報道発表資料
令和元年度調査結果の概要
(1)調査項目
(a)基本精度管理調査
【土壌試料(金属)】
鉛及びその化合物、砒素及びその化合物
(b)高等精度管理調査
【模擬水質試料(農薬)】
<詳細項目>イプロベンホス、フェニトロチオン
<参照項目>シマジン、イソプロチオラン、フェノブカルブ、アセタミプリド、グリホサート、クロチアニジン、ジノテフラン、フィプロニル
【底質試料】
<詳細項目>PCB、総水銀
<参照項目>なし
(2)参加分析機関数
公的機関99、民間機関322、計421機関
(3)分析・調査結果
(a)基本精度管理調査
【土壌試料(金属)】
鉛及びその化合物、砒素及びその化合物のいずれも室間精度CV※1は10%前後であり良好でした。
(b)高等精度管理調査
【模擬水質試料(農薬)】
模擬水質試料では、室間精度CVは、参照項目のフィプロニル(21.4%)を除いて、9.06~18.9%と良好でした。
【底質試料】
PCBの室間精度CVはGC/ECD※2を用いた方法では、パックドカラム、キャピラリーカラムのいずれを用いた場合でも44.4%と大きかったのに対し、GC/HRMS※3を用いた方法(キャピラリーカラム)では11.5%と良好でした。その理由については、妨害ピークの影響が一因と考えられます。追跡調査の結果としてGC/ECD、GC/HRMSいずれにおいても室間精度CVは過去の調査とほぼ同様の値でした。
総水銀の室間精度CVは9.99%で良好でした。
(4)その他(指摘事項等)
全体を通じて、不十分な器具・機器管理、濃度計算の誤りが数多く見受けられました。
これに対しては分析担当者以外による結果の確認等、分析機関内部での精度管理体制の構築が期待されることが確認されました。
なお、調査結果については、測定分析統一精度管理調査ウェブサイトに掲載しています。
(https://www.env.go.jp/air/tech/seidokanri/report/index.html)
(参考)環境測定分析統一精度管理調査の背景
我が国においては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の法令に基づいて、環境基準の設定や汚染状況の監視、工場・事業場に対する排出規制、公害防止・環境保全に係る国・地方の各種計画等の策定等、様々な施策が実施されています。
環境測定分析は、これらの法令の施行や制度・施策の実施のための基礎であり、地方自治体や民間の環境測定分析機関において測定分析に携わっている技術者が、これを支えています。
環境測定分析の方法は、法令等によって公定法として規定されています。しかし、試料の採取・保管・前処理から、測定分析機器・薬品等の管理・調整・操作に至るまで、公定法に規定されていない細部を含めて、測定分析に携わる技術者の技能・経験・考え方が、データの精度に大きな影響を及ぼします。
環境測定分析の精度が確保されなければ、上記の法令や制度・施策の実効性が損なわれ、環境行政への社会の信頼を揺るがす事態となります。また、誤った測定分析データにより適切な排出規制が行われず、適切な対策が講じられなかった場合には、それによって失われた環境の修復に多大な費用・労力と長い年月を要し、大きな社会的・経済的損失を招くこととなります。
こうした背景から、環境省では、「環境測定分析統一精度管理に関する調査」を毎年度継続して実施し、環境測定分析機関による測定分析の精度の向上及び信頼性の確保を図っています。
本調査は、最近では500前後の環境測定分析機関が参加する我が国でも有数規模の調査です。
また、長期的な計画に基づいて、幅広い試料や項目を対象とするとともに、試料ごとに統計的な分析・評価を行い、その評価結果などについても明らかにしています。
調査結果については毎年度「調査結果説明会」等を開催し、分析上の留意点や分析結果に関して分析機関に技術的な問題点等をフィードバックしています。
またウェブサイトにおいても、環境測定分析の精度向上に資する情報などを提供しています。
(https://www.env.go.jp/air/tech/seidokanri/index.html)
※1「室間精度CV」は、参加分析機関間のばらつきを示す変動係数を示す。
※2「GC/ECD」は、ガスクロマトグラフ電子捕獲検出器を示す。
※3「GC/HRMS」は、ガスクロマトグラフ高分解能型質量分析計を示す。
連絡先
環境省水・大気環境局総務課環境管理技術室
- 代表03-3581-3351
- 直通03-5521-8297
- 室長酒井 雅彦(内線 6550)
- 室長補佐澤 知宏(内線 6551)
関連情報
過去の報道発表資料
- 令和元年7月12日
- 令和元年度環境測定分析統一精度管理調査の実施について
- 平成31年2月1日
- 環境測定分析統一精度管理調査に関する平成30年度調査結果の取りまとめについて