自然環境・生物多様性

オガサワラオオコウモリ

1.概要

(1)分類
  • 翼手目 オオコウモリ科
  • オガサワラオオコウモリ
  • 学名 Pteropus pselaphon
  • 絶滅危惧IA類(CR)(環境省第4次レッドリスト)
(2)分布及び個体数
  • 小笠原諸島
  • 父島内で百数十~二百個体程度と推定。火山列島では生息が確認されているものの個体数は不明。

写真:オガサワラオオコウモリ

2.形態的特徴及び生物学的特性

 小笠原諸島に生息する日本固有種。体長20~25㎝、前腕長13~15㎝、翼を広げると80㎝ほどである。体毛は全身暗褐色で、光沢のある灰白色の毛が混じる。主に植物の果実や花蜜、葉を採食する。一般に夜行性で、日中は樹林内で、単独又は群れで木にぶら下がって休息する。繁殖は冬期間(12月~3月頃)に集団ねぐらを形成し、初夏に1回1頭の仔を産む。

3.生息を脅かす要因

  • ねぐら周辺域の開発、外来植物侵入拡大による在来森林植生の減少、ネズミ類との餌資源の競合、農作物被害防止のための防鳥ネットによる絡まり事故、ノネコによる捕食被害、ねぐらの人為的攪乱等が懸念されている。
  • 果樹など農作物や園芸作物を食する害獣とされていることや、ねぐら観察が夜の観光資源として扱われていること等、利害関係者の調整が特に難しい種である。

4.保護増殖事業の概要及びその効果

  • 平成21年に国内希少野生動植物種に指定、平成22年に保護増殖事業計画(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)を策定
  • 繁殖期の生態・生息状況調査、生息環境調査、農作物被害・絡まり事故危険箇所調査を実施(環境省)

5.他法令等による保護の状況

 昭和44年天然記念物に指定

6.参考