報道発表資料

平成18年4月7日
大気環境
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(株)島津製作所製窒素酸化物自動計測器に係る問題について(検証結果報告)

(株)島津製作所(以下「島津」という。)製の窒素酸化物自動計測器(以下「NOx計」という。)に係る問題について、平成17年12月9日に速報でお知らせした後、検証を進めてきましたが、今般、この結果を取りまとめたので報告します。
 なお、検証に当たっては「環境大気測定機の信頼性評価検討会」(委員長:坂本和彦埼玉大学大学院教授)を設置し、専門家による検討を行いました。
 検証の結果から、島津製NOx計により計測されてきた測定データは、環境省が示す「環境大気常時監視マニュアル」に記載している光学フィルターが装着されていなかったため、干渉成分の影響を取り除くことができず、結果としてNO値が低く測定されている可能性があることがわかりました。
 島津製NOx計が測定値に与えた影響を並行測定等により検証したところ、昨年12月の想定よりも影響の程度は小さく、当初の「環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいとは考えられない。」との判断を再確認しました。
 なお、個々の測定局の過去の測定値については、測定局周辺の干渉成分濃度が不明であり、影響の程度を定量的に示すことができないこと等から、基本的に参考値扱いとします。

1.背景

 島津製NOx計に係る問題については、平成17年12月9日付けの速報において、安全の見地に立って精査が必要としたところである。これを受けて検証を進めてきたが、今般、その結果を取りまとめたので報告するものである。なお、検証を進めるに当たっては、専門家からなる「環境大気測定機の信頼性評価検討会(委員名簿:添付資料1)」を設置し、検討を行った。

2.検討の内容

(1)島津製NOx計における問題点
 島津製NOx計では、環境省が示す「環境大気常時監視マニュアル」による測定方法で明示している光学フィルターが未装着であり、NOの測定値が低値になる可能性があった(大気試料中の干渉成分による化学発光を除くことができず、NOとしてカウントするため)。なお、検討の過程で、光学フィルター未装着以外の問題についても指摘されたため、環境省では島津に対して早急に対策を講じるよう指示をした。その効果については、上記検討会で確認を行うこととしている。
(2)過去の測定値の検証結果
 平成16年度末現在、島津製NOx計を導入している自治体数は41、設置測定局数は、123局(うち国設局は2局)であった。島津製NOx計の測定値に干渉成分が与えた影響の程度について、下記により検証を行った。
[1] 他社製NOx計との並行測定
 NO値が比較的高濃度を示す測定局9局において、最低2週間並行測定を行った結果、島津製NOx計は他社製NOx計に比べ、NOの濃度比で4.0〜10.6%(平均8.0%)低く測定された。(表1)
[2] 干渉成分の添加試験
 添加試験結果から、島津製NOx計は、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチルといった硫黄酸化物(SO2を除く)等の干渉成分が存在する場合、NO値が実際よりも低く測定されることが確認された。
[3] 火山性ガスによる影響
 三宅島火山性ガス中の硫化水素が干渉成分として測定値に影響を与えた可能性が確認された。
 以上から、干渉成分の影響を受けた場合、NO値が低く測定されることが確認されたが、干渉成分が与えた影響の程度については、各測定局周辺における干渉成分濃度が不明なこと等から、定量的に示すことはできなかった。
(3)測定値に与えた影響の程度
 並行測定結果から、平成16年度に島津製NOx計で測定された全測定局において、NO測定値が10.6%過小に測定されていたと仮定してNO値の年間98%値を計算した結果と島津製NOx計により実際に測定された結果を比較すると、0.001〜0.01ppm程度の差となった。これは、昨年12月9日に公表した「(株)島津製作所製NOx測定装置に係る問題について(速報)」で概略評価した誤差の0.01〜0.015ppmよりも小さく、当時の、「環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度が必ずしも大きいとは考えられない」との判断を再確認する結果が得られた。
 このように、全国の環境基準達成の判断に影響を及ぼした可能性と程度は必ずしも大きいとは考えられないものの、光学フィルター未装着の島津製NOx計による測定値は、環境大気常時監視マニュアルに準拠していない機器で計測されたものであり、干渉成分の影響等を受け、NO値が低く測定されている可能性がある。
 しかしながら、光学フィルターの有無がNO値に与えた影響の度合いについては、各局周辺の干渉成分濃度が不明であること、機差があること等から、定量的に明示することができない。このため、その程度を補正値等として明確に示すことは不可能である。
(4)島津製NOx計による測定データの取り扱い
[1]
 島津製NOx計により測定したデータについて、地方公共団体が表2の判断基準に照らして、「当該測定値が問題ないものとして支持できる」と判断した場合を除き、「参考値」として扱うこととする。
[2]
 全国及び地域単位の年平均値については上記(3)と同様に計算を行って差を求めたところ、全国では一般局で0.0001ppm、自排局で0.0002ppm程度の差、NOx・PM法対策地域では一般局で0.0002ppm、自排局で0.0003ppm程度の差であり、見直しを行う程の影響はないと考えられるため、見直しは行わないこととする。
[3]
 環境基準達成率については、上記(3)により、必ずしも大きな影響を受けたとは考えられないことから、見直しは行わないこととする。しかしながら、環境基準の達成率を国の施策の検討や評価等に用いる際には、安全性を見込むよう留意する必要がある。
 上記から、参考値扱いとされるデータについては、該当する測定局(添付資料2)及び測定期間を明確にした上で、参考値データの使用者に対して、該当部分が参考値扱いであることを明確に表示させるよう徹底を図る。
(5)再発防止のための方策
 今回の問題は、基本的には島津側の対応により解決されるものであるが、国を始めとするユーザー側の対応も重要である。今後、同様の問題の再発を防止するために、大気環境常時監視体制における課題を整理した上で、以下のような方策を講じることとする。
[1]
 測定値異常が発生した場合に、的確に処理するシステムの整備に努めるとともに、その一環として、研修・講習の充実に努めること。
[2]
 測定値異常を早期発見、早期解決するために、関係者間での情報を共有化するシステムの構築や常時監視担当者間や研修機関等との相談できる体制の確立を図ること。
[3]
 大気環境常時監視マニュアルについては適宜見直しを行うこと。

3.今後の課題

(1)過去の測定値の検証結果等の確認
 今回の並行測定は、2週間という限られた期間であり、干渉成分の濃度の季節変化等を把握できないことから、平成18年度においても干渉成分の濃度が高くなる時期を含め長期間の並行測定を実施し、この結果を待って、今回の検証結果等の確認を行う。
(2)再発防止対策の実施及び大気汚染常時監視の維持に関する検討
 2(5)の再発防止対策を具体化するとともに、地方公共団体の専門職員に蓄積された知見が適切に継承できるような仕組の構築等を含め、幅広い観点から適正な大気汚染常時監視システムの維持に関する検討を行う。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
課長:松井 佳巳(6530)
 補佐:松本 俊男(6538)

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