ビルは“ゼロ・エネルギー”の時代へ

事例紹介

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建物概要

新築
事例8
須賀川土木事務所庁舎福島県須賀川市

須賀川土木事務所庁舎の写真

アクティブ技術とパッシブ技術の両方を最大限導入することで、一次エネルギー消費量の87%削減を実現し、庁舎として東北初の「Nearly ZEB」認証を取得

ZEBの分類
Nearly ZEB
  • 都道府県(地域区分):福島県(4)
  • 新築/既築:新築
  • 延床面積:656.46㎡
  • 建物用途:事務所等
  • 一次エネ削減率(創エネ除く/含む):57% / 87%
須賀川土木事務所庁舎の写真

改築工事で庁舎として東北初となる 「Nearly ZEB」を取得

 福島県では、「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現を目指し、「福島県再エネ・省エネ推進建築物整備指針」及び「福島県再エネ・省エネ推進建築物設計ガイドライン」を策定し、建築物における再生可能エネルギーの導入と省エネルギー対策を推進しています。

 その一環として、環境省の補助事業を活用し須賀川土木事務所の改築をモデルとしてZEB化を実現しました。

 ZEB化にあたっては、アクティブ技術とパッシブ技術の両方を最大限導入することで、一次エネルギー消費量の87%削減を実現し、庁舎として東北初の「Nearly ZEB」認証を取得しました。

 

須賀川土木事務所庁舎の概要

 須賀川土木事務所は、県が管理する土木施設(道路・河川等)の維持管理、災害復旧、除雪に関する業務を実施している組織で、災害時には危機管理対応を行う拠点施設となります。

 事務所は、1階部分がRC(鉄筋コンクリート)造、2階部分が木造といった特徴的な構造となっており、屋根部分にCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)を使用することで、大スパンの架構を可能とし、開放的な内部空間を実現しました。

 また、ZEB化にあたっては、設備の効率化(アクティブ技術)だけでなく、建築計画の手法(パッシブ技術)を最大限活用するなど、ZEB化に資する技術を積極的に取り入れることにより、一次エネルギー消費量の87%削減(省エネ57%、創エネ30%)を実現しています。

福島県 須賀川土木事務所 内観(執務室)
福島県 須賀川土木事務所 内観(執務室)

 

主要なZEB化技術

 須賀川土木事務所の主要技術として、「地中熱交換機設備」、「タスク・アンビエント照明」、「BEMS」があげられます。

 

地中と気温の温度差を利用した「地中熱交換機設備」

 1年を通してほぼ一定である地中熱温度を、夏は冷房、冬は暖房の熱源として利用するため、通常の空調機器よりも効率が高く、CO2排出量の削減にもつながります。

 外気温に左右されずに使用できるため、冬季使用時でも室外機が凍結する心配がありません。また、節電効果が高く、夏の冷房時のピークカットにも有効です。

 利用者からは、空調温度が適温で快適であるとの声が寄せられています。

地中熱利用システムの仕組み
地中熱利用システムの仕組み

※出所:環境省「地中熱利用システム」
http://www.env.go.jp/water/jiban/pamph_gh/Gh_Pamph2019%28A4%29.pdf

 

最小限の照明数で十分な照度を確保した「タスク・アンビエント照明」

 手元を照らすタスク照明と部屋全体を照らすアンビエント照明を組み合わせ、全体の電気エネルギーを削減するための手法です。日中はアンビエント照明を調光してタスク照明のみで十分な照度を確保することができます。

 さらに、Feu(フー)(人間が感じる「空間の明るさ感」を定量化し、指標にしたもの)を取り入れた照明計画とすることにより、空間全体の明るさを確保しつつ、照度を最低限に設定することができるため、内部負荷減少や省エネを実現できます。

 須賀川土木事務所では、アンビエント照明により天井や壁、床を最低限の明るさで確保し、机上など作業に必要な箇所にタスク照明を用いることで照明効率が向上しました。

執務室のアンビエント照明
執務室のアンビエント照明
Feu計算
Feu計算

 

各種設備の運転状況を監視し適切な設定に調整する「BEMS」

 BEMS(ビル・エネルギー・マネジメントシステム)は、室内環境とエネルギー性能の最適化を図るためのシステムです。

 須賀川土木事務所で導入したBEMSは、空調機器運転の最適化機能、設備運転状況の監視機能、電力量・温湿度等の計測値を収集し評価を表示する機能などを持ち、省エネ化に役立てています。また、各種データや運転状況を記録・視覚化することで、運用改善や省エネ啓発の促進にもつながっています。

 

今後のZEB化推進にあたっての取り組み

 福島県内では、民間事業者含めてZEB化に関する実績が少なく、設計・施工のノウハウもほとんどないため、今後は完成したZEB化モデル施設(実物)の見学を受入れることにより、ZEBへの理解を促進するとともに、モデルで得られたZEB化の技術データ等を広く情報提供・発信を行うことで、今後のZEBの普及につなげていく予定です。

 コスト面では、ZEB化の設備を追加することで標準仕様に比べてイニシャルコストが約3割増となりました。コスト増は導入にあたって大きな障壁となるため、今後は各ZEB技術の省エネ効果の検証等を行い、費用対効果の高い技術の採用など各技術シミュレーションにより、よりイニシャルコストの縮減等を図る必要があると考えています。

 実際の運用状況をみると、令和2年4月~9月の1次エネルギー消費量実績値は、計画値よりも削減できており、同規模の施設と比較しても、須賀川土木事務所の方が1割程度少なくなっています。このような運用データを元に効果検証・課題分析を行い、情報発信することで、県内の民間・公共施設へZEB技術の導入が促進されることを期待しています。

認証プレート
認証プレート

 

※本事業に関する情報については、福島県HPの以下の場所に掲載しております。
【須賀川土木事務所庁舎のZEB化の取組について】福島県土木部営繕課HP(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065c/)

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