地球環境・国際環境協力

気候変動の科学とわたしたちの未来~IPCCと岐阜県民の対話~(2015/03/13)

IPCCと岐阜県民の対話

日時
2015年3月13日(金) 13:00~16:00(12:30開場)
会場
岐阜グランドホテル
主催
環境省、共催:岐阜県

プログラム

挨拶

田中 聡士
環境省 大臣官房 審議官
新田 晃
岐阜県 環境生活部 次長

基調講演

Jean-Pascal van Ypersele(ジャン-パスカル・ヴァンイペルセル)
(IPCC副議長 (ベルギー))

「気候変動、その課題と機会:IPCC第5次評価報告書(AR5)の概観」

 IPCC第5次評価報告書統合報告書を紹介しつつ、最新の科学的知見が紹介された。
 現在までに、気温上昇をはじめとする気候の変動、およびそれに伴う様々な影響が観測されていることが述べられた。また、将来においては、今後大規模な緩和策がとられなければ、気候変動およびその影響が深刻化する可能性があるが、現時点においても我々にはまだ選択の余地があり、深刻な影響を避けられる可能性が残されていることが述べられた。

肱岡 靖明
(国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境都市システム研究室 室長)

「日本における気候変動影響とその対策」

 日本における気候変動の影響について、国内の研究にもとづく科学的知見が紹介された。
 気候変動予測結果に基づく研究では農業、健康、水害など様々な分野で影響が生じる可能性があることが示された。同時に、将来の気候変動に対して適応することにより、将来の悪影響を軽減できる余地が大きいことが示された。

髙木 朗義
(岐阜大学 工学部社会基盤工学科 教授)

「私達は局地集中豪雨にどう対応すればいいのか?」

 岐阜県で近年発生している豪雨災害を取り上げ、当時の被害の状況とともに、岐阜県の水害および土砂災害に対する脆弱性について示された。水害への具体的な対応の例として、地域の人々が災害への備えを自己診断する「自助・共助チェックシート」や、「図上訓練」について紹介された。

パネルディスカッション「今後の気候変動対策」
ファシリテーター
田辺 清人(IPCCインベントリータスクフォース(TFI)、技術支援ユニット(TSU)ヘッド)
パネリスト
Jean-Pascal van Ypersele(ジャン-パスカル・ヴァンイペルセル)(IPCC副議長 (ベルギー))
肱岡 靖明(国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境都市システム研究室 室長)
髙木 朗義(岐阜大学 工学部社会基盤工学科 教授)
小林 由紀子(特定非営利活動法人e-plus 生涯学習研究所 代表理事)
田中 聡志(環境省 大臣官房 審議官)

 議論に先立ち、ファシリテーターの田辺清人氏からIPCCインベントリータスクフォースでの活動について紹介があった。また、e-plus 生涯学習研究所の小林由紀子氏から、岐阜県での温暖化の普及啓発活動について、田中聡志氏から環境省による気候変動に関する取組について紹介があった。
 気候変動の適応策に関する議論では、適応策においては地域の特性にあった対応を行うことが重要であること、それと同時に地域間での経験の共有、様々なステークホルダー間での協力が重要であることが指摘された。
 気候変動の緩和策に関する議論では、気温上昇量を2℃以内に抑えるための技術は既にあり、人々の意思決定次第でその選択が可能である、という意味でIPCCはポジティブなメッセージを発していることが指摘された。地域での緩和の取り組みを進めるためには、市民一人ひとりに具体的に何ができるのか、どのようなメリットがあるのかを示していくことが重要であることなどが指摘された。