環境省では、人と自然との共生社会の実現をめざすSATOYAMAイニシアティブの活動の一環として、社会・生態学的生産ランドスケープの維持・再構築に貢献しうる持続可能な自然資源管理の手法例と関連する参考事例について、分類して取りまとめました。
また、本資料は、SATOYAMAイニシアティブのための国際パートナーシップの活動の一つとして提案されている「事例の収集並びに分析及び教訓、技術の情報発信の促進」活動のイメージを紹介するものでもあります。なお、下表に示した手法の分類は断定的なものではなく、今後の調査に基づいて追加、修正されることが想定されます。
〔手法とSATOYAMAイニシアティブの視点等との関係〕
手法例の分類は、特にSATOYAMAイニシアティブの視点との関連性に照らして行いました。(関連の詳細は後述)。
図1 本ページに掲載されている情報の位置づけ
手法例は10個の分類ごとに整理されています。
各分類は、SATOYAMAイニシアティブの「5つの視点」と下記のように関連しています。
表1 手法例一覧
手法例の分類 (手 法) |
5つの視点との関連性(◎:特に関連、○:関連) | |||||
環境容量 ・自然復元力の範囲内での利用 |
自然資源の循環利用 | 地域の伝統 ・文化の評価 |
多様な主体の参加と協働 | 地域社会 ・経済への貢献 |
||
分類 1 |
複合的・複層的土地利用の導入による機能的な資源循環システムの確保に関する手法 [PDF 47KB] (アグロフォレストリー、ホームガーデン、モザイク状の土地利用 等) |
◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
分類 2 |
生物や生態系機能の保全に配慮した農林水産業の導入に関する手法 [PDF 48KB] (パーマカルチャー、有機農業、低投入型農業、生態系配慮型農林業、資源管理型水産業 等) |
◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
分類 3 |
植物を利用した生態系サービスの多面的機能の有効活用に関する手法 [PDF 49KB] (バイオシールド、森林保全型砂防事業 等) |
◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
分類 4 |
伝統文化・技術による地域産業創出・地域活性化に関する手法 [PDF 48KB] (コミュニティビジネス、ハンディクラフト、特産品開発 等) |
◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
分類 5 |
地域の自然資源の復元産力の範囲内で行われるバイオマス利活用に関する手法 [PDF 55KB] (バイオマスエネルギー利用、バイオマスマテリアル利用) |
◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
分類 6 |
森林の共同管理・利用及び参加者への利益分配の仕組みに関する手法 [PDF 47KB] (コミュニティフォレストリー、ソーシャルフォレストリー、住民林業 等) |
◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
分類 7 |
生態系の文化的サービスによる利益の自然資源管理への還元に関する手法 [PDF 48KB] (エコツーリズム、グリーンツーリズム、アグリツーリズム 等) |
◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
分類 8 |
農業者と消費者の関係づくりによる農業活性化と農地保全に関する手法 [PDF 44KB] (CSA、コミュニティ・フードシステム、ボックス・スキーム、地産地消、産消連携 等) |
◎ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
分類 9 |
漁業者や水利用者による上流部の森林の保全・管理に関する手法 [PDF 48KB] (流域圏管理・上下流連携 等) |
◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
分類 10 |
生物多様性に対する企業の社会的責任を自然資源の維持管理へ導入する仕組みに関する手法 [PDF 52KB] (生物多様性オフセット、ミティゲーションバンキング、環境ラベリング、CSR活動と連携した資金調達の仕組み 等) |
◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
本ページでは82個の事例を紹介します(うち日本の事例22、世界の事例60)。
各事例は、手法例の分類と下記のように関連しています。
表2 事例一覧
注:上記の情報は、以下の3つの環境省事業の成果及び環境省の支援で国連大学高等研究所が実施した調査の成果を含んでいます。