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サンゴ食巻貝について

 イシサンゴ類を専門に食べる小型の巻き貝がいます。手に乗せた代表的な5種(左写真)は、左からヒメシロレイシダマシ、シロレイシダマシ、カブトサンゴヤドリ、トヨツガイ、クチムラサキサンゴヤドリです。これらの貝の一匹一匹は小さいですが、大きな集団をつくることで、サンゴに大きな被害を与えます。日中はサンゴの隙間に潜み、夜になると集団でサンゴに襲いかかり、白い骨だけを残して食べてしまいます。

 右写真はサンゴの一種であるニホンミドリイシを食べているシロレイシダマシです。写真上部の深緑色の部分が通常のニホンミドリイシの色で、貝を挟んで左下の部分が食べられて残った骨の部分です。何百何千という貝が集まることもあり、そういったところではサンゴはどんどん食害を受けて、群集が消失することもあります。

左写真.サンゴ食性小型巻貝
サンゴ食性小型巻貝
右写真.シロレイシだましによるサンゴの食害
シロレイシだましによるサンゴの食害

 串本の海では1990年代半ばから、ヒメシロレイシダマシが増えていることが知られ始め、1998年には串本海域公園地区4号地でクシハダミドリイシ群落の3割が死亡していることが確認されました。1999年にサンゴ食巻き貝の生息状況を調査したところ、潮岬西端の住崎から串本町西部の和深まで、広い範囲で被害が見られ、とくに須賀漁港から袋港、砥崎、海域公園地区1号地と4号地で被害が甚大だと判りました。そこで、環境省(2000年~)と串本町(2001年~)が錆浦海中公園研究所の指導の基に事業を行い、串本海中公園スタッフや串本町内のダイビングショップのスタッフ及び同ショップを通じて集まった駆除作業希望者によって駆除が続けられています。

サンゴ食性巻貝駆除数の推移
サンゴ食性巻貝駆除数の推移

 駆除事業が始まってから3年間は10万個体を超える貝が駆除されてきましたが、その後収束し始め、2005・2006年には駆除された貝は約3000個体まで減少しました。9年間で駆除された貝の総数は約58万個体で、それ以外にも多くの卵塊を駆除しており、貝の増殖を食い止めることができたと思われます。しかしながら、2007年には駆除された貝が少し増加しており、貝による食害が完全に収束したとは言えないようです。今後も貝の駆除とモニタリングを続け、貴重なサンゴ群落の保全を行っていく必要があります。

オニヒトデの大集団出現と駆除

オニヒトデ
オニヒトデ

 串本町沿岸では、平成16年秋に串本町西部の和深沖や潮岬北西岸のダイビングポイント・グラスワールドなどでオニヒトデの大集団が発見されました。右の写真は和深沖で見つかったオニヒトデで、左上のサンゴは生きていますが、右下の白いところはオニヒトデに食べられて骨だけが残った状態です。オニヒトデは大集団をつくりサンゴ群集に大きなダメージを与えることが知られており、貴重な海中景観を構成するサンゴ類の保護を図るために、串本町でダイビングサービスを行っているダイバたちがボランティアで参加する駆除が、環境省及び串本町などによるオニヒトデ駆除事業として続いています。

2004年度のオニヒトデ駆除数
2004年度のオニヒトデ駆除数
2005年度のオニヒトデ駆除数
2005年度のオニヒトデ駆除数
2006年度のオニヒトデ駆除数
2006年度のオニヒトデ駆除数
2007年度のオニヒトデ駆除数
2007年度のオニヒトデ駆除数

 串本町沿岸各地でのオニヒトデの駆除状況を年度別に図で表しました。図に示したのは駆除されたオニヒトデの数ですが、概ねの生息数も把握できます。和深沖で見つかったオニヒトデ集団は、年を追う毎に東に生息範囲を広げていますが、串本町全体では駆除の効果によって徐々に数が減少しています。

オニヒトデ駆除数の推移
オニヒトデ駆除数の推移

串本町沿岸で駆除されたオニヒトデの総個体数は2005年をピークに減少しており、1回の駆除で見つけられるオニヒトデの数も減っていることから、駆除によってオニヒトデの個体数が抑制され、サンゴへの被害も減少していることが伺えます。しかしながら、2006年以降、生後1~2年のオニヒトデ(直径15㎝以下)が500個体近く見つかっている(駆除されている)ことから、2005年以降、串本でもオニヒトデが繁殖していることが推察されています。

オニヒトデの絶対数は減少しているものの、まだまだ駆除と監視を継続することが必要であり、今後のサンゴ群集とオニヒトデの状態把握が重要なことは言うまでもありません。

ゴミ問題について

 ゴミは海の生態系を攪乱(かくらん)するばかりではありません。美しい海を目的に串本を訪れる人の期待を裏切り、浅海および海岸の景観にとってゴミは大いなるマイナスです。最近のゴミの中にはプラスチックやビニールなどの人工物が多く、これらは何年たっても分解さずに半永久的にゴミとして海に残りますので、問題は一層深刻です。しかしながら、日本国内における環境問題への意識の高まりに伴い、以前に比べて海岸に漂着するゴミの量は減ってきています。また非常に多かった漂着タールも、串本の海岸からほぼ姿を消しました。

 串本海域公園の美しい海を守るためには、日常生活での出るゴミが、海の環境に悪影響を与えることを意識し、ゴミを減らす努力を私達が実行することが海を守るためには大切です。美しい海を守るために、ご協力をお願いします。


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