放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成28年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.8 こころへの影響

子供の精神医学的影響

子供の精神医学的影響
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チェルノブイリ原発事故時に胎児であった子供たちへの、これらの研究では、神経心理学的影響についても調査が行われています。
必ずしも研究結果は一致していませんが、原発事故の影響により子供の情緒障害があったとする報告でも、放射線による被ばくが直接の影響ではなく、保護者の不安等そのほかの影響が要因として指摘されています。
福島県の放射線医学県民健康管理センターでは、将来の子どもたちの世代に向けて、自然災害時や緊急時における「こころのケア」のより良いあり方を受け継ぐことを目的に、こころの健康度・生活習慣に関する調査を実施しています。
この調査では、子どものこころの健康度を評価する指標としてStrengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)*を用いています。日本の被災していない一般人口を対象とした先行研究におけるスクリーニング得点であるSDQ16点以上の割合(9.5%)と比較すると、平成26年度に行った調査結果は、4~6歳群は13.4%、6~12歳群は15.1%と依然として16点以上の割合が高い結果を示しています。しかし、事故のあった平成23年度調査と比べると平成26年度の調査では4~6歳群と6~12歳群とも減少傾向であることが分かっています。大きい点数(16点以上)の割合が高いほど支援が必要とされています。
*SDQ (Strengths and Difficulties Questionnaire) は、保護者や保育士が5分でチェックすることが可能な行動スクリーニング質問紙です。SDQは、英国を中心に北欧やドイツなどヨーロッパで広く用いられており、子どもの困難さ(difficulty)のみならず、強み(strength)も評価できる点が他の質問紙とは異なります。
(参考文献:厚生労働省、第四章 健康診査ツール 第3節 行動評価法(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken07/h7_04a.html

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成29年3月31日

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