受賞者紹介

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞

相模湖・若者の森づくり

NPO法人 緑のダム北相模

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞 相模湖・若者の森づくり

受賞者紹介

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 優秀賞

相模湖・若者の森づくり

NPO法人 緑のダム北相模

相模湖近くの里山を整備するNPOの活動に、中学生や高校生、大学生たちが参加。間伐や枝打ちなど本格的な作業を行うことで、森の大切さや、森を守る取組の大切さを学び、大学などを卒業後、森林保全に関わる仕事に進む若者が多いそうです。1日で5本の杉を間伐した、作業の様子を取材してきました。

活動のきっかけは?

「環境(森林)破壊という負の遺産を子孫に残してはならない」

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定例活動に集まったメンバーのみなさん。

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フィールドの拠点は公園のように整備されていました。

NPO法人の前身である『相模湖・森つくりの会』が活動を始めたのは1998年のこと。現在はNPO法人顧問の石村黄仁さんが趣味の登山で相模湖に近い陣馬山に登った帰り道、相模湖近くの里山で、荒れ果てて真っ暗な森を目にしたことがきっかけでした。思いを同じくする仲間や、森林保全活動に実績のあるNPOなどのメンバーが集まり、知人などを通じて山林の所有者の了解を得て、相模湖畔の里山で森林保全のボランティア活動をスタートしたのです。

2002年にはNPO法人を設立。『緑のダム北相模』という団体名には、保水力が象徴する森の役割や大切さを知り、豊かな森を後世に繋げていこうという思いが込められています。相模湖周辺に『相模湖・嵐山の森』『小原本陣の森』『知足の森』など、いくつかのフィールドを確保。「環境(森林)破壊という負の遺産を子孫に残してはならない」という理念のもとに、毎月第一と第三日曜日に、さまざまな有志のボランティアグループが集まって、森林整備をはじめ、ガーデニングや間伐材活用の取組など、森と関わる活動を行っています。

有志ボランティアの集まりとはいえ、趣味の活動というレベルではありません。2005年から2015年まで森林管理の国際認証であるFSC(Forest Stewardship Council=森林管理協議会)のFM(Forest Management)認証をボランティア団体として世界で初めて取得。認証期間が終了してからも、世界基準に見合った森づくりを続けています。

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森の作業ではヘルメットも必需品。

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必要な機材も用意されています。

どんな取組を?

都市で暮らす若者たちが、さまざまな森づくりを実施

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宮村連理さん

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石村黄仁さん

『緑のダム北相模』の活動には、森づくりの専門知識をもつ人たちが集まります。多様な知識を次世代に伝えていくために『緑のダム体験学校』という取組を実施。森づくりに興味をもつ大人はもちろん、小中学生、高校生、大学生などが参加するようになりました。

若者たちの自主的な参加による森づくり。その流れを受け継いで、現在は『緑のダム北相模』副理事長を務める宮村連理さんが中心になって進めているのが、『相模湖・若者の森づくり』です。2005年ごろには『嵐山の森』の中の約3ヘクタールの区域を『望星の森』と名付け、『若者の森づくり』の活動が本格化します。宮村さんの本業は学校教師。東海大望星高校、杉並区立高井戸中学校、三鷹市立第二中学校と、宮村さんが転勤するそれぞれの学校で設立した『地球環境部』の部員たちが森づくりに取り組んでいるのです。

森づくりには様々な種類の作業があります。植栽や調査なども行いますが、おもな活動は杉などが植林された森の間伐や枝打ちです。中学生や高校生だからといって、遊びのような体験をするのではありません。たとえば間伐作業では、実際に自分の手で、ノコギリを使って杉などを切り倒します。

中高大学生時代に、本格的な森づくりを体験した若者たちは、森林保全に関わる進路を選ぶことが少なくありません。歴代の「卒業生」たちには、森林組合などで林業に携わったり、材木を扱う会社に就職したり、森の生態系を守る仕事を選んだ人など、森に関わり続ける人生を選んだ若者がたくさんいるそうです。

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若者たちが集まって、作業開始前のミーティング!

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太い幹にもノコギリで挑みます。

成功のポイントは?

本気の作業だからこそ得られる「感動」が原動力!

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ロープを掛けて切り倒す方向を制御!

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樹上での枝打ちも行います。

『若者の森づくり』には、現役の「地球環境部員」ばかりでなく、大学生になった卒業生たちも参加します。宮村さんの転勤後も各校の地球環境部が活動を続け、相模湖の森に部員が通ってきています。中学生や高校生は東京など都会の子どもたち。部活動とはいえ、二週間に一度、森に通って汗を流す作業に通い続けるのは、なかなか大変なことでもあるでしょう。

何が若者たちのモチベーションになっているのか。参加する生徒たちは口々に「木が倒れる時の爽快感や達成感」や「森づくりの活動をすることで森がどんどん元気になる様子がわかる手応え」が楽しいと教えてくれました。本気の作業だからこそ得られる達成感。そして、自然の中で味わう感動が、若者たちの原動力になっているのです。

『若者の森づくり』のフィールドである『望星の森』や『知足の森』では、伐採した木は中高生自身の手でしっかりと計測。GIS(地理情報システム)を活用して、若者が得意なデジタルによる森林資源管理や情報発信を実践しています。

本気の作業で得られる感動に加え、自分たちが行っている森づくりの意義や成果を論理的に知り、考えること。そうした積み重ねがあるからこそ、森に関わりがある進路を選ぶ若者が育つのでしょう。『若者の森づくり』は、環境にとって本当に大切なことを知る、実践的な「学び」の場となっているのです。

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森の木はナンバリングして管理。

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木の円周を測ると直径がわかる専用のメジャーも!

レポート!

倒した木の重さを感じながら、環境の大切さを学ぶ

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倒した木は計測して切り揃え……。

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運び出しやすい場所に積み上げます。

晴天に恵まれた日曜日。活動を取材に訪れた日には、15名の若者たちが参加していました。作業は10時から15時くらいまで。昼食休憩を除くと4時間ほどの作業でしたが、若者たち自身が間伐する木を選び、実際に5本ほどの杉を切り倒す様子を見ることができました。

間伐作業は若者たちが手に持ったノコギリで行います。作業の手順をかいつまんで紹介しておきましょう。まず、周囲の木の配置や地形などを考えて、切り倒す木と、倒す方向を決めます。根元近くに、切り倒す方向に向けた「受け口」という切れ込みを入れ、その反対側からまっすぐに切り進めます。倒す木にはロープを掛けてほかのメンバーたちが引っ張り、方向をコントロールしながら、高さが10m以上もあるような木を切り倒していくのです。

作業は、切り倒して終わりではありません。長さや太さなどを計測したら、枝や幹を適度な長さに切り揃え、運び出しやすい適切な場所に積み上げていきます。太さが20cmや30cmもある生の杉の木を、小さなノコギリだけで切っていく作業は大変です。しかも、短く切り揃えても丸太の重さはかなりのもの。数人がかりで抱えて運ぶ作業にも緊張感が伴います。

この日、若者たちを指導するのは宮村さん一人でした。切り倒す方向についてアドバイスをしたり、ノコギリだけで切り揃えるのが大変過ぎる時にはチェーンソーで助け船を出したりはしますが、事細かな指導や注意をすることは少なく、若者たちが自分たちで考え、年長の先輩が経験の浅い後輩にコツや注意点を教え合う様子が印象的でした。

森を守るだけでなく、森を守る人材を育てることで、さらに大きな環境保全の輪を広げていく。この取組の魅力を実感できる取材となりました。取組紹介ムービーでは、実際に木を切り倒す様子もご紹介しています。ぜひご覧ください!

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この日は、谷川に丸太の橋を掛けました。

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昼食はほかのボランティアグループと一緒に、味噌汁などが振る舞われます。この日は、森で採れたシイタケも!

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