大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年3月19日(火)11:45~12:02 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

  みちのく潮風トレイル5周年及び東海自然歩道50周年についてまずお話をしたいと思います。環境省が設定し、自治体が整備・管理を行っている長距離自然歩道は、私が大臣就任以来注目しているアドベンチャートラベルの優良事例であり、また、地域活性化、健康増進、人間性の回復やウェルビーイングにもつながるものだと考えております。
 昨年11月に、海外メディアにも注目されている「みちのく潮風トレイル」を、滝沢副大臣と一緒に歩いて以来、長距離自然歩道とそのすばらしさを知っていただくにはどうしたらいいかということを考えてきました。
 今年、「みちのく潮風トレイル」の全線開通5周年、また、我が国最初の長距離自然歩道である「東海自然歩道」の完成50周年というメモリアルイヤーといえる年でございます。この機会に、記念式典やウォーキングイベントを開催するとともに、自治体や民間企業とも連携し、長距離自然歩道の利用推進や、長く歩く旅の浸透を図っていきます。
 まずは大都市に近く、大きなポテンシャルのある東海自然歩道に着目し、今後の持続的な活動に向けた方針を打ち出してまいります。以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社日本テレビの村田です。よろしくお願いします。「みちのく潮風トレイル」は、東日本大震災で被災した海岸線に沿って歩くコースとなっていますけれども、このトレイルの利用促進によってどのようなことを期待されていますでしょうか。また、長距離自然歩道全体についてのお話ですけれども、インバウンドの呼び込みなどを期待される一方で、まだ十分に知られていない事情があるかと思います。今後どのように利用促進されていくお考えかお聞かせいただければと思います。
(大臣)「みちのく潮風トレイル」は、自然と共に歩んできた東北の太平洋沿岸の風景や文化、これを震災や津波の記憶と共に未来に引き継ぐことを狙いとして設定したものでございます。今申し上げましたけど、私も昨年、石巻市や女川町のほうを歩きましたが、沿岸の自治体や地域の方々に支えられ、愛されている、そしてまた多くの人が訪れる、そういう実感を持ちました。今後さらに、もっと多くの方に歩いていただき、地域の活性化や、東日本大震災からのさらなる復興にもつながることを期待してございます。
 また、この「みちのく潮風トレイル」は、海外の有名メディアにも多数取り上げられており、このような認知度の高まりや、運営体制の好事例、これを「東海自然歩道」をはじめとする、ほかの長距離自然歩道にも広げていきたいということを考えております。今年は、「みちのく潮風トレイル」全線開通5周年や、「東海自然歩道」完成50周年を迎える絶好の機会でもございます。関連イベントの開催等を通じて、利用促進を図ることで、地域活性化の後押しをしてまいりたい、こういうふうに考えております。
 
(記者)日経新聞の田中です。自然歩道の関連ですけど、冒頭の一番最後に大きなポテンシャルのある東海自然歩道に着目して、今後の持続的な活用に向けた方針を打ち出すということの御発言があったんですけど、今の時点で具体的にもし決まっていることなどがあればちょっと教えてください。
(大臣)まだ具体的な日取りが固まったものはございませんけれども、今年はメモリアルイヤーでございますので、どんどん進めたいと思います。その関連で申し上げれば、ロングトレイルを多くの人に歩いてもらう、持続的な維持管理にしていくためには、多くのイベントを通じた利活用の促進と運営体制の構築を同時に進めていくということが大事だと思っておりますし、「みちのく潮風トレイル」、これは今お話ししましたけど、地元自治体や民間、そして地域の皆様の御協力の元に運営されておりますので、「東海自然歩道」の維持管理についても、この「みちのく潮風トレイル」を参考にしながら、地域と検討してまいりたいと思います。
 「東海自然歩道」については、7月の50周年が、ひとつの節目であると考えておりますので、その月になるかどうかは、まだ確定的には申し上げられませんけれども、そこでの活用方針の打ち出しも含めて、関係者と一緒に考えてまいりたいと、そういうふうに思います。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。よろしくお願いします。処理水の関連でお伺いします。今回、処理水の放出が4回目ですか、完了いたしまして、今回の放出の中では、いわゆる処理される前の汚染水ともいうべき状態のものが漏れたり、あるいは福島での大きい地震によって、一時放出が見送られるといったイレギュラーな事態が多数起こりました。今回の放出完了に際して、モニタリングを担当し、それから原子力防災を担当する大臣として、どのように一連の状況を見ていらっしゃるか、受け止めをお願いいたします。
(大臣)ALPS処理水の海洋放出に対しては、念には念を入れて、環境省が議長となって、6者でモニタリングをしておりますけれども、今回のいろいろな事案、処理水の放出そのものではありませんけれども、やはり国民の皆様の不安を抱かせるような事案だと思いますので、このようなことが起きないように、環境省としても注意深く、全力を挙げてまいりたいと思います。
 
(記者)朝日新聞の市野です。本日の閣議で、復興基本方針が閣議決定されたかと思います。除去土壌のことも当然あると思うのですけれども、環境省として、改めてこの方針に沿ってどのように進めていかれるかというのをお聞かせください。
(大臣)本日、第2期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更についての閣議、私も出ておりました。その中で県外最終処分の実現のため、今後、本格的な除去土壌の再生利用に向けた関係省庁の連携強化等が不可欠でございます。この再生利用先の創出等に関して、政府一体となった体制の整備に向けて取組を進めることとされております。環境省としては、この再生利用を行う上で、必要となる基準づくり、これをはじめとした取組を着実に進めるとともに、関係省庁との連携を強化してまいりたいと思います。そして、そういうことを通じて、県外最終処分に向けた取組を前進させていきたいというふうに思います。
(記者)政府一体となった体制整備ということなのですが、連絡会議のようなレベルをつくるのか、どういった形で進めていくおつもりなのか、その辺りの具体的な考えはありますでしょうか。
(大臣)今、この時点で、環境大臣の立場で、どのレベルで何をするかというのは、ちょっと、具体的なコメントは差し控えたいと思いますけれども、常々、官邸の会議においてもそういう話が出ておりますし、最終的には総理の御判断で、どのレベルのどういう連携をしていくかということが決まるのではないかというふうに考えております。
 
(記者)NHKの林と申します。有機フッ素化合物のPFASについて、昨日、環境省は新たな委託研究をするということを公表されて、3つの研究グループで進めるということだと思うのですけれども、あらためて研究を今回、国として進める意義というのと、全国的な状況として、環境中であったりとか、場合によっては体内の血中から高い値が検出されるということで、住民の不安が高まっているというのが、本当に多くの地域の実情だと思うのですけれども、今回の研究がそういった住民の不安に応えられるものになるというふうな期待というのは、大臣としてもあるのでしょうか。
(大臣)今言及のあった、来年度から実施予定のPFASに関する総合研究については、14件の応募があったわけでありますけれども、専門家の御意見を踏まえて、環境省において3つの課題を採択し、昨日報道発表したところでございます。
 PFASについては、どの程度の量が身体に入ると健康への影響が出るのか、まだ十分な知見はございません。ですから、今回の本研究の事業によりPFASの有害性に関する知見を深めてまいりたいというふうに考えております。
 これらの研究成果やその他の科学的知見を踏まえ、国民の不安払拭に向けて、確かな科学的知見に基づくPFAS対策を進めてまいりたいと、そういうふうに考えています。
 
(記者)エネルギージャーナル社の清水です。今日の読売さんにも出ていましたけれども、SAF燃料、持続可能な次世代燃料とかという、ちょっと分かりにくい日本語ですけれども、言い方を工夫したほうがいいと思うのですけれども、相当、それが争奪戦というか、熱くなっている、再生エネの重要な一翼を担うという、分かりやすく言うとディーゼル燃料というか、食用油なんかの再利用なんですけれど、これをね、やっぱり環境省はもっと力を入れてやるべきじゃないかと。航空燃料や何かの適用もあって、今はどうも輸出の方が値が高くて、従来の3倍ぐらいするという価格になっているということで。環境省が廃棄物処理法の今度改正をやる、高度化法ですか、もあるし、やっぱり相当生物系燃料の汎用というか啓発というか、これはその製造者のプロセスも含めて、もっと強く押し出すべきじゃないかと思うのですけど、その辺どうですか。
(大臣)御指摘ありがとうございます。この件、環境省の所管と経済産業省の所管が、ある意味ではオーバーラップするところでございますので、経済産業省とも連携しながら、環境省の果たす役割を主体的に進めてまいりたいと、そういうふうに思います。
(記者)実証事業とかね、集めたりするスキームがやっぱり結構ノウハウがいるということなので、地元の宮城県なんかでも実証事業は、宮城県に限らず、取り組んだらどうかなと思うんですけど、どうですか。
(大臣)廃油に限らず、大きな意味での廃棄物からエネルギーなり、資源を取り出すということは非常に重要な視点だと思います。ですから、農業廃棄物もありますね。それからまた微生物等を利用するという、いろんな技術もあります。環境省だけでできないところもありますし、環境省がもう少し得意になってやるべきところもあると思うんです。これは環境省としても主体的に、また経済産業省等々とも連携してしっかり進めてまいりたい、そういうふうに思います。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。先日、各務原市長が環境省を訪れて、PFAS関係なのですが、市単独での除去などの知見も技術も足りないとか全国の市町村が困っているというふうに政務官に訴えました。PFAS除去の技術支援ですとか情報支援を求める声というのは今、全国の自治体から寄せられている中で、環境省としてもスピード感を持って方向性を示すことが重要なんじゃないかと思うのですが、大臣はどのようにお考えかということをお伺いできればと思います。
(大臣)御案内のように、各務原市をはじめとして、PFOS、PFOAについて、特に暫定目標値を超過したものが検出された自治体の皆さんから、今言ったような要望も含めて、いろいろな御要望をいただいております。自治体に対して、環境省ではQ&Aを作って技術的助言を含めてのところでございますけれども、除去技術を含め、先ほどの研究も含めて、環境省とできる限りの研究を進めるとともに、除去技術についても必要な技術的助言もしていければと思います。
(記者)大臣の感触でいいのですが、かなり、昨年ぐらいからいろいろ陳情に来ていると思うんですけれども、この危機感というか、この辺りをどのようにお感じですか。
(大臣)PFAS関連に関しては非常に強い危機感を私も持っています。これはいろいろな状況が各自治体であるとともに、今回研究を進めるわけですけども、PFASに対する知見というのはまだ十分に蓄積されておりません。ですから、同時並行で進めるということも必要だと思いますし、環境省は水質については暫定基準を出しておりますけれども、今後、上水道の水質について環境省が担当することに、4月からなりますし、何と言いますか、緊張感を持って、また緊急性を持って、重要な課題として取り組んでまいりたいと、危機感を持って感じております。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=9_1fkTfVTUQ
 
(以上)