自然環境・生物多様性

我が国の絶滅危惧種の遺伝資源アクセス状況に関する基礎資料について

1.背景

 平成22年10月に、愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、条約の3つ目の目的である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS:Access and Benefit-Sharing)」に関する名古屋議定書が採択された。一方、これまで環境省では我が国の絶滅のおそれのある野生動植物の種(以下、「絶滅危惧種」という。)等の絶滅のおそれの度合いを的確に把握するための「レッドリスト」及びこれら絶滅危惧種等を広く国民に理解してもらうための「レッドデータブック」を作成するとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下、「種の保存法」という。)において、これら絶滅危惧種等の中で人為の影響等により存続に支障を来す種を国内希少野生動植物種に指定し、個体等の採集・捕獲規制及び譲渡規制、生息地の保護、保護増殖事業計画策定を適宜行うことで、種の保存を図っている。また、これとは別に博物館や動物園・水族館・植物園等の国内各機関が、これら絶滅危惧種の遺伝子サンプル採取の可能性がある標本及び生体等について施設下での保存を図っている状況といえる。

2.概要

 名古屋議定書に関する我が国にふさわしい国内措置の検討に資する基礎資料として、我が国の野生動植物種の中でも特に重要と考えられる絶滅危惧種の遺伝資源アクセス状況の現状把握を目的とし、平成22~24年度に整理した内容2点について以下のとおりである。

(1)種の保存法やその他の法令等でどの程度アクセスが規制されているか

 3,597種の絶滅危惧種(環境省第4次レッドリスト、絶滅危惧II類(VU)以上。)を対象に、平成23年度時点までに整理した各種法令等による規制状況の把握により、どの程度の種が保全・規制を受けているかを分類群毎に整理した。分類群毎の法令規制の大まかなカバー率が把握でき、今後の絶滅危惧種保全に関する基礎資料としての利用にも資する。

資料1-1
我が国の絶滅のおそれのある野生動植物種の法令規制状況一覧(総括表) [PDF 144KB]
資料1-2
我が国の絶滅のおそれのある野生動植物種の法令規制状況一覧(個表) [PDF 1,763KB]

(2)国内希少野生動植物種の標本及び生体等がどの程度国内に存在するか

 種の保存法で指定されている国内希少野生動植物種82種(※)を対象に、国内各機関が有している遺伝子サンプル採取の可能性がある標本及び生体等の保存状況(※)を整理した。今後の国内希少野生動植物種の遺伝資源活用に関する基礎資料としての利用にも資する。
 (※)いずれも平成22年度時点。

資料2
国内希少野生動植物種の遺伝子サンプル採取可能な標本・生体等サンプル数一覧 [PDF 255KB]

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