自然環境・生物多様性

第60次南極地域観測隊同行日記5 ~露岩域について~

第5回:野外調査に行ってきました ~露岩域について~

2019110()

こんにちは。

10日間ほど泊りがけで野外調査に出かけていましたので更新が遅れていましたが、無事昭和基地に戻ってきました。

今回の調査では、ラングホブデとスカーレンという露岩域で、南極特別保護地区の調査や別の観測チームの支援などを行ってきました。

調査の様子は改めてご紹介するとしまして、今回は日本ではあまり聞き馴染みのない「露岩域」についてご紹介します。

雪と氷の大陸というイメージが強い南極大陸ですが、氷床から岩が露出している地点が沿岸や内陸部の限られた地域に存在しています。これを露岩域(又は露岩帯、露岩地域とも)と呼びます。

露岩域には、コケや地衣類など南極に生息・生育する多くの生物が見られ、また、地面が草木に覆われることなく露出しているため、生物や地質等の研究・観測を行うための絶好の地域となります。

<露岩域『スカーレン』 写真奥が南極大陸の氷床、手前は海氷。>

<スカーレン氷瀑 氷床から地面が露出している>

なお、ラングホブデとスカーレンは、ノルウェー語でそれぞれ「長い頭」、「頭蓋骨」という意味の地名です。

昭和基地周辺は、かつてノルウェーが空から調査を行っており、各地にノルウェー語の地名がつけられています。

昭和基地がある東オングル島もノルウェー語の地名で、ノルウェーが領有権を主張している地域にあたりますが、現在は南極条約のもと領有権は凍結されており、各国によって科学観測が行われています。

南極は夏真っ盛りとなり、野外での調査や昭和基地での設営作業は佳境に入りつつあります。次回は、そんな観測隊の活動についてもご紹介していきたいと思います。

<<前へ                                          次へ>>