放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成28年度版、 HTML形式)

第3章 放射線による健康影響
3.1 人体への影響

放射線影響の分類

放射線影響の分類
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放射線の人体影響は、放射線を受けた本人に出る影響と子供や孫等子孫に出る影響に分けられます。
また、被ばくしてから症状が出るまでの時間によって分類されることもあります。すなわち、被ばく後、比較的早く症状が出る「急性影響(早期影響)」と、数か月後以降に現れる「晩発影響」に分けることができます。
もう一つの分類方法は、放射線の影響が生じるメカニズムの違いによる分類です。
「確定的影響」は、臓器や組織を構成する細胞が多数死亡したり、変性したりすることで起こる症状です。例えば、比較的大量の放射線を浴びると、数週間以内に皮膚障害を起こしたり、造血能低下により血球の数が減ったりすることがあります(急性放射線症候群)。また妊娠中に大量の放射線を浴びると胎児に影響が出たり、眼に当たると、しばらくしてから白内障になることがあります。
一方、がんや遺伝性影響といった障害は、細胞の遺伝子が変異することで起こる影響です。放射線はDNAを傷つけ、その結果、突然変異が起こることがあります(上巻P84、「放射線によるDNAの損傷」)。個々の突然変異が病気につながる可能性は低いものの、理論的にはがんや遺伝性影響の原因となる可能性が全くないとはいえません。そこで、がんや遺伝性影響については、しきい線量はないと仮定して、管理が行われています。
(関連ページ:上巻P80、「確定的影響と確率的影響」

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成29年3月31日

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