大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和5年6月27日(火)12:07~12:29 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

本日、冒頭、私のほうから3件お話をさせていただきたいと思います。
 まず1つが環境省の組織令の改正及び環境省幹部人事についてでございます。本日の閣議におきまして、「環境省組織令の一部を改正する政令」を決定いたしました。また、環境省幹部職員の任免が了承されましたので御報告をいたします。組織令の施行日及び人事の発令日は、7月1日であります。
今回の組織令改正によりまして、水・大気環境局を再編して、PFAS、海洋プラスチックなどへの対応や、運輸部門の脱炭素化に向けた体制強化のために「環境管理課」、「モビリティ環境対策課」、「海洋環境課」を設置いたします。
また、新たに設置するモビリティ環境対策課で担当する「商用車の電動化促進事業」について、本日より対象事業者の公募を開始いたします。この事業は、運輸部門のCO2排出量の約4割を占めるトラックとタクシーの電動化を支援するものでありまして、関係業界の皆様に、是非積極的に御活用いただきたいというふうに思っております。
 次に、人事についてお知らせをいたします。具体的には、小野洋 地球環境審議官及び奥田直久 自然環境局長の勇退を認めます。地球環境審議官の後任に松澤裕 地球環境局長を充てます。大臣官房長の後任に上田康治 総合環境政策統括官を、地球環境局長の後任に秦康之 水・大気環境局長を、水・大気環境局長の後任に土居健太郎 環境再生・資源循環局長を、自然環境局長の後任に白石隆夫 大臣官房地域脱炭推進審議官を、環境再生・資源循環局長の後任に前佛和秀 同局の次長を、総合環境政策統括官の後任に鑓水洋 大臣官房長を充てます。また、大臣官房地域脱炭素推進審議官に、植田明浩 財務省長崎税関長を充てます。なお、勇退する小野 地球環境審議官、奥田 自然環境局長及び荒木 内閣府政策統括官は、環境省参与に就任をさせます。詳しくは配布しております資料を御参照いただければと思っております。
 次に、飯舘村の長泥地区の再生利用実証事業の視察についてでございます。昨日、飯舘村の長泥地区で、環境省が実施しております除去土壌の再生利用実証事業の現場を訪れ、事業の進捗を確認するとともに、杉岡村長、また地域の皆さんと意見交換を行いました。こちらは昨日いただいた飯舘村の皆さんで栽培されたお花でございます。非常に、このマリーゴールドもですね、この大輪の花が一面に咲き誇っているということで、非常に見事なお花でございました。地域の皆様でこの実証事業に本当に前向きに取り組んでいただいておりますことに感謝をいたしたいというふうに思っております。是非皆さんもですね、こういった、かすみ草もここだと少し小さいですけれども、一面に非常に大きな株になって咲き誇っているということで一度、御覧いただければいいのではないのかというふうに思っております。
 この実証事業に御協力をいただいている村役場、また地元住民の皆様にそれぞれの思いといったものを伺うことができまして大変、有意義でございました。
 今後の事業も着実に実施するとともに、対話フォーラム等を通じて再生利用に関する理解醸成を進めてまいりたいというふうに考えております。
 3点目です。早期警戒システム導入促進に関する官民連携協議会についてでございます。昨年のCOP27におきまして、私から「気候変動の悪影響に伴うロス&ダメージ支援パッケージ」というものを公表いたしました。このパッケージの主要な要素であります早期警戒システムの導入促進に関しまして、関係者間で協議を行うための官民連携協議会の初会合を本日、午後に開催いたします。私も出席いたします。この官民連携協議会を通じてASEAN地域を始めとするアジア太平洋地域における早期警戒システムの導入に、まさに官民一体となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。冒頭は以上でございます。

2.質疑応答

(記者)幹事社の産経新聞の米澤です。先ほど、組織再編と幹部人事について発表がありましたけれども、この狙いと新体制にどんなことを期待したいかお伺いさせてください。よろしくお願いします。
(大臣)今般、環境省といたしまして、人の命と環境を守るという不変の原点、これを追求して、海洋プラスチック問題や脱炭素化といった時代の要請に対応していくために、水・大気環境局を再編して、先ほど申し上げましたように「環境管理課」、「モビリティ環境対策課」、「海洋環境課」の3課を設置いたします。
 また、具体的には、この環境管理課では、大気や水、土壌の環境保全や公害対策に一体的に取り組むとともに、課内にPFASチームを設けて、この問題にもしっかり対応してまいりたいと考えています。
 また、モビリティ環境対策課では、引き続き、交通公害対策に取り組むとともに、商用車の電動化をはじめとする運輸部門の脱炭素化を強力に推進するために、課内に「脱炭素モビリティ事業室」を設置いたします。
 また、海洋環境課におきましては、海洋プラスチック汚染対策やALPS処理水のモニタリングに取り組みます。特に、プラスチック条約交渉には、条約交渉チームを設けて、まさに国際議論をリードしてまいりたいというふうに考えています。
 また、今回の人事は新陳代謝と人材の適材適所を旨として、ベストの人選を行ったものというふうに考えています。
 新たな体制の下で、引き続き炭素中立、循環経済、自然再興、これの同時達成等の環境行政の諸課題に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)朝日新聞の市野です。お願いいたします。今月の19日にですね、国連の会合で公海に保護区を設定する国際協定が採択されました。昨年12月の生物多様性のほうのCOP15で掲げられた30by30の実現にも役立つものだと考えられているのですけれども、生物多様性保護という点からですね、この国際協定の評価、どのような評価をされているかというのをお聞かせください。また、政府として、この協定に対してどのように参加されるのか、その検討状況についても教えてください。
(大臣)これまで公海及び深海底における海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用についてのルールというものは存在しなかったわけでございます。こうした中で、今般、国連において国家管轄権外区域における海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする、この協定が採択されたわけでございます。公海及び深海底の海洋生物多様性に関する国際的なルールづくり、これが進展したということは評価したいというふうに考えております。
 我が国の署名及び締結につきましては、この協定上の義務内容を精査した上で判断してまいりたいというふうに考えております。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。クマの出没についてなんですけれども、北海道ではクマに関する通報が今年1,100件以上で過去最多になったということで、また東北や北陸などでも出没が相次いでいると。市街地に近い場所での出没もあって、市街地の近くで育ったアーバンベアと呼ばれるようなクマも問題になっています。最新のクマの出没状況と環境省の対策について伺わせてください。
(大臣)本年4月のクマの出没件数は、北海道を除く全国で合計541件でありまして、4月の出没件数としては過去10年間で2番目に多い数字となっております。北海道は今御指摘があったように、非常に、頻繁に目撃されているということで、北海道の数字はこれには入っておりませんけれども、非常に全国的に多くクマが出没しているという状況でございます。
 環境省ではこういった市街地等へのクマの出没を抑制して、被害を軽減する参考資料として、2021年の3月に「クマ類の出没対応マニュアル」というものを改定いたしまして、都道府県等に配布をいたしました。この中で、人とクマのすみ分けを図るということの重要性、そして出没に備えた連絡体制の構築、また、果樹や生ごみなどのクマを引き寄せるようなものの除去や、薮の刈り払いなどの出没防止対策、また出没時の対応、こういったものなど解説しているものでございます。
 また、昨年度から6道県、この6道県は北海道、岩手、新潟、長野、福井、奈良でございますけれども、この6道県を対象にして、クマの出没時の対応体制の構築や、専門人材の育成等を支援するモデル事業を実施しておりまして、市街地のモデル事業もこれに含まれているところでございます。
 こうした対応マニュアルの周知及び事業の成果の普及等を通じて、全国でのクマ類の出没対応の強化を進めてまいりたいというふうに考えています。
(記者)GX実行会議にも大臣出られたと思うのですけど、発言などありましたでしょうか。
(大臣)つい今し方まで第6回のGX実行会議がございました。私のほうからは、地域とくらしのGX、これをしっかりと環境省として進めてまいりたいということをお話させていただきました。地域への貢献と経済成長実現が期待できる地域版のGXモデル、というものを選定したという報告をするとともに、こうした取組を全国に広げていくために、脱炭素化支援機構を通じた投融資も進めてまいりたいというお話をさせていただきました。
 住宅や建築物の脱炭素化に向けては、断熱性能の高い窓への改修に対する集中的な支援や太陽光発電システムの開発などを進めてまいりたい、また、サプライチェーン全体としてのGXとして、商用車の電動化、冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化、脱炭素型の資源循環システムの構築、こういったものを進めると同時に、脱炭素製品等の需要を喚起するために新たな国民運動を全国的に展開して、ライフスタイルの変容を促してまいりたいということをお話しさせていただきました。
 またその後、総理と個別にお会いいたしまして、この国民運動についての御説明をいたしました。今回、8,200件の応募がございました。クールビズの応募数の約2.5倍だというふうに承知しておりまして、この中から国民の皆様が脱炭素に向けて気持ちを1つにできるような愛称、これをしっかりと来月の13日に選んで発表させていただきたいということを総理のほうに御報告いたしましたら、「非常に重要なことであるので、しっかり進めてほしい」というお話をいただいたところでございます。
 
(記者)NHKの林と申します。先ほど冒頭で発言されていた、早期警戒システムの官民連携協議会について、改めて今このシステムを進める意義というのを伺ってもよろしいでしょうか。
(大臣)早期警戒システムは、今、気候変動の脱炭素化を進めると同時に今こういったことが進んでいく中でのロス&ダメージ、この対策を進めていかなければならないわけでございます。日本は非常に気象の観測、早期観測といった優れたシステムを持っていて、今我が国においても集中豪雨や台風の進路の予測も、非常に的確にできるようなシステムができている。これをアジア太平洋地域に広げることによって、事前にそういったものを知った上でその地域の皆さんが避難をしたり、またそういった集中豪雨に対する対策を打ったりすることによってダメージを減らしていくことができる。これを是非広げていきたいということで、前回もCOPにおいてもこの話をしたときに、こういった説明をした各国の大臣においてはですね、「非常にそれはすばらしい考えであり、すばらしいシステムだ」というお話をいただいております。これをまずアジア太平洋地域を中心に広げていくことによって1人でも多くの皆さんの命や暮らしというものを守っていければというふうに考えています。
 
(記者)「エネルギーと環境」、エネルギージャーナル社の清水です。人事に関して、和田次官が留任になったわけですけれども、これの期待というか、大臣の思いというか、それが1つと。それと、水・大気環境局の再編というのは、環境省の歴史からするとやっぱり大変な節目だと思うんですよ。原点は、やはりその大気、水に関わる公害病なんかに対峙してきたという意味で、そこで、今回再編するわけですけれども、その辺の所見と言いますか、感想と言いますか、その2点をまず伺いたい。
(大臣)まず、和田次官の留任というお話しございましたけれども、今、環境省は公害対策といった原点を踏まえながら、地球の温暖化といった新たな世界規模・地球規模での課題、これの解決のためにまさに先陣を切って働かなければいけない省庁であるというふうに思っています。まずそうした中で和田次官を始めとした、今回の新しい布陣においてもですね、しっかりその思いを持って、活動していただけるベストの人材・ベストの人事であるというふうに考えております。
 また、組織改編のお話しございましたけれども、全体として、先ほど申し上げたように、人の命と環境を守るという、この不変の原点を追求しながら、やっぱり時代の要請、個々に対応していかなければならないということで、先ほど申し上げた環境管理課においてPFASや、モビリティ環境対策において脱炭素モビリティ事業室、また、海洋環境においては海洋プラスチックの国際交渉に臨む条約交渉チーム、こういったものをつくることによってですね、更に前に向かって政策を実現できるように進めてまいりたいというふうに考えております。
(記者)もう1つは、前回もお伺いしたと思うのですけど、先ほどの海洋の保全というようなことで質問が幾つかあったと思います。それに関連してCO2の吸収・貯留、これ経産省のほうが7か所やっていくということを先日発表されていますけど、これも環境省も深く関わってくる、特に海洋汚染防止法やなんかの、条約の担保法で、環境省は許可をしていく権限を持っているということですので、その許可の云々は別として、総論として、どういう対応をね、30by30もあるし、先ほどの国際条約、海洋の保全というような要請もあるし、なかなかかじ取りは難しいと思うんですけども、その基本的なスタンスと、これからの運用の留意点というか、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)CCSについての御質問だと承知しております。このCCSというのは2050年のカーボンニュートラル、これを実現するに当たって大変重要な技術の1つであるというふうに認識しています。CCSの事業については、これまでも海洋汚染等防止法に基づいて、環境省が海洋関係の影響を審査しております。また、現在CCS事業の終了時の措置の創設などの見直しも検討しているところでございます。
 また、CCSの早期の社会実装というものを進めるためには、CO2の分離回収、また輸送貯留、モニタリングコストの低減や環境保全を図るための検証を行う、こういった事業等も今は進めているというところでございます。
 経済産業省でも先日発表した候補地の選定やCCS事業法案の検討などを行っているというふうに承知しておりまして、今後、経産省と連携しながら、まさに環境と調和したCCS事業の円滑な実施に向けて、制度の整備等にしっかりと取り組んでまいります。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=L1jeC3NjEH0&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE
 
(以上)