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串本の海を護るための10ヶ条

串本海域公園の今とこれからのために、これからどうするべきかを提案します。

1. 串本の海を知る

 串本の海を守るためには、海というものの一般特性を知り、日本の海の特徴を知り、その上で串本の海の特徴を知らねばなりません。

 海は地球上の表面積の70%を占めています。海水は3.5%ほどの塩分を含み、その他にも多くの微量の成分を含んでいます。

 海には波打ち際の水深0mのところから、水深10,000mを越える深海まであり、大部分は水深1000mを越える深い海で、海底までの光の届く浅海部はほんの少ししかありません。

 陸上部の水はやがていつかは海に流入します。海は陸や淡水域に比べて広いので、地球表面からの水の蒸発はもっぱら海面から起こります。従って、陸上部に降る雨は海と空と陸を循環していることになります。

 世界の海には強い海流がいくつかあり、その内の最大のものの一つに黒潮があります。黒潮は暖流で、日本にとっては温かい海水を南方から大量に運ぶ海流です。

 串本は太平洋に面し、紀伊半島の南端にあり、黒潮が沿岸部を流れています。

 日本南部の沖を黒潮が流れますが、九州以北では串本ほど黒潮に接近している海岸はありません。

 黒潮は水温が高いばかりではなく、プランクトンをほとんど含まない非常に透明度のよい海水の流れです。それ故に黒潮そのものは栄養分の乏しい海水の流れなのです。

 串本は海中にも続き、海岸から沖合に向かって急激に深くなっています。従って今流行の深層水をく汲み上げるには適した地形といえます。

2.串本の海の生き物を知る

 串本は黒潮の影響で、北にある割には海水温が年間を通じて高く、そのためサンゴ礁性の多くの生き物が生息し、世界最北のサンゴ礁生態系を形成しています。

 多くの熱帯性サンゴ礁性の種が串本から記録されていて、さらに毎年相当数の種が新たに記録されています。これら熱帯性の種の内、最近記録された注目すべき種を少しあげると、サザナミサンゴ・ヒレジャコガイ・フリソデエビ・カギテリョウマエビ・コモンヤドカリなどがあります。

 このホームページで紹介された数々の生き物、あるものは写真が付いていますが、それらについての文を読んでも、写真を見ても、実際の生き物を見るのに比べると、得られる情報の量は比較にならないほど小さなものです。ですから、串本の海の生き物を知るためには串本の海に入って実際にこれらの生き物に接することが大切です。また、串本海域公園を紹介するための施設として、串本海中公園センターがあります。これを利用するのもよい手段です。

3.串本の海の生き物の生活の様子を知る

 串本の海の生き物はなにを食べ、何に食べられているのか。あるいはいつ、どれくらいの卵を産むか。また、子供はどこで暮らすか、など、串本で暮らす海の生き物の生活の様子を知ることも大切です。

 串本、特に海域公園には多くの生き物がいて、それらの生きる様子をすべて明らかにすることは困難であり、また大変な時間がかかります。しかし、少しずつでも明らかにし、それを社会に知らせ、広く一般の人々の知識として定着させることを進めなければなりません。一般の人々がそれらの事実を自然に対する自分の考え方を作るための基礎知識として役立てることは大変重要なことだと思います。

 たとえば、串本海域公園に最も豊富にあるテーブルサンゴ、正式にはクシハダミドリイシは毎年7月の満月の2日後の夜に一斉に放卵します。これも長い研究の末に、最近分かってきた事柄なのです。さらに、串本海域公園2号地の海岸のサンゴ岩の下面についている3 mmほどの大きさのチビイトマキヒトデは、普通のイトマキヒトデ類のように、卵を産むのではなく、直接子供のヒトデを生むことも分かってきました。

 その他、多くのことが串本海域公園の生き物について分かってきましたが、不明の部分はその何万倍もあり、これらの謎に限りなく挑戦しなければなりません。ここを訪れたあなた方にもその謎の一部を解明するチャンスが、あるいは謎の解明につながるヒントを発見するチャンスが大いにあることを覚えておいてもらいたいと思います。

4.私達人間を含め、陸上生活者は海の生き物とどのように関わっているかを知る

 陸上部の水はいずれは海へ流入します。水というものは我々生き物の命を育む上で、必要不可欠のものです。というのも、水ほど色々な物質を溶かす液体はこの世に存在しないからです。地球の生物が進化した過程で、水を溶媒として利用したのは正解だったはずです。もし水とは違った液体を利用していたら、地球上の生命の繁栄はこれほどめざましいものにはなっていなかったと思われます。

 しかし、この万能選手の水ですが、陸と海とを循環している間に、我々にとって都合の悪いものを溶かして、海へと運搬します。海から、水が出ていくシステムは蒸散以外にはありません。ご存知のように、水は蒸発するときには蒸留水と呼ばれるように、純水の形で海から出ていきます。従って、陸から運んできた色々な物質は海水の中に残されるのです。そして、それらの物質は長い時間の中で濃縮され、海に蓄積されるのです。海に蓄積されたこれらの物質は好むと好まざるとに関わらず、海に生活するあらゆる生き物に取り込まれることになります。もし生体の機構で特殊な化学物質が特定の生物の特定の器官に特異的に蓄積されるとするなら、海に蓄積されるその物質の蓄積の形態が、海水中に広く溶解して蓄積されるのではなく、その生物の体を蓄積の場所としているだけだと理解できます。

 最近、有機スズのおこしたアクキガイ科の巻貝類の中性化現象が問題になったことを思い起こしてください。海中工作物に種々の付着生物が付いて機能が低下するのを防ぐため、有毒な重金属イオンを使用しました。そのため海岸に普通にいるイボニシやレイシの雄の交尾器が萎縮して、繁殖不能になった現象です。

 また食物連鎖の結果として、高次の肉食動物に特異的に特定の物質が蓄積されることは、日本の水俣病をはじめ、多くの公害病が証明しています。

 この問題は海に生活する多くの生き物にとっても重要な問題であり、かつ陸上動物にとっても問題であります。陸上動物の多くも、我々と同じように、直接あるいは間接に海からの資源を食料にしているからです。最も深刻な問題は我々人類に関わる部分で、これについてはこれ以上触れるまでもないでしょう。

5.私たちの生活から出たものの内、どのようなものは海へ流してもかまわないかを知る

 私たちは、海はとてつもなく広いものだと思っていました。そこで海は色々と多くの役目を負わされていたわけですが、その中の一つの重要な役目にゴミ捨て場という感覚がありました。すなわち海は大きなゴミ箱だったのです。

 確かに海には自浄作用があり、人々が捨てたゴミを、再利用に適した形態にまで分解するリサイクルセンターの役目を果たしてきました。しかし、海の自浄作用には限界があります。身近な例をあげましょう。私たちは海水浴をしていて、尿意を催すと、海水中に放尿します。あるいはスキューバダイビングの時も同じです。都会の真ん中のイモの子を洗うような海水浴場の場合は別ですが、普通我々が海水中に放尿しても問題はほとんどありません。というのは我々の尿の成分の内、そのまま利用されるものはそんまま、分解してリサイクルされるものは速やかに分解され、海の生態系のエネルギーサイクルの中に組み込まれるからです。このような海の働きを自浄作用とよんでいるのです。しかしどうでしょう。たとえば串本の海水浴場に、東京23区から出るすべての尿を運んできて、放出すれこの海水浴場は直ちにコエダメに変化し、海水による自浄作用など期待できるはずがありません。海の自浄作用には限界があり、その限界もかなり低く設定されていると考える方が安全なのです。というのも、海の自浄作用は本来、魚類のような海の中で行われれる生命活動によって生じるそのような物質をリサイクルするためのもので、決して陸上の生命活動の分まで引き受けるようには、なっていないからです。

 そのようなわけで、人間生活でできたものはできるだけ海へ流れないように気を配るべきなのです。既に私達の消費生活は以前に比較して、比べものにならないほどの雑多なゴミを生産し、かつては無限の大きさをもつゴミ箱だと考えられていた海が、有限のもので、しかも既に、世界中のどの海域でも、人間の活動による汚染の進行が見られるという恐ろしい事実が分かってきているからです。

 さらに問題はキャパシティーだけの問題に留まりません。海域に放棄されるものの性質も重要な要素です。すなわち、かつては人間生活から出るゴミはほとんど全てが天然物起源のもので、海に限らず、自然界に放置しても、やがては土に帰る運命をもっていたのです。しかし科学の発達は、その枠を越えました。現在私達の出すゴミの多くの部分は天然物由来のものではなく、人工的に合成されたものです。このような物には自然界の自浄作用は働かず、いつまでたっても土に帰りません。言い換えれば自然のリサイクルが利かないものなのです。その上、人工的に合成された物質の中には、PCBとか、フロンガスとか、ダイオキシンなどといった有毒物質や、一般に間違って「環境ホルモン」と呼ばれている内分泌かく乱物質があり、我々の惑星は海域も含めて、現在既に危機的な現状にあるのです。

 串本の海を守るためには、私達の生活から出る諸々のゴミもやがて海へ行く可能性の高いことを考え、今社会的に認められつつある人工的なリサイクルができるものについてはできるだけそれを行い、その他についてもなるだけゴミを出さない生活スタイルを心がけるべきでしょう。

6.海の生き物の中には環境変化に強いものと弱いものとがあることを知る

 最近話題となったものに、メダカがあります。かつては日本国中どんな小川にも普通に見られたメダカが減ってしまって、環境庁のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種とされたのです。これはほんの一例で、既に絶滅してしまったニホンオオカミや、絶滅してしまったのではないかと思われているニホンカワウソ、絶滅が心配されるオオワシなどの猛禽類など、数え上げればキリがありません。その一方で、都会にはびこるカラスはいっこうに数を減らすように見えず、反対に増えているといいます。

 海域でも状況は似ています。かつて日本の砂浜ならどこにでもいたハマグリがほとんど姿を消しました。それでも養殖ハマグリの稚貝を放流することと、外国産の近縁種を輸入することで、一般の人々の食生活には不自由がありません。ハマグリが消えたのは砂浜の汚染が原因です。砂浜が汚れたことによってハマグリだけでなく、あのサクラガイも、マテガイも絶滅寸前なのです。

 河口に広がる干潟の泥にすむ多くの生き物たちも危機に瀕しています。巻貝の一種ヘナタリ、ゴカイの一種タマシキゴカイ、蟹の一種シオマネキなど、一部の環境変化に弱い種が絶滅しかかっています。

 広い海のことですから、多くのこのような生き物が既に姿を消し、今まさに絶滅しようとしています。串本海域公園の最大の特長である造礁サンゴ類は環境の変化に弱い生き物であると認識されています。さらに造礁サンゴ類は日光の届く浅い海に生活します。浅い海とはすなわち陸域に近いこととほぼ同義です。すなわち我々人間生活の影響を受けやすいところに造礁サンゴ類の生活の場があるのです。このような暖海の浅い海域には近年汚染が急速に進行しつつあり、造礁サンゴの行く末が案じられています。串本海域公園の造礁サンゴ類も決して例外ではありません。

7.一度絶滅した生き物は二度と復活しないことを知る

 スピルバーグ監督の映画「ジェラシックパーク」が話題となりました。琥珀に閉じこめられて化石となった蚊が直前に吸血してた恐竜の血液を、蚊の腹の中から取りだし、そのDNAから恐竜を復元したというフィクションでした。現在のバイオテクノロジーの発達の速度は著しく、近い将来保存されたDNAから生き物を発生させることが可能かもしれません。しかし、そのような技術が何年か先に、確実に完成するという保証は何もないのです。

 「ジェラシックパーク」が話題となった同じ頃、エイズが世界的に問題となりました。この問題に対して、世界中の優秀な科学者が一斉に研究を始め、すぐにエイズ・ウイルスが発見・単離されました。その時、私はこれでこの病気も治療法が発見され、我々人類はこの疾病もすぐに克服するだろうと思いました。多くの人々がそう確信したに違いありません。しかしどうでしょう、エイズは未だに完治療法が確立されていないのです。

 将来このようなことはすぐに克服されるだろうと、都合のよい予想を立てて物事を進めるのは危険きわまりない行動といえます。現在の私達は、一度絶滅した生き物は二度と復活しないという立場でものを考え、行動しなければなりません。

 さらに別の重要な事柄があります。それは個体変異というものです。遺伝子の多様性とも言い換えることができます。35億年の地球上の生命の歴史の中で我々生物は想像を絶するほどに巧妙な生命のメカニズムをあみ出してきました。たとえば、遺伝子DNAの複製の方法だとか、4価の安定元素である炭素の連鎖を軸とした高分子有機化合物の利用などですが、その一つに同種の生物の間にある遺伝子の個体変異があります。たとえば裏のキャベツ畑で採ってきた2匹の雄のモンシロチョウの遺伝子は全く同一ではありません。細かい遺伝子の差が個性を生み出し、我々の顔つきが一人一人異なっているものそのためだと考えられています。しかし個性を作り互いに識別できるようにするのが遺伝子の変異の本当の意味ではありません。ある種の歴史は個体の歴史の連続ですが、種の歴史は個体の歴史に比べて非常に長いのです。それでその間には色々な出来事が起こります。環境の変化がその主なものだと思われますが、その時に、全ての個体がその変化に全く同じように反応するのでは、一つの変化にあったときにその種が絶滅してしまうことが起こります。そのようなことを防ぐために種は、その中に非常に幅広い異変を抱えているのです。

 ですから変異のない、あるいは少ない種にというものは本来の種の本質からかけ離れたものになっているのです。このような事態は絶滅寸前の種に見られます。日本にも細々と暮らす特別天然記念物のトキのような種があります。あのような状態になったものは既に種としての要件を満たしていないのです。たとえ数匹の生き残った種から、絶滅寸前の種を繁殖させても、その種が包含する遺伝子の変異の幅の無さから、その種は実質的には絶滅したも同然とも理解できます。なぜならこれから先の長い年月の間に起こる環境変化にとても対応するほどの能力が、その種の内に存在せず、やがては絶滅する運命にあるからです。

8.私達の未だ知らない無数の生き物が私達のまわりにたくさんいることを知る

 かつて私達は学校の生物の時間に、地球上の生物の種数は、動物100万種、植物40万種の合計140万種だと教えられました。生物の種が我々に認識されるためには誰かがその種を新種とするということを書いて、印刷物にしなければなりません。当然新種とするためには、これまでに知られているどの種とも違うことをその中に書くのです。この作業は新種の記載と呼ばれます。それから40年、現在記載されている生物の種はおよそ200万種で、毎年数千種以上の新種が記載され続けています。

 確かに40年ほど前までは、この地球上に存在する生物の種の数は140万種を大きく上回ることはなかろうと思われていました。しかし、現在ではほとんど全ての分類学者は、地球上に存在する生物の数はそれよりはるかに多く、少なく見積もる学者で1000万種、多く見積もる学者では1億種を越えると見なしています。それは今までに詳しい調査がされなかった地域が残っているためでもあり、また、これまで1種と考えられていたものが、実は多くの種の集まりであったりするためです。そこで単純に計算するまでもなく分かることですが、私達がこれまで知っている生き物の種は、実際この世に存在する生き物の種数の5分の1あるいはそれ以下であることになります。

 現在、地球上のあらゆるところは、我々人類の生活の影響を受けて、元の環境が大いに変えられつつあり、普通私達はこの現象を指して、汚染が広がりつつあると表現します。そして、毎日数十種の生き物がこの地球上から姿を消しているといわれています。しかし、実状はもっと深刻なようです。というもの我々の知らない、言い換えればまだ科学の舞台にも登場していない生き物が少なくとも現在の5倍はいるということです。そしてこれらの未だ知られざる、従って名前もない生き物たちも、環境の変化によって、毎日大量に絶滅しているのです。

 中国の奥地にジャイアントパンダという珍しい動物がいるそうです。生息環境の変化によって、本種の健全な生活が脅かされているそうです。本種は生息域に生えている笹を主食にしています。その笹が生えている土の中には非常に多くの小さな動物が暮らしています。彼らは体が小さい故に寿命も短く、それだけ早く世代を経過させます。それらの小さな虫の中にはまだ名前の付いていない、すなわち人類の文化に組み込まれていないものも少なからずいるはずです。それらの内の一種も、ジャイアントパンダも、この世に生きる動物の1つの種なのです。元をたどれば、35億年前に生まれた地球上の最初の生命に起源を発するのです。しかも、この35億年の間に無数の種が生まれ、やがて絶滅していった中で、現在生きているということは、進化の長い競争で成功を勝ち取った勝者なのです。この笹の下の土の中でうごめく虫と、ジャイアントパンダとを比較して、人間活動の結果としての環境破壊で、どちらの種なら絶滅に追いやってもかまわないか、などというランクが付くとは思えません。

 私達の活動の陰で日々絶滅してゆく多くの生き物がいるということを私達は知るべきです。

9.すばらしい景観とそこに生活する多彩な生き物は誰のものかを知る

 串本海域公園にはすばらしい海中景観と、そこにすむ多くの生き物がいます。これらの串本の素晴らしいものは現在の串本町民、いや日本国民だけのものではなく、広く全世界の人類共通の財産であるばかりでなく、次世代以後の人々のために健全な状態で残さねばならないのです。

 どうすれば健全な状態で次世代の人々に引継ができるのでしょうか。そのためには、私達は少なくとも現在の串本の海の環境を変えることのないよう、万全を尽くすべきではないでしょうか。

10.串本の海を守るためには自分はどうすれば一番よいかを考え、そのように行動する

 これまで書いてある1から9までの事柄を読み、それらを理解すれば、自分はどうすればよいかはすぐに分かるはずです。難しいのはそれらを実行することです。もし人々がそれを考え、考えた通りに実行したとすると、串本の海に限らず、世界の海は瞬く間にきれいな海に変貌し、海に関する環境は即座に解決します。しかし、そのように行かないのが人の世の常です。

 ですから、考えることはよいことです。いつもそのような意識が頭の片隅にでも巣くっているからです。考えたことを全て行動に移すことは、よっぽどの行動家でもない限り、普通の人には無理なことです。そこで、考えたことの内、一番手軽なただ一つの行動を実行に移すことにしましょう。これだけでも世の中が変わると信じつつ。

 もっと一般的な事情は、非常に多くの人々は考える暇さえないのです。日々の生活に追われ、はたまたこの世の非常に多くある問題のどれかに、あるいはいくつかにのめり込んでいるために、串本の海のことなど頭の隅にも浮かんだことがない、というのが実状です。

 そのような考える暇さえない人のために、1つの提案をしましょう。誰もが健康でありたいと願います。健康のために人間は色々なことをやっています。薬を飲むのも1つの方法です。しかし薬は服用のために人工的に作られたもので、全く副作用がないかどうかの保証はありません。

 しかし副作用のない自然の薬が手軽にあります。世界中の一部の医者も認めているように、この世の最良の薬は水だと思います。そこで提案ですが、夜寝る前に、コップ一杯の水を飲むことをお奨めします。お茶やその他の飲み物ではダメで、水です。それもできれば水道の蛇口からの水をそのまま飲むことを奨めますが、どうしても気になる人は湯冷ましでもまあ、よろしい。

 水の味をじっくりと味わいながら飲んでください。場所によってはカルキ臭くてまずい水もあるでしょう。それとは反対に大変おいしい水もあるでしょう。しかし、日本では水道の蛇口から飲料可能な水が出てくるのです。世界中にこのような恵まれた国がどの程度あるのか。そんなことを考えながら、水を味わって飲んでください。この水は空と海との循環からもたらされたものです。水の分子のそれぞれはいつの頃かは分かりませんが、きっとかつては海の水として海にあったことでしょう。その時にはきっと魚やその他の生き物を包む機会もあったでしょう。それがまわりまわって、現在自分の口の中に含まれているのです。水を味わいながら、串本のサンゴの海に思いをはせていただければ、それは串本の海を守る原動力になると思います。


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