環境省
VOLUME.71
2019年6・7月号

INTRODUCTION 森里川海のつながりから広がる豊かな暮らし

森・里・川・海のつながりを豊かに保ち、人と自然が支えあっていくために何ができるでしょうか。
それをともに考え取り組んでいくのが「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトです。

森里川海の恵みを活かした未来を描く

森里川海の恵みを活かした未来を描く

 私たちの暮らしは、自然の恵みに支えられています。それは森・里・川・海のつながりがあってこそのもの。豊かな水を育む「森」、その水を活かして営まれる「里」での暮らし、田畑に水を運び、栄養分を含んだ「川」は海へ注ぎ豊かな「海」となります。こうしたつながりが私たちにもたらしてくれるのは、澄んだ水や空気、安全でおいしい農作物、山の幸・海の幸といった旬の食べ物、心身を癒やしてくれる美しい風景にまで及びます。ところが「森里川海」とそのつながりが、過度の開発や管理不足、人口減少、高齢化の進行などにより、大きな危機に直面しています。今こそ、一人ひとりが「森里川海」の恵みを実感し、その恵みを社会全体で支えていくという思いを広げていくことが求められています。

 このプロジェクトでは、森里川海が本来持つ力を再生し、その恵みを活用することで環境と経済、社会が循環していく持続可能な循環共生型社会の実現を目指しています。環境保全の仕組みづくりや森里川海のつながりを意識した暮らしを進め、森里川海が豊かに機能し、人と自然、地方と都市が共生する社会へ向けて、新たな未来を描いていきましょう。

森里川海の力がもたらしてくれるもの

01.優れたエネルギー源

01.優れたエネルギー源

木は優れたエネルギー源です。間引いた木や木くずを燃料にすれば、地域でエネルギーを自給できます。地域に仕事が生まれ、外から買う燃料を減らせるばかりでなく、余ったエネルギー源を販売し収入を増やすこともできます。

02.人が集まる元気な地域

02.人が集まる元気な地域

美しい森里川海は、観光や環境教育の場として大きな魅力と可能性を持っています。「美しい風景」や「ふるさとの暮らし」にひかれ観光客や移住する人が増えると、人とモノ、経済の交流が生まれ、地域が元気になります。

03.安心・安全な衣食住

03.安心安全な衣食住

化学肥料や農薬に頼らない有機農法による農作物、昔ながらの製法で作られた食品、オーガニックコットンで作られた服、心が安らぐ木の住まいや木工家具など、身体にも環境にも優しい製品が注目されています。これらは安心・安全な食と暮らしを提供してくれます。

04.誇れる名産品

04.誇れる名産品

日本には、森里川海の恵みを活かした農林水産物がたくさんあります。地域ならではの魅力あふれる特産品は地域経済を元気にし、そこで暮らす人に誇りをもたらします。また伝統文化の継承にもつながります。

05.災害に強い地域づくり

05.災害に強い地域づくり

気候変動による自然災害が発生しています。森林が土砂崩れを防ぐ、サンゴ礁や砂浜が高潮被害をやわらげる、湿原が一時的に洪水を受け止めるなど、健全な森里川海のつながりは、災害に強い地域をつくります。

「地域循環共生圏」と森里川海

森里川海はつながっているもので、それを健全に保つことは一地域でできるものではありません。豊かな自然を守るための方法とそれを支える仕組みを「地域循環共生圏」として広域的に取り組み、日本の豊かな生物多様性とその恵みを次世代に継承していきます。

環境省では、このプロジェクトへの賛同と活動報告を随時募集しています。

つなげよう、支えよう 森里川海プロジェクト

つなげよう、支えよう
森里川海プロジェクト

https://www.env.go.jp/nature/morisatokawaumi/

イラスト/ナカオテッペイ

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