自然環境・生物多様性
タンチョウ
1.概要
(1)分類
- ツル目 ツル科
- タンチョウ
- 学名 Grus japonensis
- 絶滅危惧Ⅱ類(VU)(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
- 国内では、北海道東部の湿原を中心に分布している。
- クッチャロ湖やサロベツ湿原、十勝川流域などに繁殖分布が拡大する一方で、越冬期はほとんどの個体が釧路地域に集中分布する。
- 約1,650羽(平成30年度、NPOの調査による)
- 世界の総個体数は3,050羽とされ(IUCN Red List,2016)、種の半数以上が北海道東部を中心に生息。
2.形態的特徴及び生物学的特性
- 日本で繁殖する唯一の野生ツル。
- 全長140cm、翼開長240cmに達する日本最大級の鳥類。
- 夏期は湿原に分散して営巣・育雛を行い、冬は里近くへ移動し群れで生活をする。
3.生息を脅かす要因
- 電線衝突や交通事故に加え、スラリータンク(牛の糞尿溜)への落下事故などの要因がある。また、越冬期になると釧路管内の給餌場に9割以上の個体が集中するため、鳥インフルエンザなどの感染症も強く懸念されている。
4.保護増殖事業の概要及びその効果
【昭和27年】阿寒町及び鶴居村にて給餌に成功。
【昭和59年】環境庁が給餌などの保護事業を開始。
【平成 5年】国内希少野生動植物種に指定。保護増殖事業計画(環境省、農林水産省、国土交通省)を策定。
【平成17年】越冬分布調査においてタンチョウが1000羽以上確認された。
【平成19年】タンチョウの給餌に係る実施方針(環境省)を策定。
【平成25年】タンチョウ生息地分散行動計画(環境省)策定。
(現在の取組)
- 冬期の給餌及び分散化のための給餌量の調整
- 生息状況及び生息環境等の調査
- 交通事故等の防止
- 冬期個体数一斉調査