地球環境・国際環境協力

気候変動の身近な影響と適応策を考えるシンポジウム~IPCC第38回総会に向けてin 京都~(2013/11/29)

IPCC第38回総会に向けてin 京都

日時
2013年11月29日(金)13:30~15:30
会場
国立京都国際会館 Room D
主催
環境省、共催:京都府、京都市

プログラム

挨拶

白石 順一
環境省地球環境審議官
山中 修一
京都府副知事
門川 大作
京都市長

基調講演

安成 哲三(総合地球環境学研究所 所長)

「地球温暖化はアジアでどう現れつつあるか?― IPCC-WG1 第五次報告書を中心に ―」

 IPCC WG1 第5次評価報告書から気候のモデルを使った気候変動の今後の予測から、海面の高さ、氷河の減少、水蒸気の分布、強い台風や熱帯低気圧が増える可能性があること等について発表があった。現在の気候モデルでは表現されていないようなプロセスもあり、したがって、CO2の濃度があるレベルに達すると、現在の予測にはないような現象、例えば、突然気候が変わるというようなこともあり得ることから、地球の将来は人類の叡智と行動にかかっていると締めくくった。

竹林 洋史(京都大学防災研究所 准教授)

「京都・滋賀水害の特徴と気候変動への心構え」

 2013年9月に京都府と滋賀県に水害をもたらした台風18号は、近海の気温上昇が一因で最も勢力が大きくなった頃に上陸し、局地的に大雨をもたらした。浸水のあった亀岡では、桂川の氾濫を前提にした土地利用が行われていたり、その下流にある嵐山の渡月橋も洪水被害に耐える工夫が凝らされていることが説明された。
 気候変動の影響で、場所によって雨量の極端化が予想されることから、降雨特性や河川整備の状況、地勢特性などを知り、早めに避難をすることと、河川や土砂の氾濫を許容した家づくり、町づくりも考えていくことが重要であると会場に呼びかけた。

パネルディスカッション「身近で考え行動する 気候変動問題」

コーディネーター
増田 啓子(龍谷大学経済学部現代経済学科 教授)
パネリスト
竹林 洋史(京都大学防災研究所 准教授)
虫鹿 里佳(気象キャスターネットワーク 気象予報士)
木原 浩貴(京都地球温暖化防止府民会議 事務局長)
久野 真由子(同志社大学DEP)

 コーディネーターの増田氏より、「近畿地方における温暖化の影響~特に動植物に現れている現象」と題して、発表があった。京都の年平均気温は右肩上がりで上昇しており、今の気温は60年前の鹿児島と同じで、動植物に大きな影響があることが発表された。温暖化の指標として、春にサクラ、秋にはカエデの調査を実施。京都の桜の開花は50年間で一週間早まり、紅葉も30年間に一週間以上遅くなっていることが報告された。低炭素社会づくりに向けて、頭でわかったらすぐに行動に移していただきたいと締めくくった。
 その後、パネリストの間でディスカッション、会場との質疑が行われた。