地球環境・国際環境協力

気候変動の身近な影響と適応策を考えるシンポジウム~IPCC第38回総会in横浜に向けて~(2013/10/30)

IPCC第38回総会in横浜に向けて

日時
2013年10月30日(水)13:00~15:30(12:30開場)
会場
はまぎんホール ヴィアマーレ
主催
環境省、共催:横浜市

プログラム

挨拶

関 荘一郎
環境省地球環境局長
林 文子
横浜市長

基調講演

田崎 真也(ソムリエ)

「ワインと気候変動」

 世界中で、ワインの産地が気候変動による影響を受けて、大きく変わってきていることが報告された。

モンチップ・スリラタナ・タブカノン(タイ学術研究会議気候変動研究センターディレクター)

「タイ国での気候変動への影響と適応」

 タイは気候変動に対して脆弱であり、国の発展と持続可能性にとっての潜在的影響は大変深刻であること。とくに自然に依存する農業に大きな影響があることが紹介された。
 タイで実施されている予測及び早期警戒システムの普及に向けた取り組みや、タイにおけるNAPA(国別適応行動計画)のプロセスについての説明があったほか、気候変動の適応策を強化するための原則などが紹介された。

沖 大幹(東京大学生産技術研究所 教授)

「気候変動の影響は水を通じて社会に影響?!」

 気候変動による社会への影響の多くは水を通じて現れており、例えば、原因はヒートアイランドの影響もあるが、気温が高くなるとごく短時間の降水強度は飽和湿度に応じて増大するため、深刻な被害が起きていることが説明された。
 気候変動問題への水分野の適応策は従来の防災や社会開発と同様、貧困削減、農業開発、災害被害軽減なの問題解決にもつながるメリットも多いと考えられており、和策と適応策の両方をうまく組み合わせて被害を最小限に食い止めることが大事であると締めくくった。

三村 信男(茨城大学教授地球変動適応科学研究機関長)

「世界で広がるもう一つの温暖化対策・適応策」

 世界の平均気温が上昇を続け、世界中でさまざまな影響が出ている中で、気候変動問題には CO2等の排出削減を行う緩和策と、温暖化による悪影響に対して対策をとる適応策の二つがあること、また、世界中で適応策の取り組みが進んでいることが説明された。
 また、ご自身も関わっているIPCCがどのような組織で、評価報告書がどのように作成されているのか、前回の第4次評価報告書が承認された総会の様子が紹介された。最後に2014年3月に横浜で開催される総会と会議の行方に関心を持って欲しいと締めくくった。

パネルディスカッション「身近で考え行動する 気候変動問題」

コーディネーター

三村 信男

パネリスト

モンチップ・スリラタナ・タブカノン
沖  大幹
清水 俊英(サカタのタネ広報宣伝部部長)
脇田 朋弥(フェリス女学院大学エコキャンパス研究会)
浜野 四郎(横浜市温暖化対策統括本部長)

 3人のパネリストより、取り組みの紹介が行われ、その後ディスカッション、会場との質疑が行われた。
 サカタのタネの清水氏からは、品種を開発して種と苗を売っている種苗会社として、世界中で気候や気象の変動が起こっていることから、気候の変化に耐えうるような花や野菜を研究開発して、その種を供給していることなどが紹介された。
 フェリス女学院大学エコキャンパス研究会の脇田氏からは、大学内で行われているさまざまなエコキャンパスの取り組みや大学公認の部活として行っている研究会の取り組みが紹介された。脇田氏の生まれた1992年にブラジルで地球サミットが開催されたことからも、同年代の若者が環境、気候変動について関心を持って欲しいと語った。
 横浜市の浜野氏からは、横浜市が行うさまざまな緩和策と適応策の取り組みが報告された。横浜市の行ういろいろな施策を通じて、市民に新しい生活スタイル・住まい方、新しい地域像を提示し、次の新しい社会を創っていきたいと締めくくった。
 その後、パネリストの間でディスカッション、会場との質疑が行われた。