大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年11月28日(火)08:35~08:46 於:衆議院本会議場正玄関前)

1.発言要旨

 おはようございます。本日の閣議では、環境省関係の政令2件を決定いたしました。
 1件目は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令でございます。本政令は、昨年6月のストックホルム条約第10回締約国会議の決定を受けて、有機フッ素化合物PFASの1種であるPFHxSを第一種特定化学物質に指定するものでございます。来年2月に予定している政令の施行後、この物質の製造、輸入等は原則禁止となります。引き続き、PFAS対策の強化、国民の安全・安心の確保に努めてまいります。
 2件目は、水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令でございます。本政令は、昨年3月の水俣条約第4回締約国会議の決定を受けて、水銀を使用する真空ポンプなど新たに5つの製品を、特定水銀使用製品に追加するものでございます。条約で定められた製造禁止年限よりも1年前倒しして、来年の末に製造禁止として、水俣病を経験した我が国として、水銀汚染対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、環境教育・ESD動画100選の選定結果についてでございます。環境省は6月より環境教育や持続可能な開発のための教育、いわゆるESDについて、具体的な事例の動画を募集してまいりました。学校やNPOなど、様々な団体から御応募いただき、審査委員会を経て、81件の動画を選定し、本日、環境省ホームページで公表いたしました。新たに環境教育やESDに取り組もうとするたくさんの方々に御視聴いただき、取組の参考にしていただきたいと考えております。なお、優良な取組100選に向けて、来年度も引き続き募集を行う予定でございます。
 冒頭発言は以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社のTBSの勝目と申します。幹事社質問で2つありまして、1点目が先週佐賀県・茨城県の養鶏場で鳥インフルエンザが検出されたと思うんですけれども、野鳥などによる感染が疑われていると思うんですけれども、環境省としては今後どういった取組強化をされていくのか、考えを教えてください。
(大臣)11月25日土曜日及び27日月曜日に、今御指摘があった佐賀県鹿島市及び茨城県笠間市の養鶏場において、今シーズン1例目及び2例目の、家きんにおける鳥インフルエンザの感染が確認されました。政府としては1例目の発生を受け、11月25日土曜日に、鳥インフルエンザ関係閣僚会議を開催し、関係省庁で連携して対策を講じていくことを確認したところでございます。
環境省としては、発生農場の周辺10キロメートルの圏内を野鳥監視重点区域に指定し、佐賀県及び茨城県に対して、野鳥監視の強化を要請したところでございます。また、国内複数箇所で連続して野鳥での鳥インフルエンザの感染が確認された10月25日には、全国の対応レベルを最高の3に引上げ、国や自治体による野鳥の監視、調査を強化しております。渡り鳥が飛来するこの時期は、全国で鳥インフルエンザの発生リスクが高いことから、引き続き関係機関が連携して、野鳥の監視や死亡した野鳥の速やかな回収等を適切に実施してまいりたいと思います。
(記者)2点目の質問ですけれども、先週の土曜日に日中外務大臣会談がありまして、中国側からALPS処理水のモニタリングについて、中国側が独自にモニタリングできる機会をつくってほしい考えが示されたと思います。この件で、海域モニタリングを担当する環境省としてはどういうふうに受け止めているのか、お考えを教えてください。
(大臣)会談における中国側の発言については外務省にお問合せいただきたいと思います。 その上で海域モニタリングについては、IAEAレビューの枠組みの下で、IAEA及びIAEAから選定された複数の第三国の分析・研究機関が、日本政府及び東京電力によるモニタリングの比較評価を実施しております。先月行われた試料採取には中国の分析・研究機関も参加してございます。IAEAは原子力分野における国際的な権威です。中国側に対してはこうした枠組みを通じて、科学的根拠に基づく対応を取るように求めたいと思います。
 
(記者)共同通信の堀口です。お世話になります。COP28が間もなくなのですけれども、それに関連してお伺いします。COP28では排出削減対策が取られていない、unabatedな石炭火力のフェーズアウトが争点の一つになる可能性があります。それで日本政府は、CCSやアンモニア混焼など具体的に何が削減、排出削減が取られているabatedな技術に該当するとお考えになっているのかお伺いします。また、CCSやアンモニア混焼が該当する場合、例えば何%以上なら該当する、しないといったような基準がありましたら併せてお伺いします。お願いします。
(大臣)排出削減対策が講じられていない石炭火力発電については、残念ながら明確な定義がなされていないというふうに承知してございます。
 一方、国際会議における議論の動向を踏まえると、現時点においては、CO2の排出を実質的に削減する対策が取られていないものを意味するというふうに考えてございます。どの程度削減されていればよいかということについては、国際的に定まった定義や基準があるわけではございません。各国の実情や、技術の進展の度合いに応じて、それぞれ判断していくべきものと考えております。
 パリ協定の1.5℃目標の実現に向けて、石炭火力を含む火力発電の脱炭素化は重要な課題だというふうに認識しております。我が国としては、2050年に向けて、水素・アンモニアやCCUS等の活用により脱炭素型の開発に置き換える取組を促進してまいりたいと思います。
 
(記者)時事通信の鴨川です。トキについてお伺いします。先週、佐渡トキ保護センターで飼育中のトキの死亡が確認されましたが、大臣の受け止めと今後のトキの保護方針について教えてください。
(大臣)中国から贈呈されたトキ「洋洋」が死亡したことは誠に残念なことだというふうに受け止めてございます。「洋洋」とともに贈呈された「友友」とペアを組んで、これまでに29羽のヒナを巣立たたせ、多くの孫やひ孫も巣立たせるなど、我が国でのトキの保護増殖を成功させるため大変重要な役割を果たしていただいたと思います。「洋洋」のこれまでの貢献と、中国の協力に改めて感謝申し上げたいと思います。
 引き続き、関係機関と連携の下、「友友」などによる飼育繁殖や、現在進めている本州定着に向けた取組など、トキの野生復帰の取組を着実に進めたいと考えてございます。
 
(記者)NHKの田村です。PFHxSに関して、今回指定された意義と、あと検出されている地域の方に不安払拭みたいなところで御意見あったらお伺いしたいです。
(大臣)この第一種特定化学物質の指定というのは、この物質が使用されている製品の輸入禁止等の措置を取る、また製品というのはどこというよりはいろいろな場所で使われているので、特定地域を指定するのは難しいわけでありますけれども、今回の決定を受けて、国民の安心・安全がとれるように環境省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=jBgogzhAsMc&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1
 
(以上)