自然環境・生物多様性

アホウドリ

1.概要

(1)分類
  • ミズナギドリ目 アホウドリ科
  • アホウドリ
  • 学名 Diomedea albatrus
  • 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
(2)分布及び個体数
  • 大きな繁殖地は伊豆諸島の鳥島と尖閣諸島のみ
  • 1949年の調査で絶滅宣言が出されたが、1951年に約10羽が鳥島で再発見された。
  • 2019-2020年の繁殖期において、鳥島での総個体数は、概ね6,200羽以上まで回復したと推定されている。

写真:アホウドリ

2.形態的特徴及び生物学的特性

  • 成鳥は胴部と翼の基部が白色、頭部は淡黄色。翼の先端部と尾の先端が黒褐色。
  • 成熟個体で全長が84~94cm。
  • 繁殖活動は10月~翌年5月。
  • 5歳頃から繁殖に参加し、巣立った場所に戻ってきて繁殖を行う傾向が強い。

3.減少要因

 1890~1900年代に羽毛採取のため大量に捕獲され、1949年の調査では絶滅した可能性があると報告された。

4.保護の対策

  • 昭和37年特別天然記念物に指定
  • 昭和56年から繁殖成功率を高めるため、植栽や土留工などによる繁殖地の環境改善事業を開始
  • 平成5年、種の保存法に基づく「国内希少野生動植物種」に指定
  • 同年、保護増殖事業計画を策定し、繁殖地の環境整備事業(燕崎)や、新たな繁殖地の形成事業(初寝崎)を行った。
  • 平成13年度から平成28年度まで、米国と共同で人工衛星による行動追跡を行った。
  • 鳥島は活火山であり、噴火による繁殖地の消滅が懸念されるため、平成19年度より小笠原群島聟島で新繁殖地形成事業を開始。平成20~24年に計5回、伊豆諸島鳥島からヒナをヘリコプターで聟島へ70羽移送。山階鳥類研究所の職員が聟島に滞在し、ヒナの人工給餌を実施し、計69羽のヒナが巣立った。
  • 平成24年2月には初めて巣立ったヒナの聟島への帰還が確認され、平成26年5月には初めて帰還した親鳥から生まれたヒナ1羽が媒島で確認された。平成29年3月には媒島から巣立ったヒナの聟島への帰還が初めて確認された。
  • 保全事業を実施するにあたり、平成25年3月国指定鳥島鳥獣保護区の保護に関する指針を策定した。
  • 令和2年度に、尖閣諸島のアホウドリについて、衛星画像を用いた生息状況の試行調査に着手した。

  令和2年度衛星画像を用いた鳥類の生息状況調査手法検討業務(最終報告).pdf
  衛星画像を用いた鳥類の生息状況調査(補足資料)

5.参考