取組紹介


「国際協力関連事業」
米国環境保護庁(USEPA)の取組
米国環境保護庁(USEPA)の取組
1.背景
内分泌かく乱化学物質スクリーニング及び試験法諮問委員会(EDSTAC) 1)、パブリックコメント及び米国環境保護庁の科学諮問委員会と殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)科学諮問委員会の勧告を受け、1999 年に設立された内分泌かく乱化学物質スクリーニング計画(EDSP)が取り組みの中核である。2)
EDSP Background | Endocrine Disruptor Screening Program | US EPA(外部サイト)
1):内分泌かく乱化学物質スクリーニング及び試験法諮問委員会(EDSTAC):1996年~1998年に活動した委員会。1998 年に以下の提案をした。
- エストロジェン、アンドロジェン、甲状腺(ホルモン)を対象とする。
- ヒト影響及び生態影響を対象とする。
- 膨大な種類・数の化学物質に優先順位を設定する。
- 2段階的取り組みを行う。
- Tier1 スクリーニング:内分泌系との潜在的相互作用の検出を目的とした試験管内試験及び動物試験から構成されるスクリーニングで、試験結果により化学物質は陽性(positive)、陰性(negative)、判定不能(equivocal)のいずれかに分類される。
- Tier2 テスト:ハザード評価に向けたデータの提供を目的とした広範な生物種(げっ歯類、魚類、両生類、鳥類、甲殻類)を用いた多世代試験から構成される試験。
2):EDSPの活動の法的根拠
- 1996 年に食品品質保護法(Food Quality Protection Act)によって要請されている。
- ヒト健康に有害な影響を及ぼすようなエストロジェン作用をもつ農薬をスクリーニングしなければならない。
- 検証済の試験系あるいはその他の科学的関連情報を適切に用いなければならない。
- エストロジェン作用以外の内分泌作用(例えばアンドロジェン影響、甲状腺影響、ヒト以外の生物種に対するエストロジェン影響)についても対象とするものとする。
- 広い範囲でヒトがばく露するおそれがある化学物質も対象とする。
- 1996 年に飲料水安全法(Safe Drinking Water Act)によって要請されている。
- 広い範囲でヒトがばく露するおそれがある飲料水中汚染化学物質のスクリーニングを行うものとする。
内分泌かく乱化学物質スクリーニング計画(EDSP)の主な活動※
(1)試験法の開発と開発した試験法の妥当性検証
- Tier1 スクリーニング及びTier2 テストから構成される複数の試験法の開発と試験法の妥当性検証を行っている。
- 化学物質による生物の内分泌系への作用を確認するためのTier1 スクリーニングの妥当性検証は完了している。Tier1 スクリーニングは以下の試験法で構成されている。
試験管内試験
- ラットエストロジェン受容体結合試験
- ヒトHeLA 細胞エストロジェン受容体転写活性化試験
- ラットアンドロジェン受容体結合試験
- ヒトステロイド産生試験
- ヒトアロマターゼ試験
動物試験
- ラット子宮肥大試験
- ラットハーシュバーガー試験
- ラット雌思春期試験(Pubertal female)
- ラット雄思春期試験(Pubertal male)
- 両生類変態試験
- 魚類短期間繁殖試験
- 化学物質に生物の有害影響を確認するためのTier2 テストの妥当性検証は実施中であり、2011 年末までに完了の予定である。
(2)Tier1 スクリーニング対象物質の選抜
- Tier1 スクリーニング対象物質の第1次リストとして農薬活性成分(PAIs)58 物質及び高生産量化学物質(HPVs)で農薬不活性成分9物質の合計67物質をヒトのばく露情報の有無を根拠として選抜した。
- Tier1 スクリーニング対象物質の第2次リストとして農薬及び飲料水において検出されている化学物質のうち少なくとも100 物質を2010年10月末までに選抜する予定である。
(3)Tier1 スクリーニング実施に向けての準備
- Tier1 スクリーニングにおいて用いられる試験法に関する情報を2009年10月までに公表した。
- 2009年10月から2010年2月までに第1次リストのTier1 スクリーニング対象物質の登録者、製造者及び輸入業者にスクリーニング実施の命令を行う。
(4)Tier1 スクリーニングの実施
- 第1次リストのTier1 スクリーニング対象物質の登録者、製造者及び輸入業者は全てのTier1 スクリーニングを実施しなければならない。
- 2012年までに第1次リストのTier1 スクリーニング対象物質のスクリーニングは完了する。Tier1 スクリーニングの結果は公表される予定である。
Tier1 スクリーニングの評価
- スクリーニング結果の解釈においては、専門家による判断、エンドポイントの選択及び複数のエンドポイントや試験において認められた影響などをもとに、証拠の重み付け(Weight-of-evidence)についてレビューする。
- 2012年に第1次リストのTier1 スクリーニング対象物質のスクリーニング結果の評価を行い、Tier2 テストを行うべき物質を選抜する。
※Tier 1 Screening Battery | Endocrine Disruptor Screening Program | US EPA(外部サイト) 及び第6回日米二国間協力実務者会議において発表された資料を参照して作成した