報道発表資料

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2018年10月29日
  • 地球環境

日本版ナッジ・ユニットBESTにEvidence Institutionとしての機能(BITE)を追加します

我が国では、ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)をはじめとする行動科学の知見(行動インサイト)に基づく取組が早期に社会実装され、自立的に普及することを目標に、環境省のイニシアチブの下、平成29年4月に日本版ナッジ・ユニット(BEST:Behavioral Sciences Team)が発足しています。BESTは、関係府省等や地方公共団体、産業界や有識者等から成る産学政官民連携のオールジャパンの取組です(事務局:環境省)。
このたび、日本版ナッジ・ユニット連絡会議での議論を踏まえ、各分野の有識者を中心に、科学的根拠の提供、施策の社会実装の支援、相談窓口等の機能をもつ組織体(Evidence Institution)「BITE」(Behavioral Insights × Traditional Economics)を設置しました。社会や行政の課題の解決に向けて、私たち一人ひとりが自分にとってより良い選択を自発的にできるよう、ワークショップの実施等により、行動インサイトを活用した行動変容の促進に繋げていきます。

1.Evidence Institutionとは

 国際的には、各分野の有識者を中心として、科学的根拠(エビデンス)の提供、施策の社会実装の支援といった機能をもつ組織体が政府等の相談窓口となっていることがあります。それらの組織体はEvidence Institutionなどと呼ばれています。

 例えば英国では、What Works Centre (WWC)という組織が、その時点で利用可能な最良のエビデンス(Best Available Evidence)を基に、何が有効か(What Works)を重視してエビデンスに基づく政策立案(Evidence-based Policymaking、EBPM)の社会実装を支援しています。政府とは一定の距離を置いた独立組織(Arm's Length)として位置づけられていますが、政府関連機関からの支援を受け、政府機関としての側面を持つため、完全に独立・中立とはいえず、そのため透明性を高めた運営をしています。

 WWC等の取組を基にわかってきた課題として以下のようなものがあります。

  ・エビデンスを提供するだけでなく、需要をいかに喚起するか。

  ・需要側の信頼を一つひとつ高めていくことが重要。

  ・エビデンスの収集プロセス(collecting process)のみならず、

   生成プロセス(generating process)の機能をもつことが大切(事例紹介のみにとどめない)。

  ・現場にどうエビデンスを結びつけるか、エビデンスに基づく実践(Evidence-based practice、

   EBPが重要であり)、自治体といかに連携していけるか。

2.日本版ナッジ・ユニットへのEvidence Institutionとしての機能(BITE)の追加

 日本版ナッジ・ユニットでは、産学政官民それぞれの立場の人がフラットに自由に意見を言える場(日本版ナッジ・ユニット連絡会議)を提供しながら、エビデンスを使い、創り、広めることを通じてEBPMの好循環を目指す事業を実施したり、行動経済学会とのコラボレーションによりベストナッジ賞コンテストや行動インサイト・アイデアソンを実施したりしています。

 こうした実績と議論を踏まえ、日本版ナッジ・ユニットの参加メンバーのうち、各分野の有識者を中心としてEvidence Institutionとしての機能(BITE)(※)を第5回日本版ナッジ・ユニット連絡会議(平成30年10月25日開催)において実践しました。

(※)とりわけ、行動経済学等に基づく行動インサイト(Behavioral Insights)と伝統的な経済学(Traditional Economics)を融合させ(Behavioral Insights × Traditional Economics)、わかりやすく「かみ砕いて」伝えることを意図しています。

 今後は、社会や行政の課題の解決に向けて、私たち一人ひとりが自分にとってより良い選択を自発的にできるよう、行政機関等からお問合せを受け付けたり(以下2.参照)、ワークショップを実施したりすることにより、BITEの機能を充実させ、行動インサイトを活用した行動変容の促進に繋げていきます。

3.問合せ先

  日本版ナッジ・ユニット(BEST)事務局

  電子メール:chikyu-jigyo@env.go.jp

  対象:個人は除く。社会や行政の課題の解決を目的として、行政機関等からの問合せを想定しています。

  備考:識別のため、電子メールの件名はBITE(アルファベット大文字4文字)で始めてください。受領確認

     の連絡はいたしませんのでご容赦ください。

4.その他注意事項

 お問合せをもって、問合せ者は以下の全てに同意したものとみなします。

(1)お問合せに対して日本版ナッジ・ユニットが対応することを確約するものではありません。

(2)お問合せは、その内容に応じて、日本版ナッジ・ユニット内や日本版ナッジ・ユニット連絡会議で共有す

  ることがあります。

(3)問合せ者は、日本版ナッジ・ユニット連絡会議等に出席して取組内容等の説明を求められたりすること

  があります。

(4)お問合せのメールに個人情報等の機微な情報は含めないでください(問合せ者の連絡先は除く)。万一、

  そうした情報が含まれる場合には、当該メールは削除します。お問合せのメールに機微な情報を含まれるこ

  とによる一切のトラブル等については、問合せ者が自らの責任と費用負担により当該トラブル等の解決等必

  要な対応をするものとします。

(5)お問合せの内容に著作権等の知的財産権が含まれる場合には、問合せ者が必要な対応をする必要がありま

  す。また、お問合せに関して、問合せ者と当該問合せ者以外の者の間及び問合せ者内部等に紛争等が生じた

  場合には、当該問合せ者は自らの責任と費用負担により当該紛争等の解決等必要な対応をするものとしま

  す。

(6)お問合せに対する対応状況等についてのお問合せには対応できかねますのでご了承ください。

(参考)日本版ナッジ・ユニット(BEST:Behavioral Sciences Team)について

<https://www.env.go.jp/earth/best.html>

 日本版ナッジ・ユニット(BEST:Behavioral Sciences Team)は、関係府省等や地方公共団体、産業界や有識者等から成る産学政官民連携のオールジャパンの取組です(事務局:環境省)。ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)を含む行動科学の知見(行動インサイト)に基づく取組が政策として、また、民間に早期に社会実装され、自立的に普及することを目標に、環境省のイニシアチブの下、2017年4月に発足しました。その後、同年10月のノーベル経済学賞の受賞分野が行動経済学であったことの後押しもあり、取組が深化し、連携体制が次第に強化されています。どのような取組も、地域に根付くものとするためには、関係するあらゆるステークホルダーを巻き込んでいくことが必要不可欠です。このため、行政内に限った取組ではなく、参加者が同じ立場で自由に議論のできるオールジャパンの実施体制としています。

 日本版ナッジ・ユニットでは、連絡会議を開催し、各回のテーマに合ったメンバー構成で議論を重ねています。例えば、「どのようなナッジをどのようにデザインすべきか」。この問い掛けに対しては、「私たち一人ひとりが自らの判断でより良い選択ができるよう、自身の行動・習慣を見つめるきっかけや気づきを与え、リテラシーを高められるようなナッジにすべき」、「効果をきちんと評価し、EBPM(Evidence-baced policymaking:根拠に基づく政策立案)とEBP(Evidence-based practice:根拠に基づく実践)により透明性を高め、説明責任を果たすことが重要」、というように様々な検討を進めています。そして、for a better choice(より良い選択のために)ベストを尽くすことをモットーにしています。

日本版ナッジ・ユニットでは、行動インサイトを活用した取組に関する方法論や課題、対応方策等を広く共有するとともに、幅広い分野における課題の解決に向けた行動科学の活用について検討を進めています。また、欧米等先行する諸外国の政府関連機関、実務者、有識者等とも、情報共有や連携をしています。.

○日本版ナッジ・ユニット(BEST)のウェブサイト(会議資料、報道発表等)<https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge.html>

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
直通 03-5521-8339     
代表 03-3581-3351
室長 相澤寛史 (内線6771)
室長補佐 池本忠弘 (内線6791)
室長補佐 高橋和也 (内線7778)
担当   大塚智明 (内線7777)