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諸外国における自然再生事業事例(ヨーロッパ)


全国生態学的ネットワーク

対象事業名
全国生態学的ネットワーク(National Ecological Network:“EHS”)
事業主体
事業実施年度
1990~2018年
上位計画
2006年国家空間戦略(National Spatial Strategy)
自然再生を行う対象
国土全域の自然環境
上位計画の概要
第5次空間計画政策大綱、第2次緑地構造計画、交通・運輸計画を統合し、限られた国土に求められる空間機能の創出を目的としている。
本事業は元々自然政策計画(1990年)に基づき進められていたが、新たな国家空間戦略に組み込まれた。
再生目標
自然的地域のコアエリア、生態学的開発地(ecological developmental areas)、保護地域(preservation areas)、生態学的連結(ecological connections)、バッファーゾーンから成る生態系と種を守るためのネーチャーリザーブの緊密なシステムを構築することを目標としている。
事業背景
1990年には自然的地域が1900年頃の約半分となり(図1)、また分断化が進んだことにより、多くの野生生物種の地域個体群が絶滅した。このため、地方レベルから国レベルまで包括的な野生生物種の保護ネットワークを構築することによって種の保全を図るとともに、ヨーロッパ全域でのNatura 2000との統合を図る必要があった。
事業実施場所/規模
国立公園、湿地帯、Wadden Sea、生産林や農地等
計画面積728,500ha(海域、河川などを除く)
事業費/資金源
国、州など
事業費は以下の通り(ただし、州や管理機構等の資金は含まれていない)

2005年内訳(x 1000ユーロ)
1.土地取得費 回廊 14,518
新規自然地 59,486
湿地 11,563
2.建設費 回廊 1,360
新規自然地 30,857
湿地 13,281
3.管理費 528,387ha 153,968
Total 285,033

予算(x 1000ユーロ)
  2006年 2009年
土地取得費
及び建設費
196,396 214,019
管理費 161,401 170,743
合計 357,797 384,762
事業内容
 全国生態学的ネットワーク計画では、国土全体を対象としたネットワークの構築に向けて、その構成要素である、「コアエリア」(国内または国際的に重要性をもった生態学的価値を有する地域)、「自然環境改善エリア」(重要な生態的価値を発展させる可能性を提供する地域)、これらのエリアを接続する「エコロジカルコリドー」(種の分散や移動を容易にする回廊)の計画が示されている。
 国土レベル以外にも、州レベルでは保全・再生すべきコアエリアや生態的回廊、動物の移動路がそれぞれで設定されており、さらに州レベルの下に、都市、地区といったレベルでの計画も検討されている。新たな自然地を275,000ha開発する必要があり、1)政府が土地を購入して自然地を開発すること、2)民間の土地所有者が新たな自然地を開発すること、3)農民に農業-環境スキームに入ってもらい、環境に優しい農地管理を行うよう報酬を支払うことにより開発を実施する計画である。
 具体的なコリドーを設けるため、各ハビタット間で許容される最大距離の基準を具体的に示し、事業に役立てている。
参考文献/URL
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