自然環境・生物多様性
国立公園におけるクマ被害対策
国立公園は、日本を代表する優れた自然の風景地であり、また、国民が自然の恵みを享受し親しむ場でもあります。こうした国立公園において、ヒグマやツキノワグマ(以下、「クマ」という。)は日本の豊かな森林生態系を象徴し、国立公園の価値を構成する不可欠な存在といえます。国立公園の多くがクマの主要な生息地となっている中、特に国立公園の特別保護地区などは、クマの生息を安定的に担保し保護する場所として、極めて重要な位置付けを担う地域です。
一方で、クマの生息地と公園利用者の活動域が重なる地域では、クマによる事故や被害が発生しています。特に、令和7年夏の知床国立公園羅臼岳登山道におけるヒグマによる死亡事故は、社会へ大きな衝撃を与えました。また、クマによる全国の死者数が、令和7年度には過去最多を大幅に更新するなど、国民の安全・安心を脅かす深刻な事態となりました。
このような現状を踏まえ、令和7年11月14日、クマ被害対策等に関する関係閣僚会議において、関係省庁連携による緊急的な対策を含む「クマ被害対策パッケージ」が、令和8年3月27日には、クマ被害対策パッケージに含まれる施策を体系的に実施することで、クマ被害対策の継続的かつ効果的な推進を図るために「クマ被害対策ロードマップ」が決定され、国立公園に関連して「インバウンドを含めた登山客等への多言語による情報発信」や「国立公園におけるクマへの安全対策強化」が位置づけられました。
これまでの国立公園におけるクマ対策は、クマの生息密度やそれに由来する事故等のリスクが国立公園毎に大きく異なることから、一律の指針はなく各現場の判断に委ねられてきましたが、クマの保護と人身事故の防止の両立に向けた対策の推進が求められているなか、被害の未然防止や現場の担当者が緊急時に迅速かつ的確に対応するためには、国立公園としてのクマ管理に対する共通の指針を示し、各公園における実効性のあるマニュアル策定や体制構築を強力に支援していくことが不可欠と考えています。
本ページでは、国立公園におけるクマ被害対策を推進するに当たっての基本となる資料について、紹介します。
1.国立公園におけるクマ被害対策の手引書
本手引書は、国立公園におけるクマの被害対策の基本方針を示し、各国立公園におけるクマの出没防止・問題個体発生時等の対応マニュアルの作成や体制構築の一助になることを目的として作成したものです。
環境省の地方環境局や国立公園の現地事務所の担当者に加え、公園施設等の管理者(関係行政機関等)やクマ対策関係者にも役立てていただき、国立公園全体でクマの被害対策の水準向上を図っていくことを目指しています。
2.国立公園を訪れる皆さまへ
国立公園を安全に利用するためには、クマについて正しく理解し、遭遇を避けるための行動を実践することが重要です。環境省「国立公園に、行ってみよう!」サイトでは、クマの生態や、出会わないための注意点、万が一出会ってしまった場合の行動などを分かりやすく紹介しています。