保健・化学物質対策
「平成30年度放射線の健康影響に係る研究調査事業」新規研究課題の公募のお知らせ
平成29年9月5日
環境省大臣官房環境保健部
放射線健康管理担当参事官室
放射線の健康影響に関する研究調査について平成30年度より新規に実施する研究課題を以下の通り公募します。
1.背景
原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、平成24年7月に福島復興再生基本方針が閣議決定され、国内外の叡智を結集した放射線の人体への影響等に関する研究調査の重要性が指摘されています。また、同時期に公表された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書や東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告書においても、健康影響に関する継続的な調査を行っていく必要がある旨の提言がされています。
環境省では、このような状況を踏まえて、平成24年度から放射線の健康影響に係る研究調査として、線量評価に関する研究、健康リスクに関する研究、健康不安対策の推進に関する研究を実施しています(8.添付書類参照)。本事業では、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の「中間取りまとめ」(平成26年12月、以下「中間とりまとめ」という。)及び「中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」(平成27年2月)及び昨年度までに実施された研究内容を踏まえつつ、放射線の健康影響に係る研究調査を推進することを目的としています。
2.公募内容及び概要
今般の東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「今般の事故」という。)後、周辺地域の住民の被ばく線量の把握や、放射線の健康影響を考慮した健康管理が行われてきましたが、特に避難指示区域の解除に伴い、帰還する方の増加が見込まれることから、健康不安対策の充実・強化が重視されるところです。
こうした状況を踏まえ、「平成30年度放射線の健康影響に係る研究調査事業」では、住民の健康管理や健康不安解消への取組の有効性を高めることを主目的に、以下の4つの研究を推進します。なお、研究期間は原則として最長で3年間としますが、当該年度の研究成果及び次年度の研究計画について、各年度に有識者が評価した結果によっては、次年度の継続を認めないこともあり得ます。また、諸般の事情により3年間未満で本事業を終了する場合もあり得ます。採択件数は(1)~(4)あわせて6~8課題程度を予定しております。
なお、本公募は平成30年度予算の成立を前提に行うものです。したがって、採択された研究課題についても、予算の都合によりやむを得ない事情が生じた場合には、研究計画の見直し又は中止を求めることをあらかじめご承知おき下さい。
(1)放射線被ばくの線量評価等に関する研究(1課題あたり年間最大1千万円(一般管理費を含む))
被ばく線量は放射線の健康影響を考えるうえで最も基本となる情報です。今般の事故を踏まえた被ばく線量評価では、空間線量率と滞在時間に基づいて外部被ばく線量が算定されています。また、ホールボディ・カウンタ等での実証を経ながら放射性物質の経口又は吸入による摂取量が推定され、内部被ばく線量が算定されています。そこで、これらの取組を補完し、一般住民の被ばく線量の評価に資する研究を募集します。
特に、
・避難指示解除区域等における個人の生活を反映した詳細な個人被ばく線量の推計に関する研究
・今般の事故等を踏まえた簡易的かつ効果的な個人被ばく線量の測定に関する研究
については優先的に採択します。
(2)放射線の健康影響の解明及び放射線以外の要因による健康リスクの低減を含めた総合的な健康リスクに関する研究(1課題あたり年間最大1千万円(一般管理費を含む))
放射線の健康影響については、広島・長崎の原爆被爆者等に関する調査を初めとする疫学調査、動物実験等による放射線生物学に係る研究等により、これまで様々な科学的知見の集積が行われており、これらの知見を踏まえ、一般住民の健康管理を行う必要性やその内容について検討が行われています。そこで、今般の事故を踏まえた放射線の健康影響に関する研究、発がんを修飾する生活習慣などの要因に関する研究、並びに福島県県民健康調査等で指摘されている課題の解決に資する研究を募集します。
特に、
・放射線の健康影響、避難等による生活の変化に伴う健康影響のメカニズムや相互関連に関する基礎的研究
・放射線の健康影響に関して福島県内自治体等と連携し実施する疫学的研究
については優先的に採択します。
(3)放射線による健康不安対策の推進に関する研究(1課題あたり年間最大1千万円(一般管理費を含む))
放射線の健康影響、特に今般の事故を踏まえた被ばくの健康影響に係る健康不安に対応するため、正確かつ迅速な情報提供を行うとともに、個々の住民の健康不安の内容を把握し、その内容に適切に対応する必要があります。そこで、住民の持つ不安内容を的確に整理分析し、科学的な妥当性を有するコミュニケーション方法の開発や、それぞれのリスクコミュニケーション活動の効果検証に関する研究を募集します。。
特に、
・避難指示解除区域等に帰還した住民及び帰還を検討する住民の健康不安や生活不安、健康影響の軽減方策に関する研究
・福島県内の非避難指示区域又は福島近隣県の住民の健康不安の軽減方策に関する研究
・住民ニーズに即した相談員等の効果的な育成並びにリスクコミュニケーション活動の設計に資する研究
・リスクコミュニケーション活動の効果検証に資する研究
・住民の抱える様々な不安に対する、事故からの時間経過も踏まえた実態把握並びに不安に影響を及ぼす要因の分析に関する研究
については優先的に採択します。
(4)福島県内外での疾病罹患動向の把握に関する調査研究(1課題あたり年間最大1千万円(一般管理費を含む))
「中間取りまとめ」を踏まえた当面の施策の方向性として、「各種がんの罹患動向の把握及びがん以外の疾患においても同様に把握していく」ことが示されています。そこで、福島県及びその他の地域において地域毎に経時的な疾病等の罹患率、有病率及び死亡率の変化を分析するために、平成27~29年度に悉皆性の高い統計情報を収集し、福島県及びその他の地域における死亡・死因、がん、循環器疾患、先天異常等の動向の把握を行う研究を実施しました。今後も既存の統計又は情報を用いて福島県及びその他の地域のがん、循環器疾患等の罹患動向を把握し、その動向に影響を及ぼしている因子の検討を行う研究を推進します。
なお、研究の実施にあたっては、日本国内において、がんや循環器疾患等に関する疫学研究の実績を十分に有する公衆衛生学や疫学の専門家又は、福島県内のがんや循環器疾患等の罹患動向を十分に把握している専門家による研究体制を構築していることがのぞましい。
※(1)~(4)の全てについて、優先的に採択する研究に該当しないものについても若干数採択する予定です。
※ 避難指示解除区域等とは、すでに解除された地域及び帰還困難区域のことをいいます。
※ 本研究調査事業では、多分野の若手研究者を研究に参画させ、放射線の人体への影響等に関する調査研究の中核となる人材を確保するとともに、調査研究の加速化を推進することを目的に、「若手研究者を活用した研究の加速化」を実施しています。応募の詳細については、採択後にお知らせしますが、応募の希望がある場合は【様式1】、【様式2】にその旨を記載してください。
<参考> 平成29年度「若手研究者を活用した研究の加速化計画の募集について」概要 加速化計画が採択された研究課題では、主任研究者又は分担研究者が実施する研究課題の研究経費の上限額とは別に、人件費等の増額を認めます。増額可能な経費総額は800万円程度とし、活用する若手研究者の人件費、研究加速化に係るその他の経費(上限100万円)、消費税相当額、一般管理費を含むものとします。 「若手研究者」とは以下の条件をすべて満たす者とします。 (a)博士の学位を有する者又はこれと同等以上の研究能力があると認められる者(学生及び大学院生は対象外) (b)平成29年4月1日現在の時点において年齢が満39歳以下の者 (c)加速化計画の実施期間中に、他の常勤的な職に従事しない者 |
3.応募資格者
(1)研究機関(※)に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含むものとして、所属する者であること
(2)当該研究機関の研究活動に実際に従事していること
(3)大学院生等の学生でないこと
※ア.国の試験研究機関
イ.地方公共団体の附属試験研究機関
ウ.学校教育法に基づく大学及び同附属試験研究機関
エ.研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
オ.研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第3項に規定する国立研究開発法人
4.応募方法
【様式1】「平成30年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【主任研究者用】」及び【様式3】「研究経費内訳シート」をダウンロードし、主任研究者が研究計画書作成要領に従って必要事項を入力の上、下記事務局にメールで送付してください。
分担研究者を必要とする研究計画の場合、【様式2】「平成30年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【分担研究者用】」及び【様式3】「研究経費内訳シート」をダウンロードし、分担研究者が研究計画書作成要領に従って必要事項を入力の上、主任研究者を通じて【様式1】とともに下記事務局にメールで送付してください。なお、4MB以上の電子ファイルを送付する場合は、事前に事務局にご連絡ください。
※ 応募いただいたメールを受理した旨を事務局からメールにて返信いたします。応募後5日経過しても受理メールが届かない場合は、お手数ですが事務局まで電話にてご確認願います。
※ 必要書類は「8.添付書類」よりダウンロードして下さい。
5.応募期限
平成29年9月5日(火)~10月5日(木)18時まで
6.研究の採択
研究の採択につきましては、送付された研究計画書に基づき、今後、開催する「放射線の健康影響に係る研究調査事業推進委員会」(以下、「推進委員会」という。)において研究課題の評価方針に従って採択の可否が検討されます。合計6~8課題程度の採択を予定しています。採択の可否については事務局より御連絡いたします。
7.研究の評価と管理
全ての研究課題について、年に1回、成果発表会で研究成果報告をしていただきます。「放射線の健康影響に係る研究調査事業評価委員会」(以下、「評価委員会」という。)による評価を行い、研究計画の見直し等に反映するものとします。
本事業における研究を適切に管理することを目的として、本事業内にプログラムオフィサー(PO)を配置しています。POが研究班会議への参加や研究実施場所での現地ヒアリング等を行うことにより、進捗状況や実施状況を確認し、必要に応じ助言を行う等、適切な研究管理を実施します。
8.添付書類
- 【様式1】平成30年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【主任研究者用】[Word 114KB]
- 【様式2】平成30年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【分担研究者用】[Word 91KB]
- 【様式3】研究経費内訳シート [Excel 34KB]
- 研究計画書作成要領 [PDF 609KB]
- 研究課題についての評価方針 [PDF 157KB]
- (参考)進行中の研究課題(平成29年9月現在)[PDF 167KB]
9.審査における留意点
(1)3.に記載された条件を満たしていない、あるいは研究計画書に不備等がある場合は、審査の対象とならないことがあります。
(2)研究計画書だけでは十分な技術的裏付けが得られない場合、技術的根拠となる書類等を追加で提出していただく場合があります。
(3)推進委員会及び評価委員会の委員は、委員として知り得た情報を、委員の職にある期間だけでなく、その職を退いた後についても正当な理由無く、第三者に漏洩、又は使用しないこととしています。また、推進委員会及び評価委員会の委員のうち審査の対象となる課題の主任研究者又は分担研究者と利害関係がある委員は、当該研究課題の審査を棄権します。
(4)推進委員会及び評価委員会の委員、環境省あるいは事務局関係者等へ採択の陳情を行うことは厳に慎んでください。なお、仮に応募課題の関係者から陳情等があった場合には、陳情者が当該研究課題に参画予定の研究者本人か否かを問わず、応募された研究課題は審査対象から除外します。また、採択に係る通知以前に関係者へ採否の感触を照会する等の行為についても厳に慎んでください。
<参考> ・「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間とりまとめ http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/tyuukanntorimatomeseigohyouhannei.pdf [681KB] ・中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性 http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/torimatome1412/post_1.html ・研究開始までの大まかな流れ
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事務局:お問い合わせ先及び研究計画書送付先 環境省大臣官房環境保健部放射線健康管理担当参事官室 担当 斎藤(美)、大高、澄川 (住所)〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 (電話)03-3581-3351(内線6397) (FAX)03-3581-3368 (E-Mail)hk-research@env.go.jp |