保健・化学物質対策

「令和3年度放射線の健康影響に係る研究調査事業」新規研究課題の公募のお知らせ

令和2年9月1日

環境省大臣官房環境保健部

放射線健康管理担当参事官室

 放射線の健康影響に関する研究調査事業について、令和3年度より新規に実施する研究課題を、以下のとおり公募します(印刷用)。

1.背景及び本事業の目的

 原子力災害からの福島の復興および再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、平成247月に福島復興再生基本方針が閣議決定され、国内外の叡智を結集した放射線の人体への影響等に関する研究調査の重要性が指摘されています。また、同時期に公表された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書や、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告書においても、健康影響に関する継続的な調査を行っていく必要がある旨の提言がされています。

 このような状況を踏まえ、環境省では、平成24年度から放射線の健康影響に係る研究調査として、線量評価に関する研究、健康リスクに関する研究、健康不安対策の推進に関する研究を実施しています。本事業では、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の「中間取りまとめ」(平成2612月、以下「中間とりまとめ」という。)および「中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」(平成272月)ならびに昨年度までに実施された研究内容を踏まえ、以下の2項目を目的としています。

・帰還住民および避難中の住民、ならびに事故の間接的な影響を受けた福島とその周辺地域の住民に向けた健康管理の推進

・帰還住民および避難中の住民、ならびに事故の間接的な影響を受けた福島とその周辺地域の住民の安心につながる対策の充実・強化の推進

 なお、上記目的の推進に役立ち、住民生活上参考となる基礎的な情報の収集も、目的に含みます。

2.公募内容

 今般の東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「事故」という。)後、周辺地域の住民の被ばく線量の把握や、放射線の健康影響を考慮した健康管理が行われてきましたが、特に避難指示区域の解除に伴い、帰還する方の増加が見込まれることから、健康不安対策の充実・強化が重視されるところです。

 こうした状況を踏まえ、「令和3年度放射線の健康影響に係る研究調査事業」(以下、「本事業」という。)では、2.1に示す3つのテーマで研究課題を公募します。

 さらに本事業の中では、放射線の人体への影響等に関する調査・研究の中核となる人材を確保するとともに、調査・研究を加速させるため、2.2に示す「若手研究者を活用した研究の加速化計画」を併せて募集します。

2.1 公募テーマ

 本事業では、以下の3つのテーマで研究課題を公募します。(1)~(3)の全てについて、「優先的に採択」する研究が示されていますが、それらに該当しないものについても若干数採択する場合があります。また、(1)と(2)や、(1)と(3)など、テーマをまたぐ研究についての応募も可能です。

(1)放射線健康管理に資する線量評価に関する研究

(2)事故に係る身体面・心理面の健康影響およびそのメカニズムに関する研究

(3)事故による放射線不安への対策に資する研究

 各テーマにおける研究費は、一般管理費を含めて、年間1千万円が上限となります。限度内であれば、研究計画の規模は問いません。研究を実施する上で、各テーマにおける内容に応じた必要な経費を計上してください。

(1)放射線健康管理に資する線量評価に関する研究

 被ばく線量は、放射線の健康影響を考えるうえで最も基本となる情報です。今般の事故を踏まえた被ばく線量評価では、外部被ばく線量の算定には、空間線量率と滞在時間に基づいた評価法や、個人線量計を用いた線量評価が行われています。また、内部被ばく線量の算定には、ホールボディ・カウンタなどでの実証とともに、放射性物質の経口または吸入による摂取量に基づく推定が行われています。そこで、これらの取組を補完し、住民の被ばく線量評価の精緻化に資する研究を募集します。

特に、

【原発事故初期の被ばく線量評価の精緻化に関する研究】

・様々な避難行動を考慮した被ばく線量の評価

・大気拡散シミュレーションなどにより原発事故初期の放射性物質の拡散を考慮した被ばく線量の評価

【これまでに蓄積された手法・データなどを統合した線量評価】

・異なる測定法によるモニタリングのデータを統合した、より正確な線量の評価

【線量評価に関わる基礎的研究】

・風化、除染、人間活動や地表面の状況などを考慮した長期的な線量低減効果に関する研究

などについては優先的に採択します。

(2)事故に係る身体面・心理面の健康影響およびそのメカニズムに関する研究

 放射線の健康影響については、原爆被爆者などに関する調査を初めとする疫学調査や、動物実験などを用いた放射線生物学のアプローチによる研究などにより、これまで様々な科学的知見の集積が行われているところです。これらの知見を踏まえ、一般住民の心身への健康管理の具体策について検討が行われています。そこで、今般の事故を踏まえた放射線健康影響への不安に応え、適切な健康管理の実施に資する、低線量放射線被ばくによる身体の健康影響とそのメカニズムに関する研究、および事故時の避難や情報の混乱などによる身体的・心理的・社会的な影響を対象とする研究を募集します。

特に、

【低線量放射線による健康影響およびそのメカニズムに関する生物学的研究】

・健康影響およびそのメカニズム解明に繋がる分子・細胞レベル、組織・個体レベルでの研究

・分子・細胞レベルと、組織・個体レベルでの知見を結びつけ、動物における知見をヒトのリスク評価に適用するための橋渡し研究

【福島原発事故による健康影響に関する人を対象とする研究】

・長期にわたる低線量放射線による健康影響に関する疫学研究

・放射線事故に起因する心理的・社会的影響を含む健康影響に関する疫学研究

などについては優先的に採択します。

(3)事故による放射線不安への対策に資する研究

 今般の事故を踏まえた放射線の健康影響に係る不安を低減するためには、正確かつ信頼性の高い情報提供を行うとともに、個々の住民の不安の内容および状況を把握し、その内容に適切に対応する必要があります。そこで、避難先から帰還した住民やその周辺地域の住民をはじめ、福島県内外にいる避難住民や、彼らを受け入れる地域の方々が持つ不安の内容を明らかにしたうえで、事故に関する情報の伝え方と受け止め方に関する研究やその方法論、情報の伝わり方や意見交換についての知見を踏まえた、より多角的なリスクコミュニケーションの実践に関する調査・研究を募集します。

特に、

【科学的情報の効果的な授受に関する研究】

・より効果的なリスクコミュニケーションの実践を見据えた、放射線の健康影響や不安に関連する情報の伝え方、それに伴う情報の受け手の理解や受け止め方などに関するデータ分析、または介入による評価結果を含めた調査・研究

・より効果的な広報活動の実践に向け、事故に関する科学的情報をわかりやすく記憶に残る形で伝える方法の検討、それに伴う情報の受け手の理解や受け止め方の変化に関する、定量的・定性的評価についての研究

【コミュニケーター(インタープリター)の育成に関する研究】

・将来起こり得るリスクについて、地域住民などと共に考え話し合い、相互の信頼感を醸成できるリスクコミュニケーターの育成に関する研究

などについては優先的に採択します。

 なお、(3)における全ての研究においては、統計分析などを利用して、その効果を検証・評価するプロセスを研究計画に記載してください。

2.2 若手研究者を活用した研究の加速化計画の募集

 本事業では、2.1に示した研究課題の公募と併せて、「若手研究者を活用した研究の加速化計画」を以下のとおり募集します。

〔募集内容〕

 本事業に研究課題を応募する者を対象として、「若手研究者を活用した研究の加速化計画」(以下、「加速化計画」という。)の募集を行います。なお、応募された研究課題の加速化計画が採択されるためには、当該研究課題が採択されることが必要です。

 加速化計画と共に採択された研究課題では、主任研究者または分担研究者(以下、「主任研究者等」という。)が実施する研究課題の当該年度の研究経費予定額とは別に、若手研究者の参画に係る費用の追加交付が認められます。追加交付の総額は最大1件あたり800万円とし、活用する若手研究者の人件費に加え、研究加速化に係るその他の経費(上限額100万円)、消費税相当額、一般管理費を含むものとします。

 また、加速化計画は研究課題ごとに1件を上限とします。

3.研究期間

 原則として最長で3年間。

 年度ごとに、研究成果および次年度の研究計画について、有識者が評価を行います。評価結果によっては、次年度の継続を認めないことがあります。また、諸般の事情により3年未満で本事業を終了する場合もあります。

(※)加速化計画に応募する場合

 加速化計画の期間は、採択された研究課題に準じます(採択された研究課題が3年間継続される場合においては、原則3年間が対象となります)。

 なお、本公募は令和3年度予算の成立を前提に行うものです。したがって、採択された研究課題についても、予算の都合によりやむを得ない事情が生じた場合には、研究計画の見直しまたは中止を求めることがありますので、予めご承知おき下さい。

4.応募資格

 応募者は、(1)~(3)の条件を全て満たす者とします。

(1)研究機関(注)に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含むものとして、所属する者であること

(2)当該研究機関の研究活動に実際に従事していること

(3)大学院生等の学生でないこと

(注) 研究機関とは

ア.国の試験研究機関

イ.地方公共団体の附属試験研究機関

ウ.学校教育法に基づく大学および同附属試験研究機関

エ.研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人および公益財団法人

オ.研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条に規定する独立行政法人

 

(※)加速化計画に応募する場合

「若手研究者」とは以下の(a)~(e)の条件を全て満たす者とします。

(a) 博士の学位を有する者、またはこれと同等以上の研究能力があると認められる者

(b) 令和3年4月1日の時点において、大学院生等の学生でないこと

(c) 令和3年4月1日の時点において、年齢が満39歳以下の者

(d) 加速化計画の実施期間中に、他の常勤的な職に従事しない者

(e) 加速化計画の実施期間中に、原則として主任研究者等と同一の研究機関・大学等に所属し、かつ主たる研究場所とする者

5.応募方法

 応募の際に、主任研究者は、「10.添付書類」に示す様式をダウンロードした上で、研究計画書作成要領に従って必要事項を入力したのち、メールに添付して事務局へ送付してください(詳細については、「10.添付書類」をご確認ください)。

 なお、4MB以上の電子ファイルを送付する場合は、事前に事務局にご連絡ください。

※ 応募期限後、応募いただいたメールを受理した旨を、事務局よりメールにて返信いたします。応募後5日が経過しても受理メールが届かない場合は、お手数ですが事務局まで電話にてご確認願います。

6.応募期限

 令和2年9月1日(火) ~ 10月1日(木)正午まで

7.研究の採択加速化計画を含む)

 研究の採択につきましては、送付された研究計画書に基づき、今後開催する「放射線の健康影響に係る研究調査事業推進委員会」(以下、「推進委員会」という。)において、研究課題の評価方針に従って以下の4項目について審査され、採択の可否が検討されます。

 ① 研究内容の倫理性
 ② 環境保健行政課題との関連性
 ③ 研究計画の妥当性・効率性
 ④ 研究遂行体制・能力

 採択の可否については事務局より御連絡いたします。

8.採択件数

 合計で、6~9課題程度の採択を予定しています。

 加速化計画は、合計で3件程度の採択を予定しています。

9.研究の評価と管理

(1)成果発表

 全ての研究課題について、年に1回開催される成果発表会にて、研究成果を報告していただきます。加速化計画と共に採択された研究課題については、当該計画を実施する若手研究者にも、成果発表会で併せて研究成果を報告していただきます。成果発表会における各研究者からの報告ののち、「放射線の健康影響に係る研究調査事業評価委員会」(以下、「評価委員会」という。)による評価を行い、研究計画の見直し等に反映するものとします。
 なお、研究成果の評価には、当該研究の方法論の妥当性が含まれます。

(2)研究継続の審査

 研究期間の1年目、2年目には、推進委員会による次年度研究計画の評価が行われ、継続の可否が判断されます。加速化計画と共に採択された研究課題については、加速化計画も含めた評価が行われ、継続の可否が判断されます。

(3)事後評価と追跡アンケート

 研究終了の翌年度には、研究期間を通じて得られた研究成果について、評価委員会による事後評価が実施されます。
 研究終了の翌年度から3年程度の間、本事業で得られた成果を研究期間終了後にどのように活用したかについての、追跡アンケートを予定しています。

(4)研究管理

 本事業における研究を適切に管理することを目的として、本事業内にプログラムオフィサー(PO)を配置しています。POが、研究班会議への参加や研究実施場所での現地ヒアリングなどを行うことにより、進捗状況や実施状況を確認し、必要に応じ助言を行うなど、適切な研究管理を実施します。

10.添付書類

以下に掲載する資料をダウンロードして、ご使用ください。

【提出書類】(詳細については、研究計画書作成要領をご確認ください)

主任研究者:【様式1】と【様式4】

分担研究者がいる場合、研究者ごとに【様式2】と【様式4】

加速化計画へ応募する場合、【様式3】と【様式4】

(※)提出の際には、メールに添付するそれぞれのファイル名の先頭に、主任研究者のフルネームを記載してください(例:【環境太郎】【様式1】...)。

なお、【様式4】については、一緒に送付する【様式1】~【様式3】のどれと対応するのか一目で分かるよう、【様式】の後ろに当該研究者の氏名や通番、アルファベットを振るなどしてください。

11.応募における留意点

(1)【4.応募資格】に記載された条件を満たしていない、あるいは提出した研究計画書に不備などがある場合は、審査の対象とならないことがあります。

(2)研究計画書だけでは十分な技術的裏付けが得られない場合、技術的根拠となる書類などを追加で提出していただく場合があります。

(3)一人の研究者が主任研究者として応募できるのは、1研究課題のみです。主任研究者として同時に複数の応募をすることはできません。既に主任研究者として継続研究課題を有する場合、継続研究課題の期間中は主任研究者として新規に応募することはできません。

(4)推進委員会および評価委員会の委員は、委員として知り得た情報を、委員の職にある期間だけでなく、その職を退いた後についても、正当な理由無く第三者に漏洩または使用しないこととしています。また、推進委員会および評価委員会の委員のうち審査の対象となる課題の主任研究者等と利害関係がある委員は、当該研究課題の審査を棄権します。

(5)推進委員会および評価委員会の委員、環境省、あるいは事務局関係者などへ採択の陳情を行うことは厳に慎んでください。なお、仮に応募課題の関係者から陳情等があった場合には、陳情者が当該研究課題に参画予定の研究者本人か否かを問わず、応募された研究課題を審査対象から除外します。また、採択に係る通知以前に、関係者へ採否の感触を照会するなどの行為についても厳に慎んでください。

<参考>

・「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間とりまとめ

http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/tyuukanntorimatomeseigohyouhannei.pdf [681KB]

・中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性

http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/torimatome1412/post_1.html

・研究開始までの大まかな流れ

日程

予定される主なスケジュール

9/1-10/1

新規課題公募に対する申請

・研究計画書【様式1】、研究経費内訳シート【様式4】、必要あれば【様式2】【様式3】の環境省への提出

10月中旬~

11月上旬

推進委員会における審査

・申請があった新規課題採択(加速化計画を含む)に係る審査の実施

・採択の可否や研究計画に対するコメント・質問事項等の決定

11月下旬~

12月上旬

審査結果通知

・審査結果および推進委員からのコメントを環境省より送付

・採択された課題については、採択に係る条件や推進委員会からの質問事項を併せて送付

1

採択条件に係る研究計画の修正および質問事項への回答の提出

・研究計画の修正や、質問への回答が不十分と判断された場合、追加での対応が発生

4

委託事業者との契約手続き、研究の開始

・委託事業者と研究機関との間で、契約に係る手続きの開始

・課題が採択された研究者は、4月から研究の開始が可能

事務局:問い合わせ先および研究計画書送付先

環境省 大臣官房環境保健部 放射線健康管理担当参事官室

担当:アミール、澄川

100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2

[電話]03-3581-3351(内線6394

FAX]03-3581-3368

E-Mail]hk-research@env.go.jp

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