環境省
VOLUME.73
2019年10・11月号

外食先で食べきる

家族での外食や宴会は楽しいもの。
しかし、飲食店で提供された料理は、残ってしまうと廃棄するしかありません。
食事を提供する店側と利用客側、それぞれにおいしく食べきる取り組みが広がっています。

わたしたちができること~外食編~

わたしたちができること~外食編~

EFFORT 子どもたちに残さず食べる喜びをーもぐチャレ[びっくりドンキー(株式会社アレフ)]

EFFORT 子どもたちに残さず食べる喜びをーもぐチャレ[びっくりドンキー(株式会社アレフ)]

 「食べ物を残さずに食べるといいことがある」という体験を子どもたちに提供する「もぐチャレ」。小学生以下の子どもが、注文した料理を残さず食べきるチャレンジに成功すると、店から表彰状が贈られるというイベントだ。このチャレンジに2回成功すると、次の来店時にデザートがサービスされる特典もある。

 2006年に従業員の発案から始まったこのイベントは、全国にあるびっくりドンキー各店に広がっている。実施店舗では、キッズメニューを注文した子どもに、店員から「もぐチャレに挑戦しませんか」という案内をしている。この取り組みは、食べ残しを減らすという食品ロス削減だけでなく、食育支援という側面も持つ。「もぐチャレだと子どもが集中して食べてくれたなど、保護者からも好評です」とびっくりドンキーを運営する株式会社アレフ広報の松本総一郎さん。チャレンジというゲーム性を持たせることで、子どもが食べることに積極的になったり、苦手な食材も口に運んだりすることがあるという。

 「当社の経営規範に『社会の不足や不満、問題点を解決することをもって、その存在根拠とする』があり、社会から必要とされることで、社会価値を創造する体現者になることを理想としています。世界的な共通課題SDGs(17の目標)の考えとしても取り組み、もぐチャレで得た食べきることの喜びが、家庭やそれ以外の場所でも食事を大切にすることにつながれば」と松本さんは期待を寄せる。

初めて達成すると表彰状が手渡され、2回目以降は持参した表彰状にスタンプが押されます。

声を掛けるなら「残してはダメ」より「頑張って」「よく食べたね」/株式会社アレフ 松本総一郎さん

他にはこんな取り組みも!3010(さんまるいちまる)運動

宴会での食べ残しを減らすため、乾杯からの30分間とお開き前の10分間は自分の席で料理を楽しみ、食べ残しを減らそうと呼び掛けるキャンペーン。
2011年に長野県松本市で始まったこの運動が全国に広がり、地域独自の取り組みへと発展している。

長野県松本市の30・10運動

松本市環境部環境政策課 阿部航大さん

 「市役所内部から始まったルールでしたが、参加者からは『食べる時間を設けてもらえるとありがたい』と好評で、飲食店からも『良い取り組みなので協力したい』などの声をいただきました。そこで、市民に対してこの運動を周知するとともに、飲食店などと、より一体的に取り組もうと2016年からは「残さず食べよう!」推進店・事業所認定制度を開始しました。認定店は255件まで増え、市民アンケートの結果からも食品ロス問題や30・10運動の認知度が高まっていると手応えを感じています」

※2019年8月末現在

食品ロス削減に取り組む飲食店などを認定し、認定証やコースターなどの啓発グッズを提供しています。

写真/石原敦志

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