環境省
VOLUME.71
2019年6・7月号

エコジンインタビュー/「人間も自然の一部」と思ったら心が解き放たれました。/富永美樹

富永美樹

フリーアナウンサーとして、東京を中心にさまざまな活動をしながら
山梨県の富士山麓にセカンドハウスを持ち、1年の1/3をそこで過ごしているという富永美樹さん。
さらに2015年からはテレビ番組をきっかけに静岡県の戸田にも家を持ち、3拠点での生活を送っています。
自然に囲まれた生活が富永さんにもたらした効果とは!?

 趣味はキャンプ、トレッキング、サイクリング…と、さまざまなアウトドアのジャンルが並ぶ富永さん。そのきっかけはミュージシャンである夫のまことさんにあったそうです。
「結婚して3年が経った頃、夫がキャンプに行きたいと言い出しまして。私はあまり乗り気ではなかったのですが、彼がそう言うなら一度はつきあおうと思って出かけてみたら、あまりの解放感と心地良さにすっかりハマってしまいました」

 森林に囲まれた山梨県にある第二のわが家で感じるのは、自然への畏怖と人間も地球を構成する生き物の一部にすぎないのだという思い。
「嵐が来ると、風と木の揺れる音が本当にすさまじく、恐怖すら感じます。人の手で嵐をくい止めることなんてできませんから、ただ通り過ぎるのを待つだけ。自然の持つ大きな力の前には、人の無力さを感じずにはいられません。これは都会だけで生活していた時にはわからなかった感覚。自然の中にいると人間も実は他の生き物たちと同様、地球に暮らす一員でしかないと感じるようになりました」

ゴミ問題は喫緊の課題。売る・買う双方の意識 を変えなければ

 結局、人も自然の一部なんだという思いは東京での生活も楽にしてくれたと言います。仕事で嫌なことがあっても「しょうがないか」とすぐに気持ちを切り替えることができるようになり、自分がたくましく、強くなったと感じるそうです。
「以前は悩むこともあった人間関係も、森で生物多様性に触れてから相手の立場で物事を考えられるようになって、結果受け流せたり。だから“生きづらいな”と感じる人には、公園に出かけてみるとか、ちょっとしたことでいいので自然に触れてみてほしいなと思います。そして一歩を踏み出せば、自分が予想もしなかったような新しい世界が目の前に広がることがあると、自分の経験を踏まえておススメしたいと思います」

 自然の力強さを感じる一方で、人の暮らしが自然を脅かすことにも敏感になったという富永さん。
「戸田の漁師さんたちから、魚が獲れる時期や獲れる量が変わったという話をよく聞きます。地球温暖化の影響なのだと思いますが、私たち一人ひとりに何ができるのかと思った時に、私は主婦でもあるので、できるだけ家から出るゴミを少なくしようと思いました。日本の生活ゴミの排出量が世界で上位だと知った時は、本当に驚きました。ゴミ問題から目をそらしてはいけないと、今、いかにゴミを減らすかをテーマに生活をしています。例えばスーパーに行ったらトレーに入っていない食材を選んだり、ペットボトルの飲料水は買わないようにしたり、過剰包装を断ったり。消費者が変われば売る側の意識も変わって、もっとゴミを減らしていけるのではないかと思っています」

 ゴミに対する海外の人との意識の違いは、キャンプに訪れたアメリカやカナダでも感じたのだそう。
「アメリカの国立公園をキャンプをしながら巡ったのですが、公園内には『砂糖の一粒たりとも残していくな』と書かれていました。人のちょっとした痕跡で自然環境が崩れてしまうことを彼らはよく知っているのだと思います。それに入場料もしっかりと取って、公園の整備やレンジャーにかかる費用に使っている。これは日本でももっと取り入れていいのではないでしょうか。そして同時に、まだ既成概念にとらわれていない子どもたちに対してもっと自然と触れあえる教育をして、自然とどのように向き合えばいいのかを考えてもらえたらいいですよね。そうすれば、未来に豊かな自然が残っていくのだと思います」

profile

富永美樹

フジテレビのアナウンサーとして活躍。シャ乱Qのドラマー・まことさんとの結婚を機に退社し、フリーアナウンサーに。2014年に富士山麓に家を建て、夫婦で半移住生活を開始。翌年にはテレビ番組がきっかけとなり静岡県の戸田でも暮らす3拠点生活に突入。現在は森里川海アンバサダーも務める。

PRESENT

富永美樹さんのサイン入り写真を、エコジン・アンケートにご協力いただいた方の中から抽選で1名にプレゼントします。

富永美樹さんのサイン入り写真

写真/千倉志野

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