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講演会等

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平成21年度エコツーリズムフォーラム

JATA世界旅行博2009エコツーリズムフォーラム開催記録

◯テーマ:地域の取組から商品の流通へ

「地域のエコツアー商品をいかにしてつくり流通させるか」

◯開催日時:平成21年9月19日(土)
12時30分〜17時00分

◯会場:東京ビッグサイト レセプションホールA
(東京都江東区有明3-21-1 会議棟1階)

◯主催:環境省・(社)日本旅行業協会

◯協力:NPO法人日本エコツーリズム協会

◯参加者数:約200名

◯プログラム:

総合司会/進行:小林寛子氏
NPO法人日本エコツーリズム協会

平成21年度エコツーリズムフォーラム 平成21年度エコツーリズムフォーラム

基調講演 『自然に触れて学ぶこと、教えられること』

大桃 美代子氏(タレント、女優)

◆大桃氏からは、新潟で米作りに取り組んでいるご自身の体験を織り交ぜながら、里地里山でのエコツーリズム・グリーンツーリズムを推進する際のポイントなどを語っていただきました。

郷里である新潟県魚沼市に帰省中、中越沖地震に被災し、自分にできることは何かと考え、復興を伝える活動の一環として地元で農業を始めることにしました。新参者が地元の方に認めてもらうためには、従来の米と競合してはいけません。目指したのは、自分自身が本当に食べたいと思う安全安心な無農薬で、そして体にも良い、古代米である黒米を作ることでした。

専門の農家の方に助けていただきながら、肥料選びや草取りなど、ひとつひとつ試行錯誤していきました。農薬を使わないのでたくさんの生物との生存競争に苦労しますが、農業はその自然の営みの中でこそ成り立っていることを実感しています。

今、農業体験やエコのブーム、また安全な食にも高い関心が集まっています。そういう体験をしてみたい方達に、ただ農業体験をするだけでなく、プラス勉強して帰っていただく。その地域でしか食べられないものをどうストーリー立てて提案できるか。知的好奇心を満たす要素をいかに附加できるかが重要なのではないでしょうか。

一方で、手伝っていただいた地元の方が褒めてもらえることも、とても励みになります。

また魚沼に行きたいと言って下さる方が一人でも増えることが、地元を活性化させていくのではないかと思っています。

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基調講演「旅行会社に商品企画、販売の技法を学ぶ −風カルチャークラブの挑戦−」

水野 恭一氏((株)風の旅行社 風カルチャークラブ営業部長)

◆水野氏からは、エコツアー商品を企画・販売している旅行会社の立場から、事業として成り立たせ、継続していくために必要なアプローチをお話いただきました。

風の旅行社が目指すポイントは、まず、他社任せにせず、スタッフ自らが信頼できる現地パートナーとオリジナルツアーを作っていることです。ツアーの魅力やリアルタイムの現地情報等を、できるだけ詳しくお客様に伝えたいからです。さらに、行きたい時にすぐ出発できるよう2名からの催行も行っています。

風カルチャークラブは、旅と生涯学習を融合し、フィールドの中で学ぶことを目的とした商品で構成されています。特徴としては、①地域の優れた素材を基に、それをテーマとして学ぶ。②ガイド、インタープリター、学芸員、大学や在野の研究者の方々が必ず講師に付く。③少人数制、があります。

旅・講座の商品をつくる際は、まず素材探しから始まります。民俗学的資料や科学的情報、移動手段など様々なアプローチから検討します。次に必要なのが商品化の視点です。多様な商品を確保する、定期的な内容の更新、価格設定と利益構造等々を考慮していきます。そして直販にこだわり、ホームページやダイレクトメールを積極的に活用しています。私どものお客様はリピーターが多いので、その方達への積極的な対応やデータ化も心がけています。また、品質管理のためにも、お客様の声を聴き、ホームページで公開する姿勢をとっています。

都市からの目線で地域の特徴や可能性を引き出すことが、我々都市型の旅行社の存在意義だと考えています。地域の方と情報や視点を補完し合い、なるべく単品ではなく総合的な、全体を理解することのできる「学ぶ旅」をつくっていきたいと思っています。

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パネルディスカッション 「地域のエコツアー商品はどうすれば流通するか!」
〜地域の事業者、観光協会、旅行会社に求められるもの〜

■コーディネーター

南 正人 氏(麻布大学獣医学部 講師)

■パネラー

水野 恭一 氏((株)風の旅行社 風カルチャークラブ営業部長)
渡邊 法子 氏(稲取温泉観光協会 事務局長)
近藤 光一 氏(富士山登山学校ごうりき 代表)
堀上 勝 氏 (環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長)

◆エコツーリズム、エコツアーのプログラムは、自然環境への負荷を抑えることを重視し、少人数・高付加価値・高単価で展開されてきました。しかし現在、里地里山や生活・文化、あるいはグリーンツーリズム、ブルーツーリズムなどとの新しい取組みが始まり、エコツーリズムの概念も広がりを見せています。今回は、地域が経済的に持続可能かどうか、という視点から見たエコツアー商品の造成・販売について、問題点や解決策など、実際に現場で携わっておられる方々に、具体的な事例を交えてお話しいただきました。

◆商品を作っていくための体制作りには、地域との取組みが重要なポイントになるということを再確認しました。渡邊氏からは、継続的な組織にしていくには、地域住民が主体となり、集客やニーズ、収益を意識することが必要である。事業として成り立つよう努力すること自体が地域振興にもつながる、との意見をいただきました。

◆近藤氏からは、ガイドの効果がどれくらいあるか商品の満足度をモニターし、ツアーの質を高めていくことにより、高いリピート率を維持している事例を報告していただきました。また、ガイドの役割について、単に指導したり伝えたりするだけではなく、調整力・共感力といった能力や広い見識が非常に重要であるとの意見が出ました。

◆次に、商品化する視点に立って議論を進めていきました。地域の特質をきちんと理解し、お客様の目線で見直せば、見逃している魅力的な資源がまだたくさんある、それを絶えず改善し磨いていくことで、商品力を付けていくことが重要との認識を得ました。水野氏からは、今後の可能性としてインバウンドも見逃せないことや、行政からの継続的なサポート体制の必要性も語っていただきました。

◆商品化ができたら、次にそれをどう売っていくか、特に知名度の低い地域はどうすればいいかが課題となります。体験しなければわからないというエコツーリズムの特徴から、ホームページが非常に有効である一方、口コミやメーリングリストも積極的に活用していくべきであろうとの意見が出されました。

◆環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長堀上氏からは、人材育成や流通の技術的な助言など、地方への情報提供を積極的に行っていきたいこと、また、環境省だけでなく、観光庁や各省と連携してエコツーリズムの推進をしていきたい、という発言がありました。

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