タカネヒカゲ八ヶ岳亜種

タカネヒカゲ八ヶ岳亜種

1.概要

(1)分類

  • チョウ目鱗翅目(りんしもく)タテハチョウ科 ジャノメチョウ亜科

  • タカネヒカゲ八ヶ岳(やつがたけ)亜種
    学名 Oeneis norna sugitanii
    絶滅危惧ⅠA類(CR)(環境省レッドリスト2020)

()分布及び個体数

  • 「タカネヒカゲ」は北アルプスと八ヶ岳に生息し、それぞれ別亜種とされ、本亜種は本州の八ヶ岳の高山帯のごく限られた地域のハイマツ帯や風衝ふうしょう等に生息する。
    総数については不明。


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    2.形態的特徴及び生物学的特性

    幼虫の食草はヌイオスゲ(カヤツリグサ科)などで、食草の根元や石の下などで越冬する。幼虫で2~3年間を過ごすことが知られている。
 成虫は小型(体長約40mm)。はねの表側は暗褐色で、裏側には特徴的なまだら模様がある。なお、はねの色は、北アルプス亜種と比べ暗めである。
 成虫の発生数には年によって変動が見られる。
 成虫は好天時に飛翔がみられ、コバノコゴメグサ(ハマウツボ科)、シラネニンジン(セリ科)等の高山植物で吸蜜(きゅうみつ)する。
 成虫は、高山の強風下でも飛ばされないよう、または日光浴のため、身体を横に傾ける行動が見られる。
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  • 3.生息を脅かす要因

 ニホンジカの食害による生息地の攪乱(かくらん)(きゅう)蜜源(みつげん)の減少、気候変動による生息地の標高及び植生の変化、違法捕獲等。
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  • 4.保護増殖事業の概要及びその効果

 令和3年国内希少野生動植物種に指定、令和5年保護増殖事業計画(農林水産省、環境省)策定。
 専門家等と協力して生息状況調査や生息環境調査を実施。また、山小屋や関係機関が連携して違法捕獲等の監視やシカ柵の設置・管理等を実施している。
 北アルプス亜種を用いた飼育下繁殖技術の開発の取組を開始。
 
  • 5.他法令等による保護の状況

 長野県特別指定希少野生動植物
 長野県天然記念物