受賞者紹介

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 グッドライフ特別賞

食用ヒョウタンで地域を救え!
~瓢箪倶楽部秀吉の挑戦~

岐阜県立大垣養老高等学校 瓢箪倶楽部秀吉

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 グッドライフ特別賞 岐阜県立大垣養老高等学校 瓢箪倶楽部秀吉

受賞者紹介

第4回グッドライフアワード 環境大臣賞 グッドライフ特別賞

食用ヒョウタンで地域を救え!
~瓢箪(ひょうたん)倶楽部秀吉の挑戦~

岐阜県立大垣養老高等学校 瓢箪倶楽部秀吉

『瓢箪倶楽部秀吉』は、大垣養老高等学校の有志生徒が集まったサークルです。通学で利用するローカル線が廃線の危機に陥ったことをきっかけに、町を元気にするために「高校生にもできることがある!」という思いから、町で愛されてきた瓢箪を軸にした活動が始まりました。

活動のきっかけは?

約4割の生徒が通学に使う養老鉄道が廃線の危機

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烏江(からすえ)駅が高校の最寄り駅。

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瓢箪に汲んだ水が酒に変わったとする「孝子伝説」で知られる養老の滝。

大垣養老高等学校は、平成17年(2005)に大垣農業高等学校と養老女子商業高等学校が統合して開校されたまだ新しい高校です。総合学科と農業科があり、全校生徒は700名ほど。『瓢箪倶楽部秀吉』は、農業科の中の「食品科学科」の生徒を中心とした、部活動とは別の有志サークルです。

平成27年(2015)のこと。全校生徒700名のうち、およそ4割にあたる約260名が通学に利用している地元のローカル線「養老鉄道」が利用者減少による赤字の増大によって、廃線の危機に見舞われました。鉄道がなくなれば、町はますます元気を失いかねません。また、バス通学になると「鉄道に比べて輸送量当たりのCO2は2倍以上に増える」と知った養老町出身の4人の生徒が「高校生にも何かできることがあるはず!」と、食品科学科の青木祐太先生に相談したことが『瓢箪倶楽部秀吉』誕生のきっかけとなりました。

大垣養老高校がある岐阜県養老町は、養老の滝があることで知られています。養老の滝には、親孝⾏な息⼦が滝の⽔を瓢箪に汲むと酒に変わり、その酒を飲んだ⽗親が若返ったという伝説があります。また、その出来事を聞いた元正天皇が養老の滝に⾏幸し、元号を「養⽼」に改めたのが今からちょうど1300年前、717年のことだったと伝えられています。今も瓢箪は町のシンボルとして地元の人たちに愛されていて、趣向を凝らした瓢箪の工芸品などが、町の特産品となっています。

4名の生徒と青木先生が話し合って生まれたアイデアは、養老町ならではの瓢箪を使った地域活性化でした。新たな名物を作って養老町を訪れる人が増えれば、養老鉄道も存続できるはずです。活動のサークル名は、瓢箪と、瓢箪を馬印にした豊臣秀吉にあやかって『瓢箪倶楽部秀吉』と決まりました。

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養老は瓢箪の町。養老駅にも瓢箪が!

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『秀吉』が活動の軸に選んだのは日本では珍しい食用瓢箪。

どんな取組を?

食用瓢箪を栽培して「ひょうたんバーガー」を開発!

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ひょうたんバーガーはボリューム満点!

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苗の配布やワークショップを実施。

活動の「軸」として選んだのは「食用瓢箪」です。豊臣秀吉が「千成瓢箪」を旗印にしたことはよく知られていますが、瓢箪には実の大きさや特徴が異なる多くの品種があります。養老町をはじめ日本国内で栽培されているのは工芸品に使う瓢箪がほとんどで、食用瓢箪はまったくと言っていいほど栽培されていません。サークルの活動は、まず国内の種苗業者に連絡を取り、食用瓢箪の種を探さなければなりませんでした。

運良く少量を保有していた業者から種を取り寄せ、学校の畑のほか、町の人たちにも協力を呼びかけて種を植え、「食用瓢箪を養老町の新しい特産品にする!」ための取組が始まりました。また、自治体とも連携した地域活性化のアイデアとして、大小2つのハンバーガーを積み上げて瓢箪に見立てた「ひょうたんバーガー」を考案。「自分たちで育てて収穫した瓢箪でピクルスを作り、具材に使おう!」としています。

食用瓢箪で町を元気にするための取組を始めると、地域活性化に取り組む人たちとの関係も広がっていきます。『秀吉』の活躍は食用瓢箪だけにとどまることなく、高校生ならではの発想や若さを活かした様々な取組にも広がっています。まずは、町の伝統でもある瓢箪の工芸品作り。町のイベントなどで「ひょうたん絵付け」や「ひょうたんランプ」作りのワークショップを開催、町の幼稚園などで訪問ワークショップを開くなどの活動で、瓢箪文化を次世代に伝えていくことを目指しています。

また、閉店したままになっていた養老鉄道養老駅の売店を復活させて、高校の実習で作った製品などを販売する『高校生朝市』を開催。2016年のゴールデンウィークには、養老鉄道沿線にある5つの高校が集まる賑やかな朝市を開催したそうです。

さらに、地域活性化を目指すNPO法人ヨロストが養老駅に開設しているインターネット中継スタジオ(養老駅スタジオ)を使い、毎月1回『High School Yeah!』と題した番組を放送しています。番組では『秀吉』の活動や、養老町の魅力などを発信。企画から出演、制作まですべて高校生が担当しています。

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養老駅での高校生朝市。

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高校生だけでインターネット放送も!

成功のポイントは?

楽しんで、学びながら難問に挑む!

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高校の畑で食用瓢箪を収穫。

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奈良漬の老舗『今西本店』から激励とアドバイスをいただきました。

『瓢箪倶楽部秀吉』は有志のサークルです。メンバーの生徒たちは、それぞれ別の部活動にも所属しながら、空き時間や休日などを活用して『秀吉』の活動をしています。まだ若く、兄のように頼もしい青木先生との信頼関係が、『秀吉』の大きな原動力。とはいえ、スタートからわずか3年ほどでこれほど活動が広がってきたことには、地域の方々や、協力してくれる様々な方からの「教え」が不可欠でした。

実は、活動がスタートして以来、いくつかの「難問」がありました。初めて食用瓢箪を栽培した年には、協力してくれた町の方が栽培した食用瓢箪の中に、苦味が強い個体が発生。苦味の原因は「ククルビタシン」という成分で、食中毒を起こす懸念がありました。

この難問を解決するために、古くから瓢箪の奈良漬けを扱っている奈良の『今西本店』に相談すると、「瓢箪はそもそも苦いもので、きちんとつけ込めば苦味は抜けて美味しくなる」というアドバイスを得ることができました。『秀吉』では、苦味成分を含まない食用瓢箪への品種改良に取り組むとともに、食用瓢箪を漬け物として活用することへのチャレンジに取り組みます。

美味しい漬け物作りのためには、県内で漬け物の素を製造販売している『大和食品工業』に協力をお願いし、講師の方に漬け物作りを指導してもらいました。今では、高校の実習で作った味噌を使った味噌漬けなど、いくつものバリエーションがある『秀吉』特製の瓢箪漬けを作っています。

食用瓢箪の栽培方法は、地元で工芸品用の瓢箪を栽培する「養老町瓢箪振興会」の方から指導を受けました。また、ひょうたんバーガーの普及や、食用瓢箪を栽培してくれる町民の方を募るために町役場とも協力。さらにインターネット放送などを通じた活動の情報発信や町おこしイベントなどで、NPO法人ヨロストの方々と連携しています。

「ひょうたんランプ」作りのワークショップなどで使うための瓢箪が足りなくなるという難問もありました。この時は数か月後に迫ったイベント開催に間に合わせるため、NPO法人ヨロストなどの協力を得て瓢箪を栽培してくれる人を募り、町内の保育園や幼稚園、小学校などに苗を配布して実を収穫してくれるよう依頼。地元の新聞もこの話題を取り上げてくれました。瓢箪栽培の輪を広げる取組は、養老町が呼びかける「ひょうたんグリーンカーテンコンテスト」へと広がり、瓢箪を活用したエコロジーなライフスタイル普及へと繋がりました。『瓢箪倶楽部秀吉』の取組は、高校生の有志サークルという枠組みを飛び出して、地域と一体になった持続可能な地域活性化へのチャレンジに育ってきたといえるでしょう。

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美味しい漬け物づくりも学びました。

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いろんな品種の瓢箪も栽培しています。

レポート!

食用瓢箪を養老町の特産品に育てていく!

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ひょうたんアートワークショップ。

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自由な発想で楽しめます。

取材では、養老町中央公民館で『瓢箪倶楽部秀吉』が開催する「ひょうたんアート」のワークショップに伺いました。同じ会場では地元の愛好家などが作った瓢箪工芸品の展示会も開催されていて、養老町が瓢箪の町であることを実感できました。

ワークショップで作るのは「ひょうたん絵付け」か「ひょうたんランプ」で、参加者が選べます。今年は様々な「養老改元1300年」記念イベントが予定されており、11月には養老の滝がある養老公園の夜をひょうたんイルミネーションが彩るイベントが開催されるそうです。取材チームもワークショップで『グッドライフアワード』のシンボルマークなどを描いたひょうたんランプを作り、養老公園のイベントに使っていただくようにお願いしてきました。

すでに高校を卒業した初代『秀吉』メンバーもスタッフとして参加。2代目の現役生や、ヨロストのメンバーの方々とともに、自らも楽しそうな表情で、訪れた子どもやお母さん、お父さんたちに指導している姿が印象的でした。

ちなみに、絵付けやランプに使う瓢箪は、収穫した瓢箪の実を腐らせて皮だけを残し、乾燥させて作ります。しっかりと乾燥させているとはいえ、ランプの光がこぼれる穴を空ける作業をしていると、意外とにおいが強いことにも驚かされました。工芸品として完成してしまうと無機質にも感じますが、自分の手で加工すると瓢箪は植物なのだということを楽しく実感できます。ワークショップにはたくさんの子どもたちが参加していました。こうした体験が、瓢箪をより身近に感じ、町に受け継がれる文化や環境を守っていく心を育んでくれるに違いありません。

スタート当初は「苦味」に苦しめられた食用瓢箪栽培ですが、『秀吉』では苦味成分がまったく検出されない品種の改良にも成功し、農林水産省への品種登録準備を進めています。今後のさらなる目標は「この新品種を活用して、食用瓢箪の特産品に育てていくこと」だと、青木先生が話してくれました。

『瓢箪倶楽部秀吉』の取組は、JAグループが開催した2015年度『全国高校生 みんなDE笑顔プロジェクト』で全国優勝。こうした活躍が「絆」となって沿線自治体の結束を実現し、平成28年(2016)5月に養老鉄道の存続が決定したことは、地元メディアの大きなニュースにもなりました。

すでに卒業した初代メンバーたちが、楽しそうに活動に参加し続けているのは、自分たちの取組が地域の方々に笑顔を運び、着実な成果を挙げているからこそのこと。「みんなの力で社会は変わる!」という、グッドライフアワードの主旨にふさわしい取組でした。

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グッドライフアワードのひょうたんランプ。

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隣室では地元の瓢箪工芸作品展示会が開催されていました。

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苦味のない食用瓢箪の品種改良にも成功。

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町全体に食用瓢箪栽培を広げることを目指しています。

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