返還と適正譲渡の推進
施設名(自治体名) | 下関市 |
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タイトル | 隣接の自治体との譲渡前講習会の連携及び譲渡会の取り組みについて |
取組みの主体 | 下関市 |
連携した団体等 | 北九州市動物愛護センター、山口県動物愛護センター |
具体的な取り組み内容
- 背景)
下関市では、市民の方が犬猫の譲り受けを希望される場合には、譲渡前講習会の受講を義務付けています。譲渡前講習会及び譲渡会は毎月3回実施しており、本市以外の方が本市の譲渡前講習会を受講して犬猫を譲り受けることも可能としています。しかし、本市の譲渡前講習会の受講者だけでは、収容した犬猫の譲渡先をすべて見つけることはとても難しいという状況にあります。このため、少しでも多くの犬猫の譲渡先を探す手段として、平成22年度より北九州市及び山口県との連携を開始しました。
- 内容)
北九州市動物愛護センター及び山口県動物愛護センターの譲渡前講習会の受講証明書を持っている方は、飼養環境等の確認を行いますが、本市の譲渡前講習会を受講せずとも犬猫の譲り渡しを可能としています。また、北九州市動物愛護センター及び山口県動物愛護センターが譲渡前講習会や譲渡会を行う際には、下関市からも犬猫の譲り受けができることを参加者に広報して頂いております。
- ○譲渡の手続き
譲渡を希望される方は、各自治体が発行した譲渡前講習会の修了証を持って各センターに行って頂き、気に入った犬猫がいた場合には修了証を提示、各自治体が譲渡の手続きを行い、その場で引き渡しています。また、譲渡後の適正飼養の指導やフォロー等については、犬猫を譲り受けた方が住んでいる自治体が行うことになります。
- 結果)
この連携により、平成25年度は、北九州市動物愛護センターの譲渡前講習会受講者に犬8頭、猫2頭を譲渡し、山口県動物愛護センターの譲渡前講習会受講者に犬1頭、猫2頭を譲渡しました。
- ○譲渡後の犬猫写真展の実施
本市より犬猫を譲り受けた飼い主に、現在の犬猫の様子を写真に撮ってもらい、コメントを添えて頂いたものを、毎年9月23日に実施している動物愛護週間行事(下関動物ふれあいフェスティバル)において展示しています。飼い主さんからは、楽しく家族と一緒に過ごしている犬猫の写真のほか、心温まるコメントをたくさん頂いています。平成26年度には85頭の犬猫の写真を送って頂きました。
取組み内容の紹介等関連HP
下関市ホームページ「犬とねこの飼い主を募集しています。」(外部サイトへリンクします)
施設名(自治体名) | 岡山市 |
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タイトル | 動物愛護ボランティアとの協働による殺処分減少に向けた取組 |
取組みの主体 | 岡山市 |
連携した団体等 | 岡山市登録動物愛護ボランティア |
具体的な取り組み内容
- 経緯)
近年、家庭動物は、単なる愛玩の対象から家族の一員として人と密接な存在になりました。しかし、その一方で、未だに飼い主の飼育放棄や不適切な飼育により、行政に引取りを求め、あるいは、保護・収容されるケースが見られます。これまで当市では収容犬の殺処分を減らすために譲渡事業を行ってきましたが、飼養施設がないため、単独で譲渡できる犬の頭数など制限があります。そこで、より多くの犬の譲渡を可能とするため、平成22年度から動物愛護ボランティア(以下ボランティア)との協働により譲渡事業を実施しています。
- 内容)
離乳前の子犬を収容した場合、長期の飼養ができないため、これらの子犬は殺処分の対象としていました。殺処分減少に向けた取組を検討する中で、子犬を譲渡できるようにすることが重要であると考え、ボランティアと協議を行い、譲渡可能な月齢に達するまでボランティアの家庭で飼育をし、譲渡を行う事業を行うこととしました。
- 結果・評価)
ボランティアが飼育した子犬の社会性ならびに人に対する許容性は、全ての個体が「子犬の性質判定基準」をクリアしており、譲渡可能となりました。このボランティアの活動が、譲渡可能頭数の増加と譲渡機会の拡大に大きく寄与し、平成21年度まで平均86%であった殺処分率が、現在では30%程度にまで減少した結果であると考えます。
- まとめ)
この取組は、ボランティア活動の一例ですが、譲渡事業をはじめとした動物愛護行政を推進していくためには、ボランティアとの協働が有効であると言えます。引き続き協働作業を充実させ、殺処分数減少に向け事業を推進・強化していきたいと思います。また、平成25年度から猫の譲渡事業も開始し、離乳前の子猫についても犬と同様、ボランティアの協力を得ています。
施設名(自治体名) | 中和保健所動物愛護センター(奈良県) |
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タイトル | 迷い犬・猫ゼロ運動 |
取組みの主体 | 奈良県(中和保健所動物愛護センター) |
連携した団体等 | 市町村 |
具体的な取り組み内容
迷い犬・迷い猫の発生を低減するとともに、収容動物の返還率を向上させるため、犬猫の所有者明示措置等についての普及啓発を推進しています。
- 経緯)
-
所有者明示措置については、これまでも飼い方・しつけ方教室等において必要性を訴え、普及啓発に努めてきましたが、収容動物の返還率の顕著な向上には結びついていませんでした。また、状況的に逸走が疑われ、明らかに飼い主がいると思われる動物であっても、所有者明示がなかったり、問い合わせがないために、返還に至らないような事例も多く経験しています。こうした現状を踏まえて、平成26年度から動物愛護センター管内で新たな啓発手法に取り組むこととしました。
- 内容)
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所有者明示措置や、飼い犬・飼い猫がいなくなった際の保健所・警察への通報等の必要性を訴える名刺サイズのグラフィカルなカードと同柄のポスターを作成しました。場内に掲示しているほか、来場者、管内市町村等にも配布しています。
- 結果)
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狂犬病予防集合注射会場におけるカード配布が返還に結びついた例がありました。また、「保健所に通報する必要性を初めて知った。」という飼い主もおられました。
- 考察)
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返還に至るケースは、今も電話の問い合わせによることが最も多いため、インターネット活用のみではなく、アナログな手法を併用することで、より大きな啓発効果が生じ、飼い主の意識改善が図れるものと期待しています。
- 総括)
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今後、県全域への取組拡大、動物取扱業者・開業獣医師等との連携、広報強化等も検討していきます。
※「桜井保健所動物愛護センター」は平成27年2月16日より「中和保健所動物愛護センター」に名称が変わりました(所在地、連絡先等は変わりません)。
ポスター
カードの表と裏
施設名(自治体名) | 倉敷市 |
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タイトル | 譲渡率向上にむけて |
取組みの主体 | 倉敷市保健所 |
連携した団体等 | 個人ボランティア等 |
具体的な取り組み内容
- 背景・経緯)
保護された犬猫の譲渡が進む中、長い期間にわたり保健所で過ごす犬猫たちが増えてきています。健康状態の維持・改善の為またスムーズな譲渡の実施のため、職員とボランティアにより各種取り組みをしています。
- 内容)
収容犬のうち攻撃性がないものをケージの外でつないで飼養し、人馴れを進めています。健康維持のため、日常的な散歩も行っています。また、健康に問題がある場合は、下痢・皮膚疾患・目ヤニ・外傷・寄生虫等に対する投薬治療、皮下補液の実施、軽度外傷に対する縫合を実施しています。犬の譲渡時には可能な範囲でワクチン・マイクロチップを挿入します。トリミング(シャンプー、カット、爪切り等)を月1回程度の間隔でボランティアに行ってもらっています。また、譲渡動物の情報は、市・ボランティアのホームページ等により、随時発信をしています。
- 評価)
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譲渡先の現状確認やご相談等のフォローについて、追いついていないのが現状です。将来的にはきめ細やかなフォローをして行きたいと思います。
施設名(自治体名) | 岡崎市動物総合センター(岡崎市) |
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タイトル | 猫のマイクロチップ装着推進事業 |
取組みの主体 | 岡崎市 |
連携した団体等 | 岡崎市獣医師会及び市内動物病院 |
具体的な取り組み内容
市内で飼養されている飼い猫が協力動物病院にて避妊・去勢手術を行う際に、無料でマイクロチップを装着する事業を今年度より開始しました(ただし、AIPOへの登録手数料は飼い主負担)。現在、協力いただいている動物病院は24件です。
- 目的)
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猫は、犬のような登録制度や係留義務がないため、犬と比較し、所有者意識が低い傾向にあり、センターに持ち込まれる、処分される頭数や路上で死亡している頭数が大変多いという現状があることから、飼い猫へのマイクロチップ装着(所有者明示)及び繁殖制限の推進をすることで、猫の適正飼育の普及啓発を図り、所有者責任を明確にするとともに、行方不明・事故・災害時における猫の対応を容易にし、不幸な子猫の誕生を抑制することを目的としています。
- 内容)
協力獣医師へマイクロチップを預託し、飼い猫を避妊・去勢手術を行う際に、飼い主の希望によりマイクロチップを装着しています。ただし、AIPOへの飼い主登録の手続き(登録料1,000円含む)は、飼い主により行ってもらっています。同時に猫の飼養届出も提出してもらい、岡崎市で猫の飼養状況を把握するよう努めています。
- 結果)
-
平成26年6月~9月で119頭の飼い猫にマイクロチップを装着しました。
- 課題)
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所有者責任やマイクロチップ自体の理解がまだ進んでいないこと、登録にお金がかかることから、無料でも装着されない飼い主もいるため、対象猫について装着率100%を目指すための工夫が今後の課題です。
取組み内容の紹介等関連HP
岡崎市ホームページ「飼い猫にマイクロチップを装着しませんか。」(PDF形式:560KB)
去勢後の猫にマイクロチップを装着する様子
施設名(自治体名) | 滋賀県 |
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タイトル | 譲渡候補動物に対する治療協力 |
取組みの主体 | 動物保護管理センター |
連携した団体等 | (公社)滋賀県獣医師会 |
具体的な取り組み内容
- 経緯)
譲渡候補犬を選定する際、性格チェックでは譲渡適性があるにもかかわらず、病気、怪我等によりやむを得ず致死処分せざるを得ない場合があります。これらの動物を治療し、一頭でも多く生存機会の拡大を図ろうとすると、豊富な臨床経験が必要となります。行政だけで治療、経過観察していくには、予算、技術等の面で大変困難であり、対応に苦慮していました。
- 内容)
このような状況の中、平成23年度末に、(公社)県獣医師会開業部会から、行政が実施する適正譲渡に向けた取り組みに協力したい、当該犬猫のために技術を提供し、無償で診断・治療を施すことも可能である旨のありがたい申出がありました。そこで、平成24年度から、譲渡候補の犬猫のうち、軽度の治療・外科手術等により全快が見込まれ、それにより適正譲渡が可能となる動物について、その病勢、病状等を、あらかじめ申し出ていただいた協力獣医師に個別にメールで連絡し、診断・治療が可能との返信をいただいた獣医師の中から、センターが選択し、該当病院に搬入するというシステムがスタートしました。
- 結果)
平成24年度から試行的に開始し、重度の歯石、骨折、チェリーアイ、肛門周囲腺腫、皮膚炎等、年間10数頭の犬猫が、治療協力により処分を免れ、譲渡されました。協力獣医師にはその都度、治療後の状況を報告し、「譲渡された」という結果を大変喜んでくださっています。
- 評価)
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生存機会の拡大に向け、課題も多い中、不幸な犬猫を一頭でも減らすための施策の一つとして、このような開業獣医師との協力関係の構築等、関係団体との連携・協働を今後も継続して進めていきたいと考えています。
施設名(自治体名) | 長野市保健所(長野市) |
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タイトル | 犬猫の飼い主による譲渡会 |
取組みの主体 | 長野市 |
連携した団体等 | 長野県動物愛護会長野市支部、譲渡団体 |
具体的な取り組み内容
- 目的)
犬猫の飼養継続が困難な飼い主自身が新しい飼い主探しを行うサポートをし、保健所で引取る犬猫の減少を目指しています。
- 内容)
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飼い主が新しい譲渡先を見つける取組みとして、譲渡希望を市ホームページに掲載すると共に、保健所で毎月実施している休日譲渡会への参加を呼びかけています。
- 方法)
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・譲渡を希望する犬猫を長野市のホームページに掲載
・譲渡希望の犬猫がいる旨を本市のSNS(Twitter、Facebook)により情報配信
・保健所で毎月1回行っている「犬と猫の休日譲渡会」にあわせ、飼い主による譲渡会の実施
- 結果)
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自身の都合で飼えなくなった犬や猫を本市のホームページや譲渡会で新しい飼い主を見つける努力をしていただき、動物を飼う上での飼い主としての責任を自覚していただいております。その結果、飼い主の適正飼養につながっていると考えられます。
取組み内容の紹介等関連HP
平成26年度犬と猫の休日譲渡会について(外部サイトへリンクします)
犬譲渡情報
施設名(自治体名) | 愛媛県動物愛護センター(愛媛県) |
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タイトル | 仲介者譲渡 |
取組みの主体 | 愛媛県動物愛護センター |
具体的な取り組み内容
愛媛県では、譲渡する機会や譲渡数を増やすため、仲介者譲渡事業を開始しました。
- 経緯)
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愛媛県では、単なる犬猫のあっせんではなく、不幸な命を救うために、地域の模範的飼い主として、動物愛護の精神と正しい犬猫の飼い方の普及を図るメッセンジャーになっていただくことを目的として、犬猫の譲渡を行ってきましたが、更なる譲渡推進の方法を検討していました。
- 内容)
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平成26年4月1日から、譲渡する機会及び譲渡数を増やすとともに、譲り受ける人の性格に合った犬猫を譲渡するために、犬猫を終生飼養できる新しい飼い主を探すことを目的としたボランティア活動を行っている個人(譲渡仲介者)へ譲渡を行う、仲介者譲渡事業を開始しました。譲渡仲介者として登録するためには、動物愛護センターで実施している仲介者講習会を受講し、動物の愛護及び管理に関する法律や狂犬病予防法等の関係法令について理解・遵守するとともに、新しい飼い主に対して適正な飼養のための必要な知識等を教示していただくことを求めています。
- 結果)
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事業開始からまだ間もない状況ですが、既に3名の登録があり、譲渡を行っています。
- 評価)
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動物愛護センターで直接実施している譲渡会は、県内在住者を対象としていますが、仲介者譲渡事業では譲渡仲介者から県外への飼養希望者への譲渡も行われており、広域譲渡の橋渡しとしても重要な役割を果たしていただいております。今後も動物愛護センターで実施している譲渡会と併せて、譲渡数の増加や終生飼養、繁殖制限、所有者明示措置等の普及啓発を推進し、人と動物が共生する地域社会づくりを目指していきたいと思います。
取組み内容の紹介等関連HP
愛媛県動物愛護センターホームページ(外部サイトへリンクします)
施設名(自治体名) | 横須賀市 |
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タイトル | 猫の乳飲み子の譲渡活動 |
取組みの主体 | 横須賀市動物愛護センター |
連携した団体等 | にゃんずネット |
具体的な取り組み内容
- 経緯)
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近年、全国的に殺処分数削減を目指し、様々な取組みを行っております。横須賀市でも殺処分数削減を目指し、市民の方へ譲渡活動等を積極的に行っておりますが、中でも子猫の譲渡活動に苦慮しております。子猫の中でも乳飲み子を大量に飼養することは難しく、また飼育中に死亡してしまう個体もおり、殺処分数はなかなか減少しませんでした。乳飲み子の殺処分数減少を目指し、ボランティア団体と協力し譲渡活動を行いました。
- 内容)
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乳飲み子が収容された際に職員が世話を行う場合もありますが、約半数は乳飲み子専門のボランティアの方にいったん譲渡をし、一般の方に譲渡可能な大きさまで育てて頂き、その後、新たな飼い主を探して頂いております。動物愛護センターに収容している猫は、不妊手術を出来る大きさになり次第、不妊手術を行い、その後、譲渡をしております。
- 考察)
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収容された乳飲み子の譲渡を目指し飼育しておりますが、飼育途中で死亡する個体は少なくありません。人の手による飼育では全ての個体を救うのは難しいですが、飼育方法を随時見直し、改善する必要があります。協力して頂いているボランティア等から情報収集を行い、より良い飼育方法を取り入れ、譲渡数向上を目指していかなければなりません。
- 総括)
-
本取組を開始して以来、乳飲み子の殺処分数は減少傾向にあります。今後もこの取り組みを続け、殺処分数を減少させていかなければなりません。また根本的な解決として、子猫の持ち込まれる数を減らす為に、飼い主の方へ、より積極的に適切な飼い方を普及啓発しなければなりません。
※猫の乳飲み子のボランティアへの譲渡は、ボランティア団体の都合により、平成27年度から実施しておりません。
施設名(自治体名) | 静岡県 |
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タイトル | 成犬譲渡の推進 |
取組みの主体 | 静岡県 |
連携した団体等 | 獣医師会、動物愛護ボランティア |
具体的な取り組み内容
- 目的・背景・経緯)
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「成犬譲渡の推進」の事業は、静岡県が引取りを行った犬にできる限り生存の機会を与えることで、犬の殺処分頭数を減らすことを目的とし、静岡県では平成21年10月より実施しています。
- 内容・方法等)
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県は引取りを行った犬の中から譲渡犬を選定しますが、その際に凶暴性があったり、重篤な疾患がある等の問題を持つ犬を排除する必要があるため、気質判定と健康判定を実施します。健康判定では、譲渡先の人およびその飼育動物への感染防止を行った上で譲渡する必要があるため、獣医師会の協力を得て血液検査、フィラリア検査、ワクチン接種を実施します。成犬は子犬に比べ、しつけや社会化訓練が難しいため、一旦ボランティアへあずけます。ボランティアは譲渡候補の犬を自宅で預かり、新しい飼い主を探すとともに、犬の気質等を見極め、社会化訓練を行った後に、条件に合う犬を新しい飼い主へ譲り渡しています。県では平成21年3月に成犬譲渡事業に協力していただくボランティア用に「成犬譲渡マニュアル」を作成し、これをテキストに用いてボランティアに対し講習を行い、講習を経て登録をしたボランティアに成犬の譲渡を行っています。
- 結果・成果)
-
平成18年度の成犬譲渡頭数は100頭以下でしたが、平成25年度には280頭となり、犬の譲渡のうち、成犬の占める割合は平成18年の29.6%から87.8%となりました。引き続き、関係団体およびボランティアと連携して成犬の譲渡を推進します。
- 評価・課題・ポイント)
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従来、県が引取りを行った犬から新しい飼い主に譲渡する犬を選ぶ場合、その選定や社会化には多くの時間を要していました。また譲渡希望者が現れるか分からない犬を、動物保護管理所で長時間にわたり飼育することは困難でした。「成犬譲渡の推進」は、これらの問題点を解消することで、譲渡頭数の増加に貢献しています。
施設名(自治体名) | 静岡県 |
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タイトル | ポッチとニャンチの愛の伝言板の設置 |
取組みの主体 | 静岡県 |
連携した団体等 | (一社)静岡県動物保護協会 |
具体的な取り組み内容
- 目的・背景・経緯)
-
新しい飼い主を見つけることで、できる限り生きる機会を与えることを目的として、実施しています。
- 内容・方法等)
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「ポッチとニャンチ愛の伝言板」とは、市役所や町役場等に設置され、飼えなくなった動物の飼い主と飼いたい人との仲介となる伝言板です。動物を飼うことが困難になった飼い主が、各市役所、町役所等に設置してある掲示板へ譲り渡しの希望の掲示の申し込みを行い、動物の譲り渡しの希望及びこの動物についての情報が掲示板により公示されます。そして後に、動物を飼うことを希望する人がこの掲示板を見て、譲り受けを希望する場合には、譲渡が成立します。
- 結果・成果)
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掲示板は平成25年度末において、県下27市町33ヶ所に設置されています。平成21年度以降、猫の譲渡成立頭数は年間で300頭を超え、県等が取組む譲渡事業と同等な譲渡実績を示しており、明らかに高い譲渡の成功率を示しています。平成25年度の申し込み件数は809件(犬264件、猫541件、その他4件)で、そのうち成立件数は445件(犬143件、猫301件、その他1件)でした。今後も伝言板の有効性を周知するとともに、県下全市町への設置を継続して要請していきます。
- 評価・課題・ポイント)
-
この掲示板を設置することで、飼い主が動物を自宅で飼養・保管しながら新しい飼い主を探すことができるため、県等が実施する譲渡に比べて時間的な制約を少なくすることができ、また譲り受け希望者も対象動物の習性等の情報を飼い主から直接知ることができます。
施設名(自治体名) | 静岡県 |
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タイトル | 「子犬・子猫をゆずる会の開催」と「迷い犬情報の公開」について |
取組みの主体 | 静岡県 |
連携した団体等 | 動物管理指導センター、(一社)静岡県動物保護協会 |
具体的な取り組み内容
- 目的)
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県が引取った子犬・子猫の譲渡率の向上と、県が保護した迷い犬の飼い主への返還率の向上により、できる限り生きる機会を与えることを目的として、実施しています。
- 内容・方法等)
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「子犬・子猫をゆずる会」は、動物管理指導センター及び一般社団法人静岡県動物保護協会が共同し、動物管理指導センターや県の保健所において開催しています。子犬・子猫をゆずる会の開催を周知して譲り受け希望者を募り、実際にゆずる会に参加した譲り受け希望者には、動物の習性や適正管理、繁殖制限措置等に関する講習を実施し、後日譲渡しています。「迷い犬情報」は、平成22年10月から県公式ホームページ上で公開され、県の動物収容施設にて現在保護し、飼い主を探している犬に関する情報(保護した日、場所、状況及び犬の特徴)を掲載しているサイトであり、犬の返還率の向上を目指したものです。
- 結果・成果)
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「子犬・子猫をゆずる会」については、平成25年度において子犬32頭、子猫40頭の譲渡が成立しています。「迷い犬情報」の公開については、返還率は平成20年度以降一貫して上昇しており、平成25年度には59.4%の返還率となっています。
県公式ホームページ上で公開されている「迷い犬情報」の一例
施設名(自治体名) | 千葉県 |
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タイトル | ボランティア団体との協力による譲渡推進 |
取組みの主体 | 千葉県 |
連携した団体等 | 登録ボランティア団体 |
具体的な取り組み内容
県動物愛護センターに収容された犬猫について、一般の飼養希望者への直接譲渡だけでなく、再譲渡を目的としたボランティア団体等への譲渡も実施しています。
- 経緯)
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平成18年度以前は、譲渡対象者は一般の飼養希望者のみであり、動物愛護センターでの管理頭数に限りがあることから、譲渡可能な犬猫の一部についても殺処分せざるを得ない状況がありました。このような犬猫にも、できるだけ生存の機会を設けるため、平成19年度から、飼養希望者への譲渡を目的として活動するボランティア団体等への譲渡を開始しました。
- 内容)
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ボランティア団体等の登録の際には、基準(「活動は非営利であって動物愛護を目的としていること」、「新たな飼養者に対して譲渡動物を適正に管理するための必要な知識を教示できること」など8項目)に適合していることを確認したうえ、譲渡動物への不妊去勢措置及びマイクロチップ等所有者明示措置について、誓約していただいています。また、再譲渡の状況を定期的に報告していただいています。
- 結果)
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全国上位の譲渡実績(一般の飼養希望者への直接譲渡も含む)となり、殺処分数も減少させることができました。
■参考
【平成18年度(取組み開始前)】 【平成19年度(取組み開始後)】 譲渡数 犬 388頭 ⇒ 879頭 猫 195匹 ⇒ 1,022匹 殺処分数 犬 5,924頭 ⇒ 4,747頭 猫 7,965匹 ⇒ 5,841匹 - 考察)
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ボランティア団体等との協働による譲渡は、譲渡数の大幅な増加とそれに伴う殺処分数の減少に非常に有効でした。また、各団体では、再譲渡先家庭への訪問を実施したり、独自にマイクロチップ装着の義務付けを設定する等の取組も実施されており、適正飼養者への譲渡という観点からも、高い水準が確保できていると認識しています。また、現在は、譲渡対象犬猫へのトリミングを活動主体とするボランティア団体の協力も得られており、譲渡事業の一助として活動していただいています。
施設名(自治体名) | 豊中市 |
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タイトル | 市民団体と協働した犬猫譲渡会の開催 |
取組みの主体 | 豊中市、市内で動物の保護活動をしている市民団体 |
連携した団体等 | 豊中市、市内で動物の保護活動をしている市民団体 |
具体的な取り組み内容
豊中市では、行き場を失った犬猫を保護している市民団体が主催する犬猫譲渡会を、平成24年度から保健所駐車場で定期的に開催しています。
- 経緯)
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動物の保護活動を行っている市民団体から、「犬猫の譲渡会を以前から開催しているが譲渡の機会をもっと増やしたい、行政と協力して何かできないか」との相談がありました。当該団体は、厳しい譲渡基準を定め、譲渡前の家庭訪問等を実施するなど、行政が実施する譲渡と同等またはそれ以上の譲渡要件を定め適正な譲渡に努めていることから、豊中市として当該団体が行う動物の譲渡活動の支援をしたいと考えました。また、市としても、動物の飼養を考えている方に対して講習を行うことができる良い機会と捉え、保健所駐車場を利用しての譲渡会を開催することとしました。
- 内容)
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保健所駐車場にて春と秋の年2回譲渡会を開催しております。本市では、本市施設へのポスター掲示やホームページへの掲載により、市民に対して譲渡会開催の周知を図っております。譲渡会当日、全ての譲渡希望者は、まず保健所獣医師が講師を務める犬猫の飼い方講習会を受講し、その後、犬猫とのお見合いをしていただくこととしています。また、会場では、団体により犬のしつけのデモンストレーションや飼い方相談も実施されています。
- 成果)
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譲渡希望者と見学者を合わせて毎回50名程度の参加があります。主催者より、譲渡へと進む犬猫も毎回10頭程度いるとの報告を受けています。
- 考察)
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市民団体の活動を支援することは、行政で引き取る犬猫の数の減少につながると考えます。また、犬猫の飼養を考えている方に対し保健所が講習会を行うことは、終生飼養、適正飼養の推進につながると考えます。これらを行うことで結果的に殺処分減少につながるものと考えます。本市では、市民と協働して取り組むことでより効果が高まる事業としてこの犬猫譲渡会を位置付けており、今後も継続していきたいと考えています。
取組み内容の紹介等関連HP
豊中市ホームページ「第5回譲渡会開催報告」(外部サイトへリンクします)
施設名(自治体名) | 鹿児島市 |
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タイトル | 譲渡対象犬猫の不妊去勢手術 |
取組みの主体 | 鹿児島市 |
連携した団体等 | 鹿児島大学共同獣医学部 |
具体的な取り組み内容
犬猫の譲渡を促進するため、鹿児島大学共同獣医学部と協定を結び、本市で保管する譲渡対象の犬猫の不妊去勢手術を行っています。
- 経緯)
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平成25年3月、同大学より、本市が保管する犬猫の不妊去勢手術を実施したい旨の申し入れがあったところであり、本市にとっても、これらの犬猫の譲渡後において、不慮の繁殖や発情期の行動の抑制、所有者等への負担の軽減につながるなどの効果が期待されることから、平成25年7月より、同大学と協定を結び、取り組むことといたしました。
- 内容)
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本市で保管する一部の譲渡対象の犬猫について、同大学が不妊去勢手術を実施します。
- 成果)
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平成25年度は、犬40頭(雄16頭、雌24頭)、猫3頭(雄2頭、雌1頭)の手術を実施しました。
- 評価)
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本市における犬猫の譲渡率は、従前と比べて上昇の傾向にありますが、大学との協定による当該取組みについては、昨年度より開始されたもので、その期間はまだ短く、また、手術頭数についても犬に比べ猫は少ないことから、今後は猫の手術頭数も増やし、さらなる譲渡率の上昇につなげたいと考えております。
動物愛護イベントで手術済みの犬猫の譲渡会を実施
施設名(自治体名) | 徳島県動物愛護管理センター(徳島県) |
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タイトル | 返還への取組 |
取組みの主体 | 徳島県 |
連携した団体等 | 各地方CATV(ケーブルテレビ)、地方新聞 |
具体的な取り組み内容
徳島県では、収容動物の返還率が毎年犬猫合わせて5%程度にしかすぎず、返還の手段として、より広域的かつ様々な年齢層に合わせた周知方法が必要であると考えています。
そこで、収容動物の返還率向上を目的に、収容動物の情報を当センターHPに写真付きで掲載している他、CATV、地方新聞にて飼い主がいるであろうと見受けられる犬・猫の情報を掲載しています。実際に、CATVや新聞を見たとのことから返還に至ったケースも多数あります。また、高齢者はインターネット等の電子媒体を使用されない方も多く、CATVや新聞での媒体を通じた返還方法が有効な手段となっています。
また、媒体を通じた方法の他、失踪時の問い合わせ先として、当センターや各保健所の連絡先を記載した名刺を作成しています。県内ペットショップや動物病院などに設置し、同時に、イベント等での配布を行うことで、飼い犬・猫の問い合わせ場所としての周知を広域的に周知できることと考えています。
施設名(自治体名) | 徳島県動物愛護管理センター(徳島県) |
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タイトル | 譲渡への取り組み |
取組みの主体 | 徳島県 |
連携した団体等 | (公社)徳島県獣医師会、動物愛護推進員、譲渡登録団体 |
具体的な取り組み内容
- 背景)
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徳島県の動物愛護管理センターでは、平成15年の開所当時から、殺処分数の減数等を目的に、収容される動物の譲渡事業を実施してきました。譲渡にあたり、譲渡講習会を実施するとともに、講習会の事前に申請書の提出を条件としています。平成20年度には、譲渡した動物や譲渡動物が産んだ子犬等の引取依頼があったことなどから、望まない繁殖防止とその啓発を行う目的で譲渡動物の不妊去勢手術を条件に譲渡を行ってきました。しかし、譲渡時には不妊去勢手術実施を約束に譲渡しているものの、実施しない飼い主も出てきていました。
- 内容)
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そこで、当センターでは適正飼養の啓発をもとに、飼い主としての模範となる飼い方の実施を推進するため、全ての譲渡動物に不妊去勢手術、マイクロチップの装着を実施することとしています。また、譲渡するにあたり、新たな飼い主から譲渡動物の健康管理に要した経費として実費徴収しています。犬1頭につき14,000円、猫1頭につき12,000円とし、健康管理に要する経費としては、糞便検査、血液検査、混合ワクチン接種、ノミ・ダニ予防、不妊去勢手術等を含んでいます。
- 成果)
近年では、動物愛護推進員、譲渡登録団体との連携の元、成犬・成猫譲渡の推進にも積極的に取り組んでおり、現在では県内計約20団体が登録しています。今後もより一層、譲渡事業の推進に取り組んでいきたいと考えています。
施設名(自治体名) | 京都市家庭動物相談所(京都市) |
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タイトル | 譲渡候補猫のインターネットライブ(USTREAM)中継 |
取組みの主体 | 京都市 |
具体的な取り組み内容
- 内容)
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一匹でも多くの猫を譲渡し、殺処分を減らすためには、より多くの方に譲渡対象猫について知っていただく必要があります。そこで、家庭動物相談所に来ることができない方でも自宅等で譲渡猫の様子を見ることができるよう、家庭動物相談所のホームページにおいて譲渡猫舎の様子を放映しています。USTREAMで無料配信していますので、どなたでも簡単に見ていただくことができます。
☆動画配信時間⇒基本的に平日、朝の清掃終了時 10時頃~17時頃
※清掃中、来客時は配信を止めている場合がございます。
- 結果・考察)
動画の再生回数は25,000回を超え、「動画を見て来ました」とおっしゃられる譲渡希望者が増えております。今後もこの取組の一層の普及に努めることで、多くの方に映像を見ていただき、当施設や譲渡対象動物に興味をもってもらい、譲渡数の増加につなげたいと考えています。
取組み内容の紹介等関連HP
京都市家庭動物相談所ホームページ(外部サイトへリンクします)
家庭動物相談所のホームページ
施設名(自治体名) | 川崎市 |
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タイトル | 犬の譲渡推進のための取組み |
取組みの主体 | 川崎市(健康福祉局健康安全部動物愛護センター(センター)) |
連携した団体等 | 動物愛護団体(団体)とその提携動物病院、かわさき犬・猫愛護ボランティア(ボランティア) |
具体的な取り組み内容
- 経緯)
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犬(特に中型犬や性質に問題のある犬、老犬や病気の犬等)については、譲渡先が少ない状況ですが、一頭でも多く譲渡するために、団体やボランティアと連携し、殺処分数減少に取り組みました。
- 内容)
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<センター>
犬の健康状態や性質等の把握、必要な治療や問題行動の改善方法、家庭犬として必要な環境を判断し、飼養管理や治療を団体やボランティアと連携して実施しました。必要に応じて、収容犬を事務所など犬舎以外の環境への適応状況を観察しました。
<ボランティア>
センターから団体へ譲渡するまでの間、犬のストレスマネジメントを行いました。犬のストレスを下げるために散歩やマッサージ等を行い(いわゆるお散歩ボランティア)、また、しつけが必要な犬にはしつけ直しを行いました。団体やセンター主催の譲渡会への参加やブログ等での情報発信など、独自に譲渡を推進しました。
<団体・団体提携動物病院>
センターから犬を譲り受けることに加えて、センターと連携した譲渡会を主催し、センター収容中から団体を通じて譲渡が推進できるよう協力しました。また、治療が必要な犬を団体の提携動物病院などに搬送し、治療を実施しました。提携動物病院はセンターでの治療について技術的な助言を行うとともに、収容中の治療カルテの情報提供をセンターから受け、継続して治療などを実施しました。
- 結果・評価)
様々な団体等とセンター収容中からできることを効果的に連携したことで、多くの犬が譲渡できました。特に預かり先が少ない中型犬や老犬は、現在も情報の発信や譲渡会への参加を実施しており、中長期的な対応が必要ですが、少しずつ確実に譲渡を実施しています。
当市は団体やボランティアとの連携が非常に強く、個人ボランティアの層も厚いため、現状のように効果を発揮出来ていると思われます。また、治療の面で対応が難しい場合も、協力頂ける病院に健康状態や治療などの技術的な支援を頂き、譲渡に向け、犬の健康状態を向上させることが可能となりました。収容犬の的確な把握と福祉の向上は、ストレスマネジメントにつながり、譲渡先が少ない現状で長期の収容になっても犬の行動が悪化することは少ないと思われるので、センターでできうる限りの福祉向上に向けた取り組みを実施すべきと考えます。また、噛むなどで相談のあった事例の多くは、いわゆる噛み犬ではなく改善できる場合が多いため、プロのインストラクターに相談することも重要です。
施設名(自治体名) | 川崎市 |
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タイトル | 猫(特に離乳前の仔猫)の譲渡推進のための取組み |
取組みの主体 | 川崎市(健康福祉局健康安全部動物愛護センター(センター)・区役所保健福祉センター衛生課(区役所)) |
連携した団体等 | 動物愛護団体(団体)とその提携動物病院、かわさき犬・猫愛護ボランティア(ボランティア) |
具体的な取り組み内容
- 背景)
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収容動物の殺処分数の大部分が離乳前の仔猫であったため、特に離乳前の仔猫の生存率を上げ、譲渡を推進するために団体やボランティアと連携し、殺処分数減少に取り組みました。
- 内容)
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<センター>
センターから団体へ譲渡するまでの間、センターで可能な限り、離乳前の仔猫を生存させる手法を確立しました。また、引取りの窓口となる区役所からセンターへ収容されるまでの間の管理(保温やブドウ糖液の投与)や搬送の方法も徹底しました。譲渡先での逸走防止や繁殖防止のため、個人に譲渡する際は、必ず譲渡先の調査を行い、センターで早期不妊去勢手術を実施した猫のみ譲渡を行いました。
<ボランティア>
センターに哺乳ボランティアとして登録し、離乳前の仔猫の哺乳を行いました。センター主催の譲渡会への参加やブログ等での情報発信など、独自に譲渡を推進しました。
<団体・団体提携動物病院>
センター収容中の仔猫、また、治療が必要な猫についても状況に応じて譲り受け、個人への譲渡につなげました。また、提携動物病院は収容中の治療カルテの情報提供をセンターから受け、継続して治療などを実施しました。
- 結果・評価)
保健所やセンターでの管理方法を徹底することで離乳前の仔猫の生存率が大幅に上がり、殺処分数の減少につながりました。また、ボランティアや団体との連携により、生存した仔猫が譲渡されやすくなりました。
離乳前の仔猫は全国的に殺処分数の大半を占めていると思われますが、それを減少させるためには団体やボランティアとの連携は不可欠だと思われます。当市は団体やボランティアとの連携が非常に強く、個人ボランティアの層も厚いため現状のようにうまく協力ができていますが、それには団体やボランティアへセンターでは何ができるかを提示し、そのセンターの業務について理解していただくことが必要だと考えます。こういった取組みを実行にうつすための時間的・人材的な余裕がどの自治体も厳しい現状ですが、自治体やボランティア、団体に加えて、国からのサポートが円滑に機能すれば、さらに殺処分数は減少すると思われます。
施設名(自治体名) | 鹿児島県 |
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タイトル | 動物愛護ホームページの情報掲載ページについて |
取組みの主体 | 鹿児島県 |
連携した団体等 | 動物愛護団体等(保護犬猫情報) |
具体的な取り組み内容
- 目的)
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一般の方が保護した迷子犬猫の情報や、やむを得ない事情により飼養できなくなった犬猫の情報を掲載できる場所を作り、返還・譲渡の促進と、引取り頭数の減少を図りました。
- 経緯)
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以前の収容動物等の情報管理は、各保健所や動物管理所のシステムで行われており、詳細な情報を広く住民へ提供することはできませんでした。環境省から収容動物の情報をインターネット等で迅速に提供し、返還、譲渡を促進することが示され、また、県民や動物愛護団体からも同様の声が多数寄せられていたことから、県民が詳細な情報をweb上で確認できるようなシステムを構築しました。
- 内容・方法)
県の動物愛護ホームページに、動物愛護啓発の情報、県で保護している犬猫の情報を掲載すると同時に、一般の方の保護している迷子の犬猫情報、飼い主が飼養できなくなった犬猫及び動物愛護団体等の保護している犬猫の情報等を、写真やコメントなどを加えて掲載しています。
- 結果・成果)
動愛法改正により、相当の事由がない場合、引取りを拒否できることになりましたが、引取りを求める住民に、犬猫の譲渡先を見つける1つの手段として、当ホームページへの掲載を提案し、飼い主本人に譲渡先を探してもらうことで、終生飼養及び繁殖制限等の適正飼養に係る責任を自覚してもらっています。また、犬猫の保護を行っているボランティア団体等が譲渡先を探す手段としている事例もあります。
- 評価)
幼齢犬、猫の引取り依頼があった場合でも、飼い主が離乳まで飼育継続すると同時に、当該ページに掲載を行う事で、離乳時点で譲渡先が決まっている場合も多く、引取り数の減少につながっています。また、迷子の犬猫及びボランティア団体等の保護犬猫情報も写真付きで提供することにより、返還・譲渡が促進されています。
- 課題)
原則、掲載依頼による譲渡は、譲渡者と譲り受け者の個人間で行われていますが、飼養者の個人情報をホームページには公開できないため、県の保健所もしくは、動物愛護センターが、連絡の仲介を行っています。現在のところ、問題は発生していませんが、個人間でのトラブル発生の懸念があります。
取組み内容の紹介等関連HP
施設名(自治体名) | 大分市保健所 |
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タイトル | 保護収容犬の返還率を向上させるための取組みとその波及効果による殺処分数の減少 |
取組みの主体 | 大分市 |
具体的な取り組み内容
- 背景)
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大分市が保護収容する犬の多くは、首輪が装着され飼い主がいるにも関わらず、返還できず殺処分されていました。その理由として、犬が行方不明になった場合、保健所に届け出ることを知らない方が多く、収容犬が自分の飼い犬であるか確認することも容易でないという点があげられました。
- 内容)
-
そこで、対策として、まずは大分市役所HP内に「犬の保護収容情報」を掲載するようにしました。さらに、返還された犬のコメント欄には、「どのような経緯で逃走したか」、「今後どのような具体的な対策をとるべきか」を掲載し、返還犬の飼い主だけでなくHPを見る多くの飼い主に向けて逸走防止対策や犬鑑札・狂犬病予防注射済票の装着、迅速な不明届出について啓発しています。また、インターネットを利用していない方々に対しては、市報や広報車、電話対応時等により上記の啓発を続けています。
- 結果)
この結果、収容犬返還率が平成20年度の約33%から平成25年度は54%になりました。返還率が向上した波及効果として、犬の抑留施設に空間的な余裕が生まれ、譲渡候補の収容犬にあまりストレスをかけることなく収容期間を延長することができるようになり、さらにボランティアの方々の協力もあって譲渡率も向上し、その結果犬の殺処分数は平成20年度の356頭から平成25年度46頭まで減少しました。
取組み内容の紹介等関連HP
大分市ホームページ「犬の保護収容情報(大分市内)についてお知らせします」(外部サイトへリンクします)
施設名(自治体名) | 岐阜市 |
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タイトル | 犬及び猫の一時預かり依頼事業 |
取組みの主体 | 岐阜市 |
連携した団体等 | ボランティア |
具体的な取り組み内容
保健所の収容能力が限界に達した場合や、離乳を終えていない等、保健所での収容が困難な犬猫について、受託者(ボランティア等)に一時預かりを依頼し、譲渡の機会の拡大や被災時の保護能力の拡大を図ることを目的としています。
- 経緯)
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岐阜市では、平成12年度から、ボランティアと協働での譲渡の推進を開始しています。協働で譲渡を推進する過程で、離乳を終えていない等譲渡が困難な犬や猫についても譲渡の機会を与えたいとの意見が出ました。実際、離乳前の犬や猫(特に猫)が保健所で収容される事例が多かったため、平成13年度10月から、この事業を開始しました。
- 内容)
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事前に登録してある受託者に保健所で収容が困難な犬猫を預かって頂きます。1頭(1匹)1泊あたり、300円(最大20泊)の謝礼金を支払っています。
- 結果)
犬猫の殺処分数は減少しており、効果は認められています。
- 考察)
保健所の収容能力及び飼養能力には限りがあるため、ボランティアとの連携であるこの事業は有意義なことと考えています。
施設名(自治体名) | 岐阜県 |
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タイトル | [獣医師会協力事業]保健所で譲渡する犬猫の健康診断 |
取組みの主体 | 岐阜県 |
連携した団体等 | (公社)岐阜県獣医師会 |
具体的な取り組み内容
- 目的)
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保健所等から譲り渡した犬猫の新たな飼い主が、犬猫の健康状態を把握し終生適正飼養することを目的として、(公社)岐阜県獣医師会の開業獣医師に一定項目について、無料で健康診断を実施していただいています。
- 内容)
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保健所から犬猫を譲渡する際に、新たな飼い主に保健所からの紹介状と協力動物病院のリストを渡し、健康診断を促します。健康診断を実施した開業獣医師は、譲渡犬猫の健康状態を紹介保健所に情報提供します。無料健康診断項目は視診、触診、聴診、検便、体温・体重測定です。
- 結果・成果)
犬猫を譲り受けた新たな飼い主が、飼養開始後に動物病院を受診することにより、犬猫の健康状態を把握するだけでなく、専門的知識を持った開業獣医師と飼養に関する相談をすることもでき、終生適正飼養へつなげることができています。また、保健所では、犬猫の性格及び視診により譲渡適性判断を行っていますが、譲渡犬猫の詳しい健康状態を知ることにより、迅速に保健所収容施設内での感染症防止対策をとることができます。
施設名(自治体名) | 名古屋市、岡崎市 |
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タイトル | 名古屋市と岡崎市の広域譲渡について |
取組みの主体 | 名古屋市、岡崎市 |
具体的な取り組み内容
自治体により野良犬の有無があり、野良犬がいない自治体は、子犬の収容頭数が少なく、野良犬がいる自治体は子犬の収容頭数が多いという地域差があります。 以前、2度にわたり岡崎市から名古屋市に子犬を譲渡しました。詳細は下記のとおりです。
- 経緯及び内容)
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平成20年度及び平成24年度に、岡崎市動物総合センターにて、子犬の収容頭数が多く、譲渡希望者が少なく、譲渡ができない子犬が多くいました。名古屋市動物愛護センターでは、子犬の収容頭数が少ないということを聞いたことがあったため、岡崎市より名古屋市に子犬の受入れを打診し、譲渡の運びとなりました。
- 結果)
平成20年度は約3ヶ月から1才齢の子犬10頭、平成24年度は約3ヶ月齢の子犬9頭を、岡崎市から名古屋市へ譲渡しました。子犬には、検便、駆虫薬投与、ノミ・ダニ駆除、5種混合ワクチン接種、マイクロチップの装着を行いました。
- 考察)
今後、どのような形で広域譲渡ができるのかを検討していく必要があると思われます。
(上)名古屋市動物愛護センター/
(下)岡崎市動物総合センター
施設名(自治体名) | 京都市 |
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タイトル | 子猫の一時預りボランティアの募集 |
取組みの主体 | 京都市(京都府と共同で実施) |
連携した団体等 | 京都府(京都府と共同で実施) |
具体的な取り組み内容
京都市では、京都府と共同で設置した「京都動物愛護センター」(愛称:「動物愛ランド・京都」)において、いまだ殺処分が多い猫の譲渡事業を推進します。その一環として、本市では、産まれて間もない子猫を自宅で一時的に預かり、一般への譲渡が可能となる月齢まで飼育していただく「子猫の一時預り在宅ボランティア」を募集しています。
- 活動内容等)
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1 子猫を預かる
センターから子猫(約1箇月齢)を預かり、約2箇月齢になるまで自宅で飼う。
2 定期検診の受診
預かった子猫には、センターが行う2週間ごとの定期検診(ワクチン接種、寄生虫検査など。)を受診させる。
3 センターへの返還
約2箇月齢になった子猫をセンターに返還する。
※ 子猫をお預かりいただく際には、センターから飼養キット(エサ等)を提供します。
※ お預かりいただいた子猫が病気を発症した際には、センターに返還していただきます。
※ 約2箇月齢までお預かりいただいた子猫は、センターに返還後、最後まで愛情と責任を持って飼っていただける方を府市一体となって広域的に募集し、譲渡します。
取組み内容の紹介等関連HP
子猫の一時預り在宅ボランティアの募集について(外部サイトへリンクします)
募集チラシ
活動の流れ
施設名(自治体名) | 新潟市 |
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タイトル | 動物ふれあいセンターと連携した譲渡の推進 |
取組みの主体 | 新潟市(動物愛護センター) |
連携した団体等 | 指定管理者(動物ふれあいセンター) |
具体的な取り組み内容
譲渡の推進を図るため、動物ふれあいセンターと連携し、譲渡事業を実施しています。
- 経緯)
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動物愛護センター(保健所)が移転新築する際、動物とのふれあいを通じて思いやりややさしい心を育み、動物への理解を深め、人と動物の関わりを学ぶ「動物ふれあいセンター」が併設されました。動物ふれあいセンターには、アルパカをはじめ、カピバラ、ひつじ、ヤギなどが飼育されており、ふれあい体験ができることから多くの方が来場します。この動物ふれあいセンターの中に譲渡動物を展示すれば、たくさんの方の目に触れることになり、譲渡の推進が図られることが期待できることから、平成25年度から連携して実施しています。
- 内容)
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動物愛護センター(保健所)に保護収容された犬猫のうち、健康管理、性格判断を終え、譲渡対象となった犬猫が、動物ふれあいセンターで展示されます。実際に家庭に迎え入れた際のイメージがしやすいよう、また、一般家庭の雰囲気に近い環境に慣れるよう、ソファやテーブルが置いてある部屋で展示しています。成猫とは、譲渡事業のお見合い時以外にも、イベントを通してふれあうことができます。
- 結果)
動物ふれあいセンターには、年間30万人を超えるお客様が来場し、多くの方に見ていただいています。平成26年度は犬54頭、猫145頭を譲渡しました。指定管理者のスタッフには、しつけインストラクター、動物看護師、グルーマーなどの専門スタッフがおり、新しい飼い主が決まるまで、犬猫の行動、健康、美容のケアが行えることや、譲渡後の飼育アドバイスのほか、譲渡動物の紹介DVDの作成、犬には毎日の散歩やドッグランを利用した運動、日光浴によるストレスの管理ができるなど、様々なメリットがあります。
- 考察)
展示部屋での様子は、見る人によっては「きれいな部屋で飼育されている幸せそうな犬猫」に見え、「保健所に保護収容された犬猫」との認識のないまま、新しい飼い主になっている方もいると思われます。今後は、保健所に保護された事実をさらに伝えていくとともに、高齢や人慣れしない性格などにより譲渡困難な犬猫についても、新しい飼い主に希望していただけるように、展示や広報の工夫をしていきます。
- 総括)
殺処分を減らすには、譲渡推進のほかにも、引取り数を減らすことが必要です。所有者からの引取りの再考を促したり、飼い主のいない猫への不妊手術費用の助成など、多様な方策に取り組んでいきます。
取組み内容の紹介等関連HP
新潟市ホームページ「犬・猫の譲渡制度」(外部サイトへリンクします)