平成29年度環境省政策評価委員会 第2回議事録要旨

  1. 日時:平成29年8月24日(木)10:01~11:36
  2. 場所:環境省 第1会議室
  3. 出席者
    委員
    (委員長)
    須藤 隆一

    東北大学大学院工学研究科客員教授
    井村 秀文 横浜市立大学特任教授
    大塚  直 早稲田大学法学部教授
    河野 正男 横浜国立大学名誉教授
    崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
    藤井 絢子 特定非営利活動法人 菜の花プロジェクトネットワーク代表
    細田 衛士 慶應義塾大学経済学部教授
    三橋 規宏 千葉商科大学名誉教授
    百瀬 則子 ユニー株式会社 上席執行役員 CSR部長
    山本 良一 東京大学名誉教授
    鷲谷いづみ 鷲谷いづみ
    事務局(大臣官房)
    米谷審議官、上田秘書課長、白石総務課長、大森会計課長、松本総合政策課長、他
    環境省各局部
    中尾環境保健企画管理課長(環境保健部)、角倉総務課長(地球環境局)、廣木総務課長(水・大気環境局)、永島総務課長(自然環境局)、和田総務課長(環境再生・資源循環局)
  4. 議題
    (1)平成28年度環境省政策評価書(事後評価)(案)について
    (2)その他
  5. 配布資料
  6. 議事録要旨

〔議事録要旨〕

午前10時01分 開会

【事務局】
おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから平成29年度第2回環境省政策評価委員会を開催いたします。
私、8月3日付で政策評価室長に着任いたしました、吉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは冒頭、米谷審議官から御挨拶をお願いします。
【米谷審議官】
先生方、おはようございます。今日は、大変お忙しいところ、今年度の第2回環境省の政策評価委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
前回の委員会におきましては、委員の皆様から貴重な御意見、御助言を賜り、誠にありがとうございました。委員の皆様からいただいた御意見を踏まえて、関係部局において事後評価書の修正を行ったところでございます。本日の委員会では、修正いたしました事後評価書の案について御説明を申し上げますので、内容を御確認いただき、おまとめいただければと思っております。
さて、前回以降、8月3日に内閣改造がございまして、大臣以下、政務が環境省交代しております。新たに中川大臣、とかしき副大臣、笹川大臣政務官、武部大臣政務官をお迎えしたところでございます。伊藤副大臣は、引き続きということであります。
中川大臣のもと、新たな体制で各種の政策課題に取り組んでまいりたいと考えております。委員の皆様におかれましても、引き続き御指導いただきますことをお願い申し上げます。本日も、よろしくお願いいたします。
【事務局】
本日は、全ての委員、11人の委員の方全てに御出席ということで御連絡いただいております。大塚委員のみは、ちょっと数分遅れるということで御連絡をいただいております。ありがとうございます。
引き続きまして、環境省側ですけれども、米谷審議官、それから部局の総括課長、それから官房課長が出席ということでございます。
お配りしております資料について、御確認をお願いしたいと思います。
配付資料一覧がございますが、資料1、第1回政策評価委員会における主な意見と対応及び平成28年度施策に関する事後評価書(案)でございます。資料2といたしまして、平成28年度施策に関する事後評価書(案)でございます。それから、資料3といたしまして、平成28年度施策に関する事後評価書。すみません、先ほどの資料2は(通常評価対象施策)、資料3は(モニタリング評価対象施策)ということでございます。それから、資料4といたしまして、
平成29年度実施施策に係る事前分析表(案)。それから、参考資料といたしまして、政策評価に関する予定でございます。
それから、追加で、資料番号等付しておりませんが、生物多様性、自然環境局のほうから追加でちょっと配付をさせていただいているものが置いてあると思います。
いずれもちょっと字が小さくて、大変申し訳ございませんけれども、御容赦いただきたいと思います。
不足がございましたら、事務局までお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
須藤委員長に以降の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【須藤委員長】
かしこまりました。
委員の先生方、どうもおはようございます。大変暑い中を、また御多用の中を、早朝からお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
前回の委員会で議論されたことについて、評価書の修正等を迅速にやっていただきましたことを、各局の皆さんにお礼を申し上げておきたいと思います。
それでは、議事に入ります。
通常評価の対象となっている施策について、前回、委員の皆様からいただきました意見とその対応方針について、施策ごとに説明をいただきます。この前と同じような順番でまいります。
まず施策1、地球温暖化対策の推進について、地球環境局より説明を願います。
【地球環境局】
地球環境局で総務課長をしております角倉と申します。本日は、どうかよろしくお願いいたします。
座って御説明をさせていただきます。
お手元の資料のうち、資料1に沿いまして御説明をさせていただきたいと存じます。
資料1のところですけれども、資料1の一番最初のところに、1枚おめくりいただいた部分ですけれども、第1回政策評価委員会における各委員の御発言と各部局の対応整理表というのがついているかと存じます。これに沿いまして御説明させていただきたいと存じます。
まず、地球環境局部分、地球環境関係部分でございますけれども、前回、先生方から多数貴重な御意見をいただいたところでございます。改めて御礼申し上げたいと思います。
まず、いただきました御指摘のうち、山本先生からいただいた御指摘の部分を御紹介させていただきますと、ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、いただいた御発言といたしまして、「気候変動への影響への適応策の推進」について、これは施策番号でいくと1-3になりますけれども、これにつきまして、最近では、平成29年の九州北部豪雨、あと荒川での場合等々を鑑みれば、これは現実に起こり得る話であると。他方、オーストラリアのメルボルンでは、「Climate Emergency Plan」が策定されているなど、危機意識が高い。我が国も、単に「適応計画の推進」と、こういう記述だけでは危機感がないので、もっと切実さがわかるように記載を工夫すべきであると。このような御指摘を賜ったところでございます。
これに関連してでございますが、上から四つ目の四角のところですけれども、鷲谷先生からいただいた御指摘の部分でございます。気候変動に関わることは、あることが起こると、さらにそれが加速されるという現象がたくさんあると。適応策の頻繁なアップデートが必要。現実をしっかり分析・評価して、さらに科学的知見も最新のものを加えてアップデートしていくことが必要。適応策に関しては、国内とか地域で政策をつくって実践できるので、そういう意味では人々を守るためには適応策はもっと重視すべきであると。このような御指摘をいただいたところでございます。
具体的な修正部分でございますけれども、施策名、目標1-3、気候変動の影響への適応策の推進のシート、右肩に(環境省28-③)と書いてあるのを御覧いただけますでしょうか。こちらのシートのうち、2ページ目と申しますか、このシートの1枚目の裏面のほうを御覧いただけますでしょうか。赤字で修正箇所を書いてございます。ここのところで、御指摘を踏まえて、より厚目に記述を見直したところでございます。
赤字の部分を読み上げさせていただきますと、「我が国においても、気温の上昇や大雨の頻度の増加、海面水温の上昇等が現れており、集中豪雨などの極端な気象現象による災害の激甚化や高温による農作物の品質低下、動植物の分布域の変化など、気候変動の影響が既に顕在化している。今後地球温暖化の進行によって、こうした極端な気象現象はますます頻発し、影響は深刻化すると言われている。これらの気候変動の影響による被害を回避・軽減するための対策を講じることが急務であることから、関係府省庁と連携し、以下のような気候変動の影響への適応策を推進する」と。
そこの中で、一つ目といたしまして、「適応策の推進のための法的措置を検討する」と。このように記載をさせていただいたところでございます。さらに、その二つ下のところですけれども、「定期的に最新の知見を収集して気候変動影響評価を実施し、それに基づき適応計画の見直しを行う」と。このような記載に改めたところでございまして、前回の「適応計画を推進する」という記述からは、さらに厚く踏み込んだ形で、御指摘を踏まえて修正をさせていただいたところでございます。
また、1枚紙の各委員の御発言と対応の整理表の紙を御覧いただければと存じます。
その次にいただきました御指摘として、2段目のところでございますけれども、大塚先生からいただいた御指摘として、温室効果ガスの総排出量が減ってきていると。これは大変いいことだと思っているけれども、これについては、今後、石炭火力が増えたりする可能性とか、そういうことも含めて、現在、どうしてCO2排出量、温室効果ガスの排出量が減っていて、今後どうなりそうなのか、そうした見通しをしっかり書いたほうがいいのではないかという御意見。
さらに、温室効果ガスの総排出量の件につきまして、総排出量が急速に削減していること、この分析もしっかり書いてほしいと。こうした御指摘も委員の先生方からいただいたところでございます。
さらに、その下の段のところでございますけれども、ここのところでは、今後、石炭火力が増えるということの見通し、さらに、分析についてしっかり書くということについて、減りそうだというトレンドに加えて、どういうところが難しいのかと。今後、本当にこのまま減っていくのかどうか、両面からしっかり分析結果を記載するようにと。そのような御指摘をいただいたところでございます。
これを踏まえまして、修正させていただきましたのは、別紙2の右肩に(環境省28-①)と書いてある部分、目標1-1のシートを御覧いただけますでしょうか。これの1枚目の裏面、2ページ目を御覧いただけますでしょうか。そこの赤字の部分で記載を厚目に修正させていただいたところでございます。字が大変小さくて恐縮でございますので、読み上げさせていただきます。「近年温室効果ガス排出量は増加傾向にあったが、2014年度、2015年度は2年連続の減少となった。主な減少要因としては、省エネルギーの進展(最終エネルギー消費量が2011年度以降減少傾向)や冷夏・暖冬等に伴う電力消費量の減少や、電力の排出原単位の改善(再生可能エネルギーの導入拡大や原発の再稼働等)に伴う電力由来のCO2排出量の減少により、エネルギー起源のCO2緋出量が減少したことなど」が要因としては挙げられると。「一方で、2030年度の2013年度比26%削減目標を達成するためには、再生可能エネルギーの一層の普及・拡大が必要である。また、石炭火力発電からの二酸化炭素排出量については、2015年度の排出量は、2030年度のエネルギーミックスにおける排出量を既に上回っている状況であり、石炭火力発電からの排出の抑制が求められている。2030年度の2013年度比26%減、さらには2050年までに80%削減という長期目標の達成に向け、さらなる継続的努力が必要である」。このように書かせていただいたところでございます。
続きまして、また1枚紙の各委員の御発言とそれへの対応の整理表を御覧いただけますでしょうか。
そこの一番下の欄のところでございます。前回いただいた御指摘といたしまして、国民の意識を変えていくとか、変えようと思っても、なかなか変わらないものがあるのかもしれないけれども、そういうことについての指標というのを立てる必要があるのではないか、これについて検討をするようにと、こういう御指摘をいただいたところでございます。
これにつきましても、別紙2の右肩(環境省28-①)と書いてある資料、施策名は目標1-1の部分でございます。この1枚目のところの1ページ目のところに測定指標が書いてございます。今までは、ここのところは温室効果ガスの総排出量、それから各部門ごとの排出量、この数値を記載させていただいていたところでございますけれども、これに加えまして、一番下でございます。「COOL CHOICE」の賛同者数、これについて、新しく測定指標として追加をさせていただいたところでございます。
「COOL CHOICE」につきましては、昨年度から環境省は大々的な国民運動を展開するということで、普及啓発活動として行っているものでございますが、これにつきまして、賛同者につきましては登録いただくという取組を進めております。登録いただいた方につきましては、メール等を通じまして、さまざまな普及啓発に関わる情報提供等、これを展開しているところでございますが、これについての目標値を設定し、28年度の数字も記載させていただいております。
すみません。目標値の部分、誤植が1カ所ございまして、30年度、600万人と書いてございますが、これは「32年度」の間違いでございます。具体的には、これは2020年度の目標として設定しているものでございます。目標値といたしましては、600万人という目標を掲げてございます。28年度時点で現在214万人、この登録をいただいているところでございます。
前回の御指摘を受けました地球環境関係の部分の主な修正箇所、以上でございます。
では、引き続き御指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
【須藤委員長】
どうも、地球環境局、ありがとうございました。
それでは、一つ一つ御質問をいただいて、さらに御意見があれば対応していただくということにいきたいと思いますので、名札をどうぞ、もし今の御説明で御意見があれば立てていただけますでしょうか。順番にまいりたいと思います。今の御説明の、地球環境局の御説明で、何かさらに御質問なり御意見があれば、名札を立てていただきたいと思います。先生方、よろしいのかな。
じゃあ、百瀬先生、前回、御意見をいただいていないから、前回分も含めてお願いいたします。
【百瀬委員】
申し訳ございません。前回は欠席でございました。
この中に、代替フロンなどの排出量というのと、それから年度ごとの目標値がございます。代替フロンの排出元が事業者の冷蔵庫、冷凍庫、空調設備だということが、私どもの企業でも、排出者でありますので、非常に大きな問題として捉えております。
ただ、現在設置している機材を取り替えないと、今入っているガスを吸収することはできないんですね。以前から補助金制度などがあったんですけども、今さらながら気づいている企業も多うございます。弊社も交えてそうなんですが。現在の法律ですと、漏出量を測定して届けるようにというレベルですけども、多分、私どもの想像で、今後、もう漏出してはいけないと。漏らしてしまった場合には、それに対して何らかの責任をとるようにという形になるであろうという、そういう想像をしておりまして、速やかに機材を取り替えたいと考えているんですが、かなりな量でございます。それこそ弊社でも100億単位の予算を投じなければできないということがわかっています。そのことを踏まえまして、何らかの、国としてさらなる補助金ですとか、そういったことをしていただけると、速やかに機材の変更ができるんですけども、その辺りのことはどうなんでしょうか。すみません。
【須藤委員長】
ほかに、地球環境局。
あ、先生。じゃあ、まとめてからまいりますので。じゃあ、崎田先生からどうぞ。
【崎田委員】
今、フロンの御発言がありましたが、私、前回の会議で、フロン類がやはり非常に、CO2が減っているけれども、やはりこの部分が増えているということが非常に課題で、この記載ぶりで十分かどうかというちょっと発言をさせていただきましたが、一応、今回のお答えには一切書いていませんので。そういう問題意識は明確にしておいていただいたほうがありがたい。
【須藤委員長】
この前、先生がおっしゃっていましたよね。そのことについての対応が不十分だったかもしれませんね。
ほかの委員の先生、いいですか、これで、地球環境関係は。
そしたら、今の二つ、フロンの問題について、百瀬先生と崎田先生から質問がありましたので、その問題について、地球環境局から、ここで答えられる範囲でまずは、はい。
【地球環境局】
ただいま2点、フロン関係で御指摘をいただきました。
フロン関係につきましては、私ども環境省としても大変重視しているところでございまして、まず最初にいただきました代替フロンへの転換を進める上で、代替フロンというか、今のフロンから、より地球温暖化係数、それからオゾン層破壊係数が低いものに変えていくということで、環境省では、補助制度といたしまして、自然冷媒に転換する場合について、これについて自然冷媒補助金というものを展開しているところでございます。正確な数字、覚えておりませんが、大体60億円程度の現在予算規模で、エネルギー特別会計の補助制度として設けているところでございまして、これにつきましては、大変御要望が強いところがございますので、さらに、その拡充について、現在検討を進めているところでございます。来年の概算要求に向けまして、現在、詰めの検討作業を進めているところでございます。御指摘も踏まえまして、さらにどういったことが可能かどうか、そこはしっかり検討をしてまいりたいと思っております。
それから、もう二点目いただきました、現在の政策評価書の中で、フロン対策の扱いが薄いのではないかと。こうした御指摘の部分につきましては、実は今回の詳細評価の対象ではございませんが、モニタリング評価対象施策という、資料3の中で、オゾン層の保護・回復という形で。
もう一個のほうで記載をさせていただいているところでございます。これにつきましても、御覧いただきまして、さらにここの部分が足りないとか、もっとこういう記載をすべきであるとか、そういう御意見をいただきましたら、それを踏まえまして、また内容等について見直し・検討をさせていただきたいと思いますので、もしありましたら、御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【須藤委員長】
崎田先生、モニタリング評価のところは、この間も時間がなくて、全く素通りしちゃっていますし、今日も取り上げる時間が多分ないと思いますので、御意見が、もし、それを読んでいただいて、あったら、今のもう一個のほうの地球環境問題のフロンのところの問題について、御意見があれば出していただきたいと思います。
それでは、よろしいでしょうか。
百瀬先生のは、100%回答したかどうか、ちょっと疑問だけども、そういう制度を今検討しているということですので、引き続きお願いしたいと思います。
それでは、次にまいりたいと思います。次は施策3で、大気・水・土壌環境等の保全についてということで、水・大気環境局から御説明願います。どうぞ。
【水・大気環境局】
水・大気環境局、総務課長の廣木でございます。それでは、今の資料に引き続き、資料1のほうを御覧いただければと思います。
まず、地球環境問題、すぐ直後に、また同じように第1回政策評価委員会における各委員の発言と各部局の対応整理表という、これは水・大気環境局分がございますので、それに基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、前回の委員会で、藤井委員のほうから4点御指摘をいただいたところでございます。
まず1点目でございますけれども、琵琶湖を初めとする湖沼の取組をもっと重視していただきたい。ここは、要は湖沼のところについて、特に環境基準を満たすということですが、こちらはさらっと説明させていただいたところでございますけど、そんなさらっと言ってもらっては困ると。もっとちゃんと位置づけるべきではないかという御指摘だったと思っています。
その観点で言いますと、政策評価書の目標3-3の水環境の保全のところを御覧いただきたいと思うんですけれども、もともとの評価結果のところには、湖沼の水質保全対策についての記述が実は全くございませんでした。このこと自身が、やはりちょっと問題であると。もともと指標のところに、公共用水域の水質環境基準の達成率というところで湖沼というのはあるんですけれども、ただ、明確な湖沼についての政策を書くという構造になっていなかったものですから、そこをまずしっかり書かせていただくということが先決だろうと思いましたので、ちょっと読み上げさせていただきますと、「湖沼の水質保全対策については、平成28年3月に導入した環境基準等(底層溶存酸素量、沿岸透明度)の活用が図られるよう、まず琵琶湖において底層溶存酸素量の類型指定案の検討を進めるとともに、底層溶存酸素量等の設定に伴う運用と対策に関する地方公共団体向けの手引きの作成を進める」という記述を書かせていただきました。
いずれにしても、環境基準の中では達成率が最も低いのは湖沼でございますので、湖沼対策は今まで以上に力を入れていかないと、という、特に今回は低層の溶存酸素量とか沿岸透明度の指標を導入させていただいたほうが、やっぱりこの問題を改善するというのが大きな目的でございますので、そこをしっかり進めていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、2点目でございますけれども、特に地下水の関係でございますが、水循環基本法の関係で、地下水について、特に水質と水源も含めた水循環の視点を入れるべきではないかという御指摘をいただいたところでございます。
これもまさに当を得た御指摘であろうと考えておりますので、これにつきましても、目標3-3の部分の説明をちょっと変えさせていただいたところでございます。ここもちょっと読み上げさせていただきますと、「地下水については」というところで書いてございますけど、特に赤字から説明させていただきますと、「また、水循環基本計画に基づく、地下水マネジメントを推進するため、水循環政策本部事務局と連携し、健全な水循環の確保に向けた取組を推進する」という、地下水のマネジメントの記述を書かせていただいたところでございます。
それから、3点目なんですけれども、これは施策3-6に関わる部分でございまして、いわゆる放射性物質のモニタリングの話なんでございますけれども、これにつきまして、放射性物質の土壌への影響、特に農用地における土壌汚染についても記載すべきではないかという話をいただいたところでございます。
これにつきましては、第1回のときにも、ちょっと、なかなか難しいのではないかという話をさせていただいたところでございますけれども、これはもう藤井委員も先刻御承知のとおりとは思いますが、放射性物質の土壌への影響につきましては、いわゆる政府の総合モニタリング計画の中で分担が決まっていて、特に農地土壌に関しましては農林水産省さんのほうで測定をしていると。これは福島の384地点で測定をして、その測定結果を取りまとめるとともに、農地土壌の放射性濃度分布図を作成し、公表しているというふうなことがございます。私どもは、やっぱりこの御指摘は十分理解しているつもりですけれども、他方、やっぱりこの政策評価書、環境省の政策評価ということでございますので、恐縮ですけど、今回の評価書に関しましては、従前どおりとさせていただくとともに、また、このモニタリングについては、環境省としてできることをしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、4点目はマイクロプラスチックの関係でございますけど、これは大塚委員の御指摘のこともございますので、それとあわせて御説明をさせていただきたいと思います。
これに関しまして、まず、大塚委員のほうから、マイクロプラスチックについて、指標化について前向きな記述ができないかというふうな御指摘をいただいたところでございます。
この問題、特にマイクロプラスチックについては、非常にやはり私どもも問題意識を持っておりまして、指標化というのも、簡単ではないにしても、それに向けた取組を進めなければならないというのは、まさに御指摘のとおりだというふうに理解しております。そういう観点で、評価書の部分を修正したいというふうに考えておりまして、これも目標3-3の記述をちょっと御覧いただきたいと思いますけれども、マイクロプラスチックに関しては、「引き続き、マイクロプラスチックを含む海洋ごみについて、回収処理・発生抑制、実施把握のための調査研究、国際連携等の取組を推進する。また、海洋ごみの実態把握に係るデータや科学的知見等を踏まえつつ、海洋ごみ対策に係る指標について検討する」ということでございます。いずれにせよ、調査をまずしっかりやっていくということがまず第一でございますので、この指標化というのは、本当に、実は容易なことではないというふうなことは理解しておりますけど、ただ、やはりこの問題の重要性を鑑みると、やはりこの指標化に向けた努力、調査研究というのをしっかり進めていきたいということで、こういう記述に変えさせていただいたところでございます。
また、マイクロプラスチックに関しましては、藤井委員のほうから、湖沼についてもマイクロプラスチックの問題はあるということで、ぜひ、湖沼にも目配りできるような表現をできないかという御指摘をいただきました。
湖沼におけるマイクロプラスチックの実態に関する調査、これについては大学等で研究が今進みつつあるというふうに理解しておりますけれども、正直なところ、まだこれを国として行う調査のレベルにするには、もう少し知見が必要だというふうに考えております。いずれにしましても、情報収集をまずしっかりやっていきまして、このマイクロプラスチック問題の重要性を鑑みた場合、湖沼の問題というのもしっかりフォローしながら今後取組を進めさせていただきたいというふうに考えております。
ただ、政策評価書につきましては、まだ国において湖沼のマイクロプラスチックの調査をやるというレベルにまだ来ておりませんので、今回は従来どおりとさせていただきますけど、いずれにしても、湖沼のマイクロプラスチックの問題もしっかり取り組んでいけるように、十分に情報収集したいと思っております。
それから、最後の御指摘ですけど、これは山本委員のほうから、施策3-4の部分に関しまして御指摘をいただいたところでございます。これは2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の農作物や水産物について、例えばロンドンオリンピックの場合ですと、国際認証に達したものを使うというふうになっていて、東京オリンピック・パラリンピックにおいても、同様に国際認証を取得しているものを採用しようとした場合に、日本の農作物や水産物は国際認証をほとんど取得していないという実態があるじゃないかと。国際認証を取得するためには、土壌汚染ですとか、そういうふうな環境汚染に関する取組ですね、そういったものをしっかりしなければならない状況であるわけですけれども、それについてどういうふうにやっているのかというふうな御指摘をいただいたところでございます。
これについて申し上げますと、まず、農作物・水産物の国際認証を取得するためには、こういった土壌汚染の把握ですとか、環境汚染に対する取組については、本来、農業者自身で実施するというふうなことなんですけれども、ここはまだ十分進んでいないということで、これは農林水産省さんのほうで、今、農作物の国際水準のGood Agricultural Practicesというものの認証の取得のために必要なサポートを今やっているということでございますけど、その中に土壌や水質等の分析調査についても補助をするという制度があるということで、これは昨年度の補正予算で、そういったものの予算が認められたというふうに聞いておりますけれども、そういったものを見守っていきたいと思います。
ただ、いずれにしても、このGood Agricultural Practicesにつきましては、やはり農業者が環境保全をやっていく上で非常に重要な取組であると考えておりますので、これから私どもも農林水産省さんとしっかり連携しながら、こういった取組で環境保全が進められていくことを見守っていきたいというふうに考えているところでございます。
水・大気環境局からは以上です。
【須藤委員長】
どうも水・大気環境局の御説明ありがとうございました。
それでは、同じように、ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
そしたら、井村先生のほうが先だから、井村先生から行きましょう。井村先生、それから、はい。
【井村委員】
ごく簡単です。この修正で、「回収処理・発生抑制、実施把握」と書いてあるんですけど、これでいいんでしょうか。「実態把握」かなと思ったんですけど、違いますか。
【水・大気環境局】
すみません、これは誤字です。もとの「実態把握」でございます。すみません。御指摘ありがとうございます。
【須藤委員長】
そこはよろしいですね。
じゃあ、百瀬先生、どうぞ。
【百瀬委員】
二つあります。二つなんですが、言いたいことは一つなんです。
この中に「国民」というのが入ってこないんですけども、国民に関わるところで、特にマイクロプラスチックの要因の一つに容器包装があると思うんですね。容器包装は、容器包装リサイクル法で自治体が回収してリサイクルをするという形になっているんですが、ただ、国民がポイッと捨てちゃったものが、流れて落っこちて海洋汚染になるというのは結構あると思うんですね。
その辺りのことと、それから、もう一つは農作物の件なんですが、要するにオーガニックの野菜をつくって売ろうとしても、現在、需要があまりない。なぜないかというと、国民があまり知らない。ですから、これはもしかしたら農水省さんのお話になると思うんですけども、少しGAPだとか、それからオーガニックだとかが、もっと国民に知られて、市場ができれば、もっと農作地が増えると思うんですね。今、有機栽培を純粋にやっている農作地は、全農作地の0.3%と言われています。そういった委員会にも、ちょっと地域の委員会に入っているんですが、なぜ増えないのかというと、やはりつくり方が難しいということもあるんですけども、売れないと。要するに虫の食い跡があるようなものは売れないと。なぜ売れないかというと、消費者が理解していないと。ですから、両方ともそうなんですが、消費財に関わるところの何か項目が入ってくる、そして国民も一緒になって、海洋汚染に実は自分たち消費活動・消費生活が関わっているんだということをどこかで知らせてもらったら進むんじゃないかなと思いました。
以上です。
【須藤委員長】
ありがとうございました。
それでは、今の問題、新たな御指摘かと思いますが、どう対応。
ごめんなさい、崎田先生、どうぞ。ごめんなさい。
【崎田委員】
今の関連で。
【須藤委員長】
いいですよ。関連じゃなくてもいいですよ。まとめちゃいますから。
【崎田委員】
実は私も発言させていただこうと思ったのはマイクロプラスチックのところ、循環型社会づくりのところも今過大視して、どういうふうに循環基本計画の中に入れていくかというのも検討課題になっていますので、今後、やはり水環境のところと循環型社会づくりがしっかり連携をしてこの問題に取り組んでいただくことが大事だというふうに思いました。よろしくお願いします。
あと、オリンピック・パラリンピックに関してのお答えとか、いろいろ伺いながら、日本の農業者さんの方は、今、いろいろ関心を持つとオーガニックという話に行くんですけれども、今回のオリパラの場合、持続可能性ということをかなり意識して、全体の労働環境とか、そういうことまで全部含めたものをやっているので、少し、また分野が広がってしまいますけれども、かなり情報提供をしっかりしていただくことが大事なのではないかなというふうに思います。よろしくお願いします。
【須藤委員長】
どうもありがとうございました。
では、細田先生どうぞ。
【細田委員】
前回出られなくて申し訳なかったんですけど、質問。
マイクロプラスチックで、一次マイクロプラスチックのマイクロビーズですけど、単純な質問で、なぜこんなことが規制できないのかというのが一つで、もし規制ができないとしたら、業界が自主的に取り組まれるよう、某化粧品メーカーもマイクロビーズを代替すると書いてありましたけど、それを加速するようなソフト・ロー的なやり方で、業界の自主努力でマイクロビーズをゼロにする、これはもうどうしようもなく悪いものですから、なぜこんなことができないのか、まず規制あるいは自主努力、その辺がどうなっているのかを、ちょっと教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【須藤委員長】
ありがとうございました。
今幾つか問題、マイクロプラスチックも含めて、わかる範囲で。
【水・大気環境局】
それでは、まずマイクロプラスチックの関係からですけれども、すみません、順番が逆になるんですけど、細田委員の今の御指摘に関してなんですけれども、まずマイクロプラスチック、特にマイクロビーズに関しましては、実は今、業界のほうで自主規制は既にやっている状況であります。ただ、これを実際に規制しようとした場合に、データの把握が、やっぱりまだ十分でき切っていないという部分があって、そこをもう少ししっかり調べないと、なかなか規制という段階に行かない。それは先ほどの大塚委員に対する回答の趣旨でもあったわけですけど、まず、その調査をとにかくしっかりやっていって、まず実態把握、そして規制するとした場合、やっぱりちゃんとデータ把握ができないとしようがないですし、またそれによってどのような影響が生じているかということも含めた、その解明をまずはしっかりやっていくことだと思っています。
それから、マイクロプラスチックに関しましては、特に発生源抑制という話がやっぱり重要になってくるという御指摘で、特に国民の皆さんへの啓発をどうするかというふうなことが課題となっています。これは、もちろん海洋ごみの問題というのは、マイクロプラスチックも含めて非常に奥深い問題がございますけれども、これは国会のほうでもいろいろ問題視されている部分があって、いろんな超党派の議員の先生方でも、いろいろな御提言をされているところでございます。そうしたことも含めまして、国民への啓発ということも、その中でしっかり検討していかなきゃならないということで、考えていきたいと思っています。
また、循環基本計画との連携という、あるいはもちろん環境基本計画もそうですけれども、そういったものにもしっかり海洋ごみの問題、連携しながら、しっかり記述が入れられるようにしていきたいし、また実態としても施策を総合的な観点で推進できるようにしていきたいと思っております。
それから、今度は農作物の、いわゆる国際認証に関する話でございますけれども、百瀬委員から御指摘がございました、なかなか、実はオーガニックといっても需要がないではないかというところなんですけど、実際そこが本当にGood Agricultural Practiceに関して、いろいろ実態を何か調べていくと、日本と、また欧州あるいは欧米との消費者の意識の差というのがすごく何か顕著になっているかなというふうな思いを、私はしておりまして、やはり欧米のGood Agricultural Practiceというのは、やはり環境保全にも相当踏み込んだ形で、農業のあり方というのに踏み込んでやって、そういったものが支持されるというふうな実態があります。
ただ、他方、日本の場合には、そういったアプローチではなくて、やはり消費者が受け入れやすいということでそうなっているのかもしれませんけど、食品安全という観点でGood Agricultural Practiceというのもできていますし、ただ、それにもかかわらず、あまり消費者がそれを熱心に求めていないという実態があるというところで、生産者の皆さんがなかなか、それに本腰を入れられない。ただ、今後、国際的に通用する農作物にしていくためには、やはり、特に輸出とか、そういうのを考えた場合には、そういった国際的な基準に合わせたつくり方というのも、多分必要な部分が出てくると思います。
我々もすごく今の御指摘はなかなか、環境省の施策として見て、難しい部分もあるんですけど、ただ、やはりこういった欧米の動向なんかも踏まえながら、いろんな消費者への働きかけを連携して環境保全、特になかなか二つの湖沼の関係でいいますとノンポイントソースの汚染の関係とかも、やっぱり農業の、農業者のそういう自覚とか、そういったギャップというものの中で取り込んでいくことによって解決できる部分もあるかというふうに思っていますので、ちょっとそういったものをいろいろ勉強しながら、農林水産省さんなんかとも連携しながら、できるところを探っていきたいというふうに思っております。
【須藤委員長】
大体よろしいですよね。ただ、今のような問題を今度の評価書の中に書き込めるかどうかは、ちょっとまた別問題ですね。書き込める段階では、まだないですね。
【水・大気環境局】
評価書に書くのは難しいと思いますので、御指摘いただいたことは、今後のちょっと勉強の材料にさせていただければと思っております。
【須藤委員長】
ということで、今後の検討課題の一つとして取り上げておいていただきたいと思います。
それでは、次が、施策の5になります、生物多様性の保全と自然との共生の推進について、自然環境局より御説明願います。どうぞ。
【自然環境局】
自然環境局の永島です。よろしくお願いいたします。
生物多様性については、どういう指標で代表させるかというのが非常に悩ましくて、今現在、認識状況、それから実際の計画数、それからさまざまな指標がございますけど、そういうものをひっくるめて、どれぐらいの進捗であるかということを設定させていただいておりますけれども、非常に役所の悪い面が実は出てしまったと思っていて、そういう指標を設定すると、設定した指標の数字のみ、どういう状況かということを政策評価書の中でも書かせていただいたというのが前回の状況だったと思っております。それに対して、先生方から、もう少し中身はどうなっているのか、わかるようにすべきだという御指摘を全般としてはいただいたと思っておりまして、非常に大切な御意見をいただいたと思っております。
具体的には、いただいた御意見に沿って修正部分を御紹介させていただければと思っておりますけれども、まず崎田委員から、生物多様性の認識の状況につきまして、全体としては認識は上がっていないけれども、企業についてはある程度進んでいる部分もあるのではないか、それから関連いたしまして、井村委員からも、認識状況の中身がわからないので、もう少しブレイクダウンした内容の指標にすべきではないかというような御意見をいただきました。
生物多様性の取組については、生物多様性国家戦略というものをまとめておりまして、そのもとで、ある程度、体系的な指標群をまとめております。それを事務的に、これまでもまとめてきたところでございます。それを今回、別刷りとして、A3の紙ですけれども、配付させていただいております。
こちらを見ていただきますと、認識の状況につきましては、例えば5番の部分ですね、にじゅうまるプロジェクトというのが、事業者がどれぐらい生物多様性に取り組んでいるかということでございまして、これが24年の策定時には151事業者だったのが、28年には400まで伸びているということで、確かに全体の認識とは別に、企業については取組が進んでいるということはございますので、こういった部分を政策評価書の中にも具体的に記載させていただくというふうにしております。
それから二つ目に、崎田委員から、これは外来生物のほうでございますけれども、ヒアリ等の取組については、もう少し明確に位置づけるべきではないかという御意見をいただきまして、5-3の野生生物の保護管理のほうでございますけれども、政策評価書のほうに「ヒアリ等の国内未定着の侵略的外来生物対策については、港湾等の水際における調査を継続するとともに、早期発見・早期防除体制に係る効果的な対応について検討し、取組を進める」ということで記載させていただきました。
それから、大塚委員から、愛知目標の中で特に数値目標が決まっているものがございますけれども、保護区の面積につきましては指標化したほうがいいのではないかという御意見をいただきました。これについても、政策評価の中で個別の目標を取り上げるというのは、なかなかちょっと難しい部分はあるんですけれども、先ほどのA3の紙ですね、これ自体の中に、その指標が入っておりますので、ただ、入ってはいたんですけれども、入っておりまして、1枚めくっていただきますと、裏面にC-1と、裏面の下の部分ですけれども、C-1ということで内陸水域の17%、それから陸域・内陸水域の17%、沿岸域・海域の10%を保全管理するという愛知目標の指標が入っておりまして、それに対応する形で、現在では17%に対応するものとしては20.3%、海域については8.3%ということがございますので、これを紹介する形で政策評価書の中でも取り上げていきたいというふうに思っております。
それから、御指摘事項の裏面にまいりまして、井村委員の2点目の件でございますけれども、都道府県の戦略策定実施体制についても中身が見えてこないということでございました。こちらについては、評価書の2ページ目を見ていただきますと、上から中段の辺りですけれども、地域戦略については策定自治体、自らが目標や指標を設定し、進捗の管理を行うものであるけれども、国家戦略において地域戦略を生物多様性の主流化を進めるための主要な手段として位置づけていること及び多くの都道府県で策定されていることを踏まえ、環境省では2016年度に策定済みの地域戦略を対象に調査を実施しまして、目標の設定状況や施策の動向、特徴について取りまとめ、公表している。具体的には生物多様性地域戦略レビューというものでございますけれども、これをホームページにも載せておりますので、これを紹介する形で、中身が見えるようにしていきたいと考えております。
それから最後に、井村委員から、たくさんの関連指標の改善状況も一まとめにされているので具体的な中身が見えてこないという部分については、先ほどのA3のものをまとめておりますので、今までは環境白書、生物多様性白書などで、この内容を紹介しておりましたけれども、それとは別に、せっかく国家戦略に基づく指標群を取りまとめておりますので、この指標の取組状況の結果自体を環境省のホームページに、改めて、今回の御指摘も踏まえて、掲載いたしまして、さらにそれを、政策評価書の中でもURLを記載するという形で、むしろ政策評価を通じて生物多様性の取組の普及を積極的に図っていくという観点から、改善を図っていきたいというふうに思っております。
それから、前回の委員会では、このほかにも個別事項として、例えばジビエなどの取組についても御指摘をいただいたと承知しておりまして、ちょっと政策評価書の中で反映する形にはできておりませんけれども、例えばジビエについては官房長官をヘッドとする関係省庁会議を開いたりして取組を進めておりますので、そういった部分についても、さまざまな形で周知を図っていきたいと思っております。
説明は以上でございます。
【須藤委員長】
どうも御説明ありがとうございました。
さらに今の御説明に対して御意見はございますでしょうか。山本先生だけでいいですか。
では山本先生、続いて鷲谷先生、それから細田先生ですね、まいりましょう、順番に。
【山本委員】
評価のほうは、これで私は結構だと思うんですが、来年度以降ちょっと参考にしていただきたいと思って、発言させていただきます。
私は生物多様性が専門ではないんですけれども、要するに国際社会でどういう議論が行われているかということが十分評価に反映されていないんじゃないかという心配があって、発言するわけです。
一つは、海洋生態系の問題ですが、御存じのように、地球温暖化と同じように深刻なのは、二酸化炭素が海洋に吸収されて酸性化が進行していると。これで海洋生態系が大変な、深刻な影響を受けているということで。要するに、海洋生態系の学者がモナコ宣言という宣言を発表しているわけですよね。ですから、そういう科学者集団が、そういう宣言をして警告していると。それにどう答えているか、政策のほうが。
それから、もう一つ、もっと深刻なのは、2015年に、私の記憶ではアメリカの科学者が中心、生物学者が中心になって、500名の科学者が署名して、要するに生態系の豊かさを、このままでは2、30年で現在の豊かさが大変な危機にさらされてしまうという、そういうレポートを出して、これはカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事が中心になって、カリフォルニア大学の研究グループが中心でまとめた報告書ですが、大変大きな反響を呼んで、結論は、2025年に地球生態系のティッピング・ポイントが来ると。だから、地球生態系全体にティッピング・ポイントがあるかどうかは今、激しい論争が繰り広げられているわけですが、そのレポートがもとになって、パリ協定の調印ができたという、そういう解説もあって。ですから、私のような専門外の人間が見たときに、だから2025年に人類が雪や氷に覆われていない世界の土地の50%を支配するようになって、そのときが恐らくティッピング・ポイントではないかと、古生物学者を中心に、考えているわけですね。
ですから、この評価を見ると、全く国際的な動向に関心がなくて、淡々と評価されているような印象を受けるんですが、ぜひ、膨大な科学者集団が大変深刻な危機だと言っているわけですから、そのことも踏まえて、来年度以降、評価を一つお願いしたい。
以上です。
【須藤委員長】
ありがとうございました。
それでは鷲谷先生。
【鷲谷委員】
赤字で加わった部分なんですけれども、生物多様性保全のための政策の策定及び必要な情報の収集の2パラグラフに、我が国の国別目標の関連指標は改善傾向にあるという表現があるんですけれども、何かこれだと、押しなべて少しずつよくなっているという印象を与えますが、指標によっては、かなり改善しているものもある一方で、ほとんど進展が見られていないものもあるので、ずっと例示を上げて、もうちょっと、証拠を出しなさいと言われたら出せるような表現、今のは非常に曖昧だと思います。
それで、改善していなくて問題だと思うのは、山本先生の御発言とも若干関連があるんですけれども、干潟、サンゴ礁、海洋保護区など、地球規模で関心が持たれていて、ある意味では国内でしっかりそれをすることが国際的な責任を果たすことにつながるような指標とか、あと自然再生、地球規模でもそういうことの必要性というのは認識されていて、目標にもなっているんですけれども、その辺りの進展状況があまりよくないように思うので。あまりここに強調しなくてもいいと思うんですけど、今後少し、山本先生のおっしゃったような、国際的な視点から見て、日本で重視すべきことについては、きちっと責任を持って進めていくというような姿勢が表れるといいなというふうに思います。
【須藤委員長】
どうもありがとうございました。
そうしたら、細田先生。
【細田委員】
私の読み方がちょっと浅いせいかもしれないんですが、生物多様性と地球温暖化との関係が何かあったほうが本来はいいんじゃないか。
というのは、これは非常に直感的なんですけど、私の庭に、かんきつ系の木が4本ぐらいあるんですけど、かつてはいろんなアゲハがついていたんですが、驚くべきことに、最近は羽化した全てがナガサキアゲハなんです。全部ナガサキアゲハなんですよ。今、急激に増えているらしいんですけど、関東で。これはやっぱり私は、地球温暖化の影響でナガサキアゲハが近畿から、ずっと関東圏まで来てしまって、これはちょっと。
だから、二つの関係というのが、どこかに読み解けるところがあるといいんじゃないかなと、直感的に思いました。もしかして書いてあるかも。
【須藤委員長】
地球温暖化が生態系に及ぼす影響みたいなところですね。わかりました。それだけですね。
それでは、今の3人の先生方からの御意見の対応はどうしましょう。
【自然環境局】
どうもありがとうございます。
国際的な部分、もちろん自然保護という観点からの国際的な取組を進めておりますけれども、特に地球温暖化との関係で日本の環境が影響を受けるという部分は非常に、これから我が国の自然を守るという観点からも重要だと思っております。その観点からの取組も徐々に始めているところではあるんですけれども、まだ具体的な取組、それを指標化するという段階には至っておりませんが、山本委員から、今後そういうものを、来年度以降、取り上げるべきだという意見をいただいたのも、まさにそのとおりだと思うので、そういった観点からどういうことが考えられるかというのを、また考えてみたいと思っております。少なくとも、地球温暖化との関連は何らかの形で意識しているという部分は表現できないか、考えてみたいと思います。
それから、鷲谷先生からいただきました部分についても、本当に、くくってしまうと、指標が80あれば、そのうち60が進展していれば、こういう表現になってしまうということではあるんですけど、やはり生物の場合には、そうではなくて。全体として進んでいても、一つ進んでいないところがあると、それで重大な影響があるということもありますので、そこは誤解がない表現に工夫をさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございます。
【須藤委員長】
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの問題、この評価書を今どういうふうに変えるかというような問題よりも、今後検討して新たな指標なり、先ほどの地球温暖化との関係も指標に入れるなり、検討課題として取り上げるべきことが多いだろうと思いますので、そういう中で検討していただきたいと思います。
それでは、施策の8、環境・経済・社会の統合的向上について大臣官房総合政策課より御説明願います。
【総合政策課長】
総合政策課長の松本です。よろしくお願いいたします。
お手元の資料の対応整理表に基づいて、御説明をさせていただきます。前回の委員会におきまして、4名の委員の方から6項目の御意見を頂戴いたしました。それに対する対応について、御説明を申し上げます。
まず8-1、経済のグリーン化につきまして、2名の方から御意見を賜りました。まず、1点目でございますけども、環境報告書の件でございます。環境報告書の企業割合が下がっていると。で、ガイドラインの改訂だけで改善できないだろうと、社会的な責任であることを強く働きかけるべきという御指摘でございました。前回の委員会の後、直接お話を申し上げましたけども、一部、これまで環境報告書、各社ごとにつくっていたのが、グループ会社で一つつくるという傾向がありまして、それによって減ってきている部分があるということが1点。そしてまた、ローカルの、中小のサービス業の策定が進んでいないという状況が実態だと持っております。そうした状況を踏まえまして、修正をさせていただきました。我々、大事なのは、よくつくっていただくことだと思いますので、端的に言いますと、あめとソフト施策とガイドラインの3点セットで働きかけていきたいということでございます。
記載のとおりですが、環境コミュニケーション大賞の開催というあめを用いながら、環境情報開示基盤整備事業、これは、さまざまな環境情報を開示していただいてPRするということ、それと同時にガイドラインの改訂を行う、その3点セットで強く働きかけていくよう、この記載を修正させていただきました。
次の点でございます。経済のグリーン化の2点目でございますが、SDGsの考え方も指標に取り組んでいかなくてはならないということでございます。2015年のアジェンダで定められましたものでございます。SDGsの中で、特にゴール12でございますけども、それに関して、今でもできるだけ取り組もうと思って取り組んでいるということでございます。12のゴールは、持続可能な生産消費形態を確保するということでございまして、そのゴールに対しまして、大きく二つのターゲットが定められております。一つが12-6というもの、これは特に、ターゲットに対して具体的な指標としては、報告書の発行する企業数の数ということで、指標が掲げられております。また、12-7は持続可能な公共調達の促進ということでございまして、これについては、12-7-1という指標におきまして、公的調達政策の実施状況という指標が掲げられております。
現在におきましても、私どもの、この今回挙げさせていただいた指標の3番目と4番目に、これらの指標、要するに環境報告書の公表割合、あとは地方自治体におけるグリーン購入実施率などを指標としておりますので、SDGsを考えて、踏まえたものでありますが、今後とも、そうした考え方を取り込んで指標ができるよう、前向きに検討してまいりたいと考えております。
次に、8-2でございますが、環境地域づくりについてでございます。これは、地球温暖化対策実行計画の件でございますが、自治体の策定率についてですけども、アンケート調査をやるだけじゃなくて、自治体にしっかりやる気を出させるべきだという御指摘でございます。全くごもっとものとおりだと思っております。記載のとおりでありますが、実は、平成28年5月に国として計画を策定して、前回のアンケートは、その5カ月後の調査であったものを掲げさせていただきました。そのために、数値としては低かったんですが、その5カ月後であるにもかかわらず、区域施策編でいいますと88%の自治体が、改訂しますというふうに言っていただいております。
また、事務事業編という、要するに庁舎の省エネ化を図る取組でありますけども、それにつきましても、実はこれ、まだ自治体によっては策定したばかりの自治体が多かったんですが、約半数近くの自治体が、パリ協定を踏まえて改訂しますというふうに言っていただいております。この動きを大切にしたいというふうに思っております。
そして、またメリットや意義を感じられる調査方法を検討していきたいと持っておりますが、今回記載は特にしておりませんけれども、むしろソフトに、自治体の職員の意識啓発を図っていくことが必要だというふうに考えています。実際に今年の春、自治体の計画策定マニュアルというものを国でつくって自治体に公表しました。そして、それに基づいて、私どもは低炭素塾というふうに言っているんですけども、低炭素塾といって、自治体の職員の方々に、今こういう方向で動いていますよと、こういうことをやる必要があるんですよ、だから国と一緒にやっていきましょう、という塾を各自治体に行脚して御説明をさせていただいております。どうしても、その自治体の職員は、特に小さい市町村ですと、ごみ処理に追われている職員が多うございますので、こうした地球温暖化の対策にもしっかり取り組んでいただけるよう、職員への普及啓発、そして首長には、ぜひそうした職員を確保していただけるようPRをしていこうというふうに考えております。
次、8-3と4でございますが、環境教育と環境パートナーシップについてであります。環境教育の取組が失速ぎみだと、自治体にやる気を出させようという御指摘でございました。
実際に記載させていただきましたけども、昨年度、今年度にかけまして、全国八つのブロックにおきまして、EPO、環境パートナーシップオフィスというものを立ち上げてきております。国の出先であるEPOを使いまして、各県自治体における環境教育のセクション、そこを巻き込んで、連携と協同によって進めていきたいというふうに考えております。これからがまさに修羅場、やるべきだというふうに思っておりますので、また崎田先生、いろいろ人と人、団体と団体をつなぐ連携の仕方について、御指摘、御指導を賜れればというふうに思っております。
次、9-1であります。環境基本計画についてになりますけども、指標が不十分であるということ、そして、できるだけ他省庁を巻き込むような取組を工夫すべきという御指摘を賜りました。これは、現在、第5次環境基本計画の策定に向けて動いております。お盆の前に中間取りまとめをつくったところですが、その具体化はこれからでございます。特に、その第5次環境基本計画の指標をどうするかということにつきましては今後の議論ということになっておりますので、現在進めております第5次環境基本計画の策定の中で、第5次環境基本計画に適合する指標として、どういうものを設定すべきかというものにつきましては、その中で検討してまいりたいと思っています。来年春に、第5次環境基本計画、閣議決定を予定しておりますので、それまでの議論の中で、大塚先生には総政部会の委員としても御参画いただいておりますので、その中で御指導、御鞭撻を賜りながら進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次、9-2につきましてでありますが、これは環境アセスの件でございます。アセスの所要日数が増えているということの分析をすべきでないかということでございます。昨今アセスが増えておりますのは、特に風力、そしてまた石炭火力発電所の関係がございまして、難しい問題が多いというふうに考えております。我々として、スピードアップをしようというふうに考えておりますが、全体、日数が増えている中で申しますと、環境省だけではどうしようもない部分が、実はございます。アセス所要日数の中には、自治体、各県の意見もありますので、自治体における意見を出していただく期間とか、事業者から回答をいただく期間がありますので、それも含んだ数字になっております。そのため、ちょっと個別に日程がいろいろずれると、ばらつきが出てしまうというのが現状でございます。
いずれにしましても、規制改革会議の中で、特に風力発電につきましては、現状3から4年かかっているアセスの期間を半減するということをマニフェストとして出しておりますので、その公約をフォローアップする中で、どうやったら、より環境省として、また自治体として、事業者としてスピードアップできるか、その方策について、引き続き検討してまいりたいと思います。
ざっと、賜った御意見に対する対応は以上のとおりでありますが、その他誤植とか、表現が不十分なところがございましたので、赤字のところはそうした点を修正させていただきました。
私からの説明は以上であります。
【須藤委員長】
どうもありがとうございました。施策の9も一緒に、あわせて環境政策の基盤整備として、今の環境アセスメントのところなんかはそれに入るわけですよね。説明いただいたということでよろしいですね。だから、前回と同じように施策の8と施策の9を、今あわせて修正等についての考え方を説明いただきました。
それでは先生方、どうぞ、どこからでもよろしいのですが、順番にいきます。
そうしたら左からいきましょうか、大塚先生、それから河野先生のところからいきましょう。
【大塚委員】
すみません。ちょっと気がついてなかったので今ごろ申し訳ないですけども、温暖化対策の計画についての地方公共団体のほうの計画ですね、緩和のほうについての計画については、先ほどお答えいただいたとおりで結構なんですけども、気候変動のところにちょっと関わってしまうので、最初の1のところと関わってしまって恐縮ですが、適応についての地方公共団体の計画というのはちょっと、どうなっているかというのは、ここでどのぐらい議論すべきかもわからないので申し訳ないんですけども、結構気になるところで、日本全国の適応計画はもちろん立てているんですけども、適応の問題って結局、各地域でどういうことが発生するかというのが、大分変わってくるんじゃないかというところがあるので、地方公共団体で、それがどうなっているかというのは、本当は指標か何かをつくっていただいたほうがいいかなという気もするんですけど、ちょっとそこについて、すみません、やや戻ってしまうことになるのかもしれませんが、関連してお伺いしておきたいと思いました。地域適応コンソーシアムを立ち上げというところが書いてはありましたが、地域の適応計画については全く記載が、どこかにあるかもしれませんが、見つからなかったので教えてください。すみません。
【須藤委員長】
では、河野先生どうぞ。
【河野委員】
前回の私の質問についての御回答といいますか、記述の変更について、特に異論はありません。お願いがありますが、環境報告書の普及に当たって、当初からガイドラインの改訂ということを挙げられておりますが、ガイドラインの改訂に当たっての検討について、お願いがあるといいます。
先ほどの御回答の中にも、サービス業といいますか、これが中小という言葉を入れられましたけど、大企業も含めて、一国の中の産業構造がサービス化、サービス業が増えていって、多分GDPの中にもサービス業の割合が高くなっているんじゃないかと思います。すると、ガイドラインはそもそも、環境会見のときから報告書も含めて、製造業を中心に、念頭にあったと思うんですね。今後の改訂に当たって、サービス業の業態、活動の状況とか、それからサービス業が出す廃棄物の特殊性とか、特殊性といいますか、どういうものを出しているかと、そういうものも検討に入れて、改訂に当たってサービス業を考慮に入れてもらえると。考慮に入れるということで、その入れた結果、必ず考慮に入れてサービス業が使いやすいようなものにしろということではないのですが、一応、やっぱりサービス業も頭に入れて検討したということを、ぜひしてもらいたいと思います。
【須藤委員長】
ありがとうございます。
じゃあ、百瀬先生どうぞ。
【百瀬委員】
二つあるんですが、一つは、グリーンラベルの普及ですとか、それからグリーンラベルによる消費行動の変革というのがこの中にどこにも入っていないなと思ったんですね。エコマークってかつて物すごく普及しまして、子どもたちもノートを買うとき、鉛筆を買うとき、エコマークがついているほうがいいよねって、そういうような教育や何かをしていたんですが、今あまりエコマークが見受けられなくなりました。だから、企業がもうつけなくなったんじゃないかと思うんですね。
それからあと、ほかにもFSCですとかMSCですとかいろんなマークがあるんですが、特に食品関係でいうと、フェアトレードだとかレインフォレスト・アライアンス、特にレインフォレスト・アライアンスはウッズと今度一緒になって、レインフォレスト・アライアンスという名前にするそうなんですが、そういった国際的な機関がきちんと継承した商品を小売業が売って、消費者はそれを買うことによって環境に貢献できるというのが一番身近なグリーン経済の普及だと思うんです。その辺りのことが今は全然入っていないのと、どうも今薄いんじゃないかなと思いますので、ぜひどこかに入れていただければと思います。
それから二つ目に、パートナーシップのところなんですけども、サプライチェーンとしてグリーン調達の連続でいけばグリーン商品になるわけなんですよね。そういったことが今度エコアクションだとかその辺りに入ってくると、中小の企業にしろ、サービス業にしろ、川上・川下とずっとつながっているわけなので、最終的に消費者に行ったときに、非常にグリーン度の高い商品になるんじゃないかと思いますので、その辺りのこともどこかに入っているといいなと思います。
最後に、8-4のところの教育なんですけれども、SDGsについてどこにも記述がありません。これは結構自治体ですとか、それから民間でもESDの進める道、ことは何なのといったときに、それはこの17個の項目を自分たちの生活の中で実現していこうじゃないかというのは結構入ってきています。ですから、ぜひこれを入れていただければと思います。
以上です。
【須藤委員長】
ありがとうございます。
山本先生、どうぞ。
【山本委員】
もう今ほとんど言おうと思ったことは百瀬委員に言われてしまったんですが、私もこのグリーン経済ということで二十何年やってきたんですけれども、環境省にいつも申し上げていて、全然まだ取り入れられていないことは、環境だけではなくて、ぜひ社会的側面も組み入れた経済、持続可能経済の推進のほうをもうはっきり目指してほしいと、こういうことなんですね。ですから、それは単刀直入に申し上げますと、環境報告書だけじゃなくて、もう持続可能報告書に絞っていくと、それはESD投資に使うとか、さらには先ほどのSDGsで申し上げると、この持続可能な公共調達、これはもっと促進をやっていただきたいと。つまりグリーン購入というのは、もうある意味では時代遅れで、さすがにブロック購入もやらなくてはいけないわけですね。ところが、環境省はほかの省庁に遠慮してなかなか持続可能な方向へ踏み出さないという問題があって、今百瀬委員がお話されたように、人権とか労働とか、そういう社会的な側面も取り入れた公共調達、そのガイドラインをつくるとか、あるいはグリーン購入法を改正してその社会的側面を取り入れると、これをぜひ目指していただきたい。要望です。
【須藤委員長】
ありがとうございました。
それでは、大塚先生があるようです。どうぞ。
【大塚委員】
さっきの質問をちょっと訂正しますが、適応計画は各自治体で大分つくっておられるし、指標になっているのでいいんですけれども、気候変動影響評価を各自治体がきっちりやれるかどうかというところはちょっと疑問がなくはないので、その辺をちょっと教えていただけたらありがたいと思います。
【須藤委員長】
そうしたら、崎田先生、ごめんなさい。
【崎田委員】
すみません。先ほど来からSDGsのお話が出ていて、ちょっとその関連なんですが、例えば今回藤井委員の質問に対して、非常に8-1に関して細かくお答えいただいていますけれども、こういうふうに今回SDGsの12目標169ターゲットで、あと指標は230幾つ出ていますよね。そういうのが国際的にみんなで取り組んでいくということを評価するときにそれを使うのは非常に発信力もあることだと思うので、そういう状態と、今、日本の目標がどう連携していて、どの部分が薄いのかとか、やはりそういう研究が必要なんじゃないかと思っております。もう既にやられておられるんではないかなと思いますので、やはり今後、そういうことをうまく生かしてやっていくのが大事なのではないかというふうに思います。よろしくお願いします。
【須藤委員長】
どうもありがとうございました。
三橋先生、どうぞ。
【三橋委員】
さっきから発言をしようかどうかちょっと悩んでいた部分があるのは、要するに生物多様性については例えば農水省とかあるいはアセスなんかについていえば、石炭火力なんかについてはやはり経産省とか、こういうところとバッティングする部分がかなりあるんだけど、極めて重要ですよね。それを従来の役所別の形でここはもう環境省の管轄外だから、しかしそれは非常に重要なので、どういう形で農水省なりあるいは経産省なりに物を言っていくかということをもうちょっと戦略的に考えるときが来ているんじゃないかなと私は思うんですよ。だからここでのあれでも、この問題は農水省、この問題は経産省、したがってこれ以上の議論はしないみたいな思考を突破するための戦略をいろいろ考えてほしいなということを、ちょっとぜひこの場で言っておきたいなと思ったんです。
【須藤委員長】
委員長としてもそれはいつも先生方の皆さんの意見について同感なので、縦割り行政をあまりここへ持ってくるとうまくいかないので、後で役所がどう整理するかは別ですけど、先生方の御議論はあんまりそういう縦割り行政を抜いて、先ほどの社会的な側面を入れるとか、そういうことをやっていったほうがいいと思います。それでだんだん改革ができていくと思いますので、僕が先に答えちゃうとよろしくないんですが、今のいろんな先生方の御質問をいただいたんですが、大臣官房総合政策課のほうから、どうぞ。
【総合政策課】
大変大局的な御指摘から現場に根差したお話までいただきましてありがとうございます。まず経済課とか教育室とも話をして、どういう評価、この文書の修正も含めて検討させていただきたいと思います。微力ではありますが、頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
【須藤委員長】
大変大きな課題をつくったような気がしますが、誰か、地球環境局どうですか。
【地球環境局】
大塚先生から適応関係のところで御指摘をいただきました。地方公共団体で気候変動の影響、それぞれの各地域ごとにどういう影響があるのか、これ評価するのは非常に難しいのではないかと、こういう御指摘でございます。それはまさしくそのとおりでございまして、ここの部分は国と地方公共団体としっかり連携をして取組を進めていかないとなかなか難しい問題だと思っています。そうした観点から、環境省では昨年、国立環境研究所に気候変動適応情報プラットフォームというのを立ち上げまして、そこを中心に各地域における気候変動影響に関する情報、これをまとめたものを情報発信しているところでございます。
具体的には、国立環境研究所に専用のホームページ、そのためのものを設けておりまして、各都道府県別にクリックできるようになっておりまして、そこをクリックいたしますと、どの都道府県で、今どこまでどういう影響が出そうなのかというのはどこまでわかっているのか、その最新の情報をまとめて提供しているところでございます。ただそれにつきましては、まだかなり粗いもの、しかもかなり虫食い状態のものでございまして、全てについて網羅的に情報提供できる体制はまだ整っておりません。
そうしたこともありまして、環境省では今年から地域適応コンソーシアム事業というのを始めまして、全国を六つの地域にブロック分けをして、国土交通省、それから農林水産省とも連系をし、各都道府県からの御要望をいただいて、どうした分野について、どの分野について、どういったところを特に調べてほしいか、これについて手を挙げていただいて、手が挙がってきたものについて優先順位の高いものから関係の試験研究機関、それから地方公共団体とタッグを組みながら、それぞれの情報集約をしてモデル分析をして、どのような影響がそれぞれの地域で出そうなのか、その情報の収集・分析・評価、この取組を始めたところでございます。それで得られた情報については、さらにまた国立環境研究所のそのデータベースにフィードバックをして、さらにしっかりとした情報提供を進めると、こうしたことを考えているところでございまして、こうした情報基盤の整備についてはさらに今後拡充について検討を進めているところでございまして、しっかりと取組を進めてまいりたいと、このように考えておりますので、ぜひ御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【須藤委員長】
大塚先生、その地域の問題はそういうことでよろしいですか。
【大塚委員】
はい
【須藤委員長】
先生方から答弁、最後の今の課題については、これからこうあるべきだとか、そういう問題が非常に多いので、今日まとめなくちゃいけないのは28年度の事後評価なので、そこにどれだけ取り込められるかというのはちょっと私も不安に思いますが、可能な限りキーワードとか何かを入れていって、将来こういう問題があるとか、そういうふうにやっていってまとめたほうがいいのかなという気がしますが、今おっしゃっていただいたことは検討課題として今後どんどん進めていっていただきたいし、虫食いとおっしゃったんだけど、なるべく虫食いじゃなくて全国のどこの地域からでも応じられるようにしていただければと、こういうふうに思います。
はい、どうぞ。
【藤井委員】
今省庁連携の話が出たんですが、一つ、地域にヒントがあるのではないかという事例をちょっとお話ししたいと思います。
先ほど、米の生産を含めて農産物についてはヨーロッパと日本型は環境保全型とそれから安心・安全とお話がありましたが、つい最近滋賀県の中でグローバルGAPを174ヘクタールとったエンノウ組合があるんですね。これはもう環境保全で徹底的に琵琶湖に向けての農業をやってくる中で、それをやったということで言えば、多分地域の中に省庁枠を超えた連携軸と、それからそれをトップがどう決めていくかという、そこにもヒントがあるので、国がではなくて、地域のヒントをどう連携に結びつけていくかという、そちらの視点もぜひ生かしていただきたいなと思います。
【須藤委員長】
ありがとうございました。
今のまとめの中にそれは入ると思います。
どうぞ、山本先生。
【山本委員】
私、国立環境研でデータベース適応の何かつくっているのは知っているんですけど、ぜひ気象庁と連携してほしいと。ちょっと念のためインターネットで検索したら、短時間大雨情報というのは年間100回くらい出ているんですよ。正確なデータではないと思うんですが。多分80から100回くらい出ていると思いますよ。場所もたくさん出ている県とそうでないところがあるんですよね。ですから、国民の側としては、国立環境研のデータベースと気象庁のデータを突き比べてみて、どのくらい合っているのか合わないのか、私は連携してもう既に我々は温暖化地獄のただ中にいるわけだから、役に立つようにぜひ頑張っていただきたい。
【須藤委員長】
先生のおっしゃるとおりだと思います。
何かもう一言ありますか、地球環境局。よろしいですか。
では、皆さんから賛成を得られたようですので、省庁の縦割りやら何やらそういうことを廃して国民のためにこの評価もそうですし、今後の検討をしていただくということにしていきたいと思います。
通常評価の対象となる施策については、一応一通り御説明をいただいたことになります。
【須藤委員長】
じゃあ10の説明を、確かにそういうふうに私言いましたよね、次回に送りますって言ったんですよね、時間がないからということを。
【環境再生・資源循環局】
たしか前回10を説明させていただいて、質疑の時間がなかったと思います。
【須藤委員長】
説明はしていただいたんだね。じゃあ、質問があるわけね、10について。じゃあ、先生から質問をいきましょう。
【藤井委員】
この放射能に関するところで質問があります。健康調査のところは幾つになるのかな、28-㊻ですね。今までも大変気になっていたんですが、健康調査のこの④のところで、24年度から28年度全く一言も異ならない、つまり同じ言葉でずっと評価が進んでいるということで、それでこの健康調査については、いろいろとこの間に課題もあって、そして裁判も含め、いろいろ起きているわけで、本当にこの形でよかったのかという見直しが必要なのではないかということが一つです。
甲状腺がんも、私も環境保健部会にいたときに、随分早くに環境省はこれは福一のばく露によるものではないとかなり早く断言していましたが、本当にそうなのかという一つは、スクリーニング効果が大きくてこうなった。チェルノブイリでは5歳以下の子どもがいたという、福島ではないという話でしたが、4歳の子にも出ていたりとか、あれから随分状況が変わっている中で、淡々とそのことが行われている。そこのところに大変疑問があるので、少し見方が変わってきているよということであれば、それは大変ありがたいです。
それから、8000ベクレル問題を含めて、公共事業の調達を含めていろんなところにこれから多分動くんだろうというふうに思うんですが、部分、部分でこの放射能の問題をやってきていますが、今までこの放射能の問題は安心・安全で害も防止する必要がないということで何も汚染防止のための法律がなかったと思うんですが、昨年御存じのように、札幌の市民が始めた放射能汚染防止法、放射能公害防止法を国はつくるべしと、この法律をつくらない限り放射能の問題全体像を切り込むことはできないということで動き始めて、今それに連動して市民の中ではその放射能汚染防止法を策定するための文言をつくるための学習会をあちこちでやっています。滋賀県でもやっています。多分そういう動きをしていかないと、環境基本法になかったその放射性物質ですから、最終的にはこの法律に行くのではないかと思うのですが、ここの評価書でどう載せるかということではなくて、多分8000ベクレル問題、20ミリシーベルト問題などを含めて、その数値を含めて、このばらばら、ばらばらの議論で放射能に迫れるのかということが大変不安と不満と両方ありますので、その辺のところを今後どうするか。今回の評価書でここをこうすべしというのはないんですが、少なくとも。
【須藤委員長】
この評価書はこの程度しか書けませんからね。
放射線問題、説明だけ前回はたしかしていただいて、質問は次回に送りましょうというようなことで、ありましたら事務局へというようなことで終わったと思いますので、今藤井委先生から改めてそうおっしゃったので、もう一回10のことについて、放射線の関わる二部局ですかね、のところの御説明をいただいたわけですが、じゃあ、環境保健部のほうからの御説明を。
【環境保健部】
今、放射線に係る一般住民の健康管理・健康不安対策について、御質問いただきましたので、お答えさせていただければと思います。
今回の資料の裏にもございます、前回説明させていただいたところもあるんですけれども、平成26年12月に環境省のほうで東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議というものを開かせていただきまして、その中間取りまとめを26年10月に出させていただいてございます。それを踏まえた形で施策の分析などを行っているところでございます。ちょっと記述が変わってないという御指摘については、ちょっと昔のものを見ていないところではありますけれども、現時点においてもその中間取りまとめを受けたものになっているというふうに理解をしてございます。
甲状腺について御指摘がございまして、先ほどの専門家会議の中間取りまとめにおきましても、藤井委員が御指摘のように先行検査で発見された甲状腺がんについては、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められないとされているのが前回の中間取りまとめでございます。その後、福島県におきましても県民健康調査の関係の検討委員会、継続的に開いてございまして、その中間取りまとめが今年、平成28年3月にも出てございますけれども、そこでもこれまでに発見された甲状腺がんについて放射線の影響とは考えにくいという評価がなされているというふうに承知してございます。
県民健康調査につきましては継続的にまだ実施されてございまして、現在2巡目の本格調査をしている段階でございます。それらの結果なども踏まえながら、引き続きその後の動向を注視していきたいと考えているところでございます。
また、放射能の汚染防止法について御指摘がございましたけれども、現時点でこちらのほうで詳細を把握していないところでもございますので、今後勉強していきたいと考えてございます。情報収集などをしていきたいと思います。
【環境再生・資源循環局】
すみません、後半のほうの先生の御指摘は私のほうから。
ありがとうございました。非常に重要な御指摘で、ポイントは二つあろうかと思っております。一つは、8000ベクレルから果ては放射能防止法に至るまでなんですけど、前側のほうの少し個別具体的な8000からという話のところは、いわゆる汚染対処特措法の施行状況調査ということで今年度また始まりまして、7月の下旬から始まって、10月に2回目をやってと、いわゆる汚染対処特措法の状況の中で8000から始まって、あの制度がどうなのかという見直しのステージが今年始まります。というのが1点目です。
もう一つは、これは実は汚染対処特措法の附則の6条の関係になるんですけども、今のがですね。5条のほうがありまして、これはいわゆる対処特措法にかかわらず、環境法令全般の観点から見た放射能に対する対処はいかにあるべきかという大局的な観点の制度議論というものも、前回数年前に行ったのがまた今年から始まるステージを考えておりますので、汚染対処特措法バージョンと大局的なバージョンのほうと両方とも動き出すことになりますので、いろいろ引き続き御指導いただければと思います。
ありがとうございます。
【須藤委員長】
ありがとうございました。今、再生局と保健部のほうから、前回ちょっと出た質問を、それから今藤井先生からの御質問をあわせてお答えをいただきましたが、さらに御質問はありますか。こんなもんでよろしいですか、まずは。いいですか。ほかの先生はいいですか、放射能の問題は。確かに前回少し議論は乏しかったと思います。ごめんなさい。それではよろしいかな。
(なし)
【須藤委員長】
それでは、非常にこれも難しい問題だというふうに思いますが、以上をもって、通常評価の対象となることについてはこれで終了させていただきます。
モニタリング評価については何かあったら出しておいてくださいと言われたんですが、事務局のほうに特にこれについての御意見というのはいただいていませんが、ちょっと時間がありますので、モニタリングの部分、モニタリングというのは今日やらなかった部分のほかの部分ですね。先ほどの地球環境問題の温暖化以外の部分とかですね。そういうような部分で何かありましたらどうぞ、出していただきたいと思いますが、なければ、一通り今日の約束の課題については終わったということでよろしゅうございますか。
(はい)
【須藤委員長】
私がこれをまとめなくちゃいけないことになりますが、かなり多岐にわたる御意見をいただきました。そしてこの28年度の政策施策評価の中で取り上げるのが妥当なのか、今後の検討課題とか、今後の勉強課題とか、あるいは他省庁との連携とか、環境省全体として考えなくちゃいけない問題を多々いただいております。この辺のことについて、評価書の中で取り上げるというようなことではないこともありますし、今日いらっしゃっている総括補佐の皆さんは環境省の幹部の皆さんがたくさんいらっしゃるので、先生方が何をおっしゃっているのか十分理解をされていると思いますので、それぞれのそういう問題については、今後の検討課題としても取り上げていただきたいし、ほかのいろいろな委員会やら部会やら、そういう中でもやって、事後評価として新たに文章を、ここをこうしたいというのは若干あるかもしれませんので、それについては座長である私に、意見がある部分は事務局と相談をして、先生方の議事録を見ながら表現ぶり等については修正をさせていただくということについては、時間がございませんので、私に一任していただけますでしょうか。
(はい)
【須藤委員長】
ありがとうございました。
ということで、こんなところで事務局、よろしいでしょうか。
【事務局】
ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては短時間で核心をついた御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。今、委員長がおっしゃったとおり、修正できる部分がありましたら、委員長にも御了解をいただいた上で修正をしたいと思います。その後は取りまとめさせていただきまして、大臣まで決裁をいただいて、今月末に公表するという予定でございます。
そして取りまとめた政策評価書を公表いたしまして概算要求、今ちょうど30年度の重点施策をまさにまとめているちょうど最終段階にございます。今日も社会問題にも切り込めという話がございまして、30年度の重点におきましては、環境問題のみならず社会・経済問題の同時解決ということを一番に掲げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
今日は政策評価書に必ずしも反映できない部分も多々ございますけれども、今後の政策展開に生かしてまいりたいというふうに考えてございます。
それでは、以上をもちまして本日の委員会を終了いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
【須藤委員長】
どうも委員の先生方、お疲れさまでございました。ありがとうございました。

午前 11時36分 閉会


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