスチック汚染等における意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
海洋プラスチックごみについては、2024年10月に第17回日中高級事務レベル海洋協議において合意された、第6回日中海洋ごみ協力専門家対話プラットフォーム会合及び第6回日中海洋ごみワークショップを2025年7月に日本主催で開催しました。両国の行政官及び専門家出席の下、プラスチックの環境中への流出源・経路・分布、海洋ごみのモニタリングに向けた革新的な手法と科学技術、国及び地域における海洋ごみ対策、普及啓発・教育・市民参加の取組等について議論を行い、協力を継続していくことで一致しました。
○ インドネシア
2022年8月に環境林業省との間で環境協力に関する協力覚書に署名し、また、海事・投資調整省との間で、日インドネシア包括環境協力パッケージに合意・署名し、インドネシアが重視する優先課題に関して、脱炭素移行、生物多様性保全、循環経済の同時推進を目指した包括的な協力を進め、官民投資の促進を図っています(具体的な活動内容は、[1]持続可能な廃棄物及び海プラごみ管理、及び、[2]持続可能なマングローブ管理)。2024年4月に環境林業省と開催した技術対話では協力の進捗状況を確認し、今後の進展に向けた協議を行うとともに、2024年8月には協力覚書を更新しました。さらに、気候変動分野の協力として、2024年10月に署名された日・インドネシア間のJCM及びインドネシアの温室効果ガス排出削減認証制度に関する両国環境省間の相互承認取決めに基づき、パリ協定第6条に沿って協力を実施し、新たな事業計画を承認しました。
また、2017年の日尼首脳会談を契機に、環境省、JICA、IFCが共同で西ジャワ州レゴックナンカ廃棄物発電PPP事業の案件形成を支援しています。環境省では制度構築(焼却灰規制等)支援を行い、2023年7月に日本企業を含む国際コンソーシアムが落札者に選定され、2024年6月に西ジャワ州とコンソーシアムとの間で契約署名が行われました。今後、電力購入契約締結、工事着工が期待されています。
○ インド
2018年10月にインド環境・森林・気候変動省と環境分野における包括的な協力覚書への署名が行われ、2023年1月には「日・インド環境ウィーク」が開催されるなど、官民における二国間環境協力を推進しています。インドとの環境分野における協力を継続的に推し進めるため、2025年8月には環境分野における包括的な協力覚書が更新されたほか、二国間クレジット制度(JCM)の構築に関する協力覚書への署名が行われました。
○ モンゴル
2011年にモンゴル自然環境観光省と環境協力に関する協力覚書に署名し、それ以降同覚書を更新してきました。2025年6月にはモンゴル環境・気候変動省と4度目となる同覚書の更新を行うとともに、16回目となる日本・モンゴル環境政策対話を開催し、気候変動対策、大気汚染対策、生物多様性等について議論を行い、各分野における今後の協力の方向性を協議しました。特に、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の観測データの活用については、モンゴルが国連に提出した第2回隔年更新報告書(BUR2)の中で、衛星観測データを用いてCO2排出量を推計しており、その結果は、モンゴルによる報告値と非常に高い精度で一致していたことから、更なる協力としてGOSATを用いた国別排出量推定手法の国際標準化に向けて、引き続き協力していくことで一致しました。
○ フィリピン
2023年12月、フィリピン環境天然資源省と「環境保護分野における協力覚書」に署名し、廃棄物管理から協力範囲を広げ、気候変動やプラスチック汚染、生物多様性といった分野を始めとする包括的な環境協力を進めていくことに合意しました。2025年1月には「第2回日本・フィリピン環境ウィーク」を開催しました。さらに、海洋プラスチックごみについては、モニタリングに関する技術協力として、訪日研修を行いました。加えて、水田から排出されるメタン削減に資する水管理技術とJCMとを組み合わせるための具体的手法(方法論)をフィリピンと共同で開発し、現地でプロジェクトが進められています。2025年11月には、日・フィリピン間の二国間クレジット制度(JCM)の第2回合同委員会を開催し、改訂されたJCMに係る規則及びガイドライン類と同時に、REDD+及び植林・再植林に関するガイドラインが採択されたことに加え、新たに提案されたプロジェクトの事業概要書(Project Idea Note:PIN)や、既存22件のプロジェクトのPIN手続の免除、プロジェクト登録などが決議されました。また、廃棄物分野においては2025年10月には、フィリピン環境天然資源省と開催している廃棄物分野における合同調整委員会(第2回)を実施しました。
○ シンガポール
2014年3月にシンガポール環境庁との間で環境協力に関する同意書を締結して以降、2017年6月にはシンガポール環境水資源省との間で「環境協力に関する協力覚書」に署名しました。2024年9月には同覚書に基づき第8回日本・シンガポール環境政策対話をシンガポールで開催するなど、協力を深めてきました。2025年9月には浅尾慶一郎環境大臣(当時)がグレース・フー・シンガポール天然資源・持続可能性大臣と会談し、緊密に連携していくことを確認しました。
○ タイ
2018年5月にタイ王国天然資源環境省と署名した「環境協力に関する協力覚書」について、2024年7月に協力強化を目的として覚書を更新するとともに、第4回日本・タイ環境政策対話や環境技術・サービスに関する日本・タイのビジネス連携を促進することを目的とした「日本・タイ環境ビジネスマッチングセミナー」を開催しました。また、2022年4月に環境省環境再生・資源循環局とタイ王国工業省工業局(DIW)で署名した産業廃棄物管理に関する協力覚書に基づき、産業廃棄物の適正管理に関する知見の共有等を進めるとともに、2022年8月に環境省環境再生・資源循環局とタイ王国内務省地方自治振興局(DLA)で署名した都市廃棄物管理に関する協力覚書に基づき、一般廃棄物の適正管理に関する知見の共有等を進めたほか、廃棄物管理に係るオンライン研修を実施し、タイ政府のキャパビル向上に貢献しました。さらに、2024年7月の二国間クレジット制度(JCM)に関する協力覚書の更新及び同年9月の第6回合同委員会における新たなガイドライン類等の採択を踏まえ、新規のJCM事業についてはタイ国内制度であるPremium T-VERの下で申請が開始されています。2025年10月には、日・タイJCMの第7回合同委員会を開催し、1事業からのJCMクレジット発行量を決定しました。合同委員会でのクレジット発行量の決定及びタイ政府によるタイ国登録簿に発行されたクレジットの国際移転の承認を受け、日本政府は、同年11月、JCMにおいて初となる、パリ協定第6条に沿ったクレジットである「国際的に移転される緩和成果(internationally transferred mitigation outcomes:ITMOs)」として、日本国JCM 登録簿に日本政府が保有するクレジットを発行しました。さらに、海洋プラスチックごみについては、モニタリングに関する技術協力として、訪日研修を行いました。
○ ベトナム
ベトナム天然資源環境省と2013年12月に「環境分野に関する協力覚書」に署名し、以来同国と緊密な協力関係を築いています。2024年1月にハノイにて第8回日本・ベトナム環境政策対話を開催するとともに、同覚書を再更新しました。また同月には、ベトナムの2050年までのカーボンニュートラル目標の実現のため、2021年11月に両大臣により署名された「2050年までのカーボンニュートラルに向けた気候変動に関する共同協力計画」に基づく第3回合同作業部会を開催し、本共同協力計画に基づく気候変動分野などの協力を議論しました。また、海洋プラスチックごみについては、これまで、2019年度以来、研究者及び政府担当者の人材育成のための研修を行い、2020年度には海洋ごみモニタリングの分野における協力に関する基本合意書に署名していたところですが、同合意書の終期に伴い、協力を更に進展させるため、2023年8月、ベトナム天然資源環境省との間で、海洋ごみの管理等に関する協力に係る基本合意書に署名しました。これも踏まえ、2025年度にも継続して、ベトナム周辺で海洋ごみ共同パイロットモニタリング調査・研究の実施、モニタリングや処理を含む、海洋ごみ(廃棄物)管理に関する人材育成研修の実施、海洋ごみ(廃棄物)管理に関する知見共有を行いました。また、第5回日越政策対話(2018年)において設置が合意された廃棄物管理に関する合同委員会では、ベトナムにおける廃棄物管理や3R、公衆衛生の向上等を目的に、廃棄物処理基準やガイドライン等の制度設計支援、廃棄物発電の案件形成、重点取組自治体への支援等を促進したほか、廃棄物管理に係る研修を実施し、ベトナム政府のキャパビル向上に貢献しました。
○ マレーシア
2025年10月に、クアラルンプールにてマレーシア天然資源・環境持続可能性省とともに、テーマ別セミナー、ビジネスピッチ、ブース展示といった一連のイベントを一体的に開催する「日本・マレーシア環境ウィーク」を開催しました。小林史明環境副大臣(当時)、ダト・ドクター・チン マレーシア天然資源・環境持続可能性省次官、マイムナ クアラルンプール市長らが参加し、両国間の環境分野でのビジネス機会創出に向けた議論が行われました。また、マレーシア天然資源・環境持続可能性省のジョハリ・アブドゥル・ガニ担当大臣と小林史明環境副大臣(当時)との会談を開催し、両国間における環境課題の解決に向けた政策討議を行いました。
○ ラオス
2025年9月、気候変動や公害防止等に関する両国の協力を進めるため、ラオス農業環境省と環境協力に関する覚書の署名を行いました。
○ モルディブ
2025年12月には、日・モルディブ間の二国間クレジット制度(JCM)の第5回合同委員会を開催し、1事業からのJCMクレジット発行量を決定しました。合同委員会でのクレジット発行量の決定及びモルディブ政府によるモルディブ国登録簿に発行されたクレジットの国際移転の承認を受け、日本政府は、同月、JCMにおいて2番目となる、パリ協定に沿ったクレジットである「国際的に移転される緩和成果(internationally transferred mitigation outcomes:ITMOs)」として、日本国JCM 登録簿に日本政府が保有するクレジットを発行しました。
〈中東〉
○ UAE
2022年11月にアラブ首長国連邦気候変動・環境省と署名した「日本国環境省とアラブ首長国連邦気候変動・環境省との間の環境協力に関する協力覚書」に基づき、2023年9月、「日・UAE政策共有会」をオンラインで開催し、循環型経済、グリーンファイナンス、大気環境政策についての取組を紹介するとともに、今後の協力に向け意見交換を行いました。
○ オマーン
2025年5月、気候変動や廃棄物等に関する両国の協力を推し進めるため、オマーン国環境庁と環境協力に関する協力覚書の署名を行いました。
〈ラテンアメリカ〉
○ ブラジル
2024年11月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)は、COP29に出席するため訪問したアゼルバイジャン・バクーで、マリナ・シルヴァ環境気候変動大臣と会談し、環境・気候分野における意見交換を行い、緊密に連携していくことを確認しました。
2025年3月、浅尾慶一郎環境大臣(当時)はシルヴァ環境気候変動大臣と会談を行うとともに、「日本国環境省とブラジル連邦共和国環境気候変動省との間の環境分野の協力覚書」に署名を行いました。
2025年11月には、石原宏高環境大臣がブラジル・ベレンにおいて、「日本国環境省とブラジル連邦共和国環境気候変動省との間の意向表明書」(LOI)に署名を行い、後日シルヴァ環境気候変動大臣も署名を行いました。
〈東ヨーロッパ〉
○ ウクライナ
2022年11月、環境省とウクライナ環境保全天然資源環境省との間で環境保全分野の協力に関する覚書に署名しました。また、環境省はJICAが進めているがれき処理支援に対する協力を行っています。2024年2月、二国間クレジット制度(JCM)の構築に関する協力覚書の署名が行われました。
〈アフリカ〉
○ タンザニア
2025年5月、二国間クレジット制度(JCM)の構築に関する協力覚書の署名が行われました。これに続き、同年9月、第1回合同委員会を開催し、JCMの実施に係る規則及びガイドライン類を採択するとともに、JCMを含む気候変動政策の動向及びパリ協定第6条に関する取組について情報交換を行いました。
〈中央アジア〉
○ カザフスタン
2023年2月に学校法人中央大学はカザフスタンとGOSATの協力覚書に署名し、環境省の支援の下、GOSATを活用した排出量推計に係る協力を実施しています。また、2025年12月に開催された首脳会談の機会を捉え、カザフスタン共和国エコロジー天然資源省と環境協力覚書に署名しました。
○ ウズベキスタン
2022年10月に学校法人中央大学はウズベキスタンとGOSATの協力覚書に署名し、環境省の支援の下、GOSATを活用した排出量推計に係る協力を実施しています。2022年12月に環境省とウズベキスタン共和国国家生態系・環境保護委員会との間で環境保護分野における協力覚書に署名し、2025年1月及び3月に「日・ウズベキスタン政策共有会」を開催し、大気汚染、水質汚染、廃棄物管理、気候変動に関する情報交換を行いました。また、2025年12月に開催された首脳会談の機会を捉え、国家エコロジー気候変動委員会と廃棄物管理を含む環境協力に関する取決めに署名しました。
○ キルギス
2024年7月に学校法人中央大学はキルギスとGOSATの協力覚書に署名し、環境省の支援の下、GOSATを活用した排出量推計に係る協力を実施しています。
○ トルクメニスタン
2025年4月に学校法人中央大学はトルクメニスタンとGOSATの協力覚書に署名し、環境省の支援の下、GOSATを活用した排出量推計に係る協力を実施しています。
海外に向けた情報発信の充実を図るため、英語での報道発表、環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の英語抄訳版等、海外広報資料の作成・配布や環境省ウェブサイト・SNS等を通じた海外広報を行いました。
我が国は政府開発援助(ODA)による開発協力を積極的に行っています。環境問題については、2023年6月に閣議決定した「開発協力大綱」において複雑化・深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導を重点政策の一つとして位置付けるとともに、地球環境の保全は地球の未来に対する我々の責任であると認識し、生物多様性の主流化やプラスチック汚染対策を含む海洋環境・森林・水資源の保護等の自然環境保全の取組を強化していくことが明記されています。また、特に小島嶼(しょ)開発途上国については、気候変動による海面上昇等、地球規模の環境問題への対応に関して、ニーズに即した支援を行っています。
(ア)無償資金協力
居住環境改善(都市の廃棄物処理、上水道整備、地下水開発、洪水対策等)、地球温暖化対策(森林保全、クリーン・エネルギー導入)等の各分野において、無償資金協力を実施しています。
草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を実施しています。
(イ)有償資金協力
下水道整備、大気汚染対策、地球温暖化対策等の各分野において、有償資金協力(円借款・海外投融資)を実施しています。
(ウ)国際機関を通じた協力
我が国は、UNEPの環境基金、UNEP/IETC技術協力信託基金等に対し拠出を行っています。また、我が国が主要拠出国及び出資国となっているUNDP、世界銀行、ADB、EBRD、国連工業開発機関(UNIDO)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これら各種国際機関を通じた協力も重要になっています。
地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国等が地球環境問題に取り組み、環境条約の実施を行うために、無償資金等を提供する多国間基金です。第8次GEF増資期間(2022年7月-2026年6月)の増資規模は53.3億ドルであり、このうち我が国からは総額6.38億ドルの拠出を行っています。我が国はGEFのトップドナーとして、意思決定機関である評議会の場を通じ、GEFの活動・運営に係る決定に積極的に参画しています。
開発途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援する緑の気候基金(GCF)については、初期拠出(2015年-2019年)の15億ドルと第1次増資(2020年-2023年)への15億ドルの拠出に続いて、第2次増資(2024年-2027年)については、2023年10月のハイレベル・プレッジング会合において、我が国から、第1次増資時と円貨で同規模の最大1,650億円の拠出表明を行い、2025年3月までに我が国を含む34か国・1地方政府が総額約105億ドルの拠出を表明しました。また、2025年12月までに134か国における336件の支援案件がGCF理事会で承認されました。我が国は基金への主要ドナー国の一つとして資金面での貢献に加え、GCF理事国として、支援案件の選定を含む基金の運営に積極的に貢献しています。また、我が国は、途上国の要請に基づき技術移転に関する能力開発やニーズの評価を支援する「気候技術センター・ネットワーク(CTCN)」に対して2024年度に約36.5万ドルを拠出し、積極的に貢献しました。加えて、ADBやEBRD、UNIDOと連携し、JCMプロジェクト形成に取り組みました。
脱炭素社会形成に関するノウハウや経験を有する日本の地方公共団体等の協力の下、アジア等各国の都市との間で、都市間連携を活用し、脱炭素社会実現に向けて基盤制度の策定支援や、優れた脱炭素技術の普及支援を実施しました。2025年度は、北海道札幌市、神奈川県横浜市、富山県富山市、静岡県静岡市、京都府亀岡市、大阪府大阪市、大阪府堺市、兵庫県神戸市、島根県海士町、岡山県真庭市、愛媛県、福岡県北九州市、福岡県、鹿児島県大崎町、沖縄県浦添市による25件の取組を支援しました。
独立行政法人環境再生保全機構が運営する地球環境基金では、プラットフォーム助成制度に基づいて、国内の環境NGO・NPOが国内又は開発途上地域において他のNGO・NPO等との横断的な協働・連携の下で実施する環境保全活動に対する支援を行いました。
2025年10月、カナダ・トロントで開催されたG7エネルギー・環境大臣会合では、「循環経済及び資源効率性トロント行動計画」及び「G7水コアリション作業計画」が採択されました。また、官民全てのレベルの関係者が、異常気象に対する予防・予測・準備・レジリエンス構築をすることの必要性等について議論されました。プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた建設的な関与を確認しました。
2025年6月のG7カナナスキス・サミットでは、山火事の発生及び悪影響の軽減において、自然を活用した解決策、早期警戒システムの活用の重要性を確認し、カナナスキス山火事憲章が採択されました。また、重要鉱物のリサイクル、循環経済等に焦点を当てた研究開発の促進の重要性を確認し、G7重要鉱物行動計画が採択されました。
2025年10月に南アフリカ・ケープタウンで開催されたG20環境・気候持続可能性大臣会合では、大気質及び環境に影響を及ぼす犯罪に関する閣僚宣言が採択されました。また、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」(KMGBF)の迅速な実施へのコミットメントや、最大限の野心を反映したNDCをCOP30前又は可能な限り早期に提出すること、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書を策定するための政府間交渉委員会(INC)の交渉妥結に向けて積極的かつ建設的に関与する決意等について議論されました。
さらに2025年11月のG20ヨハネスブルク・サミットにおいて、気候変動については、1.5℃の気温上昇による気候変動の影響は、2℃の気温上昇による影響と比べてはるかに小さいことを強調し、1.5℃目標の達成のための努力を追求する決意を再確認しました。また、生物多様性については、G20各国の、KMGBFへのコミットメントを再確認し、2030年までに森林減少及び森林劣化を止め、反転させるための取組の重要性を強調しました。循環経済については、重要鉱物資源が繁栄と持続可能な開発の原動力となることを確保するための、「G20重要鉱物フレームワーク」を歓迎しました。
なお、宇宙空間のごみ(スペースデブリ)が、新たな国際的な課題となっており、国際社会が協力してスペースデブリ対策に取り組む必要があることから、我が国では、JAXAにおいて、2019年4月から、大型デブリの除去技術獲得及び民間による事業化を目指して、商業デブリ除去実証(CRD2)プロジェクトを進めています。
2022年に開催された国連環境総会において、海洋環境等におけるプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC:Intergovernmental Negotiating Committee)を立ち上げる決議が採択されて以降、国連では2022年から条約の策定に向けた交渉(INC)が開始されました。2024年までに5回の交渉会合が行われ、2025年8月には、スイスで6回目の交渉会合(INC5.2)が開催されましたが、各国で意見の隔たりが大きく、合意に至らず、交渉は継続されることになりました。我が国は、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の提唱国として、プラスチックの大量消費国・排出国を含む多くの国が参画する実効的かつ進歩的な条約を目指し、早期の交渉妥結に向け、引き続き積極的に議論に貢献していきます。
また、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に基づき報告された国・機関等の海洋プラスチックごみ対策を、2025年のG20議長国であった南アフリカが我が国支援の下、「第7次G20海洋プラスチックごみ対策報告書」として取りまとめました。第7次報告書では、23か国と9の国際機関・NGOの優良事例や課題が共有されました。
パリ協定第6条(市場メカニズム)の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガスが更に削減されるとともに、経済成長にも寄与することが期待されている一方、パリ協定第6条を実施するための体制整備や知見の共有等が課題とされています。国際的な連携の下、6条ルールの理解促進や研修の実施等、各国の能力構築を支援するため、我が国は、2022年11月、COP27において「パリ協定6条実施パートナーシップ」(2025年12月時点において90か国、321機関が参加)を立ち上げ、各国の第6条実施に向けた支援を実施しています。今後も我が国が率先して、パートナーシップ参加国、国際機関等と連携しつつ、各国の第6条実施に向けた支援を加速し、パリ協定6条に沿った市場メカニズムを世界的に拡大し、世界の温室効果ガスの更なる削減に貢献していきます。
ASEAN加盟国とは、2023年に気候変動・汚染・生物多様性損失という三つの危機に対処していくために取りまとめられた「日ASEAN気候環境戦略プログラム(SPACE)」を通じて協力を推進しています。2025年9月、マレーシアにおいて開催された第3回日ASEAN環境気候変動閣僚級対話ではSPACEを改訂し、日ASEANの環境気候変動分野における協力を更に深めていくことが合意されました。