大臣談話・大臣記者会見要旨

西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年11月22日(火) 10:00~10:23  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議で自動車NOx・PM法に基づく総量削減基本方針と関連する政令の改正を決定いたしました。今後とも、本基本方針に従って、関係省庁、関係都府県と連携して、大気環境の維持改善に努めてまいります。
 このほか、私のほうから本日2点、お話をさせていただきたいと思います。
 1点目が国連気候変動枠組条約第27回締約国会議、いわゆるCOP27についてであります。エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27に参加して、昨日帰国いたしました。国会出席のため、閉会までの出席はかないませんでしたが、私自身、我が国の代表として、ステートメントを実施し、また、閣僚級の会議にも参加して、我が国の様々な取組を発信するとともに、積極的に議論に貢献してまいりました。最終的に重要な合意がなされたということを歓迎したいというふうに思っています。出発前の会見におきまして、COP全体の決定に緩和の重要性を盛り込みたいということを申し上げました。また、排出削減に向けた野心と実行力を高める緩和作業計画を採択したい、こういうふうに申し上げてまいりましたが、まさにそのとおりの結果が得られたというふうに評価しております。今回のCOPで注目されていたロス&ダメージにつきましては、技術的支援等を包括的に提供する「ロス&ダメージ支援パッケージ」、こういったものを発表させていただきまして、各国から大変な賛同をいただいたところでございます。日本は他の先進国に先駆けまして、適応資金の倍増、これをもう既にCOP26で表明済みですけれども、これに加えて世界銀行が行っているグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティ、これに対しまして新たな拠出を行うということを検討している旨も表明したところでございます。その上で、今回ロス&ダメージに関して、特に脆弱国に対する資金面の措置を設立することが合意されました。また、21人の閣僚級とバイ会談を行い、ウクライナを始めとする5つの国との様々な今後の協力に関する覚書を締結いたしました。さらに、ジャパンパビリオンにおいて、大変優れた展示やセミナーを開催し、特にセミナーは43を開いたということで各国、またいろんな方々が大変多く出席いただいたというふうに承知しております。こういったことによって、世界の脱炭素化に向けた我が国の取組といったものをアピールすることができたというふうに感じております。中でも、今回立ち上げましたパリ協定6条を実施する能力構築を支援する「パリ協定6条実施パートナーシップ」、これに関しましては、期間中も、様々な会談でお話をさせていただいて、最終的にCOP終了時点までで67の国、機関の参加表明を得ることができました。もちろんこの中には、G7各国は全て入っております。また、日本の経団連、連合、NGO、若者団体とも意見交換をさせていただきました。気候変動対策には、まさに1人1人の行動というものが不可欠でありまして、若者を含む多くの皆様が、危機感や、そしてまた高い意識を持って活動していただいているということを、大変心強く感じたところであります。今回の大変意義深い成果を踏まえて、今後も全ての国と一致団結して、気候変動対策をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
 もう一点が、ヒアリ類の要緊急対処特定外来生物への指定等についてであります。本日、外来生物法施行令の改正と、改正外来生物法の施行期日を定める政令が閣議決定されました。今般の施行令の改正は、ヒアリ類を「要緊急対処特定外来生物」に指定するものでありまして、これによってヒアリ類の付着したコンテナなどの移動制限や、通関後の消毒、また事業者が取り組むべき事項をまとめた対処方針の策定など、より強力なヒアリ対策が実施できるようになります。ヒアリにつきましては、先月下旬に、広島県の福山港で、コンテナから1万匹以上が確認されるなど、我が国での定着が懸念されるまさにぎりぎりの状況にあるというふうに感じております。今回の指定を機に、ヒアリ対策の強化、迅速化を更に進めて、何としても我が国への定着を阻止していかなければならないと思っております。また、改正法の全面施行日が来年4月1日と決まりました。新たな法制度の下で、外来生物対策を強化してまいりたいと考えています。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社の毎日新聞の鈴木です。COPへの御出席お疲れ様でした。幹事社から、冒頭で発言のあったCOPについての関連の質問になります。今回のCOPでは、ロス&ダメージへの対応などで具体的な進展があったと思いますが、化石燃料の使用削減といった気候変動対策では、具体的な進展は見られなかったというように受け止めています。この点について、大臣の受け止めをお聞かせください。
(大臣)今回で採択された「シャルムエルシェイク実施計画」においては、現在の様々な国際的な、また、エネルギー情勢の下においても、昨年のグラスゴー気候合意から後退することなく、1.5度目標の達成に向けて、排出削減を進める締約国の決意は揺るぎないということが示されたというふうに思っております。さらに、緩和作業計画を、この10年間の排出削減の野心と実効性を高める、こういった形で採択できたというふうに思っています。緩和作業計画の具体的内容として、1.5℃目標の明示、全ての分野を対象として、パリ協定6条等の分野横断的事項も勘案すると。そしてもう一点が、私自身も参加いたしました「緩和に関する閣僚級会合」、これを来年も開催して、進捗状況について議論することなどが盛り込まれたということで、今般策定された緩和作業計画にのっとって、我が国としてもこの10年間の削減目標を強固に推進してまいりたいと考えています。御指摘の件に関しましては、様々な国際情勢、そしてまた途上国、そういった意見も踏まえながらの形にはなっておりますけれども、ただ、今申し上げたように、全締約国揺るぎない形で、前を向いて進んでいこうということで合意したというふうに承知しています。
 
(記者)共同通信の出崎です。冒頭、発言のありましたNOx・PM法の基本方針の関係で質問させてください。目標年度を令和2年度から令和8年度まで延ばすということだと思うのですが、これまでの国の排ガス削減の取組がうまくいっているのかどうか、評価をお伺いできますでしょうか。
(大臣)これまでの目標年度であります令和2年度、この時点でNOx・PM法に基づく対策地域の全測定局で環境基準を達成しています。そういったことから、現行の規制は十分に機能しているというふうに承知しています。今般の政令等の改正は、対策地域で安定的、そして継続的にこの環境基準の達成を実現していく。そのために、目標年限を令和8年度まで延長するということでございまして、引き続き、クリーンな自動車への代替、またエコドライブ等の対策を推進して、大気環境の更なる改善にしっかりと取り組みたいというふうに考えています。
 
(記者)時事通信の小高です。ヒアリの対策について伺います。冒頭の発言でもありましたように、先月の末に、ベトナムから香港を経由して広島で陸揚げされたコンテナから、国内最多の1万匹以上のヒアリの集団が発見されました。このような状況の中、ヒアリの国内定着への危険性についてはどういう認識を持たれていますでしょうか。また、改めて今後どのような対策、評価をしていくのか教えてください。
(大臣)冒頭申し上げたように、福山港で発見されたヒアリ、これに関しましては、現在、強力な殺虫剤を用いて燻蒸を行っておりまして、今後、周辺での確認調査を実施する予定でいます。平成29年に国内で初確認されたわけですが、それ以降、ヒアリの確認事例は92例に及んでおります。専門家からは、まさに定着が懸念されるぎりぎりの状況にあるという指摘をされております。今回の政令改正におきまして、早期発見に向けた対応の強化、そして、物品等の移動制限、通関後の検査や消毒、こういった、迅速かつ確実な対応ができるようになりますので、ヒアリの定着を確実に阻止してまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)環境新聞の小峰です。冒頭、大臣もおっしゃっていましたけれども、いろいろな国と覚書を結んだということで、その中で、COP27の期間中、現地時間11月14日、ウクライナの環境保全・天然資源大臣と環境保全分野に関する協力の覚書に署名されました。ロシアの侵略に対し、ウクライナ支援という日本国民の義侠心を西村大臣が示してくれたものと、本紙は高く評価しています。改めて、この意義とそこに至る経緯をお聞かせください。
(大臣)今回のウクライナとの環境保全に関する覚書の締結に関しましては、ウクライナ政府側から、まず御提案を受けたものであります。ロシアによるウクライナ侵攻というのは、人命、これに関しては言うまでもありませんけれども、環境に関しても重大な悪影響を及ぼしているというふうに思っております。我が国としては、ウクライナのニーズ、これをしっかり踏まえつつ、我が国の知見や経験、これに基づいて環境保全の観点からウクライナを支援していくということが重要というふうに考えておりまして、まさに我が国のウクライナへの連帯の思い、この辺に関しましては、私のナショナルステートメントの中でも申し上げさせていただきましたけれども、こういったものとウクライナを支援していくという姿勢、これをウクライナ及び国際社会に示すことができたのではないかと考えています。
(記者)それに関連してですが、ウクライナ側は我が国のJCMのパートナー締約国25か国目になりたいということを東京新聞が現地で報道しておりますけれども、ウクライナを25か国目のJCMのパートナーシップ締約国にすることの、まあ、25か国目といわずに、パートナーシップの対象国にすることについて、お考えはいかがでしょうか。
(大臣)まず、JCMに関しては、たしか25か国目がパプアニューギニアと、現地で締約を結んでおりますので、もしこれからウクライナがJCMに参加されるということで締約するという場合は、26か国目以降になります。ウクライナのほうから、今後JCMに対して、我が国と事務的に、調整、検討を進めたいということで、今進めているところでございます。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。COP27で合意されたロス&ダメージの件ですが、会期中は交渉の途中ということで詳細は話せなかった部分もあると思いますが、この件に関して、大臣はどう関与され、あるいはどう発言されたのでしょうか。
(大臣)ロス&ダメージは今回非常に注目された中身になっています。このロス&ダメージに関しましては、我が国とすれば、新たな基金を、途上国を含めて要望がございました。ただ、その資金面に関しては、既に我が国は気候変動に対して700億ドルを拠出することを決めておりますし、この適応の資金に関しては、倍増、148億ドルということを既に、他の先進国に先駆けて、COP26において表明しております。また、これに加えて、先ほど申し上げたように、世界銀行のグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティ、これに新規に拠出するということをナショナルステートメントにおいて公表させていただきましたし、資金と別に我が国が申し上げたのは、技術的な支援、特に脆弱国においては、いつ何が起きるか分からないという、非常に厳しい状況の中で、やっぱり事前防災、また、災害が起きたときの対策、そしてまた災害保険といった、そういった、パッケージで技術的なものを支援するということで、非常に即効性のあるものであると。我が国においては、特に早期警戒システムといった優れた技術を供与したいということを申し上げました。この早期警戒システムというのは、我が国においても、台風や集中豪雨、これに関して非常に大きな、事前の防災のための機能を果たしていると承知しております。こういったものを展開していくことを申し上げましたら、バイ会談で各国の閣僚からはですね、各大臣も大変賛同すると、日本のその提案というのは非常にすばらしいものだということで、大きく評価をいただきました。資金に加えて、そうした技術的な、我が国とすれば、ロス&ダメージ支援パッケージという形で包括的に支援するということを表明いたしましたし、これが各国から大変評価されたというふうに思っております。
(記者)ありがとうございます。ということは、今のお話を聞いていると、合意された途上国支援の基金創設に関しては、基本的には日本は、総理がCOP26で表明されていた適応資金の倍増、これを充てるという方針ですか。
(大臣)基金を設けるということは今回決まりましたけれども、その基金の詳細、こういったものは今後検討するという合意になっておりますので、その中身については今後の御議論の中でのことになるというふうに思っております。
(記者)あと、出発される際に大臣が御発言された、「将来世代に胸を張れるように、大変厳しい交渉になるが最大限の努力をしてまいりたい」というふうにおっしゃっていたと思うのですが、今回の合意、あるいはCOPでの議論の中で、大臣としてはそれが果たされたという御認識でしょうか。
(大臣)大きな気候変動、そしてまた将来世代に対する大きな理想的な思いというのは、それぞれ先進国も掲げて今回臨んだと思いますし、我が国としても、そういった思いで当然臨みました。だから、そうした中で、途上国を始めとした様々な各国の考えがあって、その中で交渉して進めていくというのが、国際的な交渉であり、外交だと思います。今回のCOPにおいても同様な議論、それゆえに、40時間を超えるあの延長をしなければならなかったという、大変な真摯な議論ができたということでございまして、ただ、その中で、冒頭申し上げたように、緩和においても、またカバー決定においても、1.5度目標をしっかり追求するというようなことで前進があったというふうに思っております。これを来年のG7につなげてまいりたいというふうに考えています。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。COPに関連して、インドが全ての化石燃料の段階的な削減を提案して、EUとかが支持したというような報道を見たのですが、これに関して、日本の、大臣のスタンスですとか日本政府の対応というのはどのようなものだったのでしょうか。
(大臣)化石燃料を全体的に削減していくということで合意したわけですけれども、当初、EUを含めて、もう少し踏み込んだ、化石燃料に関しては対応策という議論もありました。ただ、そうした中で、国際情勢、また途上国の意見という中でこういう形で決着したというふうに承知しております。ただ、全締約国が、揺るぎなく気候変動に立ち向かうということは合意できたものだというふうに承知しています。
 
(記者)NHKの林と申します。COPの今回合意されたロス&ダメージの基金についてですが、改めてこの基金にまず拠出するかどうかというのは、現時点では未定ということでしょうか。
(大臣)ええ。基金についての詳細は今後議論していくという仕切りになっておりますし、当然、我が国においてもそういった議論を踏まえながら検討していくということになります。
(記者)今後その基金の議論が進んで、形が見えてくると思うのですが、仮にそれがある程度形が見えてきたときでも、日本が既に、おっしゃったような、表明された支援策というのを削ることなく、その基金に新たに拠出するという形を取るのか、若しくはその基金の形が見えた時点で、今回表明された内容というのを一旦検討し直して、新たな支援の枠組みをつくるのかというのは、どちらの方向性でしょうか。
(大臣)今申し上げたように、適応資金のほうの倍増、そしてまた、グローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティに対する拠出、これはもう既に表明したことであります。ただ、新しい基金を設立するということは今回合意しましたけれども、その詳細は今後ということなので、既に表明したこととまた別なことですので、これに関してどういうふうに対応していくのかというのは、これからの議論になっていくと思います。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=Pmu3D4HKz1c&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE&index=2 
(以上)