放射線はその通り道の近くにエネルギーを与えていきます。与えられたエネルギーにより、通り道の物質の電子が弾き飛ばされます。これが電離作用です。
物質にエネルギーを与える密度は、放射線の種類によって異なりますが、β(ベータ)線やγ(ガンマ)線に比べ、α(アルファ)線はごく狭い範囲に集中的にエネルギーを与えます。このような電離作用の密度の違いにより、同じ吸収線量であっても細胞が受ける損傷の大きさが異なります。
放射線が直接生体分子に損傷を与える過程を直接作用といいます。細胞は約3分の2が水で構成されているので、放射線によって水のイオン化も起こります。このイオン化によって生じたラジカルと呼ばれる化学反応を起こしやすい成分により、生体分子に損傷を与える過程を間接作用といいます(
上巻P83、「DNA→細胞→人体」)。
本資料への収録日:平成25年3月31日
改訂日:平成27年3月31日