第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門

中津川 THE SOLAR BUDOKAN
(ザ ソーラー ブドウカン)

中津川 THE SOLAR BUDOKAN実行委員会

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞

受賞者紹介

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞 NPO・任意団体部門

中津川 THE SOLAR BUDOKAN
(ザ ソーラー ブドウカン)

中津川 THE SOLAR BUDOKAN実行委員会

フェス会場に設置された太陽光パネル
中津川 THE SOLAR BUDOKAN(ザ・ソーラー ブドウカン)は、太陽光発電・蓄電池・バイオディーゼル発電で運営する 3万人規模の野外フェス。2012年に日本武道館で開催されたイベントを2013年より岐阜県中津川市に誘致して開催しています。このフェス会場では、来場者に環境意識を持ってもらうために、様々な環境アクションを行っています。 また、地域ボランティアによる実行委員会によって運営されており、地域経済への影響が大きいことも高く評価され、環境大臣賞を受賞しました。

*グッドライフアワードは、環境省が提唱する地域循環共生圏の理念を具現化する取組を表彰し認知を広げるためのプロジェクトです。詳しくはこちらをご覧ください。

どんな活動?

“太陽光でロック!”が合言葉!3万人規模の野外フェスが地域経済にも貢献!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞中津川 THE SOLAR BUDOKAN

中津川 THE SOLAR BUDOKAN(ザ・ソーラー ブドウカン)は、岐阜県中津川市中津川公園内特設ステージで開催されている野外ロック・フェスティバル。“太陽光でロックを!”を合言葉に2日間のフェスで使用する電力は、ソーラーエネルギーを中心にすべて再生可能エネルギーのみを使って運営されます。会場には500枚以上の太陽光パネルと蓄電池、バイオディーゼル発電機を設置。音響・楽器などは、蓄電池に事前に太陽光で発電された電力を充電し、満充電の状態から使用。蓄電池は単に放電するだけではなく、使って減った分を会場内に設置された太陽光パネルから電力を補充していきます。また、会場運営に関わる電力においては、「グリーン電力証書」(※)が活用されています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞太陽光でフェスを運営

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞エネルギーシステムの蓄電池

2011年3月の東日本大震災をきっかけにロックミュージシャンの佐藤タイジ氏により発案され、2012年日本武道館で開催されたイベントを2013年より岐阜県中津川市に誘致して開催。10年にわたり継続してきたイベントは、リピーターたちに支持されて成長を遂げています。新型コロナの影響により2020年と21年は、地元飲食店とのコラボレーションを実施しながらのオンライン開催となり、2022年には3年ぶりに現地での開催が実現しました。

2023年は9月23日(土)と24日(日)に中津川公園内特設ステージで実施され、3万人を動員しました。出演したアーティストは、HY、奥田民生、清春、10‐FEET、打首獄門同好会、うじきつよし、シアターブルック、ACIDMAN、吉川晃司、木村カエラ、サンボマスターなどなど錚々たる面々でした。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞夜間ステージは蓄電池の電力で稼働

フェス当日は、近隣の市町村の宿泊施設がほぼ満室となり、お土産、飲食、交通において経済効果が著しいものとなっています。さらに、この活動は地域のアウトドアイメージとマッチし、自然の豊かさやグリーンエネルギーが地域ブランディングに貢献しています。

(※)グリーン電力証書とは、風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーで作られた電気の「環境価値」を証書化して取引する制度。証書を購入する企業・自治体などは、「グリーン電力証書」の取得により、発電設備を持たなくても、証書に記載された電力量(kWh)相当分の自然エネルギーの普及に貢献し、グリーン電力を利用したとみなされるため、地球温暖化防止につながる仕組みとして関心が高まっている。

活動のきっかけは?

東日本大震災・原発事故を受け、再生可能エネルギーだけで実施する日本武道館ライブを計画!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞発起人・佐藤 タイジ氏と実行委員長・三尾 泰一郎氏

今回、中津川市を訪れ、ソーラー ブドウカンの発起人であるロックミュージシャンの佐藤 タイジ氏と実行委員長の三尾 泰一郎氏にお話しを伺いました。

1986年に結成されたバンド「シアターブルック」のリーダーである佐藤タイジ氏は、自らを“ROCK STAR”と名乗り、圧倒的な声量と情熱的なギターで長年にわたり日本のロック界をけん引してきました。それが2011年の東日本大震災と福島第1原発事故に衝撃を受け、彼は太陽光発電でコンサートの電源を賄うソーラー ブドウカンを2012年に東京・日本武道館で開催したのです。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞ソーラー ブドウカン発案を語る佐藤氏

佐藤氏は言います。「シアターブルックにとって武道館はまだ達成していない夢の舞台でした。開催に向けて進んでいた最中、東日本大震災が発生しました。社会は大きく変わり、私たちも武道館ライブどころではなくなってしまいました。しかし、徐々に状況が収束していく中で、“武道館の夢を諦める必要はない”と気づいたんです。」

しかし、震災後に従来型のライブを開催するのは何か違うとも感じていたそうです。佐藤氏は自分に納得できるライブのスタイルを模索していると答えはすぐに出たと言います。「原発の電気を使わずに、全部太陽光の電気でやればいいんだ!それなら自分も納得できる。そこで、2011年6月にその方針を発表したんですが、実は何もつてはなかったんです。」

それまで太陽光発電によるコンサートイベントは小さなステージでは行われていましたが、日本武道館のような規模では誰も取り組んでいませんでした。「太陽光だけで武道館ライブを!」とブチ上げたものの、困ったのは佐藤氏本人でした。そこに舞い込んだのが三尾氏からの提案でした。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞佐藤氏との出会いを語る三尾氏

三尾氏は、岐阜市を拠点にエアコンや車のパーツを生産する製造業、株式会社 中央物産の代表取締役社長。会社には太陽光事業部門もあり、蓄電池の開発・製造にかかわっていたのです。

佐藤氏に対して行った提案について質問すると、「佐藤タイジさんがウェブサイトに太陽光だけで武道館ライブを行いたいと述べていたのを見て、私は手紙を書きました。太陽光は天候が良いと発電できますが、曇りや雨、夜は発電が難しいという制約があります。また、武道館の周りに太陽光発電パネルを設置することも難しいです。私はイミテーションではない独自のアプローチを求めていました。そのため、太陽光で蓄電池に電力を貯め、それを利用してロックフェスを行うという提案書を送りました。」

三尾氏は学生時代にバンド活動の経験がありましたが、音楽業界とは無縁でした。しかし、その門外漢とも言える提案に対し、佐藤氏が快く応じ、名古屋で初めて対面すると、次第にプロジェクトへの賛同者が集まり、2012年12月、初のソーラー ブドウカンが成功裡に開催されたのです。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞2012年の初開催を語る佐藤氏と三尾氏

佐藤氏に初開催の感想を聞くと、「実は太陽光発電の方が断然ギターのサウンドが良かったんです。これはソーラー ブドウカンが続いている大事な部分で、出演ミュージシャンもそこに賛同してくれていると信じています。ギターがあってこそ、と僕にとってはそんな思いがありますよ。」と、満面の笑みで答えてくれました。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞フェス会場となっている中津川公園

そして、三尾氏は、「第2回以降のソーラー ブドウカンは、中津川でやりませんか?」と佐藤氏とイベントプロデューサーの松葉 泰明氏(株式会社 ワイズコネクション代表取締役)に企画を持ちかけたそうです。

中津川は、日本初の野外ロックフェスである「全日本フォークジャンボリー(1969年〜72年)」が開催された場所であり、日本のロック史に名を刻んでいる聖地です。その地で、世界初の再生可能エネルギーだけで賄う野外ロックフェスを実現するという壮大な計画が動き始めました。

成功のポイントは?

地域活性化をめざして、楽しみながら環境アクション!

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞ミュージシャン うじきつよし氏参加の「こどもソーラー ブドウカン」

中津川 ザ・ソーラー ブドウカンは、音楽にまつわる電力を再生可能エネルギーだけで賄うだけでなく、「楽しみながら環境アクション」というスローガンを掲げ、様々なローカルSDGsへの取組がイベントに組み込まれています。

毎年、会場では「こどもソーラー ブドウカン」が開催され、子どもたちが遊びながら環境について学べるイベントが行われています。小学生以下は入場無料なこともあって、ロックフェスに珍しく多くのファミリー層が訪れています。

また、日本酒製造の副産物であるもみ殻を主成分としたリユースカップを製作し、来場者がこれを購入してドリンクのカップ代わりに使用することで、ペットボトルのゴミを削減する取組を行います。

一方、フェスの来場者が移動することで発生していたCO2は、145万円の募金やグッズの販売、リユースカップの販売で集めたお金を使用してカーボンクレジットを購入し、そのCO2のオフセットに成功しました。

さらに、毎年50組から70組の名だたるアーティストが出演するだけでなく、各分野の専門家を招き、気候変動や再生可能エネルギーなどをテーマとしたトークセッションも行われます。これらの環境アクションも高く評価され、中津川のグリーンのイメージは全国に広がっています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞3万人の幅広い世代が訪れるフェス会場

実行委員会(約50名)は、地域を盛り上げていきたい若手経営者を中心としたボランティアで構成されています。また、中津川市をはじめ、中津川北商工会、中津川市教育委員会、中津川商工会議所、中津川青年会議所など公益的な団体から後援も多数受けています。実は三尾さんは元々、中津川青年会議所のリーダーを務めたこともあり、地域のイベントを盛り上げるビジョンを持っていました。

初年度はフェス自体が赤字でしたが、その後は収益が改善し、地域に大きな経済効果をもたらしています。

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞イベント成功の秘訣を語る三尾氏

三尾氏は成功の鍵を次のように語ります。「中津川市が一体となったからこそ、イベントが成功したのだと思います。騒音問題もある中、特に近隣の住民の方々には十分な配慮をしました。招待券を渡してぜひフェスを体験して欲しいとお願いしましたが、今ではその中の1人のおばあちゃんが、孫がフェスのために実家に帰ってくると感謝されています。」

今後の展望

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

第10回グッドライフアワード 環境大臣賞音楽と再生可能エネルギーの未来を語ってくれた佐藤氏と三尾氏

三尾氏は、ソーラー ブドウカンの意義について、「私たちは、CO2削減について国民の意識を高めるための取組を行っています。特にフェスに参加する若者やヤングファミリーに対して、CO2削減は簡単であることを伝え、具体的な活動を通じて実感してもらうよう努めています。」 と語り、「メンバー一同、これからも地域と一緒に盛り上がれる再生エネルギーのお祭りを主催し、その魅力を全国や世界に発信していきたい。」と胸を張ります。

ローカルSDGsについて明確なビジョンを持ち、それを実践している中津川 THE SOLAR BUDOKAN実行委員会。中津川を拠点に全国にローカルSDGsの輪を広げる意気込みです。

最後に、お二人は「全国の皆さん、中津川 ザ・ソーラー ブドウカンで会いましょう!」と締めくってくれました。

第10回 グッドライフアワード

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臼杵観光ナビ(青の洞門 禅海和尚のように)

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中野重二

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