大臣談話・大臣記者会見要旨

伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年10月24日(火)10:00~10:11 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、クマによる人身被害の防止に向けた大臣談話について御説明申し上げます。
 クマによる人身被害の増加を受けて、本日、皆様のお手元にお配りしている大臣談話を発出いたしました。今年度のクマによる人身被害の件数は、9月末時点で全国計約105件であり、統計を取り始めた平成18年以降で最も多い数となってございます。また、10月に入ってからも、各地で人身被害が相次いで報告されています。
 重要なことは、クマと人の距離を確保するということでございます。国民の皆様に、改めて3つの注意点をお伝えしたいと存じます。
 1つ目は、自治体が出している出没情報などに注意しつつ、クマの生息域にむやみに入らないことでございます。やむを得ず入る場合には、単独行動を避ける、鈴などの音の出るものや、クマ撃退スプレーを携帯するなどの対策を取っていただきたいと思います。
 2つ目は、クマと出会った際には、落ち着いて距離を取ることでございます。慌てて走って逃げることなどはせず、クマを見ながらゆっくりと後退してください。至近距離で出会ってしまったら、両腕で顔面や頭部を覆い、すぐにうつ伏せになるなどの致命的なダメージを最小限にとどめる行動を取っていただきたいと思います。親子グマと出会った場合には、母グマが子グマを守ろうと攻撃的になりますので、子コグマが単独でいる場合でも、母グマが近くにいる可能性が高いので、速やかにその場を離れるといった行動を取るようにしていただきたいと思います。
 3つ目は、クマを人里に引きつけないようにすることでございます。柿などの果物や、クマを誘引する農作物を適切に管理する、生ごみ等が餌とならないように適切に処分するといった対応をお願いしたいと存じます。
 これから、冬眠の期間に入るまで、これらの対策が必要となります。環境省としては、関係省庁と連携し、自治体にも協力を再度お願いし、これらの注意点について、地域住民の方々にも周知をしてまいります。クマによる人身被害防止に向けて、国民の皆様の協力をお願いいたします。
 以上でございます。
 
 

2.質疑応答

(記者)幹事社フジテレビの岩田です。ヒアリについてお伺いします。おととい、ヒアリ探知犬による実証実験のデモンストレーションが行われました。実証実験の結果については、これから課題の洗い出しを行っていくと担当者の方から伺っておりますが、現時点で確認されている有効性と課題について教えてください。また、ヒアリ探知犬への期待、今後の活用方針についても教えていただけると助かります。よろしくお願いします。
(大臣)ヒアリ探知犬は、台湾やオーストラリアで実績のある調査方法の1つでございます。国内での活用の可能性について検討するため、今般、台湾から調査チームを招いて、実証試験を実施してございます。人と犬と両方でございます。
 実証試験では、台湾と異なる気候や大きな騒音の条件下においても、サンプルとして用意した死んだヒアリの匂いに反応を示すなど、一定の精度が確認されたということを聞いてございます。
 台湾と日本では、ヒアリの定着状況が違いがありますので、そういった違いなども踏まえた上で、今後、実証試験の結果を分析し、ヒアリ探知犬の国内における導入の可能性について検討してまいりたいと存じます。
 
(記者)時事通信の鴨川です。冒頭にありましたクマ対策についてお伺いします。クマによる人身被害、今年、過去最悪のペースで進んでいるとのことですけれども、省として今年度、より効果的な施策や対策、新たに考えていないのでしょうか。
(大臣)はい、お答えいたします。環境省では、令和2年度のクマの大量出没を踏まえて、市街地等へのクマの出没を抑制し、被害を軽減するため、令和3年3月に、クマ類の出没対応マニュアルを改訂し、都道府県等に周知してございます。結構厚いものでございます。
 また、令和4年度から、6道県を対象に、クマの出没時の対応体制の構築や、専門人材の育成等を支援するモデル事業を実施してございます。
 これに加えて、今年度の大量出没を受け、クマによる人身被害が特に増加している地域の道県の意向も踏まえて、人里の周辺に生息するクマの調査や捕獲など、地域ニーズに応じた緊急的な支援の実施を検討してございます。
 本日、談話を発表させていただきましたけれども、これを踏まえて、近日中にクマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議を開催して、自治体に対して改めて注意喚起を行ってまいりたいと思います。
 
(記者)環境新聞の小峰です。9月に就任しましたバヌアツ大使、奥田さんが就任しましたけれども、本人に聞くと11月7日に現地に赴任ということを聞いておりますけども、奥田さんは自然環境職員として、生物や自然環境について非常に知見のある方で、そして局長をやられていた方です。
 一方で、太平洋地域といいますと、伊藤大臣も就任前は国際通で、十分御存じだと思いますけど、太平洋地域は中国の進出によって非常に不安定な地域になりつつあります。そういう中で奥田さんが赴任されることについて、何かお考えみたいなものがあったら、お聞かせ願いたいと思います。
(大臣)はい、御質問ありがとうございます。今御指摘のように、環境省の前自然環境局長の奥田氏は、私は環境大臣として直接一緒に仕事をする機会はなかったわけでございますけれども、自然環境局長として、昆明・モントリオール生物多様性枠組の合意に尽力されて、これを踏まえた新たな生物多様性国家戦略の策定、外来種対策の推進など、幅広く御活躍いただいたと聞いております。
 今回は外務省の人事でございますので、環境大臣の立場でコメントすることは差し控えたいわけでございますが、奥田さん、能力と識見を有するすばらしい方でございますので、そういう多様な人材が日本国の特命全権大使として御活躍いただくことは、我が国の外交にとって極めて重要だと考えております。
 そして、今御指摘のようにこのバヌアツというところでございますけれども、大変美しい景観、豊かな自然、そういうものを持っている島国でございます。レンジャーとしての自然の専門家であって、またコミュニケーション、発信力の高い、また表現力の高い奥田新大使には、環境分野はもちろんのこと、観光、経済など様々な分野で我が国とバヌアツとの協力関係を強化していただくことを大変期待しております。
(記者)バヌアツを含め、太平洋を視察するお考えはありますでしょうか。
(大臣)現在のところ、具体的にはございません。
 
(記者)テレビ朝日の中尾です。先ほど、クマの質問に関しまして、人里周辺のクマの調査を検討されているということをおっしゃいました。間もなく冬眠の時期が近づいてきていますけれども、それより前には着手する、もしくは完了させるという感じなのか、スケジュールについて御見解をお聞かせください。
(大臣)もう着手はしていると思いますけど、完了できるかどうかはちょっと、現時点で私のほうから直接コメントすることはまだできないと思います。
(記者)今、着手なさっているのではないかということをおっしゃいましたけれども、現状の報告を受けて、何か手応えとか、現状の所見についてお聞かせください。
(大臣)ちょっと手応えを言うには、まだ時期尚早だと思いますけれども、私の所見としてはクマの出没というのがやっぱり最近市街地で多くなってきていますよね。ですから、森林あるいは、そのクマの生息地域での対応と市街地での対応というのは、おのずから異なる部分等あると思いますので、私としては市街地での対応についてもより効果的、詳細な検討が行われるということを期待しているところでございます。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=G5XVQkdxAkE&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=1

(以上)