放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和元年度版、 HTML形式)

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第6章 事故の状況
6.3 廃炉に向けた取組と進捗

汚染水対策に関する取組(2/2)

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東京電力福島第一原子力発電所において多核種除去設備等で浄化処理した水の中には、放射性物質のトリチウムが含まれています。
トリチウムとは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の放射性同位体です。一般的な水素と同じように酸素と化合して水分子を構成することから、身の回りでは水分子に含まれるかたちで存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれています。トリチウムは水分子の一部になって存在しているため、多核種除去設備等での除去は困難です。トリチウムは、原子力発電所を運転することで人工的に生成される以外にも、自然界で宇宙線により生成されます。
トリチウムは放射線の一種であるβ(ベータ)線を出します。ただしトリチウムの出すβ線はエネルギーが小さく、紙一枚で遮蔽が可能です。そのため外部被ばくによる人体への影響はほとんどありません。また、トリチウムを含む水は、生物学的半減期が10日で、体内に取り込んだ場合も速やかに体外に排出され、特定の臓器に蓄積することもありません(上巻P31「原発事故由来の放射性物質」)。トリチウムを経口摂取した場合の預託実効線量係数は0.000018μSv/Bqであり、他の核種と比較して小さい値となっています(上巻P57「実効線量への換算係数」)。
多核種除去設備等で浄化処理した水の取扱いについては、技術的な観点のみならず、風評などの社会的な影響等も含めた総合的な検討が進められています。

参考資料

トリチウムの基礎知識について:

・ 安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策②「トリチウム」とはいったい何?https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku02.html

トリチウムが人体に与える影響について:

・ 安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策③トリチウムと「被ばく」を考えるhttps://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku03.html

本資料への収録日:2019年3月31日

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