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7.課題と解決策

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松島湾アマモ場再生会議 ~松島湾の再生活動を通して地域振興を目指す~

「松島湾アマモ場再生会議」(宮城県塩竈市)

東日本大震災により激減した松島湾のアマモ場の再生活動を通して、松島地域全体の振興を目指す事例。

目標(キーワード:活動を通した地域振興)

平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響によって、松島湾のアマモ場の約9割が消失した。その後、盛んであったマガキ養殖、マハゼ漁業が衰退。同時に地域の衰退を感じていた。アマモ場を再生すれば水産業の復興に、地域で実施することによって松島全域の振興につながると考えた。

アマモ場の再生活動を通して、水産業の復興、人と人、人と海とのつながり、地域コミュニティーの構築、次世代の育成、ひいてはそれらが松島地域全体の復興になると考え、松島湾アマモ場再生会議は活動を続けている。

実施(キーワード:多様な活動、継続的な活動)

アマモの生育に合わせて、主に環境学習を中心とした以下の活動を実施している。

  • アマモ花枝採取作業:スタッフを中心に実施。アマモの花枝を採取し、袋に入れて海中で保存(6月)。
  • 小学校へのアマモ出張授業:教室内の水槽で育苗したアマモを松島湾へ移植。小学4年生が参加(6月)。
  • 松島湾アマモの花枝(種)採取会:子供たちとともに、アマモの花枝を採取。アマモ場での引き網により生き物調査を実施(6月)。保護者及び子供ら計33名が参加(平成28年度)。
  • 親子で学ぶ松島湾の海辺:海辺の楽しさや環境復興の大切さを伝えるため、座学(松島湾の海の環境の特徴など)やフィールド体験活動(引き網見学、海辺の生き物観察と海の生きものビンゴ)を実施(8月) 保護者及び子供ら計57名が参加(平成28年度)。
  • 活動年数は6ヵ年(平成28年度時点)。

効果

  • アマモ場の広がりを感じている。
  • 地域の子供たちが『アマモ』を知るようになった。
  • 地域の参加者数が震災直後よりも増加している(かつては津波の記憶から海を避けていた)。

課題と解決策(キーワード:人のつながり、活動の拡大)

  • 費用(船の燃油代、アマモ移植の材料費等)の工面が課題
      →助成金(セブンイレブン財団、仙台銀行、WAVE等)で工面。
  • 震災直後は助成金に震災枠があったが、今後はそれがなくなるため助成金を獲得できるか不安。
  • アマモ移植は、ダイバー等の専門職や技術者に依頼しているが、助成金がなくなると依頼が難しくなる可能性がある。
      →ボランティアの参加を希望。
  • 海域での作業になるため、関係官庁への申請・手続きが活動開始直後は大変であった(県への特別採捕許可申請等)
      → 役所へ何度も足を運び、指摘された事項の修正を繰り返し、許認可を得た。今ではスムーズに許認可を得ることができている。
  • 次世代の育成
      → 子供たちのリピーターが増え、いずれはスタッフとして参加してくれることを望んでいる(工夫点参照)。

工夫点(キーワード:人のつながり、活動の拡大)

  • 子供たちの参加及びリピーターが増えるように、とにかく海を好きになってもらうよう心掛けている。(津波の影響により海に対して負の感情がある)。
  • 環境教育は、まず広報が重要と考えている(ラジオを利用(スタッフが放送局、図書館での広報等))。
  • 活動後は、ふりかえりの時間(体験をスケッチする等)を設けて、経験の定着を図っている。
提供:松島湾アマモ場再生会議

提供:松島湾アマモ場再生会議