屋久島町エコツーリズム推進全体構想[
PDF(6,082KB)
]
屋久島町エコツーリズム推進全体構想の概要[
PDF(1,127KB)
]
屋久島では、島の自然保護と地域の人々の生き方をめぐって、住民や研究者の間で数多くの活動や調査・研究が行われてきました。こうした取り組みを背景に、当時の上屋久町、屋久町、鹿児島県、さらには国も加わり、屋久島の持つ価値に依拠しながら自然と人との新たな関係、すなわち自然と人との共生のあり方を模索しようとする動きが生まれ、平成4年(1992年)には「屋久島環境文化村構想」が策定されました。翌平成5年(1993年)、日本で初めて世界自然遺産に登録され、これと時を同じくして「屋久島憲章」が旧上屋久町、旧屋久町によって制定され、屋久島町に引き継がれています。
屋久島憲章には、「島の自然と環境を私たちの基本的資産として、この資産の価値を高めながら、うまく活用して生活の総合的な活動の範囲を拡大し、水準を引き上げていくことを原則としたい(原文抜粋)」とあります。
この原則に則り、屋久島にとっての「エコツーリズム」とは、島の価値のある自然や文化を保全しつつ、それらを持続可能な観光資源として利用し、地域社会の発展を目指す概念であると考えます。
以上を踏まえ、私たちは屋久島町の貴重な財産である自然資源を保全し、その自然と共にある人々の暮らしや、そこから生み出される恩恵を多くの来島者と分かち合い、持続的な地域づくりへ寄与することを目的に屋久島町エコツーリズムを推進します。
本構想では、口永良部島も含めた屋久島町全域において、上記原則の実現を図ることを目的とし、基本方針を定め、世界遺産にふさわしいワンランク上の観光地=全国・全世界に誇れるエコツーリズム先進地を目指します。
屋久島町は、その自然の傑出性とともに、自然と共に歴史を重ねてきた人々と自然との関係性にも価値を持っていることから、本構想においては、エコツーリズムが推進される地域を特定の場所に限定せず、「屋久島、口永良部島及びその周辺海域(屋久島の地先から2km、口永良部島の地先から1kmの海域)」として広く設定することとします。
エコツーリズム推進法における自然観光資源の定義に基づき、屋久島町における自然観光資源の考え方は以下のとおりとします。
<屋久島町における自然観光資源の考え方>
自然観光資源の利用にあたっては、屋久島・口永良部島ルールに配慮すること。
⇒屋久島地域における自然観光資源一覧は本編P27に掲載
屋久島町エコツーリズム全体構想の基本方針を実現するとともに、自然環境への影響とその保全、快適な利用環境の創出、利用者の安全確保、町民の生活に配慮したエコツアーの実施のために必要なルールを定め、「屋久島・口永良部島ルール」としました。
また、「屋久島憲章」は屋久島町民にとっての理想・目標であるとともに屋久島のエコツーリズムの理念そのものであることから、「屋久島・口永良部島ルール」を支える重要な考え方・基本理念と位置付けます。
⇒屋久島・口永良部島ルールについては本編P33に掲載
屋久島町では、利用者に対して、自然観光資源についてのより深い知識と屋久島・口永良部島ならではの体験を提供するとともに、それらを通して「自然と人との共生」を伝えるために、ガイドツアーを積極的に推進します。その上で、パンフレット等によるセルフガイドの活用を補助的に推進し、解説板による解説は必要最小限にとどめます。
また、屋久島町で実施されているエコツアープログラムの内容と将来の可能性を含めたあり方を、環境や利用形態に沿って整理しました。これらのプログラムのほとんどは、主にガイド事業者が実施主体となって行われています。なお、ウミガメ観察会は、ウミガメ保護利用専門部会が、里部の利用については、屋久島里めぐりの取り組みを通して地元の語り部のガイドがプログラムを担っています。
⇒ガイダンス及びプログラム詳細については本編P60に掲載
屋久島町では、屋久島公認ガイド利用促進条例(平成27年9月17日条例第32号)のもと、2019年から屋久島公認ガイド制度を運用しています。
ガイドの資質向上と資格を定める制度により、来訪者に安全な自然体験の提供を行い、観光振興と環境保全を図り、屋久島町のエコツーリズムを推進するものです。
⇒屋久島公認ガイドの詳細については本編P63に掲載
屋久島ではこれまでも多くの研究者や団体、行政機関により、自然観光資源に対する調査研究やモニタリングが実施されています。
各機関や団体と連携し、既存のモニタリングや研究の情報を収集・評価して、ルールの運用やガイドの案内などに反映させます。
⇒モニタリング及び評価の詳細については本編P65に掲載
屋久島の多様な自然観光資源については、自然公園法や森林法、その他の関係法令等により、現状においても概ね保全が図られていると判断されるため、特定自然観光資源の指定は行わないこととします。
ただし、今後、資源の質に影響を与えるおそれがあり、自然観光資源の保護を図る上で特定自然観光資源への指定が必要と判断される状況が生じた場合には、協議会において特定自然観光資源の指定を検討します。
本構想で定める「屋久島・口永良部島ルール」が守られるよう、普及啓発や必要な取り組みを進めることで、自然観光資源の保護や育成に努めます。また、より一層の保護や育成などの対策が必要な場合、専門家からの意見を踏まえてエコツーリズム推進協議会において対応を協議し、エコツアー実施者等の協力も得て実施に向け調整します。
⇒自然観光資源の保護及び育成の詳細については本編P69に掲載
全体構想の作成、変更・廃止を行ったときは、町報やホームページなどにより、広く一般に公開します。
また、協議会では、全体構想の実施状況について毎年度点検を実施し、概ね5年ごとに見直しを行います。ただし、点検の結果、早急に見直すことが必要と判断された場合には、適宜見直しを行うこととします。
⇒自然観光資源の保護及び育成の詳細については本編P84に掲載
◇活動の様子
サバ節工場見学(里めぐり)
|
タンカン収穫体験(里めぐり)
|
---|---|
![]() |
![]() |
リバーカヤック
|
ガイドセミナーの様子
|
![]() |
![]() |
岳参りの様子(宮之浦岳)
|
沢登り(安房川)
|
![]() |
![]() |