報道発表資料

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2006年09月22日
  • 自然環境

アホウドリの生息状況と今後の保護増殖事業について

環境省が2006年2月に行ったアホウドリ生息状況調査では、鳥島内の新繁殖地(初寝崎)で13羽のヒナが確認されました。また、東邦大学の2006年4月の調査では、鳥島内全体でのヒナの巣立ち数が、調査開始以来最高の195羽となり、鳥島内のアホウドリ生息個体数は約1,830羽と推定されています。
 今年度より開始する小笠原群島へのアホウドリのコロニー誘導事業の誘導先は、聟島に決定しました。今年度は、この事業の一環として、山階鳥類研究所が米国政府と共同で、近縁種のクロアシアホウドリのヒナを聟島列島内で移動させ、巣立ちまで飼育する実験を行う予定です。

 環境省では、9月12日に野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会を開催し、平成17年度の調査で確認された生息状況の報告を行うとともに、今年度実施する事業について検討を行いました。分科会での報告、検討事項は以下のとおりです。

1 平成17年度の繁殖期調査の結果

  • 2006年2月に行った環境省の鳥島内調査(山階鳥類研究所が実施)により、鳥島内の新しい繁殖地(初寝崎)で、13羽のヒナの生息を確認した。この調査から、鳥島内のアホウドリの生息個体数は最低1,715羽と推定された。(最低生息個体数の推定値に相当)
  • 分科会の長谷川委員(東邦大学理学部教授)の調査により、2005-2006年の繁殖期には鳥島内全体で195羽のヒナの巣立ちが確認された(これは長谷川委員の調査開始以降、過去最高)。繁殖成功率は約60%で、今期も順調な繁殖が報告された。鳥島内の生息個体数は1,830羽程度と推定されている。
  • 日米渡り鳥等保護条約に基づく日米共同調査として環境省が実施した衛星追跡調査の結果により、繁殖期のアホウドリの主な採餌海域は伊豆諸島北部及び房総半島東方沖であり、片道400~700km程度の飛行を行うことが初めて明らかとなった。

2 小笠原へのコロニー誘導事業について

  • 本年6月に、山階鳥類研究所が中心となり、小笠原群島にアホウドリの新たな繁殖地を形成する「コロニー誘導事業」の候補地である聟島列島の調査が行われ、アホウドリを誘導することによる固有種等への影響はごく小さいと判断された。また、鳥島からのコロニー誘導先には列島内の聟島が最適地であるとの報告が山階鳥類研究所からなされ、分科会においても、この方針について了承が得られた。
  • これにより、誘導先を聟島に決定した。
  • 今年度はコロニー誘導事業の一環として、山階鳥類研究所が米国政府と共同で、聟島列島内に生息するクロアシアホウドリ(アホウドリの近縁種)のヒナを聟島に運び、飼育試験を行う予定。ヒナの移動はクロアシアホウドリの繁殖期に合わせ3月頃の実施となり、飼育は巣立ちの5月頃まで行われる予定。

3 今年度の保護増殖事業について

  • 個体数の順調な増加が確認されている鳥島内では、初寝崎へのコロニー誘導のために設置していたデコイや音声装置を撤収し、今後は自然の増加に任せながら繁殖状況等のモニタリングを行う。そのモニタリングの中で何らかの対応をとる必要性が高まった場合には、分科会に諮り、その対応について検討する。平成5年から行ってきた、鳥島初寝崎のデコイ作戦は新しい繁殖地の形成という大きな成果を得たことにより、昨年度をもって終了する。
  • 昨年度の衛星追跡調査の結果は大変良好なものであったため、今年度も日米共同で昨年度と同様の調査を実施する予定。

初寝崎コロニーの様子
初寝崎コロニーの様子( 2006.2 撮影)

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長 :星野 一昭(6460)
 課長補佐 :堀上 勝(6475)
 係長 :守分 紀子(6468)
 担当 :中島 治美(6469)
 直通 (03) 5521 - 8283

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