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諸外国における自然再生事業事例(ヨーロッパ)


エルベ川中流域バイオスフィアリザーブにおける氾濫原再生プロジェクト

対象事業名
エルベ川中流域生物圏保護区(バイオスフィアリザーブ)における氾濫原再生プロジェクト:Restoration of River, Backwaters, and Floodplain Forests on the Middle Elbe
事業主体
EU及びザクセン-アンハルト州(Sachsen-Anhalt)
事業実施年度
1979~1997年
上位計画
・ユネスコにより生物圏保護区に指定
・ユネスコにより世界遺産に指定
・欧州自然保護プログラム(Natura 2000)に認定
自然再生を行う対象
・ユネスコによるビーバー保護
・生態系ネットワークの形成
・正常な河川生態系の復元
上位計画の概要
エルベ川の生物圏保存地域の目的は、従来の動植物の多様性や自然生態系を維持すること(生態系の保全)、この地域独特の文化的景観や湿原林などの重要な自然環境を維持すること(資源の保全)、そして、そのために調査研究を行ったり環境教育を推進したりすること(社会的な理解)である。
生物圏保存地域のエリアは[1]自然に任せる核となるゾーン、[2]管理しながら維持する緩衝ゾーン、[3]環境教育やツーリズム等を対象とした開発・発展ゾーンの3つのゾーンからなっている。
再生目標
・河川生態系の復元
・氾濫原の再生
・蛇行河川の復元
・氾濫原林の復元
・三日月湖の再生
事業背景
エルベ川は舟運の航路として利用されており、約800年前から堰の設置や河道の改修工事、航路維持工事等が始まった。そのためドイツ国内で約60kmの河道が直線化され、約80%の自然氾濫原が消失した。工事に伴い、河床低下が生じており、氾濫原や氾濫原林、三日月湖が分断され、よどみやワンドが減少した。過去100年間で約2m河床低下が生じ、洪水が短時間で到達するようになったといわれている。
事業実施場所/規模
事業実施場所:ドイツ連邦共和国、ザクセン-アンハルト(Sachsen-Anhalt)州
規模:エルベ川1,100kmのうち、300km(生物圏保護区は374,432ha)
事業費/資金源
事業費:72万ユーロ
資金源:72万ユーロのうち、EUの環境プログラム(EU-LIFE Project)が63万ユーロを負担(ドイツでは連邦水路及び一級河川については州の負担)。
事業内容
・越流堤による三日月湖の再接続、浚渫による三日月湖の再生、三日月湖再生による河川の蛇行化、試験植樹による湿原林の積極的再生、河川敷に堆積した土砂の埋め戻しによる河床低下の防止等を試みている。
・浚渫土砂による新しい環境(自然池)も創出している。
・引き堤を実施する場所は住民との土地交換や買収が行われている。
・100年確率の洪水を対象に堤防を計画している。
・市街地ということもあり、環境教育やエコツアーなど住民参加が盛んに行われている。

※ 治水対策が大きな目的となっており、合わせて自然再生措置が取られている。
※ エルベ川が舟運の航路として利用されている。
※ ユネスコによる認定(調査研究や環境教育の推進が図られている)。
※ 市街地とその他の土地が明確にゾーニングされており、土地の確保が日本ほど厳しくないようである。
参考文献/URL
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