地球環境・国際環境協力

気候変動の科学とわたしたちの未来~IPCCと福島県民の対話~(2015/01/31)

IPCCと福島県民の対話

日時
2015年1月31日(土) 13:00~16:00(12:30開場)
会場
福島県文化センター
主催
環境省、共催:長崎県

プログラム

挨拶

竹本 明生
環境省 地球環境局 総務課 研究調査室長
長谷川 哲也
福島県 生活環境部長

基調講演

Sergey Semenov(セルゲイ・セメノフ)
(IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第2作業部会副議長)

「IPCC第5次評価報告書 統合報告書」

 9月に発表されたIPCC第5次評価報告書統合報告書から最新の科学的知見が紹介された。 現在までに観測された自然科学的な気候の変化が紹介され、気候変動の要因となっている温室効果ガス濃度の上昇は、人為的な影響が支配的であることが強調された。また、気候変動が大気、地上、海洋表層の他、海洋水深、氷床など、地球上のあらゆる領域で確認されることが説明された。さらに、気候変動の影響が、社会経済システムに不可逆的な影響を与えることが強調され、沿岸洪水、人々の増加変位の増加、貧困、食料や水不足などのリスクがあることが説明された。
 一方、人類が気候変動リスクを低減するために、緩和を通して抑制する手段を有することも強調された。将来の気温上昇を2℃までに抑えるRCP2.6シナリオが野心的な目標であるが、適応と温室効果ガス排出の大幅で持続的な削減は、気候変動のリスクを制限することが可能であり、対策のための省エネや低炭素・脱炭素技術等の多くは既に存在することが説明された。

増井 利彦
(国立環境研究所 社会環境システム研究センター 統合評価モデリング研究室 室長)

「日本における気候変動対策」

 気候変動問題に関する近年の国際的な動きが示され、今後、中国やインドを含むアジアにおける排出量が問題になる点が説明され、アジアにおける日本の役割や、日本の対策の動向が適応策と緩和策の両面から説明された。
 また、温室効果ガス削減に要する費用と省エネによる節約費用が説明され、温暖化対策が長期的には投下した費用よりも多くの便益を得ることができる点が説明された。さらに、2050年までに温室効果ガスを80%削減する目標は、実現可能性はあることが強調され、具体的な取組例が紹介された。
 最後に、国立環境研究所の福島県での環境教育の取組例が紹介され、長期的な取組目標に向けて今何ができるのかを考えることの重要性が強調された。

渡邊 明
(福島大学 理工学群 共生システム理工学類 気圏環境解析研究室 特任教授)

「福島における気候変動と対策の必要性」

 福島市の長期的な平均気温の変動の推移が説明され、冬日の減少、猛暑日や熱帯夜の出現日数の増加の他、リンゴの発芽と開花日が早まっていることなどが説明された。また、降水量は減少しているが、豪雨による被害は発生している点、冬季の気温の上昇に伴って降雪量が減っている現状が説明された。降雪量が少なくなると、雪の保温効果がなくなり高山植物が凍死するなどの生態系の影響が出ることなども、吾妻山の事例で紹介された。
 一方で海水温の上昇により、豪雪による被害が発生していることが説明された。
 最後に福島県の温暖化対策の取組として、福島県議定書活動や再生エネルギーの推進、環境エネルギー教育の充実のための、アドバイザー制度による普及・啓発活動などが紹介された。

パネルディスカッション「今後の気候変動対策」

ファシリテーター

田辺 清人(IPCCインベントリータスクフォース(TFI)、技術支援ユニット(TSU)ヘッド)

パネリスト

Sergey Semenov (セルゲイ・セメノフ)(IPCC第2作業部会副議長 (ロシア))
増井 利彦(国立環境研究所 社会環境システム研究センター 統合評価モデリング研究室 室長)
渡邊 明(福島大学 理工学群 共生システム理工学類 気圏環境解析研究室 特任教授)
佐藤 郁(戸田建設株式会社 価値創造推進室 開発センター エネルギーユニット 次長)
竹本 明生(環境省 地球環境局 総務課 研究調査室長)

 田辺氏よりイベントリータスクフォースの活動について紹介があったのち、パネリストの竹本氏より、IPCCの知見と日本政府の政策についての説明、佐藤氏より浮体式洋上風力発電事業について紹介があった。
 ディスカッションの中では、前半は気候変動の緩和策について、議論された。セメノフ氏より、緩和策の前提となる2℃目標の根拠について説明され、増井氏より2℃目標を達成できるのは今がラストチャンスであることが強調され、そのためには消費エネルギーの見える化が必要である点が指摘された。また、渡邊氏からは福島県内の3000事業所で行っている「福島議定書活動」の例として皆で車の使用を減らす活動などが紹介された。さらに、竹本氏からは、風力発電やCCSのような技術に対する支援の必要性、特に発展途上国に対する資金的・技術的な支援の必要性についての指摘があった。
 後半では気候変動適応策について議論され、竹本氏から、政府の適応策に関する取組の紹介があり、各地域で影響評価を行い都道府県等に情報提供する仕組みが必要である点が強調された。渡邊氏からは、国や県、地方が一体化した情報共有の必要性が指摘された。
 最後にセメノフ氏より、適応に関してIPCC第2作業部会として、社会経済、生物学、農業などに関して、ロシアでの適応策の検討をした点が紹介された。
 その後、会場との質疑が行われた。

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