大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年12月8日(金)09:14~09:28 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、COP28への参加についてお話いたします。COP28に参加するため、UAEのドバイに向けて、今夜出発する予定でございます。
 COP28では、初めてグローバル・ストックテイクの成果物が取りまとめられます。パリ協定の1.5度目標達成のためには、さらなる対策の加速化が必要であり、各国の対策の加速につながる成果となるよう、日本政府代表団長として、積極的に交渉に参加してまいります。
 現地では、閣僚級会合やサイドイベントに参加し、我が国の具体的な取組状況や考え方を発信してまいります。また、各国の閣僚等とバイ会談を行い、信頼関係を深め、より良い合意に向けて、働きかけをしてまいります。
 その次に、大熊町、双葉町の特定帰還居住区域の除染・解体工事の開始についてお話いたします。先月末には、全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。今後は、2020年代にかけて、帰還意向のある住民の皆様が帰還できるよう、環境省として、特定帰還居住区域の除染・解体工事を実施してまいります。
 このたび、先行して計画を認定した大熊町及び双葉町の特定帰還居住区域の除染・解体工事に着手する準備ができました。12月20日(水)から工事を開始する見込みでございます。特定帰還居住区域での最初の取組であり、福島の復興・再生の更なる前進に向けた重要な一歩でございます。環境省としては、避難指示解除に向け、着実に事業を行ってまいりたいと思います。以上です。
 

2.質疑応答

(記者)おはようございます。幹事社、TBSの勝目です。いよいよCOP28に向けて出発されるということですけれども、COP28に向けて、改めて大臣の意気込みをお聞かせください。また、会議の焦点となっている化石燃料の段階的廃止について、日本としてどのようなスタンスで臨むのかもお伺いします。
(大臣)COP28では、グローバル・ストックテイクが主要な論点となってございます。先ほど申し上げたとおり、その成果が、1.5度目標達成に向けた各国の気候変動対策の加速化につながるように、積極的に交渉に参加してまいりたいと思います。
 また、ジャパンパビリオンで紹介している我が国の優れた省エネ家電、断熱技術、燃料電池などの脱炭素技術について、官民連携の下、積極的に海外に発信したいとも考えております。
 我が国は、5月のG7広島サミットにおいて、岸田総理のリーダーシップの下、「1.5度に抑えるために必要な軌道に沿って、遅くとも2050年までにエネルギー・システムにおけるネットゼロを達成するために、排出削減対策が講じられていない化石燃料のフェーズアウトを加速させる」というG7のコミットメントを確認してございます。この方針の下、関係各国に関しても、G7と共に同様の行動を取ることを呼びかけてまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。もう一点、質問させてください。先週の火曜日に、静岡県の川勝知事が電撃訪問し、環境省の事務方に要請書を渡したとの報道がありました。今回の要請を受けて、環境省は何か働きかけを行ったのか。また、リニア新幹線の有識者会議の報告書について、環境保全措置の内容は十分だと認識しているのか伺います。
(大臣)環境省は、環境影響評価法に基づき、平成26年の評価書に対して、国土交通大臣に対し、事業者が十分な環境対策を講じるよう、適切な指導を行う等を求める意見を提出してございます。国土交通省の有識者会議において、環境省として、会議へのオブザーバー参加、委員の推薦、自然環境に関する情報提供等、必要な協力は行ってきております。
昨日、有識者会議の報告書が公表されましたが、計14回開催された会議において、静岡県、関係市町、環境団体等のヒアリングの内容、静岡県から頂いた意見等を踏まえた論点が整理され、科学的、客観的な視点から、丁寧に議論された結果と認識しています。
 今後は、この報告書の内容を踏まえ、国土交通省において、事業者に対する適切な指導を行っていただけるものと考えており、環境省としても今後の対応を見守ってまいりたいと思います。
 
(記者)時事通信の鴨川です。冒頭で発言のありました、特定帰還居住区域の除染・解体工事についてお伺いします。大熊町、双葉町で先行実施するとのことですけれども、残りの区域の工事スケジュールはどうなっているのでしょうか。また、2020年代をかけて帰還意向のある住民に帰還いただくとの方針がなされていますが、いつまでに区域全体の除染・解体工事を終了させたいと考えているのか、よろしくお願いします。
(大臣)現時点では、大熊町、双葉町の先行区域を除き、特定帰還居住区域復興再生計画の案を地元自治体が作成中でございますので、工事のスケジュールを具体的にお答えすることは現時点では難しいと思います。
 他方、2020年代にかけて帰還意向のある住民が帰還できるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進めていくことは政府の方針でございます。環境省としては、住民の皆様が少しでも早く帰還できるよう、計画が認定されたら、速やかに土地関係者の方々の同意を得て、除染、家屋解体等の工事を早急に着手したいと考えてございます。
 
(記者)毎日新聞の山口と申します。COPについてお聞きしたいのですが、先ほど少しバイ会談について触れられておりましたけれども、バイ会談で大臣が特に重視している国と、その国との議題というところは、何か今のところ想定しているのはありますでしょうか。
(大臣)どれも重要な国でありますけれども、やっぱり多く排出している国々とのバイ会談は重要だと思いますし、それからやっぱり議題というのは、もちろん、1.5度の目標に達成するために、それぞれ必要なCO2の削減をしていただきたいわけですけれども、その道筋というものは、たぶん、国の状況によって異なると思うんですね。そこも含めて、バイ会談で、やっぱり相手の状況もよく理解しながら、それぞれの国が最終的には1.5度の目標に達成する削減ができるように、バイ会談で精力的に話合いを続けてまいりたいと、そのように思います。
(記者)多く排出している国とありましたけれども、具体的にどこかというのは、今のところ念頭にありますでしょうか。
(大臣)それは表を見れば分かると思いますけれども、中国であり、アメリカであり、インドであると思います。ただ、そこだけではなくて、何て言いましょうか、やっぱり国のいろいろな発展段階というのがございますね。ですから、その発展段階のところはどうしても、なかなかCO2を削減することが技術的に困難であったり、経済的に困難であるという事情もあると思います。そういうところに対して、日本ができる限りの協力をして、そういう国々にも削減していただくということが大事だと思います。
 日本の排出は、世界から見て3%なんですね。ですから、97%を排出しているそれぞれの国が、やはり2050年に向けてネットゼロという方向に持っていっていただかないと、オントラックにならないわけで、日本はもうオントラックでやっているわけですけれども、日本がオントラックでやるだけでは、1.5度の目標は地球では達成できませんので、地球で達成させるということがCOP28の究極の目的ですから、そのために日本として、できる貢献を先導的に行ってまいりたいというのが私の気持ちです。
(記者)もう一点、別の議題ですけれども、クマについて、先日の衆院環境委員会の中で、大臣、専門家検討会の設置についても触れられたかと思うのですが、クマに関しては、どれぐらい実際にいるのかとか、あと過度な捕獲とかも懸念されているところかと思うんですが、指定管理鳥獣にするかどうかというのに当たって、検討する上での現時点の課題というのは、どの辺りにあるのかなと。いかがでしょうか。
(大臣)現時点というよりは、もともと指定管理鳥獣にする今までの動きは、全国的に非常に個体数が増えて、そのことによって、人身被害や農作物の被害が甚大であるという前提でありましたけれども、クマに関して言えば、北海道、東北、あるいは日本海の数県で大変増えているわけでございますけども、他方、四国、九州はほとんどいない、あるいは一時期は絶滅の危機ということも言われているわけです。ですから、そこも含めて、全国の生態調査をするということも必要ですし、その個体数だけでなくて、やはりクマがどういうふうな生態であるのか、どうして、今日、市街地への出没がこれほど頻繁になったか、総合的に調べる必要があると思うのです。ですから、そこも含めて、私のほうは、早く緻密な生態調査、それから、もちろん被害の調査も含めて実施して、なるだけ早い時期に指定管理鳥獣に指定するかどうかを決定するように、強く指示しているところでございます。
 
(記者)TBSの勝目です。現在報道されている自民党派閥の政治資金を巡る問題でお伺いしたいです。パーティー券の販売ノルマを超えた分を議員にキックバックしていたということで報道されていると思うのですけれども、伊藤大臣はこの問題についてどう考えているのか、また御自身については、そうしたキックバックを受けたことがあるのか教えてください。
(大臣)パーティー券を含め、政党あるいは政治家は、法を遵守して、しっかり行動することが大事だとまず考えております。私自身については、何と言いますか、そういう疑念を持たせるようなことはありませんし、それからどういう言葉が的確か分かりませんけれども、キックバックを受けたこともありません。
 
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/oDjVydNzWio?si=TZHwLqGA6TTahLw2
 
(以上)